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オリジナルの組みあわせを楽しめる「カスタムスマホショルダー」シリーズ登場!! 第1弾『ハイキュー!!』『僕のヒーローアカデミア』 『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』の4作品が同時発売! 本日4月28日よりTOHO animation STOREにて予約を開始!特設サイト・予約受付はこちらからTOHO animation STOREにて、オリジナルの組みあわせを楽しむことが出来る「カスタムスマホショルダー」シリーズが新登場! 第1弾は、人気アニメ『ハイキュー‼』『僕のヒーローアカデミア』『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』の4作品が同時発売!「スマホショルダー」「丸型ケース」「封筒型ケース」の3種から好きなアイテムのみを選んで購入できる、組み合わせも自由な商品です。 商品のお届けは7月下旬頃より順次お届け予定です。是非この機会に、自分だけのオリジナル「カスタムスマホショルダー」をお買い求めください! <商品概要>●『ハイキュー!!』 ・スマホショルダー/価格:2,750円(税込) ・丸型ケース(烏野高校、青葉城西高校、音駒高校)/価格:各2,200円(税込) ・封筒型ケース(日向翔陽、影山飛雄、月島 蛍、及川 徹、岩泉 一、黒尾鉄朗、孤爪研磨)/価格:各1,320円(税込)●『僕のヒーローアカデミア』 ・スマホショルダー/価格:2,750円(税込) ・丸型ケース(緑谷出久、爆豪勝己、麗日お茶子、轟 焦凍)/価格:各2,200円(税込) ・封筒型ケース(緑谷出久、爆豪勝己、麗日お茶子、轟 焦凍)/価格:各1,320円(税込)●『呪術廻戦』 ・スマホショルダー/価格:2,750円(税込) ・丸型ケース(虎杖悠仁、伏黒 恵、釘崎野薔薇、五条 悟)/価格:各2,200円(税込) ・封筒型ケース(虎杖悠仁、伏黒 恵、釘崎野薔薇、五条 悟)/価格:各1,320円(税込)●『SPY×FAMILY』・スマホショルダー/価格:2,750円(税込) ・丸型ケース(アーニャ、ボンド)/価格:各2,200円(税込) ・封筒型ケース/価格:1,320円(税込) <仕様> サイズ:本体:幅10cm高さ18cm、マチ3cm 丸型ケース:直径9cm、マチ2cm 封筒型ケース:幅14.5cm高さ9cm、マチ0.5cm 素材:合皮、ポリエステル、ほか©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS ©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 ©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
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第4回「ゴジラ-1.0」公開記念「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」「ゴジラ-1.0」公式サイト「ゴジラ」の70周年記念作品「ゴジラ-1.0」の公開を記念して行われた「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」の最終回が、10月27日に池袋HUMAXシネマズで開催されました。全四回にわたり山崎監督が自ら厳選した「ゴジラ」過去作を上映し、各作品にゆかりのある人物を招いて、山崎監督とトークショーを実施した同イベント。最終回となったこの日は、大ヒットを記録した「シン・ゴジラ」のモノクロ版、その名も「シン・ゴジラ:オルソ」が初上映され、さらにフィナーレを飾るゲストとして「シン・ゴジラ」の脚本・編集・総監督を務め、今回のモノクロ版企画の提案者でもある庵野秀明監督が登壇しました。二人が「ゴジラ愛」あふれるトークを繰り広げ、何度も会場の爆笑をさらったイベントの模様を詳しくレポートします!第4回「ゴジラ-1.0」公開記念「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」庵野秀明監督山崎貴監督■イベントのスタート時間になり、まずは庵野秀明監督が入場。大きな拍手を浴びました。 庵野監督(スペシャルゲストでありつつMCを兼任)皆さんこんばんは。本日は第四回「ゴジラ-1.0」公開記念「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」にお越しいただき、誠にありがとうございます。本日のMCを務めます、庵野秀明と申します。(会場:笑&拍手)まあ、しばらくは台本を読みます。(会場:笑) (台本を読みながら)2016年に私が脚本、総監督を務めた「シン・ゴジラ」の公開から七年。ついに11月3日、あと一週間で「ゴジラ-1.0」が公開されます。本日は「ゴジラ-1.0」…(台本のセリフ量に困惑しながら)多いな。(会場:笑) 「ゴジラ-1.0」を監督した山崎貴監督が選ぶ過去のゴジラ作品の中から、「シン・ゴジラ:オルソ」の上映を行います。上映に先駆けて、山崎監督と私から「ゴジラ」への思いをじっくりお話できればと思っております。また本日のイベントは、全国六カ所の劇場で生中継されております。それでは、「ゴジラ-1.0」の監督、山崎くん、どうぞ。■庵野監督から呼び込まれ山崎監督がステージに登場。大きな拍手を浴びました。 庵野監督じゃあ、挨拶を。(会場:笑)山崎監督今日はゴジラ上映会の第四回、最終回となります。この上映会の最後に、ついに庵野さんを迎えられて、非常に楽しみにして来ました。今日はよろしくお願いします。(会場:拍手) 庵野監督続きまして、2016年公開の「シン・ゴジラ」の脚本、総監督を務めました、私、庵野秀明です。本日はよろしくお願いします。(会場:拍手)(台本の続きについてスタッフに確認しながら)これも僕が読んで良いの? (会場:笑)じゃあ、後は台本にクロストークと書いてあるので、クロスしてください。 山崎監督クロスで(笑)。 庵野監督多分、言っておいた方が良いと思うんですが、何で今日の上映に「シン・ゴジラ」を選んだの? 山崎監督「シン・ゴジラ」が好きなんですよ。 庵野監督ありがとうございます。 山崎監督「シン・ゴジラ」の関係者しかいない完成披露試写がありましたよね。 庵野監督新宿のやつですね。 山崎監督そうそう。「観ますか?」と言われたので、「観たいです」と試写会に行ったら、割と良い席に案内されました。中野(昭慶)さんとか周りが偉い人ばかりで…。 庵野監督ゴジラ界の…。 山崎監督結構な人たちがいる中に、全然関係ないのに(良い席に)座らされて「どうしよう」と思っていたんです。 庵野監督まあ、VIPだからしょうがない。 山崎監督いやいや(苦笑)。そんな中で「どんな作品が出てくるんだろう」と思って観ていたら、「シン・ゴジラ」が、まあ面白かった。 庵野監督ありがとうございます。 山崎監督試写会場を出る時に庵野さんがいたので、「面白かったですよ」とお話したんです。(「シン・ゴジラ」のVFXに参加していた映像制作プロダクション)「白組」は僕が所属している会社なんですが、「白組」の人たちが結構頑張ってやっていたので、「白組が良い仕事をしていたので、誇らしかったです」と言ったら、庵野さんは「だいぶ鍛えましたから」と言っていましたね。(会場:笑)庵野監督かなり鍛えました(笑)。 山崎監督うちの「白組」という会社は、三茶(三軒茶屋)チームと、調布チームに分かれているんです。ちょっとここは、軽いライバル関係にあるんですよ。庵野さんが「シン・ゴジラ」を作るということで、樋口さんや佐藤(敦紀)さん、尾上(克郎)さんなど名だたる人たちがみんな参加するというから、「(『シン・ゴジラ』の制作に参加した)三茶チームはどうなっちゃうんだろう」と思って、見に行ったんです。そうしたらみんな、ボロボロに疲弊していました。(会場:笑) 庵野監督(ニンマリとした笑顔で)だいぶ鍛えましたからね。 山崎監督だいぶ鍛えられているという感じがあって、何だかかわいそうになっちゃって(笑)、近くのデパ地下みたいなところで、全員分のケーキを買って「とりあえず甘いもの食え!」って差し入れをしました。 庵野監督いやいや、ありがとうございます。 山崎監督そうやって僕がケーキを配るぐらいだったんです。でも、全部終わった後に庵野さんが「今日でチェック全部終わりです」と言って、みんなが「やっと、庵野さん終わりだよ!」となっている中、庵野さんが「本当にありがとうございました!」とみんなに言ったらしいんですよ。それを見たらみんなが急にキュンとなって、「庵野さん、良い人かもしれない」ってなっていました。(会場:笑) 庵野監督基本、良い人なんですよ。(会場:笑) 山崎監督知っています(笑)。知ってはいるんだけれど、追い込みがすさまじかったので…。 庵野監督あの時の合言葉は、「とにかく山崎や調布チームが、泣いて悔しがるようなやつにしてくれ」でした。 山崎監督ああ…。(大きくうなずきながら)はい、はい。 庵野監督「三茶チームの実力を見せてくれ」と、ちょっとライバル関係を利用させていただきました(笑)。 山崎監督いやいやいや(笑)。 庵野監督それでやる気を出してくれたんです。 山崎監督本当ですか? どうして社内でそんなことになっているんだ(笑)。「シン・ゴジラ」は本当に素晴らしかったんですよ。「本当にすごいな。三茶のチームをよくここまで奮い立たせて、すごいものを作ったな」と思っていたら、東宝さんから「そろそろ、次の『ゴジラ』どうですか」と提案されました。「『シン・ゴジラ』の後かよ!」と思いましたよ(苦笑)。 庵野監督いやあ、よくやったよね。(会場:爆笑) 最初は結構ビビっていたけれど、「ああ、やっぱりやるんだ」と思った。 山崎監督「ゴジラ-1.0」の撮影の途中で庵野さんが一度、陣中見舞いに来てくれたんですよ。その時に、「いやあ、本当によくやるよね」と言われました(笑)。 庵野監督本当によくやるよね(笑)。 山崎監督だって、他に誰もやらないじゃないですか。「シン・ゴジラ」の後にはもう、ぺんぺん草も生えないから、誰もやらないですよ。相当なバカヤロウじゃないとやらないと思ったので…。 庵野監督(「ゴジラ-1.0」は)良くできていたので、本当に良かったです。これで「ゴジラ」は続くから大丈夫だよ。 山崎監督今のは「ゴジラ-1.0」の話ですか? 庵野監督(うなずきながら)そうそう、「-1.0」の話。 山崎監督ちゃんと「ゴジラ-1.0」の話だと言ってから話さないと(会場:笑)。「庵野秀明も認めた!」という感じの記事にしてもらわないといけないので(笑)。(感想が気になって仕方ないといった感じで)そもそもどうなんですか? 庵野監督いろいろね、ツッコミどころは満載なんですよ。(会場:笑) 山崎監督うるさいわ!(会場:爆笑&拍手) 庵野監督それは全部横に置いておいて、面白いです。特に皆さん、銀座! 銀座を観てください。銀座は素晴らしいです。あと詳しくは言えないですが、後半に僕がすごく好きなところがあって、あれはキュンとくる。 