「君のクイズ」公開後“特別御礼”舞台挨拶

2026.06.07
  • 公開後舞台挨拶

公開後“特別御礼”舞台挨拶

小川哲さんのベストセラー小説「君のクイズ」(朝日文庫/朝日新聞出版刊)は、謎解きミステリーと人間ドラマが交錯する極上のエンターテインメント作品。「ハケンアニメ」「沈黙の艦隊」シリーズの吉野耕平監督が共同脚本・監督を務めた実写映画は、5月15日より公開中です。
6月7日、映画「君のクイズ」公開後"特別御礼"舞台挨拶をTOTOシネマズ 六本木ヒルズにて開催し、主演の中村倫也さん、相手役のムロツヨシさんが登壇しました。20年来の親交がある、お二人が自由にフリートークをされ、さらに客席からの質問にもお答えました。
こちらのイベントの模様を詳しくレポートします。

三島玲央役

中村倫也さん

三島玲央役

坂田泰彦役

ムロツヨシさん

坂田泰彦役

MC

ありがたいことに本作は、全国の劇場でたくさんのお客さんに観ていただいております。そんなお客さんへの感謝の気持ちを込めて、本日この公開後特別御礼舞台挨拶を開催しています。
まずは中村倫也さんにご登場してもらいます。

中村さん

本日は、雨の中お越しくださいましてありがとうございます。今日はもうお一方いらっしゃいますので、挨拶もそこそこに(笑)、お戻したいと思います。最後まで楽しんでいってください。

MC

中村さん、早速ですがもう呼んじゃっても良いですかね?

中村さん

彼は、そんなに名前を呼んじゃいけない人なんです?(会場:笑)

MC

ここまでなかなかイベントに登壇していないので……。

中村さん

僕の先輩をヴォルデモート(「ハリーポッター」シリーズのキャラクター名。恐怖のあまり名を口に出すことさえ恐れるようになり、「あの人」などと呼称されている)のよう扱ってくださって…。
ヒーローショーみたいに「せーの」でみんなで呼びましょうか? (会場:笑)

MC

そうですね。中村さんの掛け声に合わせて呼んでもらいましょう。

中村さん

(ヒーローショーの司会のような口調で)じゃあ、みんな声を出せるかな? 一緒にお兄さんを呼ぼう!

会場のお客さん

は~い!

中村さん

じゃあ、せーの! ムロさーん!

会場のお客さん

ムロさーん!

ムロさん

ありがとうございます。
子ども番組みたいな掛け声でどうしたの?

中村さん

(会場にいた)お子さんたちが目に入ったので、そうしました。

MC

では、ご挨拶をお願いします。

ムロさん

皆さん、本日はお越しいただきありがとうございます。
5月15日に公開しました「君のクイズ」。私、ちょっと離れたところにおりまして、舞台挨拶の協力が全然できていませんでした。やっと夢が叶ったというか…「どうしても中村倫也と舞台挨拶を!」と、私が希望を出しました。もちろん、神木(隆之介)くんや監督がいれば、もっと最高でした。
今日は、皆さんの良い思い出になりますように、ちょっと一回ギアを入れます。「下のギアになっているな」と思ったんで、ちょっと上のギアに入れ直しますね。突然ギアが入ります! カチっで入ります!(会場:笑)

中村さん

気をつけてください。ギアは一個しかないんですか?

ムロさん

1個です。ちょっと入りますが、気にしないでよろしくお願いします。

MC

お二人にご登壇いただいたところで、ここからの進行なんですが、本日はもう全てお二人にお任せしようと思います。30分間、フリートークでご自由にお話してください。(会場:歓迎の拍手)

中村さん

こんなことは、まずないですよ。メディアの方もいるのに、すごいことをしますね。

ムロさん

本当だよ!

MC

お二人だけでお話ししてもらうのが正解だと、宣伝担当として判断しました。

中村さん

それは言ったもん勝ちじゃねぇか?

■ステージ上(ムロさんの席の近く)に、テーブルが運ばれる。

ムロさん

ここにいろいろなものを置いて、後はお任せ?

MC

そうですね。遊び道具やクイズボタンも置いていますので、ご自由にお使いください。

ムロさん

時間を守りませんよ。(会場:笑)

中村さん

そうですよ。

MC

私は、舞台から降りますが、(ステージ正面の)あそこで時間だけはきっちり管理させていただきます。

ムロさん

そりゃそうだよね。

MC

「残り15分」とか、「10分」とか、「もう無理です」とかカンペを出しますので。(会場:笑)

ムロさん

サッカーの試合もロスタイムは長いですよね。

中村さん

ロスタイムは7分あります。

MC

本当にダメな時は、私が割って入ります!

