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映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021ドラえもん:水田わさび/のび太:大原めぐみ/しずか:かかず ゆみ/ジャイアン:木村 昴/スネ夫:関 智一守ってみせる。友だちも、この星も。Disc1カラー/108分 ビスタビジョンサイズ/片面2層 音声: 1, リニアPCM 2.0chステレオ 2, ドルビーデジタル5.1chサラウンドEX 3, バリアフリー日本語音声ガイド 字幕:バリアフリー日本語字幕【映像特典】予告編SDV32040R/2022年小学館原作:藤子・F・不二雄 監督:山口 晋 脚本:佐藤 大 主題歌:Official髭男dism夏休みのある日。のび太が拾った小さなロケットの中から、手のひらサイズの宇宙人・パピがあらわれる!彼は、宇宙のかなたにある小さな星・ピリカ星の大統領で、反乱軍から逃れるために地球にやってきたという。最初はパピのあまりの小ささに戸惑うドラえもんたちだったが、ひみつ道具“スモールライト”で自分たちも小さくなって一緒に遊ぶうち、次第に仲良くなっていく。ところが、パピを追って地球にやってきたクジラ型の宇宙戦艦が、パピをとらえるためにドラえもんやのび太たちを攻撃。みんなを巻き込んでしまったことに責任を感じたパピは、ひとり反乱軍に立ち向かおうとするが……。大切な友だちと、その故郷を守るため、ドラえもんたちはピリカ星へと出発する!!©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2021映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
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『シン・ゴジラ:オルソ』Blu-ray『シン・ゴジラ』のモノクロ版となるBlu-rayの発売が決定!TBR34175D/2023年度東宝©2016,2023 TOHO CO., LTD.『シン・ゴジラ:オルソ』Blu-rayご購入はこちら
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国宝©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
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映画『窓ぎわのトットちゃん』DVDレンタル君は、ほんとうは 、いい子なんだよ。TDV34153R/2023年度テレビ朝日©黒柳徹子/2023 映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会映画『窓ぎわのトットちゃん』DVD レンタル
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「線は、僕を描く」公開前夜祭オンラインイベント「線は、僕を描く」公式サイト2020年「本屋大賞」3位、2019年TBS「王様のブランチ」BOOK大賞を受賞した青春芸術小説を横浜流星さん主演で実写映画化した「線は、僕を描く」。本作の公開を前日に控えた10月20日、公開前夜祭オンラインイベントを実施しました。横浜流星さん、清原果耶さん、河合優実さんらの最旬豪華キャストが登場したほか、メガホンを取った小泉徳宏監督も集結し、“線”(オンライン)で繋がった国内外のファン総勢150名とともに、ついに公開を迎える喜びを分かち合いました! こちらのイベントの様子をレポートします!公開前夜祭オンラインイベント青山霜介役横浜流星さん篠田千瑛役清原果耶さん川岸美嘉役河合優実さん小泉徳宏監督横浜さんいよいよ明日公開を迎えて作品が皆さんの元に届きます。楽しみですね。一人でも多くの人に届けば嬉しいです。MC清原さんは撮影を振り返ってみていかがですか? 清原さん五年前に小泉監督とはご一緒(「ちはやふる-結び-」(2018年公開/主演:広瀬すず)しました。「その時から成長した姿を見せないと」と思い緊張していましたが楽しかったです。 小泉監督成長した背中を見られて大満足です。すごく嬉しかったですね。 清原さん(小泉監督の言葉に満面の笑みを見せる)。 MC河合さんは、本作の撮影を振り返っていかがでしたか? 河合さん小泉監督のまっすぐな想いに全員がついていっている感じがしました。とても居心地の良い現場だったのを覚えています。(演じた役柄は)「霜介を支える役割」だと感じていたので、とにかく明るく支える、というのを意識していました。横浜さん河合さん演じる川岸と細田さん演じる古前は、霜介の辛い過去を知っているからこそフラットに接してくれました。現場でも、良い空気感で霜介としていられました。感謝しています。 MC横浜さんは役作りなどいかがでしたか? 横浜さん監督ともたくさん話し合いをしました。でも、僕も頑固だし、監督も頑固なので…(笑)。でも、それを受け止めてくれたので霜介が出来上がっていきました。楽しかったです。 小泉監督頑固と頑固なので、話が進まない(笑)。 登壇者の皆さん(笑)。 MC日本各地でも、公開前日の盛り上がりは最高潮ということで、日本各地をと“線”を繋ぐ中継を行いたいと思います。 ■原作の大ファンであり芳林堂書店高田馬場店で映画公開に合わせてコーナー展開を担当した書店員の方と中継がつながる。 小泉監督(壁一面に張り巡らされたポスターの数々を見て)横浜くんがいっぱい! 横浜さんありがたいですね。見に行ってみたいです。 ■ロケ地となった滋賀県の多賀大社と中継がつながる。 登壇者の皆さん(多賀大社の荘厳な雰囲気に思わず)おおっ! MC多賀大社での撮影はいかがでしたか? 横浜さん観てくれる方の心を掴む大事なシーンで使わせてもらったので、すごく印象に残っています。 ■水墨画の監修を務め、横浜さん、清原さんらにも熱心に水墨画指導を行った東雲先生が雅叙園との中継がつながる。 横浜さん&清原さん東雲先生。(呼びかけながら笑顔で手を振る) MC東雲先生からみた本作の見どころを教えてください。 東雲先生本作もスタッフもキャストも、みんな本当に素晴らしくて感銘を受けました。感動しましたね。 MC清原さん、東雲先生のお気持ちを聞いていかがですか? 清原さん水墨画の魅力が伝わったら…と心がけてもいたので、明日の公開が楽しみですね!■日本国内のみならず、今後は海外の公開も予定しているということで、現在公開検討中の韓国と中継がつながる。 配給を担当しているスタッフ(本作を観て)感動しました。色々な日本映画を観てきたけれど、水墨画をテーマにした作品は珍しいですね。繊細でパワフルな水墨画が描かれている作品だと思いました。 横浜さん”検討”ではなくぜひ“公開決定”してください! お願いします!! ■公開が決定している台湾と中継がつながる。江口さんや三浦さんとの撮影エピソードを明かし、日本のみならず、世界へ向けて続々と広がる“センボク熱”に「おめでとう!!」と配信コメントも盛り上がりを見せていました。 MC登壇者への質問や感想を「#映画せんぼく前夜祭」をつけて投稿してくださいと募集しておりましたので、こちら皆さんに質問にお答えいただこうと思います。 【質問】青春映画でもある本作ですが、青春時代の思い出は? 清原さん中学生三年生の最後の体育祭にどうしても出たくて…リレーで走ってそのまま東京の仕事に向かったのが良い思い出です。一位でした! 河合さん高校時代にダンスをしていたので、仲間と一緒に一つのことを作り上げていくのが青春の思い出です。 小泉監督今ですね。映画作りって、それこそ体育祭で走っているみたいな…(笑)。 MC横浜さんはいかがですか? 横浜さん監督と一緒で、今ですね。いつまでも青春できると思います。 MCそろそろお時間となります。横浜さんに最後にご挨拶をお願いいたします。 横浜さんいよいよ明日、本作が公開となります。僕らの手を離れて、作品が皆さんのものになっていくので、愛してくれたら嬉しいですし、霜介の変わっていく姿に何か感じてくれると良いなと思います。
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映画『窓ぎわのトットちゃん』Blu-rayレンタル君は、ほんとうは 、いい子なんだよ。TBR34152R/2023年度テレビ朝日©黒柳徹子/2023 映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会映画『窓ぎわのトットちゃん』Blu-rayレンタル
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映画『窓ぎわのトットちゃん』DVD通常版君は、ほんとうは 、いい子なんだよ。TDV34155D/2023年度テレビ朝日©黒柳徹子/2023 映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会映画『窓ぎわのトットちゃん』DVD通常版ご購入はこちら