山崎監督どこですか。僕にだけ分かるように言ってください。 庵野監督ここで言うと、ネタバレになるので、後で言う。 山崎監督そうですよね。まだ観ていない人たちには伝えてはいけないですね。 庵野監督今日僕がここにいるのは、山崎くんをとにかく応援しなきゃいけないから。多分リクープ(費用の回収)は大丈夫だと思うけれど、リクープして大儲けしてくれないと次につながらないからね。 山崎監督そうですよね。本丸ですから。「ゴジラ」作品はちゃんとヒットしないと。 庵野監督国産のやつは、特にね。 山崎監督だからプレッシャーが…。しかも「シン・ゴジラ」の後でも、ヒットしなきゃいけない。 庵野監督いや、これは大丈夫だと思う。 山崎監督やっぱり、「シン・ゴジラ」が“バカヒット”したじゃないですか。 庵野監督まあ“バカヒット”かどうかというのは、分からないけれど、リクープは恐らく大丈夫だと思います。 山崎監督東宝の人たちの期待度からして、ちょっとのリクープでは許してくれない感じになっているんですよ。 庵野監督いや大丈夫。上からちゃんと聞いているから。(会場:笑) 山崎監督この前、(2014年の映画「GODZILLA ゴジラ」で監督を務めた)ギャレス(・エドワーズ)監督にも「ゴジラ-1.0」を観てもらったんですよ。 庵野監督良いねえ。 山崎監督ギャレス監督は、今「ザ・クリエイター(/創造者)」という映画をやっています。 庵野監督楽しみですね。 山崎監督もう上映しています(笑)。 庵野監督もうやっているの? いやあ、もう世の中から遅れているので…(苦笑)。 山崎監督朝四時に着いて、ホテルで仮眠した後に、日本で最初にやったのが「ゴジラ-1.0」を観るということだったみたいです。観終わった時に、ひれ伏して出て来て、「1億ドルはかかっていないと思いますが、どのくらいの予算ですか」と言われました。「何を言っているんだ、この人」と思った(笑)。「それよりは下です」と答えました。やっぱりこれからは、予算も上げていかないといけないですね。 庵野監督向こうに比べると何十分の一ですからね。 山崎監督十分の一ぐらい、二十分の一ぐらいですかね。 庵野監督二十数分の一ですよね。(会場:笑) 山崎監督大変ですよね。 庵野監督それで同じぐらい稼がなきゃいけない。国産のゴジラは、国外のやつよりも稼がないとね。 山崎監督「シン・ゴジラ」は稼いじゃったから良いじゃないですか。本当に「シン・ゴジラ」は素晴らしかったですよ。この前「オルソ」を観ましたが、いやあ、皆さんはこれから観ることになりますが、ハードルを上げておきますね。怖いです。モノクロになったら、夜とかすごく怖いですよ。庵野監督モノクロの良さは、「色がない」ので、明暗だけでやっているから、夜は本当に良い。 山崎監督逆に、初代にすごく画が似てきて、ゴジラのエッジだけが見えているんです。だから、暗い中でたたずんでいる姿とか本当に怖いので、「これは良いな」と思いました。 庵野監督「ゴジラ-1.0」もモノクロでやれば、二重に儲かるよ。(会場:笑&拍手) モノクロ、イケると思う。 山崎監督さらに言うと、昭和が舞台なのでモノクロがめっちゃ似合いますからね。 庵野監督そっちの方が、モノクロの“シンクロ率”が高い。 山崎監督確かに(笑)。庵野秀明から“シンクロ率”という言葉をいただきました。(会場:笑) 庵野秀明ありがとうございます。 山崎監督良いですよね。そういう、ちょっと言うと面白い言葉がいっぱいあって。(会場:笑) 庵野監督そういうのをミームって言うらしいですよ。「シン・ゴジラ:オルソ」は、元々は上田くんというスタッフと話していて、「モノクロも良いね」と言っていたら、上田くんが面白半分でモノクロのバージョンをパソコンで作って、見せてくれたんです。これがね、自分でも面白かったんですよ。「全然また別の面白さになるんだ」と思いました。そしたら、今回ゴジラ上映会の話が来て、「山崎くんが『シン・ゴジラ』を選んだので、上映します」と言うから、「じゃあ、モノクロにしてみたらどうですか」と東宝さんに言ったんです。どうせやるんだったら、モノクロにして上映した方が話題性もあるし、山崎くんの助けにもなるし。 山崎監督「モノクロにするんだったら、やっても良いけど」という話じゃないんですね。(会場:笑) 庵野監督東宝さんにそんなこと言えないよ! 天下の東宝さんだよ。(会場:笑) 僕なんかもう、ピューッと吹けば飛ぶようなものなんだから。(会場:笑) そんなことおいそれと言えないよ。おずおずと「ど、どうですか…?」という感じで出したら、できることになりました。僕は、Blu-rayに焼いて、それを流せば良いんじゃないですかと言ったら、もうDCP(デジタルシネマパッケージ。デジタルシネマで映画を上映する際の標準的な配信形式)になっちゃいました。東京現像所(11月30日に事業が終了する予定)の最後の仕事になっていると思います。ちょっと切ないけれど、「これが最後の仕事」というのは縁があってありがたかったと思っています。東宝さんの粋な計らいです。画の方は、樋口と尾上さんがしっかり見てくれて、本当に全然違うものになっていると思いますので、お楽しみいただければと思います。 山崎監督これがうまくいけば、流行っちゃうかもしれないですね。 庵野監督「ゴジラ-1.0」もモノクロにして大丈夫だよ。本当に儲けられるよ。(会場:笑) もう一回作品を観に行ってくれるから。 山崎監督今回はすごいんですよ。IMAXとかいろいろラージ・フォーマットで上映をするんです。 庵野監督元々は4Kなの? 山崎監督2Kですね。最近は、AIでバージョンアップするからものすごくきれいで、全然遜色がないなという感じです。ScreenXの上映までやるんですよ。 庵野監督すごいね。 山崎監督ScreenXで椅子が動くというやつ(4DX SCREEN/4DXとScreenXが融合した体感型シアター)があるんですよ。この前それで観たら、もう完全にゴジラ・ザ・ライド(西武ゆうえんちのアトラクション)でしたね。(会場:笑) 庵野監督それで観る銀座のシーンは楽しいんじゃない? 山崎監督ドラマのシーンになるとしばらく静かなんですよ。ただ、スペクタクルなシーンになると、動くし、もう部屋中が大騒ぎになっています。 庵野監督ドラマ部分長いからね。もっと切ったら良かったのに。(会場:笑) 山崎監督そういうことを言うと、記事に書かれちゃうから(苦笑)。今回は、「庵野秀明、激賞」って載せてもらわないといけないんだから。(会場:笑) 庵野監督いやもう、褒めてばかりなんで、良いんじゃない? 山崎監督(褒め言葉をおねだりするように)もうちょいください。(会場:笑) 庵野監督でも、あまり言うと、やっぱりネタバレになってしまうので…。 山崎監督そうですよね。あそことか、多分好きだろうなと思っていたところもあるんですよ。 庵野監督いや、僕の好みは、山崎くんには伝わらないと思う。ものすごく狭いところだから。「そこなの!?」と思うような意外なところがすごく好きです。 山崎監督それを聞くのが楽しみだな。僕、軍艦とか作っている時に「ちょっと庵野さん、悔しがるんじゃないかな」と思ったんですよ。 庵野監督いやいや、その辺はね、ぬるい。(会場:大爆笑&拍手) でも、本作は山崎くんが今までやってきた、いろいろな作品の集大成ですよ。これは素晴らしいと思いました。 山崎監督ありがとうございます。 庵野監督今まで培った技術を無駄なく全部持ってきていて、上手だなと思いました。このために今までやってきた…。 山崎監督(庵野監督の言葉を引き継いで)やってきたかのような! 庵野監督そう言っても過言ではないぐらい、今までに培った技術が全部ここに集約されている。その技術力は素晴らしいです。 山崎監督結構「シン・ゴジラ」で良い仕事をした人を、調布に連れて来ちゃいました。庵野さんに鍛えられた人に、今回、お願いをするという。 庵野監督ちゃんとバトン渡しました。本当にVFXは良かったです。そういえば、何でいつも「VFX」なの? 肩書きにいつも「VFX」って必ず入れているよね。特撮とか、特技とかではなく。 山崎監督だって僕らはVFXだから、ビジュアル・エフェクツじゃないですか。特撮はインカメラで終わる感じがする。 庵野監督やっぱり洋画の方が好きなんだ。 山崎監督洋画が好き(笑)。やっぱり「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」なんですよ。 庵野監督(その点では二人の間に壁があるというジェスチャーをしながら)そこがね、僕は特撮なのでもう完全に違うんだよね。(会場:笑)山崎監督分かります。よく存じ上げております(笑)。でも「シン・ゴジラ」はCGじゃ? 庵野監督でも、あれで目指したのは、特撮。ゴジラに動きがあったら全部ナシにして、CGを使って特撮の映像を再現するということ。 山崎監督ドラゴンとかを動かす天才的なアニメーターが「庵野さんのゴジラなら」と言って、休暇を取ってわざわざその時期だけ日本に来てくれたんですよ。 庵野監督やっぱり着ぐるみを再現したかった。首元のこの辺の動きとか、再現とかすごく良かったです。着ぐるみの動きをきれいに再現してくれました。 山崎監督あの天才が、着ぐるみの動きを再現していたんですね。贅沢だなあ。 庵野監督すごい贅沢をさせていただきました。彼が表情をつけようとしていたところを「着ぐるみなんで」と止めました。(会場:笑) 「今回はサイボット(目や口元、鼻を動かすといった細かい仕草用の機械仕掛けのもの)はナシなので、この辺は目しか動きません」と言いました。 山崎監督サイボットは通じました? 庵野監督分からないです。あまり向こう(ハリウッド)のやつみたいに筋肉が動いて…っていうのはナシにしました。それをやり始めると、もう時間もお金もなかったから、とにかくアニメで言うとリピート(「タイムシート」というセリフのタイミング、カメラワークや特殊効果の指定等が書き込んである指示書で繰り返しの指示をすること)でほとんど済むようにしないと、とても間に合わなかったんです。カット数もCGIを400に抑えてくれと言われたし。 山崎監督結構、いろいろと言われていたんですね。スーツを着るなとか…、割と素直に聞くわけですね。 庵野監督聞きますよ。 山崎監督偉いですね。 庵野監督(話を)聞かないイメージが、(庵野監督を密着した)ドキュメンタリーとかであるみたいだけどね。(会場:爆笑&拍手) あれはそういうところだけを切り取るので、実際はほとんど聞いているんですよ。 山崎監督聞いた話によると、もうちょっと柔らかいドキュメンタリーだったものを、庵野さんたちが「もっと過激にしてくれ」と言ったとか。 庵野監督いえいえ、違います。そもそも映像を僕は観ていないもん。 山崎監督都市伝説がいろいろと広がるんですね。だから、みんなが構えているところで、「ありがとうございました」とか言うと、「あ、良い人なんだな」ってなっちゃうんですね。 庵野監督いや、基本良い人だと思う。 山崎監督ほら、不良がさ、雨の日に犬に傘を差していると「あの人、なんて良い人なんだ!」ってなるみたいな。(会場:笑) 庵野監督僕は不良じゃないですよ(笑)。 山崎監督もうそんなもんじゃないですか。(会場:笑) 暴れん坊のイメージがある人から「ありがとうございました」とか言われたら、キュンとするっていう。 庵野監督デタラメを言わないでほしいなあ。