ムロさん

(笑)。それは見てみたいです!

中村さん

どうやって止めるんだろう?

MC

ですので、ここからは良い感じでお願いします。

ムロさん

良い感じですね…。
(すぐにテーブル前へ移動して)どうしますか? 中村さん。何かいろいろと用意していただいていますけれども?

中村さん

(ムロさんに)こういう状況に慣れすぎていません?! そんなにスッといけます?

ムロさん

いや、私の席がこちら側だから目に入ったんだよね。

中村さん

まあ、一旦座りましょうよ。

ムロさん

分かりました。
一旦どんな舞台挨拶だと、皆さんの梅雨入り初日の思い出になるかね。

中村さん

もう梅雨入りと言って良いんですか?

ムロさん

今日から梅雨入りですよね。

中村さん

ほら、本当に慣れた感じでフリートークをしているのが、自分でも怖い。
僕は、いろいろ宣伝とか、こういったイベントに登壇していろいろと話をしてきたんですが、ムロさんは本作のお客さんの前で話すのは?

ムロさん

初めてです。
これまでは、完成披露と初日舞台挨拶で一方的に映像を送りつけています。

中村さん

カメラアングルで遊ぶムロさんをいっぱい見ました。

ムロさん

皆さんがどんな反応されているのか、分からないまま、やっていました。

中村さん

ああいうの、怖いですよね?

ムロさん

ああいうの、怖いね!
でも、やっと力添えじゃないですが、「何かできることはないだろうか?」ということで……。

中村さん

ありがとうございます。

ムロさん

そんな気持ちで挑んでいますが、中村さんから見て、何か私にやれることがあれば…。何か聞いていただいても良いですし……。

中村さん

僕も、オフィシャルパンフレットくらいのことしか、ムロさんのインタビューを読んだことがないです。

ムロさん

ああそうか。本作に関しては、取材も基本なかったからね。一緒にハンバーグとピザを食べたくらいですか?

中村さん

食べましたね。アレ、おいしかったですね。
だから、ムロさんが本作を観た感想とか、坂田を演じる上でどういうことを大事にしたのかを聞きたいです。

ムロさん

私、ぶっちゃけて言いますと、取材とかの前に完成した作品を観る機会として、関係者の皆さんが観る会・マスコミ試写会とかがあるんです。でも、私スケジュールの都合で全部参加できなかったんです。
正直、他の作品に入っていたので、DVDなどの映像記録を自分のタイミングで観るやつも、今回観なかったんですよ。

中村さん

え、まだ本作を観てないんですか?

ムロさん

だから「最初はお客さんと一緒に観たい!」と思いまして…。(立ち上がる)

中村さん

立ったぜ(笑)。

ムロさん

私が戻ってきた次の日、5月30日に東京で一番混んでいる上映回を選んで、「あったぜ!」と、スマホ画面で黒くなっている一番後ろの席を押して、一人で観に行きました。
なぜテレビとかパソコンで観なかったかと言いますと、吉野監督の演出は、……まあ、どの監督さんの作品もそうなんですが、スクリーンの間だったり、テンポだったりを大事にされているんですよ。だから、「お客さんと一緒に最初に観られるこんな機会はない!」と思いまして…。観たら、「もうなんて良い映画なんだ!」と…。(会場:拍手)

中村さん

良かった!

ムロさん

こういう演出、こういう画面、クイズ番組を通した、クイズプレイヤーの皆さんの思考とか、過去のグラフィック。過去の時間軸との変更するところとか、台本で観る時よりも、またちょっと違っているじゃないですか。そこに、まず感動!
台本から本作に入った役者として、そこに感動したし、途中から「ようしゃべる嫌なやつ」が出てくるじゃない?

中村さん

くせ毛の!

ムロさん

そう。衣装合わせの時に「今回は伸ばしましょう」って言われて、今回はくせ毛を伸ばしました。(支度をしながら、髪を)「すげぇ、伸ばされてんな」と思いながらやっていました。(会場:笑)

中村さん

(笑)。

ムロさん

観る前に、僕みたいなタイプだと説得力がなくなってしまいますからね。感想としては、中村倫也と神木隆之介の邪魔と言いますか、違和感を作る役割ができたことに、本当に多幸感を感じました。
みんながイライラしている感じとか、やっぱりいいですよね。

中村さん

感じていました?