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「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞記念記者会見「ゴジラ-1.0」公式サイト日本のみならず世界中を魅了し、衝撃を与え続けてきた「ゴジラ」。その70 周年記念作品であり、日本製作の実写版ゴジラ30 作品目となる最新作「ゴジラ-1.0」が現在大ヒット公開中です。11 月3 日の“ゴジラの日”に封切られた本作は、まさしく“ゴジラ級”の特大ヒットとなり、さらに北米でも邦画実写映画の興行収入記録を塗り替え、世界各地でも大ヒットを記録するなど、ゴジラ旋風が巻き起こっています。 そんな「ゴジラ-1.0」がアメリカ・ハリウッドにて開催された映画界の祭典第96 回アカデミー賞にて視覚効果賞を受賞! 日本映画が本賞を受賞するのは史上初であり、歴史に刻まれる快挙です。 そんな山崎貴監督と、白組スタッフの渋谷紀世子さん、髙橋正紀さん、野島達司さんが帰国後初の公の場となる会見で、授賞式当日の模様や受賞時の気持ちなどを語りました。その模様をレポートします。アカデミー賞受賞記念記者会見監督・脚本・VFX山崎貴さんVFXディレクター渋谷紀世子さん3DCGディレクター髙橋正紀さんエフェクトアーティスト/コンポジター野島達司さん大石典子役浜辺美波さん■アカデミー賞の映像が流れる。 MCご覧いただきました通り、今回のアカデミー賞視覚効果賞受賞を受けて、本作「ゴジラ-1.0」は全国の劇場で凱旋ロングラン上映が始まっており、今後も上映館数をどんどん拡大していきます。すでに公開から昨日までの130日間で観客動員数が397万人、興行収入60.8億円を突破しました。まだまだ「ゴジラ-1.0」の快進撃は続きますが、まずは授賞式から帰国したばかりのこの方たちをお呼びしたいと思います。 山崎監督今日は集まっていただきありがとうございます。本当に、どうなることかと思いながら臨んだオスカーでしたが、最高の結果になれて本当に今はほっとしています。今日は短い時間ですが、いろいろ聞いてください。 渋谷さん私の仕事はVFXディレクターという名前になっていますが、主に監督がプロットを描いたところから撮影まで、いろいろなカットをどう撮っていくかを、VFXを含めて設計するような仕事をしています。 髙橋さん本作で3DCGディレクターを務めました。僕の役割としては、スタッフ全体の振り分けです。それから、クオリティーコントロールですね。皆さんはご存知だと思いますが、(スタッフの)人数が少ないので、僕もカットシーンをやっています。 野島さんエフェクトアーティストとコンポジターという両方を担当しました。エフェクトアーティストとしては、今作でいうと海のシミュレーションをして、それをレンダリングしました。また、僕は元々コンポジターっていう2DでCGのレンダリング画像を最終的な納品形態にするという仕上げ作業もやっていたので、自分でシミュレーションからレンダリングからコンポジターの最終仕上げまで全部やりました。 MC皆様お手元に今回のアカデミー賞で受賞したオスカー像をお持ちになっていますが、まず本作「ゴジラ-1.0」でアカデミー賞視覚効果賞を受賞してオスカー像を手にした時のお気持ちをお伺いできればと思いますけれども、山崎監督いかがでしょうか。 山崎監督想像をはるかに超える重さでちょっとびっくりしました。緊張していたんですけれど、一瞬それを忘れるぐらいの重さでした。でも本当に「今オスカー像を持っているんだ」と思えてすごくうれしかったです。MC渋谷さんいかがでしょうか。 渋谷さんそうですね。(視覚効果賞を)やっぱりもちろん取りたかったんですけれども、取れるかといったら、なかなか自信はそこまでありませんでした。本当にみんなで五分五分と言っていたりしていました。私はもう「言霊の効果があると良いな」と思って、ずっと「取る、取る」っと言い続けていました。本当に取った瞬間は逆にびっくりしちゃって、それだけでめちゃめちゃ盛り上がりました。直前にアカデミーの方から配られたテキーラをみんなで景気づけに飲んだんですが、それもあってちょっとテンションが上がってしまいました。 MC本当に皆さん四名の方は、昨年からずっとアカデミー賞の授賞式に向けたロビー活動で何回も飛び立たれて、何回も向こうでプレゼンをされてという実績が今回現れたのかなと思っています。 髙橋さん僕も直前までは「(視覚効果賞を)取れたら良いな」と思っていたんです。でも取れなければ落胆するので、「ノミネートだけでも十分だ」と言い聞かせていました。でも、実際「ゴジラ-1.0」と呼ばれた時は、頭が真っ白というか、何かよく分からなかったですね。 野島さん「ゴジラ-1.0」と呼ばれる3秒ぐらい前に、子供の時に授業中に急に指をさされて呼ばれる、あれを何となく一瞬感じて、「あ、呼ばれるな」と思いました。この感じは同じなんだなと思いました(笑)。気持ちは一緒ですが、壇上に上がっていく間に何が起こったのかをだんだん頭が理解し始めました。手足がしびれて、シュワルツェネッガーさんを見たら訳が分からなくなりましたが…。その後、山崎監督の英語のスピーチを温かく見守ってくださっている会場の皆さんの顔が本当に忘れられなくて、本当に良い場所だなと感じました。 ■マスコミからの質問この度はおめでとうございます。 今は、ほっとした状況の中で、ちょっと気の早い質問かもしれませんが、今回、日本のVFXの到達点を世界に知らしめたことで、名実ともに「世界の貴(たかし)」になったと思います。今後を見据える目標というか野望みたいなものがあれば教えてください。【マスコミ1質問】山崎監督野望はいっぱいあります。でも、あんまりここで言ってしまうと難しいことになりそうなのであまり言えないですね。でも、日本映画がハリウッドでそれなりの興行成績を挙げられて、ちゃんと賞をもらえたということは、今後の日本映画の作り方が少し変わってくる可能性を秘めていると思いました。それを、ゴジラうんぬんというよりは、日本の作品が、字幕上映で日本人のキャストしか出ていなくても、ハリウッドというか、北米で観られるようになってきているということからも、確実に感じられました。そのことはすごく良いことだし、そこまで見据えた作品作りになれば、製作費ももっと潤沢にしていけると思います。いろんな意味で可能性が広がったということは、すごく良いことだと思っています。大リーグに野茂選手が行った時に「意外といけたじゃん」ってなった途端にすごくたくさんの人たちが大リーグに挑戦できるようになりました。同じように今回のことをきっかけに、もっとワールドワイドな興行を目指した作品を作っていくことは一つ手としてあると思っています。 マスコミ1ということは、「映画界のトルネード」という感じでしょうか。授賞式後には「オッペンハイマー」に対するアンサー作品みたいなことを個人的に話されていましたが、そういう作品も含めて、また今後同じアカデミーの会場に戻りたい、今度は監督賞や作品賞をという欲みたいなものはありますか。 山崎監督そうですね。僕は賞を目指す作品はあまり好きじゃないんです。あまり考えずに作りたいものを徹底的に一生懸命作っていけば、もしかしたらそういう道が開ける可能性はあると思います。でも、あんまり目指さずにやっていきたいなと思っています。おめでとうございました。 山崎監督にお伺いしますが、まさに「世界の貴」についになられました。「世界の貴」になって壇上から見えた風景、世界の映画だけではなくエンターテインメントの世界一決定戦のようなアカデミー賞の壇上から見下ろした世界はどう見えたでしょうか?【マスコミ2質問】山崎監督めちゃめちゃ温かかったですね。僕の、非常に拙い英語のスピーチを、皆さんが「頑張れ」という顔で見てくださっていました。その温かく見守ってくれている空気がしっかりと伝わってきて、本当に心地良かったですね。でも、同時にものすごく焦りました。でも、やっぱり最高峰の人たちが集まっている場所なだけあって、ものすごく素晴らしい場所だと感じました。 マスコミ2先ほど「ちょっと具体的に言うと叶わない」みたいなことをチラッとおっしゃっていました。山崎監督は「スター・ウォーズ」などの作品を観て、どうしてもアメリカ人しか「スター・ウォーズ」製作の舞台には立てないけれど、活躍することによって、「自分にも『スター・ウォーズ』を作らせてくれないかな」という野心を持たれていたと思います。そして、今回の受賞はスタンリー・キューブリック監督以来(視覚効果賞を監督が受賞したのは「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリック以来、55年ぶり史上2人目)で、監督として力があるからこそ取れる55年ぶりの金字塔ですので、声がかかってもおかしくないぐらいの結果を出されたと思います。その辺の可能性はご自身でどうお考えでしょうか? 山崎監督そんな誘導尋問に乗るものか(笑)!壇上のスピーチでも言わせてもらいましたが、ハリウッドというか、アメリカに生まれた人にしか与えられなかったチャンスが、ハリウッドはもうちょっと広く受け入れてくれるようになってきたというのは改めて感じました。外国語映画賞のように最初から海外作品向けの賞ではなくて、視覚効果賞というのはすごく聖域だったと思います。その部分を開放してくれたということは、何か懐の深さというか、オープンにしてくれているんだなという印象を受けました。なので、いろんなチャンスがここから芽生えてくると良いなと思います。 マスコミ2山崎監督は、ずっと「ゴジラ」というタイトルで作品を作りたかったじゃないですか。そのゴジラシリーズで初めてオスカーを取ったお気持ちはいかがですか? 山崎監督完全にゴジラのおかげですね。ゴジラというキャラクターが本当に大スターだったということを改めて思い知らされました。アメリカの人たちが、いかにゴジラのことを好きかということも思い知らされました。僕らが、あの会場に入って行っても「こいつら何なんだ」という感じなんですが、みんなでゴジラを持って入って行ったので、「ゴジラ!」と皆さんが言ってくれるんですよ。だから、何度も何度も繰り返して言っていますが、「ゴジラに連れて行ってもらったんだ」「ゴジラがワールドワイドなものになっているんだ」と、改めて想像以上に感じて、すごかったですね。だから、「ゴジラのVFX」だったからあの場所に立てたと改めて思っています。この度は受賞おめでとうございます。 ノミネートの瞬間の時から、カメラで追わせていただいておりました。あの時と、今実際オスカーを手にとった時の気持ちで何か変化はありましたか?【マスコミ3質問】山崎監督人というのは欲深いものだと思いましたね。ノミネートが発表になった瞬間は「もうこれで十分だ」と、完全に満足していたんです。その後一カ月ぐらいロビー活動と言われているいろんなところでQ&Aをやっていると、すごく皆さんから「ゴジラが好きだ」という感じが伝わってきました。すると、「これ、取れるんじゃね」みたいな気持ちがちょっと沸いてきました。オスカーそのものを狙っても良いんじゃないかという空気が出てきながらそれと戦う日々でしたね。多くを望むとだめだった時に大きく失望するので「そこで良いじゃん。十分じゃん」「そんな大きなことを望んではいけない」と思いながらも、あまりにも反応が良かったんです。Q&Aの後に観てくださった方たちがすごく並んで、ミニサイン会みたいなことに毎回なるんですが、その時のリアクションが良くて、「あれ?これもしかしたらあるんじゃないかな」となりました。そんな自分を見て、本当に欲深いなと思いました。でも、取れて良かったです。マスコミ3今回、壇上でもゴジラを持ったり、ゴジラのデザインの靴を履かれていましたが、このVFXというポジションで注目されたというところから、可能性がまた一歩進んだのかなと思います。