開発現場の裏側――TOHOシネマズのポップコーン【後編】

開発現場の裏側――TOHOシネマズのポップコーン【後編】

2026年09月15日

TOHOシネマズのコンセッション(売店)で、ついつい欲しくなるポップコーン。食べ始めると止まらない塩味やキャラメル味、そして意外な組み合わせに驚く限定フレーバー……。そうした「映画館ならではのおいしさ」を裏側で支えているのが、   TOHOシネマズの商品開発チームです。
今回は、チームメンバーの皆さんに、特別なおいしさが生まれるまでの試行錯誤と、一粒一粒に込められた想いをたっぷりと語ってもらいました。

TOHOシネマズ株式会社 営業本部 商品開発部の皆さん(左から、清水 敦さん、柳原 圭宏さん、筒井 忠さん、堀越 厚さん、稲穗辰臣さん)

ずっとポップコーンと一緒! 商品開発チームメンバーの素顔

――皆さんのキャリアと、ポップコーンとの関わりを教えてください。

清水:商品開発部に着任したのは2007年ですが、TOHOシネマズのポップコーンが誕生した当初から、原材料の買い付けなどに携わってきました。現在は部長として、商品開発全体を見ています。

筒井:映画館の仕事に携わって35年目になります。劇場支配人やスーパーバイザーなどを経て、5年ほど前から飲食商品開発室に所属し、現在は室長を務めています。人生の半分以上を映画館で、ポップコーンとともに過ごしてきました。まさに「人生の一部」です。

堀越:2025年11月に、この部署へ異動してきました。それまでは劇場で働き、キャリアの半分以上を飲食売店の担当として過ごしてきました。現在は飲食商品開発室のマネージャーとして、劇場で培った販売側の目線を、商品開発に生かしたいと思っています。

柳原:ポップコーンボックスやドリンクカップ、コラボ商品の企画・販売に携わっています。劇場勤務時代は飲食売店を長く担当していました。社内で一番ポップコーンを愛しているのは自分ではないかと感じるほど、商品へ思い入れは人一倍あります。

稲穗:私はこの部署に来てまだ1年で、新しいフレーバーなどのメニュー開発を担当しています。私も劇場での勤務経験があるのですが、その時に教えられたのは、「看板メニューであるポップコーンは絶対に在庫を切らしてはいけない」ということ。今、開発に携わり、原材料や製法へのこだわりを知るほど、ポップコーンは     TOHOシネマズの真髄だと感じています。

清水さんが好きなポップコーンの楽しみ方は、「バターフレーバーオイルの無料トッピングをプラスすること。心のなかで『もう、そのくらいでやめておきなさい!』と声が聞こえてくるくらいまで(笑)、ひったひたにたっぷりかけるのが、最高においしいです」

おいしさとつくりやすさの両立。現場を知るチームだからこその強み

――ポップコーンの商品開発はどのように行っているのですか?

筒井:商品開発の仕事は、大きく2つあります。一つは、塩味やキャラメル味といった定番商品のブラッシュアップです。
長く愛されてきた味だからこそ、「もっとおいしくできないか」と探究を続けています。原料のコーンや油、塩、キャラメルの調味料などを実際に試食し、「これだ!」と思える素材や配合を探しています。

もう一つは、新しいフレーバーや映画作品と連動した企画商品の開発です。季節やトレンド、公開作品などをきっかけに、「このタイミングなら、どんな味が喜ばれるだろう?」と考え、協業パートナーと一緒にアイデアを形にしていきます。味づくりの中心を担うのは稲穗ですが、メンバー全員で意見を出し、味をブラッシュアップしています。

清水:商品開発においては、おいしさはもちろん、劇場でのオペレーションも重要です。「どのスタッフでも同じおいしさで、スムーズにつくれるか?」といった点を検証しながら商品化を進めます。メンバー全員が劇場での製造・販売を経験しているので、その意見はとても役立ちます。

筒井さんが好きなポップコーンの楽しみ方は、「塩味とキャラメル味のハーフ&ハーフを購入したら、あえて中央の仕切りを抜いて、手元を見ずにノールックで食べます。塩か、キャラメルか、両方が混ざるのか……。ワクワクしながらその偶然性を楽しんでいます」

失敗の数だけ究極に近づく。体当たりで挑む、開発の舞台裏

――開発で印象に残っているエピソードを教えてください。

柳原:新しい味を開発していた時のことです。釜でポップコーンを炊くので煙はいつも出るのですが、その時はいつも以上に煙が出てしまい、全員の目が真っ赤になりました……(笑)。それでも誰一人として妥協せず、煙に負けず試作を続けました。味だけでなく、劇場で煙を抑えて調理できるよう、機能性を高めるための試行錯誤でもありましたね。

稲穗:2025年にキャラメル味をリニューアルしたときのことが忘れられません。どこを食べても濃厚なキャラメルの味わいを楽しんでいただけるよう、フレーバーのキャラメルを200%(当社従来比)に増量することにしました。