ムロさん

観ている時にも感じましたし、誰も僕に気づいていなかったんですね。
帰りの出口のところで、目の前にいらした若いご夫婦かカップルの男性が、「ムロツヨシ、むかつくな」と言って帰られていました。ありがとうございます!

中村さん

それは、役者冥利に尽きますねー。

ムロさん

今回、役者冥利に尽きます! そういう感想がありましたね。

中村さん

えー、すごいっすよね。今まで、イベントとかに音声とか映像を送ってくれたわけじゃないですか? でも、その時はまだ本作を観ていなかったってことでしょ?

ムロさん

そうなんです。
もし、取材があればちゃんと観ますよ。お仕事ですから! でも、今回はどうしてもいろいろと重なってしまって、話し合いの結果、今回は取材ができないことになりました。
僕は、お客さんと一緒に観られたんですが、いままで、お客さんと一緒に最初に作品を観たのは、この作品が初めてだったんです!

中村さん

え。自分が出ている作品を、映画館で普通に観たりしていたんですか。

ムロさん

それはもう。でも、取材がある時はゼロ号・初号試写会とかマスコミ試写会で観ているので、(映画館で観る時は)すでに話は知っているんですがね。

中村さん

自分が出ている作品を映画館に観に行くことはないな!

ムロさん

(驚き過ぎて言葉につまる)え。自分が出ている作品、え、お……お客さんと観ないの?

中村さん

すみません。今ね、回線が混雑したみたいです。(会場:笑)
試写では観ますが、公開してからお客さんに混じって観るということはしたことないです。

ムロさん

観た方が良いよ。

中村さん

でも、怖くないですか?

ムロさん

怖い! 一人だけすごく汗をかいている!

中村さん

そうだよね。

ムロさん

脇とかにすごく汗をかいている。(映画を観ながら)「もうすぐ坂田が出てくる」って思いながら、緊張しましたよ。副調整室から「それ、良いね!」って出てきて…。でも、そっからの展開を自分は知っているじゃん。「うわっ、この後すげーしゃべっている」って思って…。

中村さん

(笑)。あれね、途中で僕が「坂田さんを呼んでください!」って言うんだよね。
今回、ムロさんとご一緒して、いろいろと刺激的でしたが、一番うれしかったのは、あの降りてきてから、ずっと撮影が長回しだったことですね。

ムロさん

ありがとうございます。
長回しでしたね。

中村さん

台本のページも結構あるし、芝居をしている尺も10分弱くらいはあるじゃないですか。

ムロさん

それくらいの尺があるのに、観覧席に役者さん全員揃った中でやるので、相当緊張しましたね。
カメラも、劇中のクイズ番組のカメラもあるし、その後ろには本作用のカメラもあって…。

中村さん

「あのシーンをやる前に、久しぶりに家で練習した」って何かで読んで「良かった」って思いました。

ムロさん

(笑)。あれ、本読みの時に吉野監督から、「ムロさん、すみません。早口で、よどみなくやれますか?」って言われてね。頑張って早口でよどみなくやったさ。で、そのまま読み終わってから…、ってことは、「本番も早口でよどみなくやんなきゃいけないんだな?」っていう監督からのメッセージを受け取ったのね。さすがに、あのテンポとあのスピードに、自分なりの解釈も入れるためにいろいろと練習しましたよ。練習量は、ここ数作品の中で一番多かったんじゃないかな。

中村さん

観覧の人がいて、演劇みたいな感じでしたもんね。

ムロさん

そうですね。
監督からは、「この時は立ってほしい」とかの指示もあったし…。
その目の前に、(中村さんとは)20年くらいの付き合いになるんですってね。

中村さん

うん、そうですよ。

ムロさん

20年来の付き合いの…。

中村さん

(ムロさんの動きを見て)老けた?

ムロさん

何でなんで?

中村さん

(ムロさんの少し腰をかがめた動きを真似しながら)「20年来の付き合いなんですってね」…じゃないですよ。(会場:笑)

ムロさん

(笑)。
二人は、クイズプレイヤーとしてではないけれども、ある意味対峙している役なので、よくふざけてコメントはしましたけれど、しびれましたよ。しかも、あれは演劇とは違う独特のステージ上での心理戦ですよね。

中村さん

そうですね。剣で差し合うじゃないですが、言葉の端々が一個一個鋭利で、それを飛ばしあう。

ムロさん

仲良しこよしではなく、「しっかりと台本を成立させる」みたいなところは、しびれましたね。

中村さん

恥ずかしさもありましたけど、刺激的でした。

ムロさん

最初はね、「こんな対峙する役を演じることが実現するんだ!」っていうのがありますから。

中村さん

(監督の)吉野さんとは初めましてですよね? いかがでしたか?