(山崎監督&会場:爆笑) 全然違いますよ。山崎くんの脳内イメージとは全然違うよ。山崎くんだって、現場に行くと「うーん」って顔をしていて、「怖いなあ」と思うもん。(会場:笑) 山崎監督またそういうことを言って。(会場:笑) 撮影の途中に来てくれた時に、ちょっと会話が弾まない感じだったので、「『シン・ウルトラマン』に渡しているスタッフが、なかなか帰って来てくれないんですよ。早く終わらせてくださいよ」と言ったんですよ。そうしたら庵野さんが当時の進捗状況に結構マジ怒りしていましたよね。本当ですよね、すみませんでした。(会場:笑) 庵野監督まったくですよね。 山崎監督「白組」を代表して、申し訳ありませんでした。 庵野監督いやいや、山崎くんに謝ってほしいわけじゃない。(会場:笑) 終わった話です。まあ、間に合ったので良かったです。 山崎監督間に合って良かったです。そういえば、庵野さんが「ゴジラ-1.0」の現場に来た時は、神木(隆之介)くんや浜辺(美波)さんが、はしゃいじゃって本当に面白かったんですよ。 庵野監督はしゃいでいましたね。 山崎監督「珍獣が来た」って。(会場:笑) 庵野監督またそうやって嘘を言う(笑)。 山崎監督「レアポケモンが来た!」って、二人ではしゃいでいました。面白かったです。 庵野監督まあ、人気者なんでね。(会場:笑) 山崎監督浜辺さんからは「あんちゃん」って呼ばれているらしいですよ。僕は「たかすぃー」って呼ばれているらしいです。 庵野監督まあ、良いんじゃないですか(笑)。 山崎監督あの日はちょっと面白かったです。 庵野監督(撮影現場を)見ていて「何でこっちから撮っているんだろう」って、そればっかりずっと気になっていました。 山崎監督うるさいわ! (会場:笑) 庵野監督「どうせ切るのに、ここを何度もやったってしょうがないじゃん」と、そういう風に見ていました。こちら側から撮れば、40分くらいは巻いて撮影が終わるのに。だってどうせ切るでしょう? 山崎監督そんなこと言われたくないですよ! (ドキュメンタリーで、庵野監督が何度もテイクを繰り返す姿が映し出されていたこともあり)あれだけたくさんの素材を撮って、編集でもう…。(会場:爆笑) 庵野監督うちは安いカメラでいっぱい撮っているだけですよ。大きいカメラで回している量は一緒ですよ。うちはiPhoneとかそういうのでも撮るから素材がいっぱいになっているだけで、テイク数とかは多分そっちの方が多いよ。(反撃するように熱弁する庵野監督に会場:爆笑)山崎監督いやいやいや、絶対そっちの方が多いと思う。(二人の攻防戦に会場:爆笑) 庵野監督ちなみにアクションは、アクション監督が納得するまでやって、「監督どうですか」と聞かれて、「オッケーです」と言う役でした。 山崎監督それにしてはドキュメンタリーではいろいろと言っていたじゃないですか。(会場:笑) 庵野監督いやいや、言っていない。 山崎監督切り取り? 庵野監督切り取り。 山崎監督本当に良くないですよね。切り取られちゃうのは。 庵野監督(カンペに気づいて)あれ、もうフォトセッションだって。 山崎監督これからじゃないですか。(会場:笑) 僕がこれから庵野秀明の暗部を炙り出そうとしているのに。 庵野監督明るいところしかないって! 山崎くんの方が本当は暗いんだから。(会場:笑) 山崎監督誰もそんなこと思っていないですよ。 庵野監督いえいえ、半分ぐらいは思っていると思う。今日のスーツの色で分かるでしょう。ちょっとインナーの白で誤魔化している(笑)。 ■スタート時は混乱していたフォトセッションも、無事に終了。締めの挨拶に入りました。庵野監督ありがとうございました。以上を持ちまして、第四回「ゴジラ-1.0」公開記念「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」を終了いたします。中継先の皆さんも、どうもありがとうございました。「ゴジラ-1.0」はあと一週間後の11月3日、初代ゴジラの公開日に公開となります。この後は「シン・ゴジラ:オルソ」の上映が始まりますので、準備が整うまで今しばらくお待ちください。本日はどうもありがとうございました。(会場:拍手) 山崎監督ありがとうございました。(会場:拍手)
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「秒速5センチメートル」完成報告会「秒速5センチメートル」公式サイト 「君の名は。」(2016年公開)、「天気の子」(2019年公開)、「すずめの戸締まり」(2022年公開)など、記録的な大ヒット作を生み出してきた新海誠の劇場アニメーションを実写映画化する「秒速5センチメートル」が、10月10日に公開となります。主人公・遠野貴樹の18年間にわたる人生の旅を、幼少期、高校生、社会人の3つの時代で描き出す本作。 8月27日にはTODAホール&カンファレンス東京で完成報告会が行われ、松村北斗さん、高畑充希さん、森七菜さん、上田悠斗さん、白山乃愛さん、宮﨑あおいさん、吉岡秀隆さん、奥山由之監督が出席しました。ついに完成を迎えた本作の感想や役にかける想いなどを明かしたこの日の模様を、詳しくレポートします! 完成報告会 遠野貴樹役 松村北斗さん 篠原明里役 高畑充希さん 澄田花苗役 森七菜さん 幼少期の貴樹役 上田悠斗さん 幼少期の明里役 白山乃愛さん 輿水美鳥役 宮﨑あおいさん 小川龍一役 吉岡秀隆さん 奥山由之監督 松村さん今日は足をお運びいただき、本当にありがとうございます。奥山さんの手によって、素晴らしい作品が出来上がりました。ぜひ皆さんのお力を借りつつ、たくさんの方の元へお届けできればと思います。今日はよろしくお願いします。 高畑さんこんなに美しい物語に参加できたことを、とても幸せに思っています。 森さん「秒速5センチメートル」という偉大な作品の前で、この時代に新しい風が吹くことを楽しみにしてもらえるように今日を過ごせたらと思います。 上田さん今日はすごく緊張しています。よろしくお願いします。 白山さん今日はたくさんの方にお越しいただき、本当にうれしいです。少し緊張していますが、少しでもこの作品の良さを伝えられるように頑張りますので、よろしくお願いします。 宮﨑さん本日はお集まりいただき、ありがとうございます。奥山組の仲間に入れていただけて、本当に幸せだと思っています。今日は短い時間ですが、よろしくお願いいたします。 吉岡さん(上田さんと白山さんを和ませるように)とても緊張しています。(会場:笑) 毎日、暑いですねぇ。こうやって奥山作品が生まれたことを、本当にうれしく思っています。 奥山監督この作品は、皆さんが温かい気持ちで愛情を持って、丁寧に作られた映画だと思います。無事に完成して、こうして皆さんに報告できることをとてもうれしく思っています。 MC先日初号試写を終えて、無事に完成いたしました。映画の完成おめでとうございます。新海誠さんから、初号試写をご覧になった感想をいただいております。 自分でも驚いたことに、泣きながら観ていた。 「秒速5センチメートル」を作っておいて良かったと、心から思えた。 【新海誠さんのコメント】 MC奥山監督にとって本作は、初めての大型長編商業映画作品となりました。完成した作品の手応えはいかがでしょうか。 奥山監督皆さんが切実さと誠実さを持って、本当に真摯に向き合ってくださったので、これ以上の手応えはないだろうというぐらい自信を持って送り出せる作品になりました。先日、新海さんとお会いした時に「自分が一体、何に泣かされているのか分からなくなるような、まるで現象的な感動があった」とおっしゃっていました。言語化できないぐらい、心から湧き上がるような身体的な感動のある作品に仕上がったということだと感じ、すごく自信になりました。 MC多くの原作ファンがいる作品ですが、松村さんもそのうちの一人だったとうかがっています。主人公の遠野貴樹を演じるという話を初めて聞いた時には、どのように受け止めましたか? 松村さんまず企画書で知ったんですが、「恐ろしいな」という感情が一番に湧き上がってきました。十八年前に生まれて、ずっと愛され続けている新海さんが作った「秒速5センチメートル」という作品を、実写化する。「この作品の登場人物たちが生身の人間になるんだ」というワクワクする気持ちと、「得体の知れない恐怖」みたいなものが出てきました。もう一枚企画書をめくったら、「遠野貴樹役 松村北斗」と書いてありました。あの憧れていた遠野貴樹を「僕なんかがやるんだ」という恐怖が同時に襲ってきたというのが、最初の印象でした。でも、その後に奥山さんとお話しする時間をいただいて、これ以上にない信頼感と安心感が生まれました。ものすごく熱量のある会話が一時間、いや二時間くらいですかね? 結構時間をいただいて話をしました。だから、僕はこの方と一緒に、この恐ろしいチャレンジに参加させてほしいと思うことができました。そこから一緒に撮影の日々を過ごす中で、信頼が減る瞬間は一度もなかったので、あの話し合いはなんて意味のあるものだったんだろうと今、改めて思っています。 MC初号試写の際は、新海さんと同じ回でご覧になったそうですが、完成した作品をご覧になった感想はいかがですか? 松村さん今日はここに多くのキャストの方がいますが、全員が主人公といってもおかしくないぐらいの作品で、全員が特別なキャラクターです。いろいろな方が「自分が出ている作品は冷静に観られない」とよく言っていますが、本作は、自分が出演していないパートがいっぱいあった分、映画作品を普通に観た時のような感想が湧きました。僕は、本作を観た時にすごく良い映画だなと思いました。特に悠斗と乃愛ちゃんのパートでは、自分の失われた十代というか、その頃の感覚や懐かしさがフラッシュバックしてきました。僕も、新海さんも、なぜだか涙を流しているような時間もありました。なので、「すごく良い映画を観た」という思いがあります。観た後に、奥山さんや新海さんと話す時間もあったので、すごく素敵な初号試写でした。 MC新海さんとは、どのような言葉を交わされましたか? 松村さん新海さんが皆さんに発表している感想とは別に、僕自身にも感想をくれたんです。本作の撮影に入る前に、新海さんが「北斗くんの貴樹、観たいですね」と言ってくれたことが、チャレンジするきっかけの一つになっていました。だから、「観たかった貴樹は、どうだったんだろう」と、すごく不安でもありました。でも、新海さんが「貴樹がほっくん(松村さん)で本当に良かった」と言ってくれた時に、それまでにかけられていた期待や、怖かったハードルを新海さんが飛び越えさせてくれました。 MC高畑さんは、貴樹がずっと想い続ける女性である明里を演じました。原作では大人になった明里はほとんど登場しませんが、実写化に際して明里役のオファーがあった時にはどのように受け止めましたか? 高畑さん私ももちろん、新海さんの作品は拝見していました。明里は、貴樹目線で見ていたキャラクターだったので、女神というか、マドンナみたいな存在だという印象がありました。自分にお話が来た時は、「何かの間違いだろう」と思いました(苦笑)。だから、恐る恐る話し合いに参加させていただいて、台本をいただきました。その台本を見たら、作品へのリスペクトに溢れながらも、それぞれのキャラクターがたくましく、人間らしく浮かび上がっていて、明里さんに少し共感できる部分を見つけることができました。