「窓ぎわのトットちゃん」初日舞台挨拶

2023.12.08
  • 初日舞台挨拶

初日舞台挨拶

黒柳徹子さんが、自身の幼少期を描いた自伝的小説をアニメーションとして初めて映画化した「窓ぎわのトットちゃん」が12月8日に公開を迎えました。東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われた舞台挨拶に、声優を務めた大野りりあなさん、役所広司さん、小栗旬さん、杏さん、滝沢カレンさん、そして八鍬新之介監督が登壇しました。黒柳さんからのお礼の手紙が読まれ、会場は感動に包まれました。こちらの舞台挨拶の模様をレポートいたします。

トットちゃん役

大野りりあなさん

トットちゃん役

小林先生役

役所広司さん

小林先生役

トットちゃんのパパ役

小栗旬さん

トットちゃんのパパ役

トットちゃんのママ役

杏さん

トットちゃんのママ役

大石先生役

滝沢カレンさん

大石先生役

八鍬新之介監督

大野さん

今日は、こんな素敵な舞台に立つことができて、皆さんにも会えて本当にうれしいです。そして、ずっとずっと楽しみにしていたこの日が来て本当にうれしいです。皆さん、本作は感動いっぱいで楽しかったですか? (会場:拍手) ありがとうございます。

役所さん

今日は、「窓ぎわのトットちゃん」を観ていただいて本当にありがとうございます。主人公のりりあなちゃんが全く緊張していなくて、素晴らしいスピーチだったので、大人たちはタジタジです(笑)。

小栗さん

役所さんもおっしゃっていましたが、本作を観てくださって本当にありがとうございます。僕も拝見して本当に感動をいただいた作品だったので、こうして皆さんとお会いできてうれしいです。

杏さん

子どもの頃に読んでいた「窓ぎわのトットちゃん」のママ役、つまり子どもの頃から知っている徹子さんのママを演じることができる――そんなことを子どもだった自分に教えてあげたいと思いました。そして、こうして公開となり、いろんな方に楽しんでいただけたらと思います。

滝沢さん

ようやく皆さんが(私と)同じ感情になれているのかなと思います。たくさんのご意見、感想があると思うので、そこに浸りながら楽しんでいってください。

八鍬監督

本日は本作を鑑賞していただいてありがとうございます。無事にこの日を迎えられたことを本当にうれしく思っています。

MC

本作は、12万枚の絵を描いたとうかがっています。公開ギリギリまで粘って作られて大変だったかと思います。どんな気持ちで制作されていたんでしょうか?

八鍬監督

スタッフを支えていたのは、映画の冒頭にも書いた「本当にあったお話です」という徹子さんの言葉でした。80年前、日本が本当に戦争をしていました。でも、もしかしたらこれから起きてしまうことかもしれないので、本作を観て、もう一度よく考えていただけたらうれしく思います。
それから、トットちゃんと泰明ちゃんの友情、小林先生の教育への情熱、パパとママの愛情もフィクションではなく、本当にあったことです。それをしっかり描くためにスタッフが最後まで粘ってがんばってくれました。

MC

役所さんは、恩師の小林先生を演じるにあたり、文献なども読まれたそうですが、どんなことを意識して演じられたのでしょうか?

役所さん

小林先生についてのすごく分厚い文献を監督から送ってもらいました。全ては読みきれていないのですが(苦笑)、小林先生については、僕の家内の母親が、小林先生を尊敬していて「素晴らしい先生だ」ということは聞いておりました。台本も原作も読んで「こんな先生がいたら、子どもたちは学校に行くのが楽しみになるな」と思いました。僕もどっちかと言うと、学校に行くのが楽しみではなかったので、自分が憧れる先生をイメージして演じました。

MC

キャストの中で、小栗さんは早くアフレコに入られたそうですね。黒柳さんのお父さまであり、当時の日本の主要オーケストラのコンサートマスターを歴任した「伝説のバイオリン奏者」とも呼ばれる黒柳守綱さんを演じられていかがでしたか?

小栗さん

すごく勇気を持っているお父さんなので、とても大変な役をいただいたと思いました。黒柳さんから、僕の声の雰囲気がお父さまに似ているということでオファーをいただいたので、黒柳さんがそう言ってくださっているならと、自信をもって演じようと思いました。

MC

杏さんは、黒柳さんのお母さまで、のちにエッセイストとして活躍される黒柳朝さんを演じました。以前から黒柳さんとは交流があったそうですが、黒柳さんのお母さまのことはご存知でしたか?

杏さん

実際にお会いしたことはないんですが「チョッちゃん」として有名な朝さんは、黒柳さんと同じように、もしかしたらそれ以上にユニークな方だったんだろうと思います。本作では、トットちゃんを見守る面が前面に出ていたので、そちらを大事にしながら演じました。

MC

滝沢さんも黒柳さんとは以前からご友人ということですが、本作に声優として参加されていかがでしたか?