それについてはどう思っていらっしゃいますか? また、ちょっと野島さんにお尋ねしたいんですが、監督に一番物申す…というようなお話も、私どもの取材でありました。実際、その若さで、世界の舞台で自分たちの作品が見てもらえたことに対するお気持ち、ご感想があればお聞かせください。 山崎監督ずいぶん前からVFXの視覚効果賞というのは、本当にオスカーの中で聖域中の聖域でした。なぜかというと、ものすごく巨大な予算をかけて、凝りに凝ったVFXがいっぱいある中でのベストという場所だったんです。だから、僕らには挑戦権がなかったんですね。本当に、そこに夢を見ることすら許されない場所だったので、僕ら的にはオスカーを考えることすらタブーというか…。例えば、誰かが「夢は本場のオスカーで視覚効果賞を取ることです」って言っていたら、「それは違うんじゃないか」っていう空気だったんですよ。だから、その聖域を開いてくれたことは、すごくうれしいことです。やっぱりハリウッドという場所の懐の深さ、力強さ、つまり、僕らがそこで賞を取ったからといって、彼らの映画産業は何も揺らぎはしないっていう自信も感じました。本当に繰り返しになりますが、会場の皆さんの温かい「頑張れ」という感じが本当にうれしかったです。VFXでは、実は僕は一番長いキャリアなので、それをずっとやり続けてきたことで、今この場所があったということは、本当にうれしいことですね。 野島さん僕は、すごい直感タイプというか…。白組に入社するのも、高校生の時に、朝目が覚めて青空を見ながら「白組に入れるかな」「入れたら良いな」っていうふわっとした思いがあったくらいでした。今回、ゴジラをやる時も、「ゴジラをやるんだし、何かあるだろうな」くらいにしか思っていませんでした。でも、まさかここまでとは思わなかったです。めちゃめちゃびっくりしました。物申していたのも、ゴジラがそんな予感を後押ししていたというか、何かあると思ったので、言っておこうみたいな感じで、普段よりも言っちゃっていたかなと思います。 山崎監督結構「世界が」という言葉はスタッフの間からも出ていましたね。ゴジラ作品だから世界中の人たちが観ることは確かだと思いました。でも、僕にはその視点がちょっと欠けていたので、「すみません」って言っていました。何人かのスタッフから「世界中の人が観るんですよ」って言われて「そうだよね」って思いながらやっていました。まさか、こういうことになるとは思っていなかったです。 マスコミ3ちなみに監督は、「ほっとした」とか「もう感無量」「興奮した」など一言で表すと何が一番ですか? 山崎監督ノミネートの時は、ほっとした感じだったんですよ。ノミネート発表でご取材いただいていた際にはこうやって皆さんがいらっしゃるし、これでしょんぼりした姿を中継されたらたまらないなという気持ちがあったので、その点はほっとしました。でも、今回は燃えましたね。気持ちとしては(受賞は)五分五分ぐらいだったんです。でも、いろんなところで「ゴジラが取る」という下馬評がものすごく高かったんですよ。それが、保障のない空喜びシステムみたいになっているんですよね。会場に行く途中で野島が「59%ですよ」って言っていて、「取れちゃうじゃん」って思ったんですが、「ここでうっかり取る気になるものか!」と、自分の精神をコントロールしていました。でも、まさかターミネーターのシュワルツェネッガーに呼ばれるとは思わなかったので、本当にうれしかったです。先ほどもちょっとお話がありましたが、今回の視覚効果賞候補作品の中で、予算としては一番少なかったと思います。そのハリウッドの巨額の製作費と人手を掛けたものよりも上回った要因はどういうところだと思いますか? もう一つ、それでもやっぱり及ばない部分があるとしたらどんなところだと思いますか?【マスコミ4質問】髙橋さん自分たちなりにすごく頑張って良い出来のカットもあるし、もっと頑張りたかったカットもあります。実際アメリカに行った時に他のノミネート作品も観たんですが、そこには素直にVFXをやっている自分としては「やっぱりすごいな」「僕たちができない技術を使っているな」という部分がありました。「やっぱり世界はすごいな」って思いながら観ていました。ただ、プレゼンテーションするための紹介ムービーのようなものを作ったんですが、そこでは、なぜか僕たちの「ゴジラ-1.0」が一番面白いと思いました。それは、作品とVFXとが相まっていたし、歓声がすごかったので、少しは戦えるかなと、一ファンとしては思っていました。ただ、まだまだ全然アメリカのクオリティはすごいので、これからも頑張っていかなきゃいけないと思っています。 渋谷さんBake Off(アカデミー賞「視覚効果賞」のショートリストに残った10作品によるVFXのプレゼンテーションの場)以降に、VFXの10本のショートリストに残った作品の方々とか、その後のノミネートの方々から言われたのは、「始めた頃に、ない知恵を絞って何とか作ろうと、もがいて作っていた頃をすごく思い出した」と言われました。その辺が、皆さんの温かい気持ちや、見守っていただけていたっていうことも含めて、響いたのかなと私は思っています。 野島さん作品が本当に面白かったのが、一番影響があるのかなと思います。僕らのVFXは、もがいて、いろんな気持ちで作ったので、こんなに堂々として良いとは思えないんです(笑)。ゴジラや山崎さんの話もすべてが良くて、全部のピースがはまって、こうなったんだと思いました。 山崎監督一つは、少人数・少ない予算というところが、(ノミネートされた)他の作品と違ってかなり特殊なケースだったので、面白がってもらえたんじゃないかと思います。あとは、ビジュアルエフェクトの部門というのは「VFXが物語にいかに貢献したか」ということを非常に大事にされるみたいなんです。本作ではたぶんVFXが作り出したゴジラの恐怖感とか絶望感がお話に貢献している部分があると思うので、その部分を評価されたのだと思います。負けているところでいうと、真面目に観ちゃうと心がズタズタになるぐらいに、他の作品が素晴らしいんです。Bake Offの時もオリンピックに来たようなすさまじいクオリティのものが続く中で、僕らの面白ビデオを見せるという感じでした。何かポンコツチームが頑張っているっていう感じが、恐らく皆さんのVFX初期のスター・ウォーズのように感じたんじゃないでしょうか。今聞くと、本当に当時CGが使えなかった時代にいろんなことをやって、何とか作品を成立させようと思ったカットが素晴らしい効果を上げているんですよね。そういう部分が皆さんの琴線に触れたのかなって思うようにしています。 マスコミ4今後、日本のVFXは十分世界で戦えると思いましたか? 山崎監督全然思わないです。まだまだというのは改めて感じました。だから、本当にラッキーパンチだと思います。いろんな条件が重なって今回こういう賞をいただきましたが、もぎ取りに行くのにはまだまだいろいろと頑張らなきゃいけないと、改めてその中枢に近づいたからこそ思うすごさがありました。でも、一応戦えて結果は出せたので、これを橋頭堡にまた頑張っていきたいと思います。野島さんにお伺いします。受賞後に山崎監督とはどんな言葉を交わしましたか? また、野島さんから見て受賞後の山崎監督の喜びようはいかほどでしたか? 印象的なお言葉や姿があれば教えていただきたいです。【マスコミ5質問】野島さん受賞後間もないので、まだそんなに…。オスカーの重みっていう話だと、精神的な重みと物理的な重みで両腕が筋肉痛になってしまいました。 山崎監督パーティーの間もずっと持っていないといけないんですが、どんどん重くなってきて、最初は写真でもっと出してくれと言われるんですが、本当に重くて…。そういえば、(野島さん)会話していないな(笑)。 野島さんたぶん、言うことなくなっちゃったんですよ。オスカーもあるし、もう語ることはないと…。 マスコミ5受賞後の今、お互いに言葉をかけるとしたらどんな言葉をかけたいですか? 山崎監督「これが人生のピークにならないようにね」と言っていました(笑)。僕らは、何かここで良い曲線を描いていますが、野島はまだ若いので人生の頭の方にピークが来ちゃうと、映画のシナリオ的にもあまりよろしくないので…。 渋谷さん野島は初パスポート、初海外で、とうとう初オスカーまで取っちゃうという(笑)。 野島さん初サマータイムもあって、急に一時間なくなるという(笑)。 マスコミ5野島さんは監督に一言言葉をかけるとしたら、何とかけますか? 野島さん「天才でいてくれてありがとう」とただそれだけです。 山崎監督めったにこういうことは言わないんですけれどね(笑)。今日はお祝いなので少し盛っていると思います。 野島さんいや、本当のことを言いました(笑)。監督と渋谷さんに伺いたいと思います。今回登壇される時に、昨年お亡くなりになった阿部秀司プロデューサーのお写真を持って登壇されたと思います。お二人にとって阿部プロデューサーはどんな存在かをお聞かせください。 また、監督が阿部プロデューサーに見出してもらったというお話があったかと思うのですが、出会いや、「ALWAYS 三丁目の夕日」の時など何かエピソードをお聞かせください。【マスコミ6質問】山崎監督長くなりますよ(笑)。できるだけ簡潔に話しますと、僕のデビュー作からのプロデューサーです。僕がまだVFXしかやったことがなくて、監督もしたことない時に書いたシナリオをすごく面白がってくれて、「ジュブナイル」というデビュー作を作らせてくれた一番の恩人です。そこそこお金がかかる作品で、僕は脚本を書いていましたが、「監督は誰がやるんだ」という話になった時に「そんなのは山崎がやるに決まっているでしょ」とすごく推してくれたんですね。だから、それがなかったら監督になるとしても、すごく時間がかかったと思うし、なれていなかったかもしれないです。そういう意味では、監督にしてくれた恩人です。それに、ずっと作品を作り続ける中で羅針盤のように方向を示してくれる人です。「ALWAYS 三丁目の夕日」は、正直僕はあまり乗り気ではなかったんですが、「こういうのをやらないと、お前は本当にSF映画だけを作る人になっちゃうぞ」と言われました。僕としてはそれでも全然構わなかったですが、「監督としての幅を広くするためにはこういうこともやらなきゃだめなんだ」と言ってくれました。結果的にはいろんな作品ができる監督になれたと思います。本当に人生の様々な場所で素晴らしい助言と行動を起こしてくれました。映画の企画って、実際に軌道に乗せるのが本当に大変なんですが、その部分でめちゃくちゃ力を発揮してくれました。僕がずっと作り続けてこられたのも阿部さんがいたからだと思います。去年亡くなってしまったんですが、すごく興行にもこだわる人だったので、ゴジラが大ヒットしている中で亡くなられたのを聞いて、「ギリギリ間に合った」という感じがすごくします。でも、やっぱりオスカーを手にして、ホテルの部屋に戻ってくると「阿部さん、良かったね」と言いたかったなと思いました。「阿部さんと一緒にオスカーを取りに来たかったな」と、きっと来ていたとは思うんですが、いてほしかったなと思います。一緒にいたら、どんなに喜んだだろうと思います。今も「何で僕が生きている間にオスカーを取らなかったんだよ」って怒っていると思います(笑)。 渋谷さん四半世紀、25年以上一緒だったんです。恩師であり、仕事の仲間であり、友でもあって、ものすごく近い存在でした。時には一緒に戦ってくれたり、ものすごくバトルをすることもありました。そういったことを20何年もやってきました。「きっと山崎はハリウッドに行くよ」と、かなり早い時期からに阿部さんは言っていました。最初はその話を「またまたぁ」という風に言っていたんです(笑)。それでも言い続けていたので、ハリウッドに進出してオスカーを取れたところを、阿部さんも一緒に見たかったと思います。でも、向こうで「ほらな、取ると思ったよ」と、鼻高々に周りに自慢していると思います。このレールを引いて