でも、本作に参加することに対しては、恐怖が八、九割くらいありました。ただ、聞いていた座組や、奥山さんとは十年ほど前からの知り合いで、写真を撮っていただいているし、同い年だし、その奥山さんのチャレンジに声をかけてもらえたうれしさが勝って、ぜひ参加したいと思いました。 MC恐怖が八、九割くらいだったものが、減っていった段階はありますか? 高畑さん今日まで減ってはないです(苦笑)。でも、チームの熱量が最初から最後まで変わらないのを目の当たりにしていますし、新海さんが観て、とても喜んでくださったというお話を聞いて、自分自身に対してというよりは、自分自身がこのチームに入れたことが最高に良い選択だったと思っています。 MC森さんは、貴樹を一途に想い続ける高校生の花苗を演じました。どのような気持ちで撮影に臨みましたか。 森さんやっぱり、ドキドキしました。しかも、自分が撮影に参加した種子島は、独立したパートで、私たちは夏パートのみでした。だから、皆さんの空気感を掴むことができないまま、クランクインしました。ここで、自分がこれまでの空気を台無しにする可能性もあるかもしれないという恐怖を抱きながら臨みました。でも、原作に対する愛と、自分が好きなものを体現できる喜び、お芝居できる喜びを大事にすれば、きっと新海さんもファンの方にも、喜んでもらえるものができるんじゃないかという希望を大事にしながら撮影をしていました。 MC全体を通して、完成した作品をご覧になった感想はいかがでしたか? 森さん私のパートだけしか知らないので、「全体的にこういう作品だったんだ」と思うところもあります。人の悩みや誰かに対する想いがそれぞれのパートでしっかりと描かれていて、観た人にとって薬になる作品だろうと予感できる作品になっていました。そこに参加できたことが喜びですし、早く皆さんに観ていただきたいと思います。 MC上田さんは、およそ五百人のオーディションから、物語の中でも非常に重要なキャラクターである幼少期の貴樹役を射止めました。本作で初演技、しかも、もともと松村さんの大ファンだったとうかがっています。松村さんと同じ役を演じた感想を聞かせてください。 上田さんすごく怖くて、演技が初めてなのに、「僕がやっても良いのかな」という不安と同時に、楽しいとか、この役をやれてうれしいという感情が込み上げてきました。 MC松村さんは、上田さんがご自身の大ファンだというのは知っていましたか? 松村さん僕たちは貴樹の幼少期と社会人時代を演じているので、もちろん同じシーンはありませんでした。でも、(上田さんが)現場にちょっと早く来てくれた時に、会えたことがありました。(上田さんをやさしく見つめながら)でも、あの時は緊張していたのかな? 「そんなに会話はしなくて良いです」みたいな雰囲気がありました。(登壇者の皆さん:笑) 上田さん緊張していました。 松村さん雑誌の取材などもいくつか一緒にやったんですが、「そういう場も慣れていないから」と、わざわざ見学に来てくれたこともありました。その後に、会話もたくさんしたんですが、その中でも一回も「好きです」という言葉は聞けていないですね…。(登壇者の皆さん&会場:笑) むしろ、「せっかく来てくれたんだから、椅子を横に持ってきて座ったら良いじゃない」と言うと「僕はここで結構です」って、そこそこ離れた位置にいました。(登壇者の皆さん&会場:笑) 高畑さん好きすぎるんだ。 松村さん好きすぎるからですか? 上田さん(うなずく)。 松村さん僕は、雑誌の取材などの際に、そんなに声量が大きい方ではないので、多分(自分の声が)聞こえていないと思うんですよね。あの時、聞こえていた? 上田さんはい。 松村さんあ、聞こえていたんだね。耳が良いんですね。(登壇者の皆さん&会場:笑) MC松村さんのことは、お好きですよね? 上田さんはい、好きです。(淡々とした言い方に、登壇者の皆さん&会場:笑) 松村さんその感じって、「お母さん、好きですか?」に対する答えと、同じ感じの「好きです」だよね。(登壇者の皆さん&会場:笑) でも、うれしいですね、聞けて良かったです。 MC白山さんもおよそ五百人のオーディションを経て、幼少期の明里役を演じることになりました。どのような気持ちで撮影に臨みましたか? 白山さんまずオーディションに受かって、明里を演じられることがとてもうれしかったです。オーディションで明里をやってみて、明里を演じたいという思いがすごく強くなっていました。オーディションで初めて会った奥山監督も、すごくやさしそうな雰囲気が溢れ出ていたので、ご一緒したいと思っていました。だから、受かった時は、本当にたくさん喜びました。 松村さん本作は、冒頭を社会人パートから入って、そこからすぐに二人の幼少期パートに入るんですが、幼少期パートだけで良いぐらい、ものすごいドラマを含んでいます。多分、誰しもが(幼少期の淡い思い出など)思い当たるところがある話だと思います。いつまでも観ていたい物語であり、二人のお芝居が奥山さんと共鳴して、ものすごくすばらしい作品になっています。「この後に自分が出てくるんだ」と思うと、一瞬凹むぐらい本当にすばらしいお二人でした。 白山さんありがとうございます。 MC宮﨑さんは、貴樹の通う種子島の高校教師・美鳥を演じました。大人になった貴樹と東京で再会して、その後の彼の人生に影響を与える人物でもあります。美鳥役演じてみていかがでしたか。 宮﨑さん私は種子島の撮影が最初だったんですが、種子島が最高すぎて、(奥山監督と頷き合いながら)本当に楽しかったですよね。 奥山監督楽しかったですね。 宮﨑さんインする前に、ヘアメイクさんから「監督が、ちょっと色が黒くなってくれたらうれしい」と言っていますと聞いて、「もちろんです!」と言って、夏の間にちょっと日焼けをしてから種子島に向かいました。(森さんに笑顔を向けながら)すると森さんも、同じように真っ黒になっていました。二人とも肌がこんがりした感じが、種子島とすごくマッチしていたように思います。種子島での撮影によって、美鳥さんというキャラクターが自分にしっくりと来た感じがありました。種子島の自然に助けられ、癒やされながら、撮影が進んでいきました。 MC完成した作品をご覧になっていかがでしたか? 宮﨑さん幼少期のお二人、そして高校生の妹たちが本当にかわいかったです。森さんから「好き」が溢れている感じが良かったです。どのシーンも「貴樹くん、好き!」みたいなものがダダ漏れで、それが姉としては本当に愛しかったです。愛が溢れている素敵な作品になったと思いました。 MC吉岡さんは、科学館の館長・小川という原作には登場しない、オリジナルキャラクターを演じました。本作に参加するに至ったきっかけをお聞かせください。 吉岡さんきっかけは、お仕事をいただいたので…。(登壇者の皆さん&会場:笑)でも、そこ(「秒速5センチメートル」)に手をつけるんだということは、とても怖かったですね。僕自身も大好きな新海監督の作品で、それを実写でやるという恐怖、そこに自分も参加するのは、とても怖くもありました。でも、北斗くんと監督と初めて会った時に、北斗くんは、すでに貴樹が歳を取ってそこにいる感じでいてくれたので、これはもう極力邪魔をしないで、監督の繊細さと貴樹になっている北斗くんに任せれば良いと思いました。なので、極力邪魔をしないようにと心がけていました。 MC完成した作品をご覧になっていかがでしたか? 吉岡さん観終わってすぐに新海監督がいらっしゃって、「ありがとうございました」と言ってくださいました。それは、「ようやく終わった」「新海作品ではなく、奥山作品になった」という瞬間だったと思います。そこにいられたことは、とてもうれしかったです。原作の方に「ありがとうございました」と言われることほど、うれしいことはないです。(登壇者の皆さん、頷く) MC奥山監督にうかがいます。原作アニメーションが公開されたのは、十八年前の2007年。新海さんが、三十三歳から三十四歳になる時に手掛けた作品です。当時とは価値観も大きく変わったこの令和の時代に、当時の新海さんと同じく三十四歳の奥山監督がなぜ実写映画として「秒速5センチメートル」を描こうと思われたのでしょうか。 奥山監督時代も大きく変化していますが、幼少期の純真さや青春の高潔さ、大人になることの惑いなど、そういった普遍性が「秒速5センチメートル」という作品にはあると思います。それを描きたいと思っていました。三十代前後は不安や焦燥感など、精神的に人生のちょうど中間地点にいるような時代です。だからこそ、そういった貴樹の心情に僕もすごく寄り添えた気がしています。おそらく新海さんも、当時貴樹という人物に自分の焦燥感みたいなものを投影していたと思います。僕もそこに重ねるようにしながら描ける確信を持って、本作に向き合っていました。 MC奥山監督を始め、若いスタッフが集まったとても温かい現場だったとうかがっています。昨年の夏から今年の春にかけて、四季をまたいで東京、種子島と全編オールロケで撮影された本作ですが、現場の雰囲気は、どのような感じでしたか。 松村さん僕に不安なこと、うまくいかないことがたくさんあった時には、奥山さんは時間も、体力も惜しまず、たくさん言葉を尽くしてくれました。最終的には、話をしすぎて、お互いに「ごめんなさい、何を言ってのるか分からないです」みたいなところまで行きついてしまいました(笑)。お互いに言葉が多く、スタッフの皆さんが待っている状況でも「構いません」という熱量で向き合ってくれました。「どうなるか分からないけれど、実際にやってみましょう」と、やったみた後に駆け寄ってきて、「言葉にならなくても良いんですが、今のです」と太鼓判を押してくれたので、安心した状態で本番を迎えられました。こんなに熱量と体力のある監督はいないんじゃないかと思っています。(奥山監督がいることで)日に日に現場に行くことが安心になっていくと同時に、何て言うんですかね…何と言う言葉で、奥山さんを表現すれば良いんですかね…。 高畑さん天然ですか? (登壇者の皆さん:笑) 松村さん天然…。ちょっと変わっている(笑)。 奥山監督そういえば、先ほど(イベントスタッフから)「正面を向いてください」というカンペを出されていました。そんなに僕、斜めになっていましたか? 松村さん遠近感がおかしくなるくらい、斜めになっていました。 高畑さん(奥山監督の面白さが)じわじわ、来る。 松村さん(高畑さんの言葉に頷きながら)そう、面白くて、じわじわ来る。だから、現場のみんなが奥山さんを愛おしい目で見ているような現場でしたね。宮﨑さんと食事を摂りながらしゃべるシーンで、別に盛り上がるようなシーンでも何でもないはずなんです。まあ、僕としては楽しくて乗っているシーンではあるんですが、急にどこか遠くから奥山さんの(声を張って)「よーし!良い感じだぞー!」という声が聞こえてきたんです。(登壇者の皆さん:笑) 奥山さんは、すごく盛り上がっているなと思いました。 奥山監督そうなんですよ。一人だけ大声になっている時があるんです。なぜ、ああなっちゃうんですかね。(登壇者の皆さん:笑) 自分でもちょっと分からないんですが、「おー!」と思えるものが撮れていたからだと思います。