ムロさん

初めましてです。楽しかったです。
(立ち上がり)いろいろなことを「OKです」って言った後に「ムロさん、また違う感じが見たいんですが、良いですか?」って言ってくるの。要は、ダメだとか、すごく細かい演出ではなくて「違う感じも見たいんですけど…」っていうあの言葉が、私の役者をやっている意味の、良いところを突いてくるんですよ。「これをやってほしい」じゃなくて「どんなことをやってくるか見たいんです」みたいなことを言ってくださる。
毎回そうなのかな? 倫也にもそう?

中村さん

僕は、あんまり言われないですよ。

ムロさん

あ、そっちがいいな。そっちの方がカッコ良いな。

中村さん

(笑)。僕は、吉野さんとは四作目ですから。

ムロさん

そうかそうか。

中村さん

逆に言うと、何も言わずに「中村は何かしてくれるのかな?」っていう感じだと思います。

ムロさん

あ、それ素敵です。

中村さん

「超えてきてね」っていう。

ムロさん

あー、それね。そのプレッシャーというか、そういう関係性があるんだ。

中村さん

あと、現場レベル(撮影中)じゃ分かんないけれど、VFXが付いたらすごい情報量で、すごい効果になるじゃないですか。あれは観た時に「うわーっ」て上がる。
それに、絶対にVFXに負けない芝居をやんなきゃいけないっていうのは、吉野組でやる時は常にあります。

ムロさん

良いですね、そのプレッシャーは。
そういう意味でもしびれましたし、個人的な歴史というか、積み重ねのしびれもある現場でしたね。
いやあ、5月 30日に観た時作品が本当に面白かったなぁ。これは良い映画だと思った。

中村さん

僕も、初号で観た時にそう思いました。良かった!

ムロさん

久々に、こんなにみんなからムカつかれる役をやったな。

中村さん

僕は、撮影中ずっとムロさんと神木の顔が、自分の上にのしかかりながら撮影をしていたんで、何ていうか、疲れる。

ムロさん

ああそうだね。その場にいないけどね。

中村さん

重石をずっと乗せられながら頑張る役だったから、予告とかを観ても、未だにあの疲れが身体に蘇ってくるんですよ。

ムロさん

ああ、そう。頭の中に描いているから?

中村さん

そうそう。

ムロさん

あまり言ったらいけないかもしれないけれど、副調整室のシーンの時は、まだそんなに撮影が進んでいなくてさ、グリーンの画面でずっとやっていたから…。

中村さん

僕らもそうですよ。

ムロさん

そうだよね。

中村さん

裏側を話すと、撮影は五日間くらいですか?

ムロさん

俺? 何を言っているんだ?

中村さん

誰よりも先にクランクアップしましたからね。

ムロさん

あ、そうなの? でも、そんな少ない日数じゃないよね? 俺、そんなに少ない期間だった?

中村さん

きっと忙しかったから、コンパクトにしてくれたんだよ。

ムロさん

いや、そういうことじゃないと思う。「君のクイズ」の時は「君のクイズ 」一本に集中して、本当に朝から晩までずっと家で稽古していました。

中村さん

(笑)。やめた方がいいですよ。

ムロさん

…そうか、少なかったか。

中村さん

(テーブルに近づきながら)まあ、フリートークとはいえ、自分たちの話だけしたらつまんないですよね。

ムロさん

そうだね。(中村さんとは逆方向に)俺はこっちを歩いたら良い? (会場:大笑い)

中村さん

何してんの?

ムロさん

いやいや、ステージング!
そっちに歩いていくから、僕がこっちへ歩いたら視覚的に、何か巻き起こるんではないかっていう皆さんの期待を背負っているわけですよ。

中村さん

歌でも歌いますか?(会場:歓声と拍手)

ムロさん

(ハミングで歌う)♪「Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes(52万5600分)」(ミュージカル「RENT」(レント)より「Seasons of Love」の一節/また、「スーパーサラリーマン左江内氏」の撮影現場で、中村さんと賀来さんが歌う同曲にうろ覚えな様子でハモっていた様子をXで福田雄一監督が公開していた)

中村さん

違うだろ! それはあなたは出ていない。僕と賀来賢人くんの「RENT」(2012年上演)。

ムロさん

「RENT」の歌だけど、ふざけているわけじゃないんだよ。俺が歌うと「RENT」の方に失礼だから!