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「ラーゲリより愛を込めて」東京国際映画祭ワールドプレミア舞台挨拶「ラーゲリより愛を込めて」舞台挨拶舞台挨拶「ラーゲリより愛を込めて」公式サイト第35回東京国際映画祭が10月24日(月)に開幕し、オープニング作品として『ラーゲリより愛を込めて』のワールドプレミア上映が東京・日比谷の丸の内ピカデリーで開催されました。上映前の舞台挨拶には、映画祭のレッドカーペットを歩いたばかりの二宮和也さんと瀬々敬久監督が駆けつけ、撮影の様子や本作への思いを語りました。こちらの舞台挨拶の模様をレポートいたします!東京国際映画祭ワールドプレミア舞台挨拶山本幡男役二宮和也さん瀬々敬久監督二宮さん本日は足を運んでいただきありがとうございます。映画を観る前ということで、話す内容はいろいろ限られてくるかと思いますが、できる限りお話しできれと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。 瀬々監督東京国際映画祭オープニングの日にこの作品が選ばれて上映されることを光栄に思っています。ぜひ最後まで楽しんでいってください。 MC先ほどまで行われていた東京国際映画祭オープニングのレッドカーペットイベントにも登壇されましたが、レッドカーペットはいかがでしたか? 二宮さんそうですね、最後に歩いたんですけれど、何回隣を見ても瀬々さんしかいなくて(笑)。本当はポスターを見ても分かるように、いろいろな方が出ているんですけれど、今日は瀬々さんと二人だけで160メートル歩きました(笑)。三年ぶりにこういうイベントができて、見ている方や取材されている方がいる光景をだんだん思い出すというか、「戻って来られたのかな」という思いになって熱いものがあります。 瀬々監督そうですね、やはりまだコロナ禍での開催ですが、その中でもこれからいろいろ工夫して、こういう映画祭もどんどん世界との交流の場としてやっていけたらと、改めて感じる場でした。そういう意味では良かったと思います。 MC本作は本日がワールドプレミアということになりますが、世界各国から注目される作品になっていると思います。 二宮さんすごいものに出ちゃったなと思っています。僕はわりと都度都度、戦争映画に呼ばれることがあるんですけれど、結構な激戦地であったり、爆心地であることが多かったんです。でも今回はまた違う――戦争がもたらした「後遺症」の物語だと思っています。戦争が良くないとか、やってはいけないということより、後遺症として、これだけのことが起こるんだというのがちょっとでも伝われば、作った者として嬉しいなと思いますね。実際に起こったことでもあるし、僕らにとっても過去の話ではあるけれど「忘れないように」とこの作品を作りました。それでもやはり戦争は起きるし、僕らがやっていることが合っているのか間違っているのかも分からなくなるような状況ではありましたが、何とかできて、こうしてオープニングにまで呼ばれるというのは感謝だな、運が良いなと思います。 瀬々監督僕らがこうしている中でもウクライナでは、実際に戦争が今も起こっています。そういう状況が現代にあるし、僕らの日本でもコロナ禍や貧困、いろいろ問題を抱えて皆さん生きていると思います。そういう中で、二宮くんが演じた山本幡男さんという人は、「希望を捨てるな」と言い続けて生きた人なんです。そういう人の生き方が、今の僕らの生活、生きることにヒントを与えてくれたら良いなと思いながら作った作品です。そういうところを感じていただけたらと思います。MC山本幡男さんは、シベリアに抑留され、収容所での生活の中でも必ず帰れる日が来るという信念を持って生きた人です。演じられていかがでしたか? 二宮さん僕はこの作品に対して本当にすごく縁を感じています。山本幡男さんという方に出会って、いろいろなことを作品を通して教えていただいた気持ちになっています。その山本さんを皆さんがこれからご覧になって、どういった感情を抱くのか、人によっては眩しすぎると感じる人もいるかもしれないし、その言葉が刺さる人もいるかもしれないし、温かくジワッとする人もいるかもしれません。過酷な環境で、生き抜いた人間の一人として観ていただけたらと思いますし、「どういう人なのか」というのを作品に残してきたのでそれをじっくり観ていただけたらと思います。 MC監督から見て、現場での二宮さんはいかがでしたか? 瀬々監督二宮くんと話して、二宮くんは「この人物を決して偉人やヒーローとしては表現したくない」ということでした。「“普通の人”として生きていたというのをやりたい」と撮影前に話してくれました。そういう二宮くんの生き方、考え方がまさに山本幡男さんらしいなと思いました。「縁がある」と言っていましたが、二宮くんのおじいさんはシベリアの抑留者だったんですね。そういう意味では、二宮くんがここにいるのは、おじいさんが帰ってきてくれたからなんです。そういう意味では二宮くんはこの作品の申し子と言いますか…。 二宮さん縁を感じずにいられませんよね(笑)。 瀬々監督そういう二宮くんを観ていただきたいと思います。 MC松坂桃李さんに中島健人さん、桐谷健太さん、安田顕さん、そして妻・モジミ役の北川景子さんとの共演はいかがでしたか? 二宮さん北川さんは大変だったんではないかと思いますね。僕はなかなか会う機会がなかったんですが…。日本の内地にいる人にとっては「待つ戦争」という一つの戦争の後遺症があり、それは多くの女性が受けなくてはならないものであって、いろいろな形があったんです。夫婦の形にもいろいろなものがあったにせよ、「待つこと」を選んだモジミさんには「女性なら分かるのかもしれない母性にも近いものがあるのかな?」と僕は思ったし、僕が言うのはおこがましいですが、その演技が本当にお上手でした。夫婦の愛情もそうですが、その愛情を支えるように友人たちの絆があったからこそ流した涙だったのかなと感じましたね。安田さんや桐谷くんは、ドラマやバラエティでご一緒していますが、中島健人くんとは初めてでした。松坂くんとも初めてですが、松坂くんは僕と雰囲気が近いタイプだったので、なかなか作品で一緒になることがなくて...。どっちかが出ているとどっちかは出ていないという状況で、「大河ドラマとか大きなものじゃないと出会えないのかな?」と思っていたんですが、「そうか、こういう特殊な環境だったらこういうタイプがたくさんいても良いんだ」と、今回共演できる喜びがありました。実際に一緒にやってみて、「上手だな」と思いましたし、「今の良かったね」と素直に思える環境を瀬々さんに作ってもらい、現場でやり取りできることができました。作品は静かに進んでいますけれど、本番前後は盛り上がってやれていたので、その雰囲気の良さを感じていただければと思います。MC撮影環境は過酷だったのではないかと思いますがいかがでしたか? 二宮さん過酷でしたよね? 瀬々監督そうですね、野球のシーンがあるんですが、そこでは雪が降らないはずだったのに大雪の予報が出て、俳優さんたちもみんな、雪かきをやりました。中島健人くんも桐谷くんも出てきてやったんですけれど、一人だけやらない人がいて…。 二宮さん信じられない人がいますね? ぶん殴ってやりたいです。誰ですか? そいつ。 瀬々監督あなたでしょ? (笑) 二宮さんあぁ、そうでした! 僕でした! 僕はずっと、営倉の扉の陰に隠れていました(笑)。本当にみんな手伝ってくれましたよね。野球場もそうだし、他のシーンでも、誰かが倒れそうになったら支えに行くチーム感が出来上がっていたなと、仕上がりを観ても感じましたね。 MC監督は撮影で最も印象深いシーンはどこですか? 瀬々監督いろいろありますけれど、まあやはり苛烈な自然のシーンは印象深かったですね。雪の中の労働とか、本当に一日中、労働して重い木材を運んで…。 二宮さんしんどかった(苦笑)! すごく(雪が)降ったんですよね、あの年は。その地域でもメチャクチャ降ったねという年でした。いろいろなところで撮影しましたが、メインで撮っているところではどんどん降ってくるので、スタッフの方が雪を降ろしに行ったり、それこそ二十四時間、セットがつぶれないように張り付いている班ができたり、大変でしたよね? MC最後にこれからご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。 瀬々監督これからご覧になる皆さんが、世界で最初にこの作品を観ることになります。気に入ってもらえると思いますので、また劇場で観てやってください。そして、今回この作品を上映していただくことになった東京国際映画祭も良い感じになっていけばと思います。明日からも映画祭はやっていますので、皆さんもぜひ興味がある作品があれば観に来てください。今日はどうもありがとうございました。 二宮さん僕の近しい人からいろいろな話を聞いて、ずっと忘れられない経験をしているということを知り、戦争がもたらした後遺症というものは、よほど強いものなんだなと感じざるを得なかったし、それを背負って生きていたんだなと思いました。重たくするつもりはないけれど、「なんでこういうことが起きちゃいけないのか?ー 」ということも同時に感じていただきたいですし、そこを乗り越えたからこその希望や愛、仲間たちとの友情が見えてくると思うのでどうか楽しんで…いや、楽しんでいただくというより、観て心が温かくなればと思います。