なぜ今これが撮れているか分からない、奇跡的な瞬間で、お芝居とは到底思えなくて、お芝居とかそういう次元を超えた「そこで起きている出来事を目の当たりにしている」ような瞬間がたくさんあって、興奮したんですよね。それで、カットをかける前に、「めっちゃ良い!」みたいになってしまう。演じている側からしたら、「それはカットの後に言ってくれよ」となりますよね(笑)。 MC高畑さん、どうですか? 松村さん(奥山監督とは)一番、付き合いが長いですからね。 高畑さんそんなに密な十年じゃなくて、要所要所で会っていたという感じだったので、本作を通してすごく仲良くなれたと勝手に思っています。 奥山監督こちらこそ、ありがとうございます。準備期間にも、いろいろとお話をさせていただきました。 高畑さん準備期間でもいっぱいお話をして、「ここが不安だ」と言うと、一緒に悩んでくれたので、私も安心できる時間がどんどん増えていきました。淡々とすごいことをする人なので「すごいな」と思って見ていると、感情の変化の段階が見えない方なので、急に絶叫したり、「やったー!」みたいなポジティブな反応が来たりします。良い意味ですよ(笑)。現場では(奥山監督の)急な感情の爆発がよく見ていたので、後半はあまり驚かなくなりました(笑)。 MC感情の爆発が頻発していたんですか? 高畑さん一日、一回くらい…。 奥山監督僕は自覚できていないので、今初めて「そういう感じだったんだ」ということを知りました。 高畑さんそれが、じわじわと来て…(笑)。いつの間にか、奥山さんを見るために現場に行っているんじゃないかって思うくらい夢中になるほど好きになってしまいました(笑)。 MC森さんは、種子島の撮影現場で印象に残ったエピソードはありますか? 森さんもっぱら、サーフィンですね。クランクインは夕方だったので、朝からサーフィンに行って練習をしていました。宮﨑さんはサーフィンをするシーンはないんですが、(宮﨑さんと笑顔で顔を見合わせながら)一緒にサーフィンしました。マネージャーさんたちも置いて、遠くまで泳いだりしていました。 MC宮崎さんは、サーフィンのご経験があるのでしょうか。 宮﨑さんなかったんです。森さんが練習をされると聞いて、監督と打ち合わせをした時に「良いな、私もサーフィンしたいな」と思ったんです。そうしたら「宮﨑さんも練習されますか?」という連絡が来て、「します!」と言って、ついて行きました。森さんは、東京でも何回かやっていたようですが、私は一度だけやりました。でも、種子島に行ってからは、毎日、海に入っていました。ホテルから波が見えるので、「今日の波は良いなぁ」と思いながら、一人でオールを担いで海に入って行くような、本当に美鳥と同じような生活をしていました。 MC宮﨑さんは種子島だけでなく、東京でも撮影がありました。 宮﨑さん東京と種子島とでは、別の作品を撮っていたみたいな感じがありました。自分が知らないシーンもたくさんあるので、客観的に作品を観ることができました。東京編で、貴樹くんと一緒のシーンの撮影の時に、私が立体パズルを持っていたんです。それを、現場のみんなで一緒にやる時間があったんですが、松村さんがすごくお上手でした。「この形を作りなさい」という課題を、瞬間的にパパッと触って完成させてしまうんです。みんなで「すごい!」と言いながら遊んでいました。 MC松村さんは、立体パズルがお得意なんですか? 松村さんいえ、初めて見ましたが、そういうのが好きなんです。すごく面白そうだと思って、(パズルをやっている様子をうかがう再現をしながら)最初はちょっと遠くから見ていたんですが、もうちょっと近づいて…と、やっているうちに(宮﨑さんが)「やります?」と声をかけてくれました(笑)。やってみたら、ものすごく楽しくて、好きになったので、もちろん買いました。ここでまた登場するのが奥山さんです。(登壇者の皆さん:笑)奥山さんも、「何ですか?」「僕もこういうのが得意なんですよ」と、やり始めるんです。実際にすごく得意だったようで解くのが早いんですよ。問題のレベルが難しくなっていくと「これだ!」「ああ、違うか…」「これで完成だ!」「ああ、違うな…」と熱中して解き始めるんです。そうなると、誰も話しかけられないような状況になってしまうんです。でも、後ろから助監督さんが「もう撮影をしたいのにな」とジーッと見ているんです。それでも終わらないので、「もう撮影に入って、良いですか?」と、ちょっと叱られて、奥山さんが「じゃあ、やりますか…」となったこともありましたね。 奥山監督本当に面白かったんですよ。プロフェッショナルが集まった現場ではあるんですが、「本番を撮りましょう」と撮影をしていたら、ヘッドホンからカチャカチャという音が聞こえてきたことがありました。演じているお二人のセリフを聞きながら、「この音、聞いたことあるな」と思っていました。多分、僕らがやっているのを見て「やりたい」と思ったスタッフさんが、手元でカチャカチャとパズルをやっていたんです。(登壇者の皆さん:笑) 松村さん息抜きですね。あくまで休憩時間ですからね。 MC上田さんと白山さんは撮影が始まる前に、奥山監督とレクリエーションをして仲を深めたと聞きました。 白山さん最初は(奥山監督に)お芝居を見てもらうのかなと考えていたんですが、たくさん遊んでいただきました。鬼ごっことか、スタッフさんと一緒に犬とじゃれあったりして、すごく遊んでく
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「すずめの戸締まり」初日舞台挨拶「すずめの戸締まり」公式サイト新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」が11月11日についに公開を迎えました。東京のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われた舞台挨拶に新海監督をはじめ、声優を務めた原菜乃華さん、松村北斗さん、深津絵里さん、染谷将太さん、花瀬琴音さんが登壇しました。 新海監督自らMCを務め、キャスト陣は本作に出演しての思いや作品の魅力について熱く語りました。こちらの舞台挨拶の模様をレポートいたします。初日舞台挨拶新海誠監督岩戸鈴芽役原菜乃華さん宗像草太役松村北斗さん岩戸環役深津絵里さん岡部稔役染谷将太さん海部千果役花瀬琴音さん新海監督皆さん、本作を観ていただき本当にありがとうございました。作品を観ていただいた直後の皆さんの前に立つというのは、何回やっても緊張します。最初にちょっとだけ、お話をさせてください。本作を観終わった直後ということで「僕にはないものでできてる」――RADWIMPSの野田洋次郎さんにもらったエンディング曲(「カナタハルカ」)の歌詞がありますよね。「あの歌詞がこの『すずめの戸締まり』という作品そのものだな」と、舞台挨拶の前に、急に思い至りました。この映画というのは、僕の力で作ったものではない気がするんですよね。「君の名は。」(2016年公開/主演:神木隆之介・上白石萌音)から僕の映画を観てくださった皆さんからの「次はこういう映画が見たいんだ」という声が、どこからか聞こえたような気がしています。あるいはこの作品は、ここにいらっしゃる素晴らしい演者の皆さんもそうですし、画や音楽を作ってくださったたくさんのスタッフの力――「僕にないものでできている」作品な気がしています。そんな皆さんの声によって出来上がった作品であるような気もしています。ですから、ここまで導いてくださって、皆さん本当にありがとうございました。短い時間ではありますが、この後、楽しいお話ができればと思います。原さん昨日はあまり眠れなかったくらい、ずっと今日を楽しみにしていました。この作品の、言葉では到底表しきれない素晴らしい魅力をこれからたくさんの人と共有できるんだと思うと、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。こうして無事に公開して皆さんの顔を見ることができたことも嬉しいです。 松村さんどうも、イスです。僕は今日、最速上映を観てからここに挑んでいるので、「すずめの戸締まり」熱がまたふつふつと…いや、グラグラと煮えたぎっている状態です。この熱い思い、せっかく上映後ですもんね。楽しい+ちょっとうっとうしいくらい熱い時間にできればと思います。楽しんでいきましょう。 深津さんこうして皆さんとお会いできてとっても嬉しいです。私は初めて声優に挑戦しました。とっても怖かったです。でも、新海監督が温かく、粘り強く導いてくださったおかげで、何とか完成させることができたと思っています。思い通りにできなくて、どん底まで落ち込んで…。でも、次の収録が待っているから、何とか気分を変えようと当てもなく街を歩き続けたり、新幹線に乗って京都のお寺で心を静めてみたり…。初めてのことにこの年齢でトライできるチャンスをいただけて、監督には本当に感謝申し上げたいと思います。 染谷さん上映後ということで、自分が本作を観た日のことを思い出しました。観終わって、イスに体がくっついちゃったような気持ちで、なかなか立てなくて…。本当に心に響きました。本当は、今日はそっち(=客席)に座って舞台挨拶を見たいくらい、嬉しいし、感動しています。 花瀬さん今日という日を迎えるために、新海監督と多くのスタッフさん、そして原さんと松村さんをはじめとしたキャストの皆さんが血と汗と涙で作り上げた作品だと思います。今も、ここじゃないどこかで誰かがこの「すずめの戸締まり」を観ていると思うとワクワクが止まりません。 MC新海監督、初日ということで、キャストにお伺いしたこともあるのではないかと思いますので、一緒にお聞きしながらクロストークで進められればと思います。 新海監督お願いします。 MC原さんと松村さんにお聞きしますが、松村さん演じる草太がイスになるのが話題になっています。原さんが演じた鈴芽はイスとなった草太と旅をしますが、二人の旅というのはいかがでしたか? 松村さんじゃあ、せっかくなのでイスになる側からしゃべったほうが良いですかね(笑)。皆さんの予想を超えた時間、イスでい続けましたよね? やりながらもそうですし、いろんなインタビューを受けながら、原さんの言葉で「そうだよな」と思ったのは、「草太はイスになってからのほうが、人となりや感情が見えた」かなと思います。また原さんは「表情がなくなったほうが表情が見える」ということを言っていました。何かすごく不思議で魅力的な、これもきっと新海監督の…作戦なんですか?新海監督僕も、二人の話を聞いて「あぁ、良くできた話だな」と思ったんですよ(笑)。草太って、映画を観てお分かりかと思いますが、非現実的なほど美しい男性として描きたいと思ったんです。でも、そのキャラクターがイスになってしまって、ビジュアル的にちょっとかわいらしく歩いて日本全国の廃墟を回るという物語が、ビジュアル的にもコミカルだし、物悲しくてワクワクするものになるんじゃないかと思ったんです。実際、出来上がった作品を観ると、イスの草太ってコミカルな芝居が多いですよね? 菜乃華さんもずっとイスを持ったり、体から出ちゃったり。いろんなイスを巡る思い出がありますよね? 原さん私は電車に乗っているシーンがとても大好きです。後半に進むにつれて、少しずつシリアスなシーンが増えていくので、そういう時のアフレコは、新幹線や電車の中で小声で話し合うかわいらしい二人を見ながら、心を落ち着かせてアフレコをしていました。 