中村さん

僕らでデュエットした曲があるじゃないですか。

ムロさん

え、何それ?(確認しようと慌てた様子で中村さんに近づいて)
有楽町で?

中村さん

そう。国際フォーラムって言えよ!

ムロさん

(笑)。国際フォーラムで歌ったけど、あの歌もうハモれないもん。

中村さん

(椅子に座り)「フル・モンティ」(2014年上演/演出・翻訳・訳詞:福田雄一)って舞台、見たことある人いますか?(会場から手が挙がる)あ、いるよ。

ムロさん

えー!

中村さん

(マルコム役で)僕のお母さんが亡くなったシーンで、僕がちょっとしんみりした歌を歌って悲しんでいると、(ムロさん演じるイーサンが)下ハモリのパートで入ってきてくれて、「大丈夫だよ」って言ってくれる歌があったんです。

ムロさん

忘れましたね。緊張しましたけど。

中村さん

ムロさんのパートは(歌い出す)♪この風は君の声~ ですよ。

ムロさん

(歌い出す)♪この風は君の声~

中村さん

ああ、あの頃と同じくらい音程が合っていない。(会場:笑)

ムロさん

(笑)。だからミュージカル役者を引退したんですよ。

中村さん

引退したんですか?

ムロさん

ミュージカルを目指す若い世代の皆さんに失礼だと思って。
(立ち上がり、演劇調で)僕は、演劇というものは真っしぐらにやります。そこで歌うことはあれど、ミュージカルの世界で歌うなんて、そんな失礼なことはできない。いくら練習したってミュージカルを目指してきた若手の場所を取ってはいけないんだ。

中村さん

街のやばい人みたいになっていますよ(笑)。
(テーブルにあったカードを見ながら)「お客さんからの質問に答えましょう」みたいな札があります。

ムロさん

せっかくですからね。何か質問したい人はいるのかな?

中村さん

こんな急に言われてもね。考えていないから……(手を挙げている人を見つけて)いるよ。じゃ、一番早かったそちらの男性の方。

■急遽、質問タイムが開催。

■中村さんとムロさんは立ち上がり質問を聞く。

質問者1

素敵な映画を観させていただいてありがとうございました。

中村さん、ムロさん

ありがとうございます。

ムロさん

もっと言ってください!

【会場からの質問1】

お二人の仲が良いことは知っているんですが、今回の演技の中で、お二人それぞれが相手の「ここの演技が良かった」というところをそれぞれ聞かせてください。

ムロさん

先ほど話したステージ上の対峙は、一種のエンタメ要素も入っているんです。坂田的には、人に見られている会話なので、追い詰め方や理論を言っているだけなので、少しエンタメが入っているんです。
会話で言ったら、廊下を歩いて帰ろうとしている時に、私が「逃げるんですか?」っていう、あの一連のやり取りです。

中村さん

あれ、超ムカついた。思い出して腹が立ってきた。あの言い方!

ムロさん

あんな言い方になるんだなと思って…。

中村さん

(爆笑)。

ムロさん

あの時の(中村さんの)顔を見た時、ゾクゾクしました。「もっとイラつかせてやりたい」というか、「心理的にイラつかせれば、この人は帰れないだろう」…。

中村さん

そうだね。

ムロさん

「帰るわけにいかなくなるだろう」っていう、僕の役の心理も働いているので、その胸ぐらを掴まれているかのような顔を見た時に、ゾクゾクしました。

質問者1

アドリブとかは?

ムロさん

あ、一切ないです。
言い方とかは毎回変えて、その時の空気に合わせてやっていましたが…。多分それは一番身近で倫也が見ていたと思います。

中村さん

(ムロさんにお水を渡して)僕も同じところです。
本当に僕をイラつかせるのが日本一うまいんですよ。僕は、今回主演として、役者セクションの代表として宣伝で話をしましたが、「ムロさん史上一番のハマり役」だと思っています。それは、作品を通してずっと三島をやっている身としては、さっき言ったように「ずっと重いものを乗せられている感覚」っていうのもあるんです。その中でも一番うまいピックアップするのが、今ムロさんが話していた廊下のところです。今もムカついています。