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「すずめの戸締まり」完成報告会見&完成披露試写会舞台挨拶「すずめの戸締まり」公式サイト「君の名は。」(2016年公開/主演:神木隆之介・上白石萌音)「天気の子」(2019年公開/主演:醍醐虎汰朗・森七菜)の新海誠監督の最新アニメーション映画「すずめの戸締まり」がついに完成しました。 10月25日に東京・有楽町の東京国際フォーラムにて完成報告会見、および完成披露試写会が開催され、新海誠監督、声優を務めた原菜乃華さん、松村北斗さん、染谷将太さん、伊藤沙莉さん、花瀬琴音さん、音楽を担当したRADWIMPSの野田洋次郎さん、同じく音楽を担当した陣内一真さんが出席しました。上映後、本作を観終えた会場のお客さんはスタンディングオベーションで新海監督らを迎え入れ、ヒロイン・鈴芽の声を担当した原さんが、感激のあまり声を詰まらせる一幕も! こちらのイベントの模様をレポートいたします。完成報告会見&完成披露試写会舞台挨拶【完成報告会見】新海誠監督岩戸鈴芽役原菜乃華さん宗像草太役松村北斗さん岡部稔役染谷将太さん二ノ宮ルミ役伊藤沙莉さん海部千果役花瀬琴音さん音楽野田洋次郎さん(RADWIMPS)音楽陣内一真さん新海監督本日はお忙しいところ、足を運んでいただけてとても幸せです。楽しいお話がたくさんできればと思います。 原さん私自身、昨日、完成した作品を観せていただいて、余韻に浸ったままここに立っている状態なんです。今日は短い時間ですが楽しんでいきたいです。 松村さん僕も昨日、初号で観せていただきました。作品の持つ力でいまだに熱が抜けていません。ここで話さなくてはいけないので、一度落ち着かせてと思ったのですが、その熱が残っていることが心地よい作品なので、そういう作品の魅力が少しでも伝わるイベントにできたらと思います。 染谷さん僕はさっき観せていただいて、ちょっと胸に突き刺さり過ぎて「帰ろうかな」って思うくらいグッときました(笑)。まだ余韻に浸っている状態です。 伊藤さんスナックのママを演じられて、大変光栄です(笑)。新海さんの作品にまさか自分が参加できるなんて思ってもいなかったので、今ここに立っていることが不思議です。私も染谷さんと同じタイミングで午前中に観せていただいたんですけれど、本当に面白くて、気づいたら普通に泣いていて、なんて素敵な作品なんだろうと。改めて関われたことがとても幸福です。 花瀬さん今回、初めて声優を務めたのですが、私は女優としても舞台挨拶をするのが初めてで、ちょっと会場がすごく大きくてびっくりしています。 野田さん陣内さんも僕も数日前まで新海監督と一緒にダビングステージという仕上げをやっていて、「まだまだ明日もあるんじゃないか?ー」 とソワソワしているんですが(笑)。完成披露ということで皆さんに披露できること、届けられるのが心から嬉しいです。 陣内さん今回、新海監督とご一緒して、RADWIMPSの野田さんをはじめ、皆さんとスリリングな制作を楽しみながらやりました。作品も、先ほど洋次郎さんがおっしゃったように、ダビングをつい先日までやっていたので、まだ客観的に見られるところまでいけていないですが、今日は皆さんに作品を楽しんでいただけたらと思います。 MC新海監督、ついに最新作「すずめの戸締まり」が完成しました。おめでとうございます。 新海監督ありがとうございます。洋次郎さん、陣内さんがおっしゃったように、つい最近まで作っていて、そのまま完成会見みたいな感じで連続感の中にいるので、ちょっと気を失っていた内に時間が経ってしまったような、戸惑ったような気持ちなんですけど…。でも今日、この後、5000人の観客に観ていただいたら「終わったのかな」と思えるのかなと思います。 MC物語の着想について伺います。今回のテーマにはどのようにたどり着かれたのでしょうか? 新海監督きっかけとなったのが、「君の名は。」(2016年公開/出演:神木隆之介、上白石萌音)や「天気の子」(2019年公開/出演:醍醐虎汰朗、森七菜)を作り終えて、その後、日本全国を舞台挨拶のために回ったんですが、その時に感じたことがきっかけになったと思います。それは、人がずいぶん少なくなった、寂しくなったと感じてしまう場所が増えたなということです。その実感がここ何年かでありました。人が少なくなってしまった場所、消滅集落と呼ばれたり、僕の田舎もそうですが、限界集落と呼ばれる場所も、かつてはにぎやかだった記憶が自分の中にあるんですね。僕は団塊ジュニア世代なので、地鎮祭をやって、家の仮組みから華やかにお餅をまいて、家を作って、人が増えていくという記憶があります。にぎやかだった街から人が減って、「このまま人がいなくなったら、人は何をするんだろうか? 」「家を建てる時は地鎮祭のようなことをやったけど、このままどうやって終わっていくんだろう? 」と思うことが増えたんですね。そんなことをきっかけに、「場所を悼むような職業があったとしたら?」「 日本全国で人が消えていってしまった場所を悼んでいく職業のキャラクターをアニメキャラクターにできないか?」 と思ったのが最初のアイディアでした。 MC本作では“災い”の存在が描かれますが、この災いというものを監督はどのように捉えられているんでしょうか? 新海監督そうですね、難しいんですけれど…。最近「災いばかりだなぁ」と僕だけでなく、きっと多くの方が思っているかと思います。この作品を作り始めて、企画書を書き始めた頃が2020年の1月くらいで、ちょうどその一カ月後くらいにコロナ禍が始まったんです。緊急事態宣言が東京に下りたくらいに企画書を東宝に提出して「今回はこの作品にしましょう」という話をしたんですね。“災い”というのは、その後に起こった戦争も含めて、僕たちを不自由な場所に閉じ込めてしまうものだという感覚が強くあります。そういう感覚が椅子に閉じ込められてしまう、北斗くんに演じてもらった草太というキャラクターなのかなと。理不尽に窮屈な場所に閉じ込められてしまう感覚が草太になっていった気がしますね。そういう風に、日々、生きていて感じることが作品に少しずつ材料として入っているんじゃないかと思います。 MC昨年の製作発表会見では「映画館に足を運ぶような作品作りをしたい」とおっしゃっていました。作品が完成した今、その想いについてどのようにお考えでしょうか? 新海監督映像の体験という点について、今日、僕は荻窪のスタジオにいる何百人ものスタッフ、作画監督の土屋堅一さんをはじめとするスタッフの代表としてここにいるんですが、大きな画面で体験するにふさわしい映像ができたんじゃないかと思います。もう一つは、洋次郎さんとも話していたんですが、「君の名は。」、「天気の子」と二本の作品をやってきて「三本目に何ができるか? 」となった時、「劇場でしか聞けない音をこの作品にたくさん入れていきたい」という話をしました。アクションシーンもありますし、激しい劇伴から深く静かな劇伴までありますが、そういった音の連なりの、劇場でしかで体験できない作品にしたいという思いがありました。コロナ禍で作り始めた作品でもありましたので、「映画館っていいよね」「人が集まる場所っていいよね」と思って積極的に家から出る理由の一つになればという、大それた望みも抱きながら作ってきたと思います。MC本作は「音楽」というのも大きな要素でありますが、野田さん、陣内さんとの制作はいかがでしたか? 新海監督いつものパターンなんですが、脚本を書き終わった時、「感想を誰かに言ってほしいな」、「この脚本ってどう思われるんだろう?」 と最初に洋次郎さんに脚本を送りました…。 野田さんそうでしたね。2020年の3~4月だったと思います。 新海監督洋次郎さんに脚本を送ると、数カ月後に音楽という形で感想が戻ってくるという形が…(笑)。 野田さん自動的にみたいに言わないでください(笑)。そうですね。三作目でパターンとして出来上がり始めていましたね。 新海監督スタートはそういう形で「こういう音が聴こえるんだ」と洋次郎さんと確かめつつ、その頃に「僕たちも三本目なので違う人の力も入れていきたいよね」という話は最初の頃にしていましたよね? 野田さんそうですね、新しい起爆剤というか、「掛け算が増えていくような新しい要素がほしいね」と話していましたね。 新海監督それで、制作も中盤を過ぎてからかな…? 野田さんそうですね、一年半とか過ぎた後でしたね。 新海監督スケジュールもあまりないねって頃に、陣内さんと巡り合うことができて…。普段、シアトルで活動していらして。 陣内さんそうです、普段はシアトルをベースに。 新海監督作曲された音楽を聴かせていただいて、こういう音、今までの映画にないなと…。 野田さんそれで今年に入ってから、川村元気さん(企画プロデューサー)も含めて、みんなで打ち合わせをしましたね。 新海監督洋次郎さんの作ったメロディをベースに「ここは激しい戦闘なので陣内さんが…」「ここはRADでモチーフを作って…」という感じで…。 野田さんそうですね、一歩一歩という感じでしたね。 陣内さんもう皆さんで二作を作られているところに入るのはかなり緊張感があったのと、これまで自分が関わってきた作風とは一味違うテイストの作品でしたので、よくこちらに声をかけていただいたなというのもありました。お話を伺って、アクション要素や劇場の体験というところで、コンテやビデオも見せていただいて、「自分にもできることがあるんじゃないか?」と思えるようになった頃に、皆さんとお会いしてそこからのスタートでした。 野田さん結構、役割を分担して、夏あたりまではそれぞれ必死に新海誠という鬼コーチの千本ノックを受けるような感じでした。僕は「心強い同志が遠くで同じように作っているんだな」と嬉しくなりながら必死に作っていて、最後にオーケストラの録音をロンドンのアビーロードでした時に、お互いが積み上げて作ってきたものを共有しながら「最終的にこういう音楽にしていきたいね」と対話しました。そこで、実際に陣内さんが作られた音楽の演奏を聴きながら、ものすごく刺激を受けました。「こういうやり方があるんだ」と自分の中の経験値が上がっていくのを感じましたし、自分のメロディの解釈――こんな風に広げて、こんな和音で、こんなコードで作るんだ! 