新海監督あんな風に、イスになった草太って結構コミカルではあるんですが、その時の草太の声って、人間の時からはなかなか想像できないお芝居だったと思うんですよ。ですから、イスというビジュアルが、草太という人間のもっと楽しい部分を引き出してくれていたんだと完成したものを観て、北斗くんのお芝居を見ながら思いました。 松村さん予告編だと人間時代の草太が人気だったと思うんですが、本編を観るとイス時代の草太のほうが人気なんじゃないかと(笑)。 新海監督北斗くんにイスをやってもらうというのが、今回の作品のすごく大事なところだったんだと途中で気づきました。予告編は僕が自分で編集したんですが、「松村北斗」の名前を出す時、バーンっとイスにかぶせて出しました(笑)。 松村さんそうでした、そうでした(笑)。 新海監督「これが松村北斗くんだよ」というように出したりしていました。 MC原さんと松村さんにはお互いの印象についてもお聞きしたいと思います。 原さん松村さんは、本当にずっと実写版・草太さんだと思っていました。お声はもちろんですが、上品な雰囲気やしぐさだったり、私に対してもすごく丁寧に敬語で接してくださるところが、本当に草太さんそのままだと思います。私がいろんなところでお話する機会が増えて、思っていることをうまく言語化できなくて詰まってしまった時に、代わりに思いをくみ取って言葉にして、いつもフォローしてくださいました。そういう聡明なところも草太さんと全く同じだと思います。松村さん本当に言葉が上手な19歳ですよね(笑)。参っちゃいますね、本当に。 MC松村さんから見た原さんはいかがですか? 松村さんいや、もう強烈ですよ。いろんなインタビューで結構カッコつけて、いろんな言い方をするんですが、上映後なのでシンプルな言葉で言います。鈴芽のカッコ良いセリフの言い回しにキュンと来ません? まだ序盤の、初めての扉にバーッて走ってきて「なぜ?」って言った後の鈴芽の返答とか…。語弊があるかもしれませんが、キュンと来ません? そういうカッコ良さを持っているってなかなかないと思います。予告編でも使われていますが「私は草太さんがいない世界が怖いです」とか、すごく悲しいけどカッコ良さがあるというか、そこに心えぐられる強さがある――そういう力強さを持っている方だという印象です。 MCそして今回、深津さんが初めてこの作品の公の場に立ってくださいました。深津さんは環と同じ九州(大分県)出身です。新海監督、環と同じく九州出身の深津さんに演じていただいたということについて…。 新海監督そうですね。たまたま前作の「天気の子」で大分出身の森七菜さんに出演していただいて、また大分出身の方とご一緒できるんだと思いました。決して出身地で選んでいるわけじゃないんですが(笑)、嬉しい偶然でした。ただ環という役はとても難しい役だったと思います。観ていただいてお分かりかと思いますが、東北にルーツを持っていて、九州に移り住んで、意図的に宮崎弁を身につけたキャラクターです。お芝居の段階で、深津さんにはまず宮崎弁に始まって、旅の途中でだんだん方言のイントネーションが変わっていく表現をお願いしましたが、いかがでしたか? 深津さん声優初挑戦で、普通に標準語をしゃべるだけでもとても難しいのに、方言を二つマスターしなくてはいけないというのは、大変な挑戦でした。本当に「皆さんの足を引っ張らないように」という思いでした。あとは、宮崎弁を指導してくださったのが綾瀬有ちゃんという、今回、声優で鈴芽のクラスメイトの役を演じている方で、つきっきりでトレーニングしてくださいました。本当に先生のおかげでなんとか乗り越えられたって感じです。新海監督深津さんの方言の突き詰め方は、僕も一緒にやって驚くほどでした。例えば、回想のシーンは小さい鈴芽を抱きしめながら「あんた、うちの子になりんしゃい」というセリフに最終的になったんですが、あれはちょっと標準語――まだ九州弁ではない言葉で鈴芽に語りかけようとなったんです。あれも話し合って決めたんですよね。台本だと宮崎弁で…。 深津さん「なりね」でしたね。 新海監督いろいろ試しましたね。鈴芽の生まれた家に着いた時も、何もない場所に着いて、「鈴芽、大きくなったね、お姉ちゃん」と言うんですっけ? 深津さん「おっきくなったぁよ」。 新海監督そうだ! 「おっきくなったぁよ」でした。あそこは東北弁で…。 深津さん東北弁ですが、すごくバランスを考えてくださって…。皆さんで最終的に作り上げた方言でしたね。 新海監督バックグラウンドを組み立てた上で、「ここはこうあるべきだ」ということを深津さんからもサジェストしてくださって、すごく刺激的な経験でした。もうちょっとだけ深津さんに聞きたいんですが、アニメーションの声優は初めてだというのは、意外でした。ここまでキャリアをお持ちで、どうして「すずめの戸締まり」に出ていただけて、環という役を引き受けても良いと思ってくださったんでしょうか? 深津さん逆に、なぜ私に環をやってほしいと思われたんですか? 新海監督僕は、環というキャラクターはとても難しいと思ったんです。環は九州へ鈴芽を連れて帰ったわけですが、ある種、自分の人生を犠牲にしてしまったのかな…と、後悔を抱き続けています。それでも鈴芽を追いかけて、本音をぶつけ合う。これは、嘘のない叫びを聞かせてもらわないと、キャラクターとしてどうしても成立しないと思いました。そこで深津さんが思い浮かんだんです。 深津さんありがとうございます。私は、脚本やビデオコンテを観て、これは個人的な感想ですが、「監督は”次のところ”へ向かおうとされているのかな?」 と、何となく受け取りました。もちろん日本国内のみならず、世界中にファンをお持ちで、今でも「早く観たい!」と思っている方がたくさんいると思います。もちろん、そんな皆さんに届くように作品を作られていると思いますが、今回は「たった一人の“その人”に届けば良い」というような、ピュアなものを感じたんです。こんな経験のない私に何かやってほしいと思っているのならば、何かあるんだろうと思って、ヘタクソながらぶつかろうと思いました。原さんは、私なんかよりも何百万倍も怖かったと思います。背負わなくちゃいけないことも多かったと思いますが、作品の中の鈴芽みたいに、アフレコ現場でも目の前のものに立ち向かい、戦っている姿をそばで見ていました。本当に美しかったんです。だから今回、初めてのことで恐ろしかったんですが、原さんのような素晴らしい感性の女優さんと一緒にお芝居ができて、私にとってまた一つ宝物のような作品になってしまった…「なってしまった」というのは失礼ですけれど(笑)。 新海監督菜乃華さん、いかがですか? 原さん本当に泣きそうなくらいすごく嬉しくて…。環さんといる時の鈴芽は、他の人とは全然違って…。深津さんのお芝居を見て、自分も知らない鈴芽がたくさん出てきたので、本当に感謝しかないです。あと、一つ言いたかったのが、環のシーンがない時に深津さんがスタジオにいらっしゃって、喉に良いはちみつをプレゼントしてくださいました。アフレコ期間中は毎日「深津さんにもらったはちみつだ」と思いながら、舐めて気合いを入れてお守りのようにしてスタジオに入っていました。隣を見るといつも笑顔ですごく温かく迎えてくださって嬉しかったです。ありがとうございました。深津さんすみません、そんなプライベートな話を(笑)。本当に(環役を)やって良かったと思っております。 新海監督そう言っていただけて光栄です。ありがとうございました。 MC染谷さんは環に片想いをする稔を演じましたが、稔をはじめ、本作には温かいキャラクターがたくさん登場します。染谷さんが印象に残ったキャラクターはいらっしゃいますか? 染谷さん全員ですね。でも、後半で芹澤(神木隆之介)が運転して移動するシーンがすごく好きです。いろいろなことが起きて大変な本作ですが、何も起きない単なる移動、隙間みたいなあの時間がすごく心地良くて「映画って素敵だな…」って心から素直に思わせてもらった印象があります。あの芹澤の空気感と移動の時間が心に残っています。 新海監督僕は染谷さんと深津さんが並んでいるだけで「寄生獣」(2014年公開/監督:山崎貴)のことを思い出して胸にグッときます。染谷さんに伺いたいと思っていたことがあって、この中では染谷さんがアニメーションのキャラクターを演じた経験がとてもおありじゃないですか? 実写もやっていらっしゃっるので、染谷さんから見てアニメーションの現場と実写の違いや、表現の違いであったり、実際にやっていてどっちが楽しいとか、そのあたりの差をお聞きしたいを思います。 染谷さん声のお仕事をする時のほうが、自分の中でチャレンジと言いますか…。慣れているわけではないので「自分なら何ができるんだろう?」と自問自答しながらやっています。しゃべれる尺も決まっているじゃないですか? ある意味、その枠の中だったら、何でもできるんだと、今回途中で思いました。そこに収めれば、どんな表現でも可能なんだなと。後で画が説得力を持たせてくれるので、その楽しみをいただきました。新海監督嬉しいです。「ちょうど今、そこの駐車場に東京行きの高速バスが止まっております」と言ってカチャカチャカチャとPCを触る、稔の一番の見せ場である環との電話のシーン…。あの方言やお芝居が僕はすごく好きでした。 染谷さんすごく難しかったです(苦笑)。 新海監督何度もやりましたよね(笑)。方言で言うと、花瀬さんにも聞きたいことがあります。花瀬さんの演じた千果のセリフで一番好きなのが「キスしたら起きるで」ってあのセリフがフラグになって、鈴芽が椅子の姿の草太にキスをしようとするっていうのにつながっていきます。あのシーンは愛媛の伊予弁ですよね。どうでした? 花瀬さんすごく方言は難しかったです。あのセリフに関しては、鈴芽があんなに早く実践するとは思っていなくて(笑)。近い年齢ながら「そんなにすぐ行けるんだ!」って思いました。新海監督聞いた直後に行きましたからね(笑)。 花瀬さんすぐ行っていたんで、素晴らしいなって(笑)。 新海監督菜乃華さん的には同じ疑問を抱きましたか? そんなにすぐは行かないだろうって。 原さんそうですね。わりと鈴芽は積極的なんだと思いながら観ていました(笑)。 花瀬さん好きなシーンです。 新海監督千果役は鈴芽と同じ年代ということで、鈴芽の普段と違うお芝居が、千果と話していると出ているのが感じられて良かったと思いました。 花瀬さんありがとうございます。 MC最後に皆さんを代表して、原さんと松村さんからメッセージをお願いします。 原さん本日はお越しいただき本当にありがとうございました。この「すずめの戸締まり」という作品は、私自身、一観客としても、出演者の一人としても、本当に大好きで、宝物のような作品です。自信を持って、誰が観ても絶対に楽しんでもらえると言い切れる、そんな素晴らしい作品に出会えたことを誇りに思います。本当にすごい作品を作ってくださってありがとうございました。 新海監督こちらこそです。 松村さん鈴芽がたくさんの人物と出会って、メッセージや苦労、歴史みたいなものを抱えていることを知って、ロードムービーが進んでいきます。最後、この作品自体がメッセージを抱えているんですが、…きっと全国で、今もそのメッセージやたくさんのものを受け取ってもらっているんじゃないかと思います。僕自身がそうだったので、そんな風に予想しています。今思っていることが、明日には変わっているような作品だし、人に話せば話すほど、どんどん変わっていくような作品だと思います。この作品は、一回観たら、観るたびに愛し方が変わり、ずっと仲良くしていけるような作品だと思います。一回観たという縁を宝物のようにぜひ思っていただけたらと思います。そして、「すずめの戸締まり」は今日が旅立ちの日です。せっかくなので、鈴芽さん、あの言葉を聞かせてもらっても良いですか? 原さん「行ってきます!」ありがとうございました。