ムロさん

(笑)。
あのシーンは、「廊下から出てきて追いかけて、全てのセリフが終わるのが、あのドアを出てきたところ」っていうのが、監督からのお願いだったんだよね。

中村さん

あの、ちょっと開ける場所ね。

ムロさん

それが、イラつかせる役なんだけど、セリフ終わりに、指定された場所に行けるように、お互いが歩くスピードを調整しています。

中村さん

カメラさんの動きも含めてね。

ムロさん

カメラさんが追いかけているんだけど、二人がスピードを変えると、カメラマンさんもスピードが変わるので、そこは演劇を一緒にやっていた経験もあったので、ワクワクしましたね。シーンを成立させるためのテクニカルな部分じゃないですけど…。

中村さん

そういうちょっとした呼吸みたいなものだね。

ムロさん

ああいう芝居はワクワクしましたね。

質問者1

ありがとうございます。福岡から来た甲斐がありました。

ムロさん

あら、福岡からありがとうございます。

中村さん

他の方の質問も聞いてみますか?
じゃあ早かった通路二列目の黒い服の方、いこうかな。今の…、黒じゃないのか。

質問者2

ネイビーです。

中村さん

本当に失礼いたしました。

質問者2

ありがとうございます。今日は名古屋から来ました。

ムロさん

ありがとうございます。どうも秀吉(2023年NHKにて放送。大河ドラマ「どうする家康」/主演:松本潤/ムロさんは豊臣秀吉役で出演)でございます。

中村さん

いいなそれ。

質問者2

豊國神社の近くに住んでいます。

ムロさん

本作とは別の作品の話にはなりますが、そうですか。あの作品の撮影に入る前に行きました。

【会場からの質問2】

この映画は、人生の選択がテーマになっていると思うんですが、コミカルな話で、最近この選択はミスったなみたいなものがあれば教えてください。

中村さん

(笑)。何だろう。「その選択ミスった」って、なんでしょうね。(だいぶ時間をかけて考えて少し小さめな声で)…正解しか出していないからなぁ。(会場:拍手)

ムロさん

(記者に向かってパソコンを打つような仕草をしながらこの部分を記事にしろと誘導するように)「そして中村は言った。正解しか出してないから」(会場:笑)

中村さん

スガシカオさん(NHKで放送中の「プロフェッショナル 仕事の流儀」テーマソング)が聞こえてきた!

ムロさん

でも、確かに倫也のミスっていうのはあんまり見ないですよね。

質問者2

例えば、これ言って奥さんを怒らせちゃったとか。

ムロさん

ああ、そういうことね。

中村さん

いやぁ、ずっと仲良くしていますね。(会場:拍手)

ムロさん

(再びステージ前に出て、記者に向かってパソコンを打つような仕草をしながらこの部分を記事にしろと誘導するように)「そして中村は言った。ずっと仲良くしています。」(会場:笑)

中村さん

上の句(「そして中村は言った」の部分)は変えないんだ(笑)。
あれかな。ちょっと用事があって車で外出して、目的地の駐車場を使おうと思ったんですよ。そしたら、その日は駐車場が使えなかったので、「近くで探そう」と思ってぐるぐる回って、ちょっと離れたところにやっと見つけたんです。そこに車を止めて歩いて行ったんですが、目的地の建物の反対側の隣に駐車場があったんですよ。あそこで右に曲がればすぐ近くの駐車場に止められたのに。

ムロさん

僕は、一人で撮影地のご飯屋さんへ行った時に、話しかけられたので、その質問に答えていたら、その人がすんごく話の長い人だったこと。私の「一人の時間」を全て彼に奪われてしまいました。でも、質問に一、二個答えたら、もう無視ができないじゃん。ずっと彼の質問と、それにまつわる彼のエピソードを聞いていたら、二時間以上経っていました。まあまあ楽しかったですが、二時間なくなっちゃったなってくらいですかね。

質問者2

分かりました。ありがとうございます。
ムロさん大好きです。

ムロさん

ありがとうございます。
(記者の手の動きを見て)動いていない! さっきはすごく動いていたのに…。

中村さん

無理しなくて良いんですよ!

■ムロツヨシが中村倫也に聞きたいことコーナー

ムロさん

じゃあ、僕から中村さんに質問いこうかな。
(スタッフに向かって)すみません、ちょっと「一番」持ってきてくだい。

中村さん

一番? 何番まで用意しているの?

ムロさん

(スタッフからムロさんに何かが手渡されると、それを見た中村さん:笑)中村さんにクイズです。これは何でしょうか?

中村さん

これは、私がムロさんの誕生日プレゼントに去年差し上げました。

ムロさん

撮影中、スタジオで対峙するシーンの時にくれた誕生日プレゼントです。なぜこれを? 私はどういうメッセージとして受け止めたらいいのか…。もらった瞬間に「ありがとう」って言ったけれど、絶対舞台挨拶で聞こうって決めていたよ。

中村さん

(爆笑)。この一年半温めていたの? もしかして、それを聞くために今日呼んだ(笑)?