再解釈するんだ!――とものすごく大きな学びがあり、喜びでしたね。 MCここからは、完成したばかりの作品を見ての感想を皆さんにお聞きできればと思います。 原さん本当に言葉にできないくらい素晴らしくて……。寝る間も惜しんで音楽や映像をギリギリまで作ってくださったスタッフの皆さんがいて、本当なら皆さんで一緒に登壇したかったなと思うくらい、本当に素晴らしいものでした。皆さんの熱意を早く大画面、大音量で皆さんに肌で感じてもらいたいし、受け取ってもらいたいと思いました。松村さん本編の魅力的なシーンとか、いろいろなところを細かく上げていったらキリがないんです。本編を観ている間に数え切れないくらい何度も笑って、そして何度も涙が出てくるポイントが訪れます。そのたびに笑った理由と種類、涙の理由と種類も違うんです。僕の中で「面白い」と思う笑いの感性に「こんなに幅があったんだ」と思いました。「こんなことに感動したり、救われたりして涙が出るんだ」と、作品を観ているのに何だか自分を見ているような気持ちになる不思議な作品でした。 染谷さん僕はかなり没入しました。僕もそこで一緒に旅をしている気持ちになってきて、それで何回も心を持っていかれ、最後はもっとこのキャラクターたち、この愛おしい人たちを長く見守っていたい気持ちになり、後ろ髪を引かれながら終わって…。「本当に体験したことのない、観たことのない映画があった!」っていうのが正直な気持ちでした。 伊藤さん私も本当に、試写で見ている時、知らないうちに前のめりになっていたことに気づき、「ダメだ!背もたれに背をつけなきゃ!」ってくらい入り込んでいました。すごく笑えるところがあって、新幹線のシーンが好きです! 鈴芽ちゃんがかわいくて(笑)。ずいぶん遠くまで来たなってところで、どんどん鈴芽ちゃんが人として強くたくましくなって、成長しているところを応援したくなりました。私自身もおばと一緒に住んでいたことがあり、独特な関係性を踏まえての(鈴芽の叔母の)環さんのセリフが胸に突き刺さりました。出ている人たちがみんなちゃんと人間らしくて、それがすごく素敵で、みんなすごく器用なわけでもなく一生懸命生きているところに胸打たれて、ジワっと熱くなりました。とても面白かったです。 新海監督嬉しいです。ありがとうございます。染谷さんは、細田(守)さんの作品で大好きだったので、「声かけていいのかな?」って思いつつ(笑)? 花瀬さん私も染谷さんと一緒で、観たことのないアニメーションを観たなって感覚が強くて、始まってすぐ新海さんを浴びているような感覚というか、世界観に包まれているような…。私も参加しているんですが、私も戸締まりしているように感じられる参加型の作品だなと感じました。 野田さんさっきもお話したんですけれど、数日前まで作っていて、最後の数カ月、数週間は、観てない人には伝わらないと思いますが、新海さんが一番弱々になった(劇中に登場する)ダイジンのよう、どんどん背中が小っちゃくなっていったんです(笑)。でもそれが戦っている勇者の背中のようにも見えて、「あぁ、この人は本当に振り絞って作っているんだな」というのを僕らは間近で見られて、2年10カ月の間、込めてきた感情がスクリーンに全て出ている気がしました。日本のアニメーションというエンターテインメントのど真ん中にこの作品を届けるという、ものすごい覚悟と信念を感じました。二時間をフルで観た時に、「観た人すべてに絶対に届ける」という気概をありありと感じまして、自信を持って僕もすべての人に観てほしいと言えますし、「必ずあなたは何かを受け取るよ」と言える作品が完成したと誇らしく思っています。ぜひぜひ届いてほしいなと思います。 陣内さん作品を観て、気が付いたらメッセージに引き込まれているという、本当に引き込まれるつくりだなと思いました。実は、作曲しながらウルッときたこともあって、本当にいろいろなものが込められていて、それでいて観ていて楽しい作品に仕上がっているなと改めて感じました。更に、昨日、初号で観せていただいて「画作りのスタッフの皆さんの底力って本当にすごいな」と思いました。先週までダビングステージで見ていた画とも全然違う、素晴らしい画になっていて、観ても聴いても素晴らしい作品になったと思います。ぜひ劇場で観ていただけたらと思います。 MC声のお芝居についてもお伺いします。アフレコを振り返っていかがでしたか? 原さんアフレコは一カ月半くらい、全体で週に2~3回のペースで録りました。本当に右も左もわからないまま現場に入って、新海監督が一から十まで…百まで教えてくださいました。ブロックごとに録ったんですが、一つのパートが終わるごとに「菜乃華さん、素敵でした。ありがとう」と大好きな監督から言葉をいただけました。「なんて夢のような幸せな時間だったんだろう」って思っています。もちろん、自分の声がうまく扱えないことに対し、へこむ瞬間も数え切れないほどあったんですが、アフレコ現場は夢のように幸せで、ひたすら楽しい時間でした。 新海監督なんかサマーキャンプみたいな感じでしたよね。行くといつもTシャツ姿の二人(原さん&松村さん)がいて、何かおやつを食べていて、楽しい時間でした。二人にとっては楽しいだけの時間じゃなかったと思うんですけれど、僕にとっては色が一枚一枚、鮮やかに塗り直されていくというか、自分が最初に設計したものが、想像もしなかったような感じでどんどんカラフルになっていくのを毎日味わえて、幸せな時間でした。 松村さんそうですね、もちろん声は僕の身体から出ているわけで、音が鳴るのはこれ(=自身の身体から)なんです。誤解のないように伝わるといいんですが、新海さんが僕らのことを「楽器」と表してくれたことがあって、そう思うと、僕が演奏するよりも、新海さんが演奏することで草太が完成するということはすごく感じました。「この音じゃないな」、「このメロディじゃないな」とどんどん鍵盤を押し変えていってくれる作業は新海さん、音響監督の山田(陽)さんが筆頭にやってくださいました。アフレコ期間中の変化や苦悩は僕より新海さんのほうが詳しいんじゃないか?ってくらい、僕のすべてを預けた感じでした。新海監督そうだね、僕も最初の頃は、北斗くんの身体を使って、作品に必要な声を出してもらうんだという意識があったと思うけれど、自覚的にやっていたわけじゃなく、「一緒に探していこう」って気持ちでやっていました。でもある部分で、北斗くんが「芝居だけど、作品のために自分を丸ごと委ねるんだ」という気持ちに切り替える瞬間があった気がして、そこからより草太になっていくのを感じました。 染谷さん僕も新海さんと「はじめまして」のまま、収録が始まって、緊張していたんですが、本当に丁寧に優しく、包むように演出してくださいました。細かく的確で、僕はそこにただ乗っていくというか、乗っていくとすごく楽しく、気持ち良くなってきて、「これはもう1回やらせてもらったら良いものが出せる気がする!」って。普段そんなこと思う人間じゃないんですが(笑)、そう思う人間にまでさせてくれて、「もっとやりたい」、「どんどんやりたい」という気持ちにさせてくれました。その気持ちが稔という役をすごく豊かにしてくれて、短い時間でしたたが、充実した時間で、はじけ切った気持ちに最後はなりました。 新海監督「みんな!エスパーだよ!」の頃から大好きで、「あの声だ!」って思いながら、稔にピッタリだなと思っていました。光栄でした。 染谷さんこちらこそ光栄です。 伊藤さんアフレコは、私もとても楽しかったです。私もその日が「はじめまして」でご挨拶して、すぐ録る感じでした。ほしい音だったり、表現がすごく明確にある方で、本当に丁寧で、「こんなに腰の低い人、見たことない!」っていうくらい、「そんな、大丈夫ですよ」ってこちらが言っちゃうくらい、丁寧に優しくしてくださいました。いい緊張感はあったけれど、それ以上に自分がほぐれていい具合になったところで声を入れる作業があって、シンプルに楽しめました。私は何回か声の仕事をやったことがあるんですが、普段やっているお芝居より少し誇張する、キャラクターっぽくするのがアニメをやる際の特徴だと思っていたんです。でもそれが今回覆されたというか、キャラクターに沿った声というのはあるんですけれど、それ以上に「ナチュラルに」ということをお願いされました。普段やっているお芝居と感覚的に変わらないテンションでできて、違和感なくシンプルに楽しくできた上に、カラオケも歌えて、お得な感じで楽しかったです(笑)! 新海監督「男と女のラブゲーム」を歌っていただきました。音響監督の山田さんが「伊藤沙莉と歌いたいんだ!」と収録しながら、勝手にデュエットしていました(笑)。 伊藤さん男性パートを歌ってくださって(笑)。 新海監督そうです、そうです。 伊藤さん盛り上がりました! ありがとうございました。 花瀬さん私もお会いして、新海さんが本当に優しい方で驚きました。それがスタジオにいたスタッフの皆さんにも伝染して、優しく温かく、こんな私にも腰が低い方ばかりで、温かく素敵な作品を作る座組って、こういう居心地の良さがあるところからできるんだなと感じました。初めてのアフレコで、難しいところもあったんですけれど、千果という役が、明るく元気な役だったので、その力を借りて緊張することなく、明るく元気にできました。千果ちゃんに感謝しています。 MC今回、野田さんもアフレコ現場を訪れたそうですね? 野田さんはい、見学に少し伺いました。原さんがちょうど最後のシーンを録っているときに行きました。クライマックスの本当に重要なシーンで、原さんのしゃべり方などで印象が変化する難しいシーンだったんですけれど、一カ月半積み上げてきた、最後の最後のひと踏ん張り、ふり絞っているんだなというのを感じて、感動しました。ここに音楽も入っていよいよできるんだなというのを感じました。それから、新海さんが、アフレコでは他の現場と比べたらちょっと楽しそうでしたね(笑)。 新海監督アフレコは楽しいんですよ。画の現場がつらすぎて…。でも実写の世界ってどうなんでしょう? 実写の世界って全部がお芝居じゃないですか? 僕にはイメージできないんですけれど…。僕にとっては、アフレコ現場が逃げ場というか、保健室みたいなもので、休むわけじゃないけれど、リラックスできるというか…。画の現場は職人の集まりでして、僕よりも年上のアニメーターもいて、自分の技とプライドをかけて向き合っているので、「思い通りに描けない」と訴えてきて、泣きながら「もう一日だけ時間をください」、「僕からこの画を引き上げないでください。もう一日だけやらせてください」と訴えながらやり続ける現場が1年8カ月くらい続くので…。 