ただ、キャラメルを増やすと釜が焦げ付きやすくなるんです。釜が焦げ付きにくいオイル開発にも取り組み、先輩の柳原と2人で、ポップコーンを炊いては掃除して、また炊いて……。ときには1日に50回くらい繰り返していたので、本当に腕がパンパンになりました。
でも、その試行錯誤の甲斐あって、濃厚な味わいと調理のしやすさを両立させたオイルを完成させることができ、とてもうれしかったです。     

筒井:商品開発は、本当にトライ&エラーの連続です。うまくいくより、失敗する方が多いかもしれませんね。それでも妥協しないのは、商品を直接手渡す劇場の仲間たちがいて、その先にはお客様がいるからです。お客様と劇場スタッフへの責任が、商品開発の原動力になっています。

堀越さんが好きなポップコーンの楽しみ方は、「キャラメルポップコーンとコーラのセットが一番。混雑していない時間帯のシアターで、ポップコーンを食べながらゆったり映画を観る時間が何よりも好きです」

SNSの反響、本場の絶賛。やっぱり「おいしい!」が一番うれしい

――商品開発の仕事をしていて、うれしいと感じるのはどんな瞬間ですか?

堀越:お客様の声は励みになりますね。以前、たまたま聴いていたラジオ番組で、TOHOシネマズのポップコーンを大絶賛している話題を耳にして、びっくりしたことがあります。本当にいろいろな方に楽しんでいただけているんだなとうれしくなりました。

柳原:私も同じで、お客様から喜びの声をいただけた時です。今年からUber Eats様とのコラボで「パーティーポップ」の販売を始めたのですが、SNSで「家に届くようになってうれしい」「バターフレーバーオイルまで付いてくるなんて最高!」といった投稿を見かけると、本当に始めてよかったなと胸が熱くなります。

稲穗:自分が手がけたものが誰かの幸せな思い出になっていると実感できることは、一番の喜びですね。

清水:本場の方々に認めてもらえた時も感動しましたね。以前、ポップコーン原料の主要産地である米国ネブラスカ州の農業団体の皆さんが視察にいらしたことがありました。

その際、TOHOシネマズのポップコーンを食べて「これはおいしい!」と本当にうれしそうに完食してくださったんです。本場のプロフェッショナルたちにも自分たちのクオリティが通用したのだと、大きな自信と喜びを感じた忘れられない瞬間です。

柳原さんが好きなポップコーンの楽しみ方は、「まずはポップコーンセット(キャラメル)を購入し、上映前の予告が流れている間に一回食べ切ります。その後、さらに、シネマイクポップコーン※1の北海道濃厚バターしょうゆ味を買って、映画本編を観ながら食べるのがお気に入りです」

映画の後も「ポップコーンおいしかったね」が残るように

――今後どんな価値を届けていきたいと考えていますか?

堀越:今までにないポップコーンの味や、ワクワクするような楽しみ方を皆様にお届けしたいです。ここでしか味わえない「新しいポップコーン体験」を、私たちの手で一からつくり上げていきたいと考えています。

稲穗:お子さん向けの「バースデーポップコーン※2」はもちろん、学生の皆様向けの「放課後ポップコーン※3」など、もっとたくさんのアイデアを形にしていきたいです。一人でも多くの方に、TOHOシネマズのポップコーンのおいしさと楽しさに触れていただける、そんなハッピーなきっかけをどんどん広げていきます。

清水:映画の記憶は、決してスクリーンのなかだけでつくられるものではありません。コンセッションで受け取る香ばしい香り、照明が落とされた劇場のなかで手を伸ばす一粒、帰り道にふと思い出すおいしさ。その一つひとつが、映画館で過ごす時間の大切な一部なんです。「映画と同じくらい、ポップコーンが最高だったね!」と、笑顔で振り返っていただけるような存在でありたいと心から願っています。

稲穗さんが好きなポップコーンの楽しみ方は、「パーティーポップコーンは最大3種類(塩・キャラメル・シネマイク)のフレーバーを自由に選択できます。なかでも、上にキャラメル、下にトリュフバターを重ねるカスタマイズが最高! 絶妙な甘じょっぱさが後を引き、一度食べだすと手が止まらなくなります」

※1シネマイクポップコーン…ジャパンフリトレーとの共同プロジェクトのポップコーンの名称
※2 バースデーポップコーン……誕生日を迎える12歳以下(小学生以下)限定で、ミニポップコーンがもらえる期間限定のキャンペーン。
※3 放課後ポップコーン……中学生・高校生限定でミニポップコーンが無料でもらえる期間限定のキャンペーン。現在は終了。

同じテーマで探す

あなたにおすすめの記事

  • 2026年09月08日

    作家が見つけた、舞台にしかない魔法(小説家:小川洋子)

  • 2026年09月08日

    「TOHO-ONE」でエンタメの楽しさを広げたい──事業を越えて挑む!

  • 2026年09月08日

    一粒にかける情熱とこだわり―― TOHOシネマズのポップコーン【前編】

2026年09月08日

作家が見つけた、舞台にしかない魔法(小説家:小川洋子)

2026年09月08日

「TOHO-ONE」でエンタメの楽しさを広げたい──事業を越えて挑む!

2026年09月08日

一粒にかける情熱とこだわり―― TOHOシネマズのポップコーン【前編】