ムロさん

ずっと、私の寝室で私を見たり見なかったりするから。

中村さん

ちゃんとした理由はありますよ。
ムロさん家は結構人が集まるじゃないですか。リビングでご飯食べたり、好き勝手に座れるようにクッションとか置いているじゃないですか。その一角に並べたら誰かがそこに落ち着くかなあ、って。

ムロさん

あ、そういうことなんだ? 俺は勝手に「抱き枕」だと思っていて、ずっと寝室の布団の中に置いていたんだけど…。ちょっと気持ち悪い話になってごめんなさい。寂しがり屋を見抜いた上でのことなのかと思っていた。これ、可愛いですよ。自分では絶対買わないものですから。

中村さん

僕がナマケモノが好きっていうのもありますよ。別に、そうやって使ってもらっても良いですし…。

ムロさん

あ、そうなんですね。

中村さん

何か柔らかいからさ、ご飯食べてちょっと横になりたい人の枕にできるし。でも、引き続きムロさんと一緒に寝てもらっても。

ムロさん

やっぱり、いろいろと考えてくれているのね。
そうか、これに抱きついて寝ているってことを話したことがすごく恥ずかしくなってきた。

中村さん

いつもどんな感じで寝ているんですか?

■ムロさんのマイクを中村さんが預かると、抱き枕と一緒のポーズで撮影タイム。

中村さん

最高じゃないですか。記者さんたちの各カメラにポーズをもらって良いですか?

ムロさん

これ、要ります?

中村さん

あと、ムービーにも手を振ってもらったも良いですか(笑)?

ムロさん

この前「バナナマンのせっかくグルメ!!」(TBS系列で放送中)という番組で一緒の時にも、(中村さんから)お料理をする道具をプレゼントしていただきました。本当にありがとうございます。

中村さん

使いました?

ムロさん

まだ使えていないの。そんなに手料理する時間がないから今度使ってみるから。
(スタッフに向かって)続きまして「二番」お願いします。二回連続で誕生日プレゼントをもらいました。私は、あなたに何もプレゼントをあげられていない。

中村さん

(プレゼントで)笑っていてくれればいいですよ。

ムロさん

(笑い崩れながら)おじいちゃんなの?

中村さん

毎日が敬老の日!

ムロさん

皆さんの前で申し訳ございません。撮影中と、唯一一緒に本作の宣伝で参加した番組でプレゼントをいただきました。(プレゼントを手渡す)これは、本当に喜んでもらえるものだと確信しております。この場で開けていただいても良いです。

中村さん

「刃物」って書いてあるけど…。

ムロさん

「刃物」って書いてあるんですが、中身は刃物じゃないです。刃物を売っているところで買っただけです。今日ちゃんとあなたを思って買ったから。

中村さん

(包装紙を外すと白い紙に包まれている状態のプレゼントを見て)切腹する時に使うやつ?

ムロさん

違う違う! 確かに似てるけど。

中村さん

(驚いた様子で)俺、大河ドラマとかで見たことあるよ。

ムロさん

違う違う。(包みからプレゼントを出させて)これは盛り箸っていうの。あなた、料理をするからね。

中村さん

昔、ムロさんからもらったトングまだ使っています。

ムロさん

そうでしょ。あなた、トングを喜んでくれたから。それからこれが…(二つめのプレゼントを渡して)炒めるためのただの板よ。

中村さん

これは、調理ベラですね。木ベラ。

ムロさん

最後に、これ渡したかったんだよね。

中村さん

(プレゼトを開けて)ピザカッター!

ムロさん

この前、「バナナマンのせっかくグルメ!!」でピザを焼いた時にピザをカットするのが上手だったんでね。
流石にピザカッターは持ってないでしょう?

中村さん

持っていないです。素手とナイフで切っていました。ありがとうございます。

ムロさん

(スタッフに中村さんへのプレゼントを渡して)残り時間、少なくなったね。

中村さん

最後、もう一問くらいいけますか?

ムロさん

そうですね。映画にまつわることを聞いていただこうかな。

中村さん

さっき「止めに入るぞ」って言っていた人が、苦い顔をし始めたので、コンパクトめな質問いける人?