野田さんアフレコ現場では基本「もう一回、やらせてください」って声に対して優しく対応されていましたけれど、作画の現場はちょっと違うんですか? 新海監督アフレコや音楽はリアルタイムの芸術なので、もう一回やっても、一言分の時間ですが、作画の現場は「もう一カットやらせてください」で一週間だから、「それはちょっと与えられない…」というジャッジもあります。そこはシビアになるところもあるけれど、大人たちが泣いたり悔しがったりしながら、それでもなんとか駆け抜けることはできました。 野田さん僕も何年も仕事をしてきて、皆さんと同じように、新海さんの感情がかき乱されてワーっとなっている瞬間を見たことがないし、怒鳴りつけている現場とか、ピリピリすることがあってもおかしくないくらいなんだろうけど、でも見たことがなくて…。もしかしたら作画の現場ではとんでもない怒号が飛び交っているかもしれないし、それも見てみたいですけれど(笑)。 新海監督諸先輩の伝説の監督の話を聞くと、ゴミ箱を蹴るとか描いてくれた画をホッチキスで留めて二度と見られなくするとかは聞くけれど、僕はそういうタイプではないです(笑)そういう意味で言うと、褒め合いみたいで恐縮ですが、洋次郎さんってなんて素敵なんだろうと思うんですね。いつもメールでやりとりをしていて、新しい曲が上がってきて、「すごく良い」と思う時もあれば、「ちょっとこれはこの作品のための曲じゃないな」って時もあるんです。切羽詰まったタイミングで何回も何回もテイクを出している時も「そちらも現場大変だと思うけれど、俺たちも同じ現場を目指してなんとか走っていきますので元気に行きましょう。寒くなってきましたね。風邪を引かないように」とかメッセージをくださるんです。そこを見習って、ニコニコやろうと思っています。 野田さん僕も新海さんを見習っていつもやっています(笑)! MC最後に新海監督から、これから映画を観る皆さん、全世界に向けてメッセージをお願いします。 新海監督今日は長い時間ありがとうございました。「自分たちがどんな作品を作ったのか?」 それを教えてもらえるのが、今日以降の時間だと思います。良いことであれ、気になったことであれ、できればたくさんの言葉を費やして、何か書いていただけるととても嬉しいです。観客の皆さんに関しては、この後お会いするんですが、エンターテインメントを楽しんでくださいと伝えたいです。もしかしたら今、「すずめの戸締まり」が日本で一番面白い作品かもしれません。全力で楽しんでいただければと思います。今日はありがとうございました。【完成披露試写会 上映後舞台挨拶】新海誠監督岩戸鈴芽役原菜乃華さん宗像草太役松村北斗さん岡部稔役染谷将太さん二ノ宮ルミ役伊藤沙莉さん海部千果役花瀬琴音さん音楽野田洋次郎さん(RADWIMPS)■本作の上映が終わると、会場のお客さんが総立ちで拍手! スタンディングオベーションの中を新海
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『アイ・アム・グルート』パンフレット発売のお知らせTOHO theater Store でも販売いたします。マーベル公式ディズニープラスで配信中の『アイ・アム・グルート』パンフレットが発売されます! オールカラー68ページ、200点以上のヴィジュアルを使い、グルートの魅力を余すところなく伝えます! シリーズ6本での成長の軌跡や、原作コミックの話題、コンセプトアートも楽しめます!6種類のステッカー付き!!商品名:『アイ・アム・グルート』パンフレット 価格:880円(税込)/68ページ発売日:2023年5月3日(水) ©2022 MARVEL 東宝株式会社 ライツ事業部
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「Dr.コトー診療所」製作報告会見「Dr.コトー診療所」公式サイト山田貴敏さんの同名漫画を元に、架空の孤島・志木那島(しきなじま)に赴任したコトーこと医師・五島健助と島民の絆を描き、フジテレビで放送されたドラマシリーズ「Dr.コトー診療所」。シリーズ初の劇場版であり、16年ぶりの新作は、オリジナルキャスト&スタッフが再集結し、「Dr.コトー診療所」の“今”を描きます。 10月26日、映画「Dr.コトー診療所」の製作報告会見がザ・リッツ・カールトン東京にて開催され、主演の吉岡秀隆さん、柴咲コウさん、大塚寧々さん、髙橋海人さん(King & Prince)、生田絵梨花さん、泉谷しげるさん、筧利夫さん、小林薫さん、そして中江功監督が出席しました。この日は、最新の予告編が解禁となり、完成前の作品について込めた思い等をそれぞれが語りました。こちらのイベントの様子を詳しくレポートします。製作報告会見五島健助役吉岡秀隆さん五島彩佳役柴咲コウさん西山茉莉子役大塚寧々さん織田判斗役髙橋海人さん(King & Prince)西野那美役生田絵梨花さん安藤重雄役泉谷しげるさん和田一範役筧 利夫さん星野正一役小林 薫さん中江 功監督吉岡さん正直に言うと、まだ(完成作品を)観ていないので、何とも言いようがないのですが…。きっと編集中だと思いますが、信頼する中江監督にお任せして、僕自身(完成作を)本当に楽しみにしております。 柴咲さん16年前の前作では星野彩佳でしたが、今作では五島彩佳として久しぶりに帰ってきました。ビジュアルが出ているので、ご存じかと思いますが、コトー先生と結婚して妊娠七カ月の彩佳さんです。彩佳も含めて今、島の皆さんがどういう暮らしをしているのか、今作ではどのようなことが巻き起こるのか、皆さんの目で、肌で感じていただきたいと思います。 MCコトー先生、彩佳さん! ご結婚、そして妊娠おめでとうございます!(会場:拍手) 大塚さん16年ぶりということで、撮影に入る前は、心配やいろいろな気持ちがありました。会ってみたら、親戚が集まったみたいに、一瞬にして何の違和感もなく撮影に入れたことが嬉しかったです。その時に、この良い雰囲気が画にも現れるだろうと思いました。 髙橋さんずっと長く愛されているこの作品に出演できると聞いた時には、本当に嬉しくて、そしてプレッシャーを感じました。本気で挑もうとたくさん台本を読んだのですが、いざ現場に入った時には周りのキャストさんのすごさや、スタッフさんの熱量に、自分の至らなさで打ちのめされました。家に帰っても悔しくて、「明日こそ!」と準備をするんですが、また現場で打ちのめされて……。そんな日々の繰り返しでした。僕の中で、限界突破120パーセント頑張ったと、今は感じています。僕の演じた判斗が、少しでもこの作品を彩れていたら良いなと心の底から願っております。 生田さん「Dr.コトー診療所」の登場人物の皆さんと同じ空気を吸って、志木那島の診療所で看護師の一員になり奮闘できたことは、本当に幸せだったと思います。撮影中は、緊張していることを忘れてしまうほど、皆さんが温かく自然体で迎え入れてくれました。そのおかげで楽しみながら学ぶ日々となりました。改めて、すごい場所に入らせてもらっていたのだと、今身震いしています。 泉谷さん漁労長をやらせたら日本一の漁労長役ができる泉谷です。この作品は、まだ完成していないのでねぇ、何とも言えないんだけれども……この作品は完成しません! もう、これはコメントのしようがない。最初から思っていました、これはできないよと……。案の定まだできていないのに、感動しているこの不思議さ。これこそ、「Dr.コトー診療所」の残酷な現場がもたらした結果です(笑)。そういうことを楽しくお話ししたいと思います。 MC本日は異例の未完成報告会見となっております。 筧さんいよいよ12月16日、世紀の大決戦が近づいて参りました。「Dr.コトー診療所」の映画版でございます。もう皆さま、ご覧になってお分かりのように、我々は何も変わっておりません! 身長、体重、心に抱えている悩み、すべて同じでございます。どうぞ皆さま、我々と共に世紀の一瞬をご覧ください。よろしくお願いします。 MC和田さん、特に変わっていないですね。思わず”和田さん”と呼んでしまいました。筧さん、本当に変わっていなくてびっくりでございます。 小林さん仕事先などで、「『Dr.コトー診療所』が映画化されるんですね」「ずっとファンで観ていました」という声をいただきます。16年経っても、こうして声をかけてもらうことで、作品の生命力と作品の持つ力を感じました。僕も声をかけられて作品に参加できて良かったです。もし、僕だけ声をかけられなかったら、中江監督との関係もギクシャクしたと思います(笑)。ここにいるだけでホッとしていますが、これを聞く側にまわっていたら、ちょっと寂しいなと……。 中江監督皆さんがお話された後ですし、会見の時間も短いのであまりお話することはありません。ドラマが終わった後に映画をやるか、スペシャルをやるかという話は、何度も出ていました。でも、話が出ては消えていました。三年ぐらい前にようやく「やろう!」という動きがありまして、そこで吉岡さんとも会いました。ちょこちょこお会いしてお話をしてきた作品でございます。ただ、三年というより、思い返してみると二十年ぐらい前に、最初に「Dr.コトー診療所」のドラマをやろうと言った時から現場などでお話をしてきたことが、全部結集した作品になっているのではないかと思っております。その二十年の思いが形になっていれば良いなと思います。「見どころは?」とよく聞かれますが、変なところで泉谷さんが捕まったりすることもなく…。(会場:笑) 同じメンバーが元気で揃ったことは奇跡だと思います。そこは一つの見どころだと思っております。 MC監督から「具体的な話は三年前から」というお話がありました。吉岡さんは「Dr.コトー診療所」がずっと心の中にあったのでしょうか。 吉岡さんえっと……ありません。監督と会うたびに、”五島健助”の火をなかなか消してくれなくて、「今どうしているんだろうね?」や「和田さんはどうしているかね?」といった話をしてくるので、監督の中では消えることがなかったのだと思います。ですから、(監督が)その火を僕に焚き付けてくれた感じです。MC16年ぶりに演じてみていかがでしたか。 吉岡さんずいぶん時間が経ち、僕も髪が真っ白になりました。「もう一度戻れるのだろうか?」と自問自答の日々と、同じキャストと同じスタッフ、新しいキャストとスタッフ、振り返れば同じ汗と涙を流した方々が一緒にいてくれたので、そういう中でまたコトー先生に戻してもらった感じです。 MC彩佳さんは、苗字が星野から五島になりました。