滝沢さん

ご友人というか、ただただ私が一方的に好きな方なので、申し訳ないです。家族全員が徹子さんを大好きなんです。ご本人と、お会いできることもあり得ないと思っていました。今回、お話をいただいて、(黒柳さんが)たどってきた本当の物語に入らせていただくということで、最初は「うれしい」ってよりも先に「絶対に壊したくない世界がそこにある」と感じました。

MC

ご家族も声優参加を喜ばれていたんじゃないですか?

滝沢さん

もちろんです。喜ばない人はいないと思います!

MC

大野さんは、自分の役だけではなく、台本のすべての役のセリフを覚えて、アフレコに臨んだそうですね?

大野さん

はい。五歳の頃からずっと徹子さんに憧れていたので、徹子さんの原作の「窓ぎわのトットちゃん」も読んでいました。どんなことを誰が言っているか分かっていたんですが、オーディションの時は「自分がトットちゃんだ」と思いながらやりました。他の人のセリフも、「今トットちゃんはどんな気持ちなんだろう?」と考えたら浮かんでくるような感じだったので全部覚えられました。

MC

今日は、他のキャストの皆さんも勢ぞろいしていますが、お会いしていかがですか?

大野さん

皆さん、すごく優しくて、カッコ良くて、美人で、特にアニメの中だと、小林先生がトットちゃんの頭をなでながら「きみは本当は良い子なんだよ」って言ってくれたので、現実で役所広司さんにやってもらえたら良いなと思います。

■役所さん、大野さんの頭をなでる。

大野さん

夢が叶いました(笑)!

MC

会場の皆さんにも思いが伝わったんじゃないですか?

大野さん

思いが伝わっていると良いなと思います。

MC

本作の完成がつい先日でしたので、キャストの皆さんがご覧になったのもつい最近だったそうですね。本作をご覧になって、感想やおススメのポイントを教えてください。

大野さん

私が特に好きだったシーンは、トットちゃんが四時間くらい小林先生とお話をするところです。小林先生はその間ずっと優しくお話を聞いてくれていたというのが、本当に良い先生だなと思いました。その後に、トットちゃんが「どうしてみんな、私のことを困った子って言うの?」と言った時、小林先生がトットちゃんの頭をなでなでしながら「君は、ほんとうは、良い子なんだよ」と言うところが感動するので大好きです。

滝沢さん

台本をもらった時に思っていた印象から、映像になってみると本当にガラッと変わっていました。最初は、明るい絵や色のアニメ作品なので、ずっと笑顔でニコニコしながら最後までたどり着くかと思いました。でも、そこには徹子さんがたどってきた道があり、また歴史の動きがアニメの中でも行なわれていました。台本を読んでいたはずなのに、ドンドンお話が進むにつれて胸が詰まる――涙より先に胸が詰まって、最後の徹子さんの言葉がフワッと出てくるところで、涙がワーッと出てきました。アニメだけれども、これは歴史であり実話であり、教科書よりも私たちが学べることがいっぱいあると思います。それが私の一番の感想になりました。

杏さん

私も、もちろん物語は頭に入ってはいたんですが、冒頭の自由が丘の駅が出てきた時に「あ、当時はこういう駅だったんだ」と思いました。今もある駅ですし、想像はしていたんですが、アニメで、カラーで描かれることで、「こういう場所が本当にあったんだ」と思いました。お家や学校のレイアウトもすごく鮮やかに再現されていて、こんなにカラフルで素敵な場所があったんだと思うと、すごく感動しました。それが戦争によって色あせた感じになっていくのを感じられて…、これは、ぜひ劇場で体験していただきたいと思いました。

小栗さん

僕は子どもの育て方みたいなものを、改めて小林先生から教えてもらえました。最後はまたグッときて、多くの人にこの作品が届いたら良いなと観た後に思いました。

役所さん

りりあなちゃんも言いましたが、初めて会った時、先生もきっと「大変な子が来たな」と思ったと思います。「君は、ほんとうは、良い子なんだよ」と言った後、トットちゃんはどんどん作品の中で成長していきます。小林先生が、戦争でこの学校を閉じなきゃいけなくなった時、「私がこの学校の先生になってあげる!」と言うんです。それに対して小林先生が「君は、ほんとうに、良い子だな」と言う――この変わっていく感じは、本当に黒柳徹子さんが良い子になった瞬間だった気がします。黒柳徹子の成長物語という感じですね。