【会場からの質問3】

ムロさんがお菓子を食べているのがすごい印象に残っていて、お二人の好きなお菓子を教えてください。
(会場:笑)

ムロさん

(質問の内容に少し驚きながら)確かに短いけども…。

中村さん

お菓子、食べますか?

ムロさん

ポテチですね。(少しずつ中村さんがムロさんから離れていく)

質問者3

何味ですか?

ムロさん

日によってはコンソメとか、塩とか。日によっては良いスーパーで売っているアメリカンな柄のやつ。
待って! 大人の事情とかよく考えないで答えちゃった。後で怖い人に怒られちゃうかも。

中村さん

僕は大丈夫です。同じ画角に入らないようにしているので。

ムロさん

(中村さんを指して)そうだよな、そうだよな。…俺は大丈夫か? 後で怖い人に怒られちゃうかも。

中村さん

怖い人じゃなくて、ちゃんとした大人ね。
私は、「ひとくちルマンド」(中村さんはルマンドシリーズのCMに出演中)を。(会場:笑)ほっと一息。

ムロさん

お菓子っていうのかな、焼きおにぎり(ムロさんは「おおきなおおきな焼きおにぎり」のCMに出演中)。

中村さん

お時間になりました。

ムロさん

皆さんの記憶の残る何かは言えただろうか。

中村さん

でも、記者さんたちがすごくカタカタはやっていましたけど…。
そうですね。最初に仕事をさせてもらった「muro式」(ムロさんが脚本・演出・出演の3役を担うライフワーク的な舞台シリーズ)のカーテンコール。カーテンコールって物語の余韻で、すっとステージからはけるのが粋なわけじゃないですか。
それがさあ、20分くらいしゃべりますもんね。

ムロさん

全部捨てて、忘れて帰ってもらおう!

中村さん

それを思い出しました。

MC

次の映画が上映できなくなるので…。

ムロさん

上映してもらっても大丈夫ですよ。僕たちが話しているだけですから。もし嫌なお客さんがいたら話し合います。しっかりちゃんと話し合いしようよ。

MC

次の映画は本作ではなく違う映画なんですよ。

ムロさん

違う映画でもいいんだよ! 別にこの映画だからって言っているわけじゃない。違う映画だって私は対峙しよう。

中村さん

ちょうどここ(自分の顔の上)に字幕が来るようにしますから!

ムロさん

その映画の感想を言い合うとかさ…。

MC

ちょっとフォースの力(「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」なので)でやられてしまいそうなので…。

中村さん

マジか。

ムロさん

フォース…。それは敵に回しちゃいけないな。

中村さん

「ジェダイ」やりたい!…「I am your father」(「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」でのダース・ベイダーの有名なセリフ)

■フォトセッション

MC

最後に締めのご挨拶を一言ずついただければと思います。

ムロさん

皆さん、観に来てくださって、その席に座ってくださって、本当にありがとうございます。今、日本映画とても元気なところに私たちもその一つのサークルとして参加することができました。自慢できる、胸を張れる作品でございます。
皆さん今日の感想をいろいろなところで言ってください。その感想で、新しいお客さんが来て、席に座っていただくきっかけになりますので。
いつも言いますが、「けなしてください。褒めてください」「褒めてください。けなしてください」なんです。感想を言っていただいて、一人でも多くの人にこの作品を観ていただけるよう頑張りたいと思っています。
またいつか中村倫也と違う作品で、違う世界・時代で、どっかに行きたいと思います。舞台なのか、スクリーンなのか、テレビなのか…。どこかで見せますので、良かったらその時は目にかけていただければうれしいです。本日は本当にありがとうございました。

中村さん

公開して1カ月弱も経ちますね。その段階で、こうやってまたムロさんと登壇して、お客さんを目の前にしてしゃべる機会はなかなかないと思うので、すごくうれしいです。
また、このタイミングで、こういうイベントができるくらいお客さんに愛されている作品なんだと、日々いろいろな声を聞いて実感しております。すごく出演者として、作り手として、幸せなことだと感じております。いろいろなところで言ってきましたが、「作品は公開したら僕らの手を離れて、皆さんに愛でてもらう存在になる」ので、いつも「どうかこの子を可愛がってあげてください」っていう気持ちです。もう充分愛でていただけているので、これからもまだ機会があれば観ていただきたいですし、お勧めしていただきたいです。
「あ、久しぶりに観てみよう」っていう人生でたびたび思い返す作品は、皆さんそれぞれあると思います。誰かのそういう存在に、この作品がなれたらすごくうれしいです。
次の作品の上演ブザーが鳴りそうなので、終わりたいと思います。ありがとうございました。