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「すずめの戸締まり」大ヒット舞台挨拶「すずめの戸締まり」公式サイト「君の名は。」(2016年公開/主演:神木隆之介・上白石萌音)「天気の子」(2019年公開/主演:醍醐虎汰朗・森七菜)に続く新海誠監督三年ぶりとなる最新作「すずめの戸締まり」が11月11日より公開となり、17日までの7日間で興行収入27.7億円、観客動員数200万人を突破する大ヒットを記録しています。11月18日には東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで大ヒット舞台挨拶が開催され、原菜乃華さん、松村北斗さん、新海誠監督が登壇しました。日本全国から届いた本作への熱い感想をつづったメッセージボードを背景に、全国343館に向けた生中継舞台挨拶に臨みました。こちらのイベントの模様を詳しくレポートいたします!大ヒット舞台挨拶新海誠監督岩戸鈴芽役原菜乃華さん宗像草太役松村北斗さん新海監督六本木の皆さん、お越しいただき本当にありがとうございました。そして(中継)カメラの向こう、スクリーンの向こうにいらっしゃる全国の皆さん、僕の地元の長野県の皆さんも観ていらっしゃると思います。今日は楽しい時間にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 原さん本日はお越しいただき、本当にありがとうございます。全国343ものスクリーンで、たくさんの方が「すずめの戸締まり」を楽しみに観に来てくださっていることがすごく嬉しいです。 松村さん343というとすごい数字ですし、皆さんの上映前の大切な時間をいただくので、この後に上映される「すずめの戸締まり」がもっとワクワクするような、そういう時間にできたらと思います。僕の地元の静岡でも(中継を)観ていると思うと、嬉しいです。もちろん343スクリーン、全ての皆さんのために楽しい、ワクワクする時間にしたいと思います。 MC嬉しいニュースが入ってきています。公開されてからまだ7日ですが、この7日間でなんと全国200万人の方に本作をご覧いただきました。 新海監督200万という数字は、ちょっと信じられない数字ですね。僕が昔アニメーション映画を作り始めた時、50人で満員になる映画館で上映したんですね。50人の方に拍手をいただいただけで、人生が変わったような感じでした。それが、200万というのは、言葉にならないですね。隣を見ちゃうな(笑)。200万人という数字はどうですか?(原さん、松村さんの方を見る)松村さん200万というと、皆さんが今、手に持っている(入場者プレゼントの冊子)「新海誠本」が300万名様限定なので、いよいよ在庫切れが見えてきています。 原さん「新海誠本」すごく濃い内容なので、皆さんに手に取ってもらいたいです。それに、プラスで作ってもらいたいですね。 MC「新海誠本」の増刷希望が入りました(笑)。さて、本日は皆さんの後ろに、何やら幕がかかったものがあります。早速オープンしてみましょう! ■ベールが外されると、熱い感想がつづられたメッセージボードがお目見えしました。登壇者の皆さんから「おー!」と驚きの声、会場からは拍手が上がりました。 MCこれまでに本作をご覧になった皆さんからの感想をお届けしたく、このようなメッセージボードをご用意いたしました。ぜひじっくりとご覧ください。 ■登壇者の皆さん、メッセージボードの感想に見入る。 原さん「ポテトサラダ気になる…」という感想があります(笑)。新海監督「顔面と声が良いお兄さん二人も」という感想も。 松村さんこれなんて、作品の大事なことじゃないですか。「何気ない『行ってきます』の言葉にも重みを感じました」と書かれています。 新海監督そうですね。「圧巻だった」とか「ありがとう」とか、こういった短い言葉にもちょっと泣きそうになります。嬉しいです。 松村さんあ、僕と同じ感想が! 「エンドロールの時に、この映画を作ってくれてありがとうと本当に思った」これは、分かりますね。新海監督嬉しいなあ。「もう一回観たいけど、ものすごい体力使う」という感想も…。すみません、何か…。(登壇者の皆さん:笑)。 松村さんでも、もう一回観たくなるんですよね。 新海監督これも嬉しいですね。「監督はどうしてこうも毎回等身大のヒロイン感半端ない女の子を見つけられるんだろうか」と書いてあります。原さんありがたいです。新海監督の演出のおかげです。 新海監督いえいえ、とんでもないです。 松村さん語彙力を失っている方がいますよ。「もう好き、全部好き」って! 原さん分かります! 松村さん分かりますね。 原さん「今、現在を精一杯生きなきゃと思わせてくれる映画でした」という感想もあります。シンプルだけど、すごく素敵な言葉ですね。 新海監督せっかくですので、ここにいらっしゃる皆さんにお伺いしたいんですが…。「今日これから本作を初めて観る」という方はどれくらいいらっしゃるんでしょうか?(手を挙げた人は少数) ということは、二回以上観たという方が多いということですよね。ありがとうございます。「三回以上観たよ」という方もいらっしゃるんでしょうか。(あちこちから手が挙がる) ありがとうございます。嬉しいですね。 松村さんうわあ…すごい! 新海監督ありがとうございます。 MC原さん、松村さんに、周りの方からは反響が届いていますか? 原さん今までお世話になった先輩方や友だちもみんな、「本当に面白かったし、もう一回観たくなる作品だった」と言ってくれました。普段はアニメーションをあまり観ない方も「『すずめの戸締まり』は本当に面白かった」と言ってくれて、みんなにとってすごく特別な作品になっているんだと肌で感じて、とても嬉しい瞬間でした。 松村さんこの六本木の会場もそうですが、客席を見ると、男性から女性、お父さんお母さんお子さんまでいて、343のスクリーンがきっとそういう状況なんじゃないかと思います。昨日、おとといと、神戸、大阪を周り、自分で劇場に足を運んで感じたのは、いろいろな世代、いろいろな育ち方をしてきた方が、映画を観終わった後に皆さん同じような顔をされていました。何よりもそれが、言葉を超えた反響かなと感じています。きっと皆さんも、上映が終わった後には隣の人と同じ顔をしているんじゃないかと思います。 MC劇中では鈴芽と草太が全国を旅していますが、松村さんが今おっしゃったように、皆さんも神戸、大阪に行かれたんですよね。 新海監督そうなんです。全国キャンペーンの最初ということで、まずは関西にお邪魔しました。新幹線に乗って、鈴芽と同じルートで神戸駅に行きました。劇中にも神戸駅が出てくるんですが、(鈴芽たちと)同じホームに降り立って、新幹線の改札を出たらびっくりしましたよね。 松村さん驚きましたね。 原さん「すずめの戸締まり」のスタンディ(宣伝用のパネル)があったんですよね。 新海監督改札を出たところに置いてあって、思わず三人で写真を撮りました(笑)。神戸駅の駅長さんが大変(本作を)気に入ってくださったということでした。鈴芽とあるキャラクターが駅前で抱き合うシーンがあるんですが、そのシーンに合わせて飾ってある花の色も変えてくださっていました。現実と本作が混じったような感じがして、幸せでしたね。 松村さんすごい瞬間ですよね。 新海監督お二人の思い出はありますか? 松村さん今回はそうやって写真を撮ったり、劇場に駆けつけたりしました。過去に仕事などで訪れていた地とはいえ、「すずめの戸締まり」で訪れるとまた全然違う雰囲気がありました。(劇場で)皆さんの表情が見られたこともあり、すごく新鮮な気持ちがしました。 新海監督舞台挨拶をみんなで一緒にやっていると、菜乃華さんをじっと見ているお客さんとか、北斗くんをずっと見つめているお客さんとか、本当にすごく小さなお客さんもいました。一生懸命に手を挙げて質問していましたよね。 原さん緊張して、なかなか言いたいことがうまく言い出せなかった小さなお子さんに、松村さんが素敵なフォローをされていました。監督と「素敵だね」とお話をしていました。 新海監督(小さなお子さんが)なかなかしゃべれなかった時に、(松村さんが)「なんて素敵な待ち時間なんだろう」とおっしゃって。「さすがだな!」と思いました。 松村さん(照笑)。新海さんの紳士ぶりを受け継いで、ちょっと真似をしようと思ったところが大きいです。 新海監督いやいやいや…(照笑)。でも本当に、いろいろな劇場の方々がこの作品を届けてくださっているんだと、劇場に入った瞬間に分かりますよね。劇場の方の手作りのものが、たくさん飾ってあったりして…。 原さん似顔絵とかも、すごかったですね。 新海監督僕たちの滞在時間は一瞬なのに、何日もかけて作ってくれたんだと思います。 松村さん地元の中学生の方が描いてくれた絵も飾ってありましたね。(原さんの方を見ながら)写真を撮る手が止まらなかったですね。 原さん写真、止まらなかったです。 新海監督関西だけではなく、僕たちはこれからいろいろな場所に行きます。お二人が一緒の場合もあるし、僕が一人で行く場合もありますが、まずは静岡、名古屋にお邪魔して日本全国に行きます。(中継)カメラの向こうにいらっしゃる方とも、もしかしたら直接お目にかかれるかもしれませんね。楽しみです。 原さん&松村さん楽しみですね。 松村さん反響によっては、行く場所が増えていく可能性も…なくはないですよね? 増えてほしいですね。 原さんそうですね。 MCお客さんの盛り上がり次第かもしれませんね。こうしてプロモーションをやっていると、オーディションが懐かしく思われますね。 新海監督そうですね。メディアなどで「原菜乃華、松村北斗、アニメーション声優初挑戦」と書かれることがあるんです。それはもちろん嬉しいんですが、「そうじゃないんだよな」と思うこともあります。僕は二人の初挑戦がほしかったわけでも、初めての人がほしかったわけでもありません。僕は二人がほしかったんですよね。菜乃華さんと北斗くんに、鈴芽と草太をやっていただけることが、この作品にとって、とても重要でした。本当にガチでオーディションで選んだので、いろいろな人と戦っていただいて、選ばせていただいたんです。技術がうまいとか、芝居ができるとか、そういうことも大事なことではあるんですが、やはりうまいだけでは面白い作品にならないんですよね。そうではなくて、鈴芽と草太のように不安を抱え、「自分で良いのだろうか」と悩みながら、なんとか作品を完成まで導いて、(作品を)作り終わった後も一緒に届けてくれる人がほしかった。そういう人たちがこの二人なんだということを、オーディションを通じて感じました。そして、アフレコを二カ月くらいやってきましたね。原さん私は合格発表がサプライズ発表だったんですが、とにかく頭の中が真っ白になってしまいました。