■黒柳徹子さんからキャストの皆さんへの手紙。

MC

本日は、キャストの皆さん宛てに黒柳さんから手紙を預かっていますので、私が代読いたします。

【役所広司様】

この度は「窓ぎわのトットちゃん」の声をやってくださってありがとうございました。
校長先生の役は難しいだろうと、何十年もやらないできました。でも、役所さんがやってくださったおかげで、映画化の話まで来ました。ありがとうございます。感謝しています。

【小栗旬様】

私の父の声をやってくださって心からうれしく思います。私の父の声と小栗さんの声がぴったりでとてもうれしく思います。アニメーションで、父がバイオリンを弾いている顔が難しく、時間がかかったとうかがいましたが、小栗さんの声が合っていたので、とても本当みたいで良かったです。感謝しています。

【杏様】

母の声をやってくださって、本当にありがとうございました。母の声とピッタリでとてもうれしかったです。
病院でお会いした偶然は、今思い出しても楽しかったです。今はパリにお住まい? 元気でね。子どもはかわいい? また会いたいわ。じゃあね。

【滝沢カレン様】

大石先生をやってくださって本当にありがとう。いかにもという先生の声のようでうれしかったです。いよいよ本作の公開が近くなってとても楽しみです。またお会いしましょうね。ありがとう。

【大野りりあな様】

トットちゃんの声をやってくださってありがとう。あなたの声のほうが本当の私の声よりもかわいかった。ありがとう。あなたといろんなお話ができてうれしかったわ。またお会いしましょうね。元気でね。

MC

お手紙の内容をお聞きになっていかがでしたか?

大野さん

(泣きながら)本当に五歳の頃から憧れだった徹子さんの声ができて、本当に幸せです。私も将来、徹子さんみたいに世界を変えられるような素敵な女優さんになりたいと思います。

役所さん

音楽が流れる中でメッセージが流れると、なんかだか遺言みたいですが…、(笑)まだまだ生きて、世界の子どもたちのために元気で生きていただきたいと思いました。

小栗さん

非常にありがたいです。改めて、大野さんが演じたトットちゃんのパパ役をやれて幸せだと思いました。

杏さん

すごくうれしかったんですが、ちょっとすごくプライベートな内容でしたね(笑)。補足しますと、毎日、密に連絡をとり合っているほどではなかったんですが、子どもを生んだ直後にたまたま連絡をとっていたんです。そうしたら「え? 私、近くにいるんだけれど」と言って駆け付けて、子どもを見てくださったりしました。収録の時もお会いしたので、子どもに挨拶をさせたりと、本当に孫のように子どもたちをかわいがってくださっています。だから、ぜひ曾孫まで見ていただきたいと思います。

滝沢さん

徹子さんって、いつ会っても、どこで会っても褒めてくれる方なんです。いつも「それ良いわね」「その服、良いわね」と言ってくださるんです。今の皆さんへのお手紙を聞いていても、いつも誰かのことを温めてくれる方なのが伝わってきます。今回、この作品の仲間に私を入れてくださってありがとうございました。

MC

最後に大野さんと役所さんからメッセージをお願いします。

大野さん

映画「窓ぎわのトットちゃん」は、友情の大切さ、親子関係、先生と子どもたちの関係、そして、戦争というものが、どれだけつらくて寂しいことなのか――いろいろなメッセージが込められています。だから、本作を世界中のいろんな方にぜひ観ていただけたらと思います。
そして、私も徹子さんみたいに素敵な女優さんになりたいと思います。こんなに素敵な原作を書いてくださった徹子さん、作品を作ってくださった監督さんやスタッフの皆さん、いつもサポートしてくれる事務所のマネージャーさんたち、ずっと応援してくれた家族や大好きなお兄ちゃんや習い事の先生、そして学校の先生たちに、本当に感謝しています。そして、今、劇場に来てくれている皆さんにも本当に感謝しています。ずっとずっと大好きです。

役所さん

りりあなちゃんのアカデミー賞の授賞式かのようなスピーチ…本当にこの子は上手ですよね!
本作の制作のことで監督からお手紙をいただいた時から、世界では戦争や紛争がなくなっていなかったんですが、この「窓ぎわのトットちゃん」の公開のタイミングで、世界中がもっと酷い状態になり、ニュースで、子どもたちが傷つけられている映像を見ると、胸が痛くなります。そういう意味で、「窓ぎわのトットちゃん」が公開されたことは、運命的に徹子さんの思いが伝わっているような気がします。本作には、学校の教育者である先生たち、家族が見て、もう一回、今の世界について話し合うきっかけになる要素がたくさん詰まっていると思います。今日観に来てくださっている皆さんに、さらにお願いをするならば、本作の感想をたくさんの方に伝えていただけると、本作も黒柳さんも喜ぶと思います。どうぞよろしくお願いいたします。