どこかでそうなる感じがしましたか。 柴咲さん「Dr.コトー診療所」は、再放送があると観ていました。不思議と、自分が出演してはいるものの、もはや自分ではなくて、その島はフィクションではなく本当にどこかに実在していて、その地に根付いた人々が今もいるのだろうという気分でずっと観ていました。そして、今回の映画化のお話をいただいた時に、そこに関しての不安はまったくありませんでした。きっとあるところに自分の魂がすっと入っていく感じになるのだろうと思っていました。実際にクランクインしてもそうでした。島での撮影も彩佳さんはずっと島で生活をしていて、とても自然な流れでコトー先生と一緒になったんだろうと簡単に想起できました。 MC柴咲さんは、この前に別作品(「沈黙のパレード」2022年公開/出演:福山雅治・柴咲コウ)で内海薫を久々に演じられて、本作でも久しぶりとなりましたね。ご気分は? 柴咲さん不思議ですが、「Dr.コトー診療所」はこれが集大成というか、すべてを描き切ることで映画化になっていると思います。みんな、すべての魂を込めて作り上げているところがあると思います。さきほどもお話したように、志木那島に集う人々は永遠に続いていく……そんな感じがしています。 MCそれでは新キャストにもお話を伺いましょう。髙橋さんは「とにかく大変だった」とさきほどお話をされていましたが、具体的に苦労したのはどのシーンですか? 髙橋さん正直、全シーンです。僕自身、求められる水準の高さが……。皆さんがドライの時から熱心にディベートをされて、僕は一つ一つを作っていくことにしがみついていった感じです。 MC噂によると、20テイクから30テイク重ねたそうですね。そのシーンで一緒だったのはどなたですか? 髙橋さん結構長いシーンで、織田判斗が島の医療のあり方を問うシーンでした。(一緒だったのは)筧さん、小林薫さん、しげるさんです。 MCレジェンドに囲まれての30テイク? 髙橋さんそうなんですよ。神々に見守られている感じで、それはもう生きた心地がしなかったですね。 MCその時に、泉谷さんが助けてくれたそうですね? 泉谷さん、そのシーンのことは覚えていますか? 泉谷さん覚えています。(髙橋さんに向かって)お前、ちゃんと言えよ! なぁ、俺、助けただろ?髙橋さんはい。 泉谷さん具体的に言うと、この監督は回数を撮るわけ。彼(髙橋さん)向けのところをやるにしても、こちらを狙っていても、そのシーンの頭から全部やらないといけなくて、30ページを何回もやる。そりゃあ、間違うわ。その間にも、監督がちょこちょこアイディアを入れてくる。まったく失礼な野郎(監督)です。それで彼(髙橋さん)がいっぱいいっぱいなことは、見ていて分かる。だから、「NGを出しても台本が悪いんで、(中江監督のもとで)みんなもそういう目にあってきているから、ここはお前が悪いんじゃない。監督が悪いんだ! スタッフ全員謝れ」と……謝らせたんだ。その恩義を忘れたな……。(会場:泉谷節で笑う) 髙橋さん(苦笑)。いや、助けていただいて、そう言ってくださるのはすごく嬉しかったです。「スタッフ謝れ!」「監督が厳しい」とか、そういう言葉が逆にブーメランで僕に返ってくるっていう……こともありましたね。 MCなるほど、逆にね。もう、どこまでが(役柄の)漁労長で、どこからが泉谷さんか、ほとんどのエピソードって漁労長そのものですよね。 泉谷さんこう言っちゃなんだけれど、台本を全然読んでいないので、状況が分からないんです。(会場:笑) …読む気がしない。台本を読んじゃうと、やらないといけないでしょう? 薫ちゃんにもたまに「泉谷、ここは違うだろ!」と指摘されているんだけれど……演技を間違えているんだよね(笑)。彩佳にも「結婚したの?」と聞いたりして……本当にすみません。 MC小林さん、その辺り、親友として泉谷さんのアプローチはいかがでしょうか。 小林さん(笑)。いや、良いんじゃないですか? 泉谷さんらしいといえば泉谷さんらしい。忘れちゃったけれど、本当に何も考えていないんだよね(笑)。「これはこういうシーンだからね!」と(泉谷さんの)耳元で言ったら「え、そうだったのか!」と初めてそのシーンの意味合いが分かったりして……その後はちゃんとやっていましたね。(登壇者の皆さん:大笑い)MCこれはある意味、天才ですね。そういう状況であの演技をしていたのかと……改めて思いました。 ■ここからは、記者からの質問。 【質問】吉岡さんに伺います。ご自身にとって「Dr.コトー診療所」という作品はどういうものかお聞かせください。また、この作品は今の日本の過疎の問題や現在の問題がいろいろ織り込まれたストーリーになっているかと思います。今この時代に「Dr.コトー診療所」を届ける意味合いはどこにあるとお考えでしょうか。 吉岡さん難しいことを聞きますね。中江監督とは、コロナ禍に入って命の問題を考えるようになったことも含めて、いろいろな話をしました。僕も最初に演じたのは二十年前だったので、その時は32か33歳で、もう52歳ですから、コトーに対する気持ちはもちろん変わりました。こういう時代になったからコトー先生みたいな人にいてほしいと余計に思います。あの頃は、無我夢中でやっていたことが、今になってみるとここにいるみんなと一緒に同じ汗と、同じ涙を流して本当に良かったと思える作品になりました。僕自身にとっても大事な役と作品ですし、皆さんが新しい役を吹き込んだ役と作品です。 MC吉岡さんは企画段階から「何かを背負っていないとあの坂を自転車で登れない」とおっしゃっていたそうです。そういう思いは、今回の映画に至るまで(2003年ドラマの)19年前や、(2006年のドラマの)16年前からあるのでしょうか。 吉岡さんそうですね。みんなは”Dr.五島”のことを”コトー先生”と呼びますが、僕が演じるのは五島健助という一人の医師なので、彼が背負っているものや悲しみが何か、しっかり分からないとコトーにはなれない気がしていました。 【質問】中江監督に伺います。先ほど「本作が集大成」とのことでしたが、これが完結編になるのでしょうか。 中江監督ご覧になった方がどう思われるのかは分かりませんが、一応集大成で……完結編だと思います。僕の中では、最初で最後の映画化だと思っています。フジテレビの戦略で「また連ドラをやるだろう?」と思われるかもしれませんが、「もうこれで最後にして、コトー先生を一度締めよう」と吉岡さんともお話をしたので、僕はやる気はないです。……こんなこと言って良いのかな(笑)。 MCただフジテレビの場合、昔「海猿」という映画があって、ファイナルと言って、その後どんどん作ったことがございます。(会場:笑) あまり真に受けなくても良いのかと…。ただ中江監督(の意思は)は最後という気持ちで作られているということですね。 【質問】吉岡さんと柴咲さんに伺います。俳優として、(前作ドラマから)16年が経ってお互いに変わったこと、変わっていないところはありますか? 吉岡さん柴咲さんは、まったく変わっていないと思います。凛としていて、観音様みたいな優しさもあるんですが、目を見開いている観音様のような少し怖い部分もあります。そばにいるとホッとしますし、近づき難い時もありますし、一言が重い時もあれば、その一言に救われる時もあります。柴咲さんということは、最初に共演した時は私が二十代でしたが、ふてぶてしかったんでしょうね。 吉岡さん(即座に)いやいやいや! ふてぶてしいとは言っていないです。 柴咲さん失礼しました。吉岡さんは、「髪の色が変わった」とおっしゃっていましたが、久しぶりにお会いして、本読みをした時に、もう物語の中にいらっしゃったんですよね。そういう作り込み方と誠実さは何も変わっていないなと思いました。もし、変わっているとしたら、重圧というかコトー先生や「Dr.コトー診療所」に対しての周りの期待、コトー先生暮らしの日々が積み重なっているので、その重さは二十年前よりもさらに重く吉岡さんにのしかかっていたように感じました。 MC変わらないもの、変わったものがある19年かと思います。変わったといえば、(「Dr.コトー診療所」フジテレビ系列にて2003年放送の第一期に出演された)神木隆之介さんが当時は10歳でしたが、29歳になりました。大塚さん、これは変わりましたね。 大塚さんそうですね。19年前にドラマを撮っていた頃は、撮影がすごく厳しかったので、子どもたちは撮影現場でリアルに泣いていました。その彼らが、あんなに成長して立派な大人になられていて感動しました。 MC子どもたちも泣く”鬼の中江”というのが改めて伝わってまいりました。生田さん、柴咲さんの後輩看護師役として共演されてみて何か得るものがあったのではないでしょうか。 生田さん先輩後輩として道を歩きながら会話するシーンを最初に撮りました。モニターでその時の彩佳さんの表情を見ていたらとても良くて、このような表情で後輩を見るのであれば、(自身が演じる役柄は)たくましくないといけないし、どんな時も彩佳さんについていくこと、何かできることがあればすぐ行動できる人にならなければと感じました。柴咲さんが演じる彩佳さんの表情からヒントやひらめきをたくさんいただきました。MCある時は柴咲コウさん、またある時は蒼井優さん、そして今度は生田絵梨花さんといろいろな診療スタッフの皆さんが診療所にやってきます。でも、そこに変わらずにいるのは筧さん演じる、和田さんです。和田さんの存在感が安心につながっていると思います。今回も期待して良いですか? 筧さん話を無理やり振らなくて良いですよ! MC還暦おめでとうございます。 筧さん(MCの軽部真一アナウンサーも)同じ年ですからね!今回も見守らせていただきました。今言ったら良いのか分かりませんが、前にも増して愛情を感じました。手術シーンでは、もっと先生を助けようとか、何とかしようと思う気持ちが増していました。そういう意味では自分も大人になって良かったと思いました。ありがとうございました。 MC今回も和田さんはたくさん写真を撮っていますか? 筧さんはい、そういうシーンを撮りました。 ■フォトセッション MC最後に代表して主演の吉岡さんからメッセージをお願いします。 吉岡さん今日はありがとうございました。19年前に、「決して色褪せることのないドラマを作るんだ!」と作りまして、こうして映画化されて「色褪せていなかったんだ!」とつくづく思いました。そして、当時かいた汗と涙に負けぬよう同じキャストと新しいキャストとスタッフとともに頑張りました。今は何だかとても不安定な時代になりましたが、12月16日に志木那島で待っていますので、どうぞ劇場に遊びに来てください。