もちろんすごく嬉しい気持ちもあったんですが、それ以上にやっぱり不安や重圧みたいなものが一気に押し寄せてきて…。立っていられないと思って、その気持ちは一旦扉に閉じ込めて、アフレコに向けて練習をして、台本を開いていた日々でしたね。 新海監督北斗くんも不安そうだったよね。 松村さんはい。もう隠すことなく、不安を出しましたね。あの一番不安だった瞬間に「もしこれを聞いたらすごく安心しただろうな」と思うのは、最近新海さんが話してくれた言葉です。オーディションで僕らを見つけたのは、「子どもを見つけるよう」という言葉が、すごく温かくて、いまさらながら安心しました。 新海監督もっと早く言えば良かったね(笑)。脚本、セリフも全部僕が書いたものなので、子どものようなものなんです。(オーディションで)1000人の候補がいたとしても、(芝居を)聞いてすぐに分かるんですよね。自分の子どもであれば見分けられるように、見分けることができる。これが他人の作品だったら、きっと僕はそういう目は全然ないと思います(苦笑)。でも、自分のものだと「この人たちは、僕たちの作品にとって大事な人だ」というのが最初にすぐに分かりました。アフレコのお話になったところですし、今日はせっかくこの場に皆さんがいらっしゃるので、久しぶりにアフレコをやりませんか? 松村さん覚悟はしていました(苦笑)。 原さんはい(苦笑)。 新海監督おとといぐらいに、急遽、台本を書いたので…。 松村さん届きました、突然。おとといの夜、突然データが送られてきて…。「台本!?」と驚きました。「もう公開しているのに!」って。 新海監督じゃあ、やりましょう! ■マイクスタンドや台本が運び込まれ、生アフレコの場が用意される。 松村さんちょっと落ち着かないので、実際にアフレコをやっていた時の立ち位置に変えても良いですか? 新海監督そうしましょう。ここがアフレコスタジオだとすると、こういう並びですね。 ■ステージをアフレコスタジオに見立てて、ステージから見て一番右手に新海監督、真ん中に松村さん、左に原さんが並びました。 MC会場の皆さんは「何が起きているんだ」「まさかやってくれるのか」という気持ちだと思います。これはなかなか見られない、貴重なものになると思います。 新海監督これは、どうしてこの立ち位置なんですか? 松村さんそういえば、理由はなかったですね。同じ日にクランクインして、二本のマイクが並んでいて、 お互いに直感でこう並んだ感じでしたね。僕、驚いたことがあるんですが、アフレコが進んでいく途中で新たなポスタービジュアルが出たじゃないですか。そのポスターの鈴芽と草太は、この(アフレコ現場と同じ)並びだったんです。新海監督確かにそうですね。もしかしたら、僕の中にそのイメージがあったのかな。 原さんこの並びはしっくりきます。 新海監督アフレコスタジオだと二人の目の前に大きなスクリーンがあって、絵に合わせて二人がお芝居をするんです。ここには(監督とキャスト二人の間には)分厚いガラスがあって…。僕はスタッフと一緒に、コンソール(コンピュータの制御卓)越しに二人に指示を出しているんです。ですので、芝居をしている時の二人のお顔というのは、僕からは見えないんです。今日は皆さん、お得だと思います。僕も一緒にそっちで(生アフレコを)見たいくらいです(笑)。 松村さんアフレコ中、誰にも顔を見られたことないですもんね。 原さん恥ずかしいですね。松村さん(アフレコ現場では)一つ終わると、僕が一歩引いて二人で新海監督の方を見ていました。 新海監督不安そうな目でこっちを見ていましたね(笑)。 MC今から披露されるシーンは、どのような場面になりますか? 新海監督これから初めて映画を観る方もいるので、ネタバレにならないように、詳しい解説はしません。ただ草太という青年は“閉じ師”という役割を持った青年で、扉を閉じなければいけないわけです。扉からあるものが出てくるので、草太が扉をグーっと力を入れて閉めようとしているところからスタートします。それを助けるために鈴芽が遠くから駆け込んでくるという流れになります。ちょっと短いシークエンス(シーン)ですが、じゃあ行きましょうか。準備は大丈夫ですか? 原さん&松村さんはい! 新海監督3、2、1、キュー! ■生アフレコがスタート! 松村さんううっ…くっ…。 原さん草太さん! 松村さん君は死ぬのが怖くないのか! 原さん怖くない! 松村さんかけまくもかしこきヒミズの神よ。遠つ御祖のうぶすなよ。久しく拝領つかまつったこの山河、かしこみかしこみ、つつしんで…今だ! 原さんお返しします! ■熱のこもった演技に会場から大きな拍手が上がる。 新海監督ありがとう! とっても素敵でした。これをひたすら二カ月間やってきましたよね。 松村さんいやあ…これだけの方に見られていると、全然上手にできませんでした…。 原さんそうですね。どんな感じだったか分からなくなりますね(苦笑)。 新海監督いやいやいや、とても素敵でしたよ。こういう風にやりながら、たとえば「怖くない!」という言葉は、「菜乃華さん、裏声になっても良いから、もう一つトーンを上げてみましょうか」というオーダーを出しましたね。あるいは「かけまくも」の最初の「か」は「もっと苦しそうに行きましょうか」とか、何度も何度も話し合いながら繰り返していきましたね。 松村さんこの中に、オーディションにあったセリフもありますね。苦しかったこともいっぱい思い出します。それでもやってこられたのは、新海さんがものすごく的確かつ、温かく人間を包み込むようなディレクションをしてくれたからです。それが全てですね。 新海監督いえいえいえ。「もう少しこういう風に言ってみて」とか、「もう少し暗く」「明るく」など、二人のいろいろな扉を開け閉めして「これかな?違うかな?」みたいな感じで、たくさん扉を開けさせていただきました。だから、疲れたんじゃないかと思います。 松村さん必ず褒めてくれるんですよね。 原さん細かくシーンを割って録っていくんですが、そのブロックが終わるごとに、(新海監督が)「すごくすてきなお芝居でした。ありがとう」と言ってくれるんです。お芝居をして、一日に何回も「ありがとう」と言ってくださるので、「こちらこそありがとうございます」という気持ちでした。 新海監督こちらこそありがとうございました。 MC公開後にアフレコをやるとは全く思っていなかったと思います。 松村さん本当ですよ。もう上映してるのに…(苦笑)。 原さんうまくできるか不安でした。 松村さんでも、これで少しでも皆さんがこの後の上映を楽しみにしていただけたら嬉しいです。 MCアフレコの立ち位置が決まっているというのも、面白いですね。 松村さんそうですね。一度も変えませんでしたね。 新海監督そうですね。一度違う立ち位置でやろうとしたら、すごくやりにくそうでした。「変えて良いですか」と言われました。 松村さんやりましたね。 新海監督「そうか、そういえば決まっていたな」と、その時に初めて自覚しました。 松村さんたしか、その時は違うスタジオでやったんでしたっけ。流れで(いつもとは違う立ち位置のまま)スタジオに入って、違和感を覚えました。「もしかして逆ですかね」という話をしましたね。 新海監督あと、このメッセージボードにもドライブシーンのことや、「顔の良い男二人」というコメントなど、芹澤のことが結構書いてあるんですよね。みんな芹澤のことが好きなんだなと思って、嬉しいです。芹澤を演じている神木隆之介くんと北斗くんは、お友だちだったりするんですよね。原さんは、(神木さんと)一緒にお芝居をしたのは初めてでしたね。いかがでしたか? 原さん本当に優しかったです。すごく緊張したんですが、まず最初に「『君の名は。』が大好きです」とお伝えしました。お芝居のアドバイスをいただいたり、たくさん勉強をさせていただきました。好きなアニメーションの話など、オススメを教えていただいたりもしました。 新海監督北斗くんは、実は今回、一度も一緒に芝居はしていないんだよね。 松村さんそうなんですよね。実はつい三日くらい前に、偶然同じスタジオにいて、お会いしました。忙しくて、まだ本編を観に行けていないらしいんですが、自分が演じた芹澤を不安そうに「大丈夫だったかな」「あれで良かったのかな」と心配されていました。 新海監督神木くんらしい(笑)。数日前に神木くんが会いに来てくれました。僕も実は、本作が公開されてから、ずっと不安で怖くて怖くて、あまり眠れない日々が続いているんですが、一人で居酒屋のカウンターで飲んでいたら、(神木さんから)「監督は今、何をしているんですか?」というLINEのやり取りがありました。「一人なんですか? 今から行きますよ」って…。カウンターで横に座りながら、「すずめ」の話をしました(笑)。これから観る方には、芹澤というキャラクターも楽しみにしていただければと思います。神木くんとちょっと重なるところがあって、押し付けがましくなく、それでいて包み込むようなものを持っている面白いキャラクターです。 MCそれでは、最後のメッセージをお願いします。 新海監督これから二時間の映画を観る前に、長い時間お付き合いいただき本当にありがとうございました。映画を楽しんでいただければ良いなと思います。この映画は、RADWIMPSの野田洋次郎さんからもらった曲(カナタハルカ)の歌詞にある「僕にはないものでできてる 君がこの僕を形作ってる」、そういう映画のような気がしています。ここにいる二人の素晴らしいキャストもそうですが、素晴らしいアニメーターたち、ビジュアルを作ってくれた人、音楽を作ってくれた人たち…。そういった僕じゃない人たちの力で、出来上がった作品です。僕じゃないものの中には、本作を観てくださる皆さんも含まれていると僕は勝手に思っています。ずっと映画を作ってきて、「次はこういうものを観たい」という言葉が皆さんから聞こえてきたような気がして、「すずめの戸締まり」を作ったような気がしています。気に入っていただけたら、「この作品は私も作るのにちょっと手を貸したんだよ」みたいな気持ちでまた応援していただければ、とても嬉しいです。 松村さんまずはこの後の上映をぜひ、楽しんでください。改めて映画「すずめの戸締まり」が、このスクリーンから皆さんの元へと旅立ちます。「行こう、鈴芽さん!」 原さん「行ってきます!」(会場:拍手)
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『スペースアドベンチャー コブラ』復刻版劇場パンフレット&復刻版チラシの特別セット発売のお知らせSFアニメーション映画『スペースアドベンチャー コブラ』の公開40周年を記念して、12月2日(金)より本作の4K特別上映を2週間限定で実施いたします。 本上映に合わせて『スペースアドベンチャー コブラ』の復刻版劇場パンフレットを上映劇場にて数量限定で発売決定! 1982年公開当時の劇場パンフレットを完全復刻!さらに、特典として公開当時の復刻チラシがついてくる、『コブラ』ファンなら垂涎の特別セットで販売いたします!劇場にお越しの際は是非チェックしてください!※画像はイメージです。実際の商品とは異なる場合がございます。価格:880円(税込)/A4サイズ/20ページ + 復刻版チラシ 発売日:2022年12月2日(金)© BUICHI_TERASAWA/ART_TEKNIKA・TMS東宝株式会社 映像事業部