「最後まで行く」初日舞台挨拶

2023.05.19
  • 初日舞台挨拶

初日舞台挨拶

韓国で大ヒットを記録し、フランス、中国でもリメイクされたサスペンス・エンタテインメントを岡田准一さん、綾野剛さんらを迎え、「新聞記者」、「余命10年」の藤井道人監督が日本でリメイクした「最後まで行く」が5月19日ついに公開!  東京・日比谷のTOHOシネマズ 日比谷で行われた舞台挨拶に岡田准一さん、綾野剛さん、広末涼子さん、磯村勇斗さん、柄本明さん、藤井道人監督が登壇しました。こちらの舞台挨拶の模様をレポートいたします!

岡田准一さん

工藤祐司役

綾野剛さん

矢崎貴之役

広末涼子さん

工藤美沙子役

磯村勇斗さん

尾田創役

柄本明さん

仙葉泰役

藤井道人監督

■キャスト陣が客席通路を通って登場! 本作を観終えたばかりの観客から大歓声で迎えられました。

岡田さん

皆さんは本作を観た後ということですが、いかがでしたか?(会場:拍手) やっと、今日本作を封切ることができて、僕のほうにも朝から「観たよ」という連絡や、皆さんの感想をSNSなどを通じていただいております。この「最後まで行く」という作品は、クセになるような、日本映画の希望を感じるような作品になっていると思います。この旋風がもっともっと広がっていくように、何回でも友だちを誘って観に来てください。

綾野さん

やっと皆さんに本作を届けられる日が来ました。今日、この場に立てていることにとても興奮しています。皆さんに本作を観ていただいた状態でお話するのも初めてなので、短い時間ですが楽しんでいただけたらと思います。

広末さん

私もこうやってたくさんの皆さんが本作を観て、興奮が冷めやらぬ感じで会場を包んでいることにとっても興奮しています。綾野さんと同じですが、綾野さんはそんなに冷静に「興奮しています」と言われても興奮しているように全然見えないんです(笑)。でも私は本当に興奮しています。この日を迎えられてとってもとっても嬉しいです。今日は楽しんでいってください。

MC

綾野さん、興奮していらっしゃいますよね?

綾野さん

大興奮しています。髪も短くなっちゃいましたし(笑)。

磯村さん

本日はお越しいただきありがとうございます。こうしてやっと公開を迎えて、このままこの作品が走り続けてほしいと思っております。短い時間ですがよろしくお願いいたします。

柄本さん

どうもご来場ありがとうございます。何か若い人ばっかりで申し訳ないというか…。皆さん本作は観たんですよね? じゃあ、今この会場で本作を観ていないのは僕だけだと思います。これから観るようにいたしますので、皆さん、本作の面白いところを教えていただければ幸いです。

藤井監督

お足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。一年前に本当に大好きな仲間たち、先輩方と、胸を張って「面白い」という作品が作れて、それをこうして皆さんに届けられて嬉しく思っています。今日は短い時間ですが、よろしくお願いします。

MC

ここから、上映後だから話せる本作の魅力についてお伺いできればと思います。

岡田さん

綾野くんが(舞台挨拶の劇場に)入って来た時、会場の皆さんは、本作を観終わった後だから、どういう風に見て良いか分からないと思うんですよね。綾野くんが狂気の役だったので…。入って来た時の「キャーっ!」て言ったのがどっちの意味なのか?

広末さん

どっちの「キャーっ!」なのか?

岡田さん

そう。「キャーっ! 怖い!!」なのか…。

MC

黄色い声援なのか悲鳴なのか…?

広末さん

じゃあどちらかに拍手をしてもらいましょう! 黄色い声援か恐怖か?

岡田さん

黄色い声援だったという方? (会場から拍手) これは完璧決まりましたね(笑)。では、恐怖の声援だったという方? (会場から先ほどと同じくらいの拍手) …半々くらいですかね?
綾野さんは本当にぶっ飛んだ役柄でしたが、現場ではすごく優しいし、現場をよく見ている方でした。僕は「ひらパー(ひらかたパーク)」のイメージキャラクターをやっているんですが、現場でその話になったら「准一さん、やられてますよね?出たいです」って言ってくれたんです。そういう「良いものをやりたい」というものづくりへの情熱が本当に真摯でした。それが映画の中にもずっとあったので、共演していて本当に楽しかったですね。「良いものを作るためのことしか考えたくない」という感じが心地良かったです。

MC

対峙するシーンも多かったですが、そういう真摯な姿勢が伝わってきましたか?

岡田さん

(綾野さんに)どうでしたか?

綾野さん

いや、もう人間力がすごいんですよ。

広末さん

そうですか? ちょっと“ひらパー”を推し過ぎじゃないですか? 本作の宣伝なのに毎回、“ひらパー”の話ばっかり…。

岡田さん

「おま!」(岡田さんがひらかたパークのイメージキャラクターに就任された時から「超ひらパー兄さんでおま!」などの決めゼリフに使われ「おま!」がおなじみとなっている。)

広末さん

ほら! 地元愛をこういうところをアピールして!

岡田さん

そうだ。僕、涼子ちゃんに言いたいことがある。

広末さん

何でしょう?

岡田さん

今日、楽屋に来て、ケーキと手紙をくれたんですよ。「岡田さんとはまた共演すると思いますんで」って結構、感動的なことを言ってくれて…。「あぁ、なんて良い人なんだ」って思いました。でも、「(手紙を)書いている途中で来ちゃって…」って横で続きを書き出して…(笑)。

広末さん

手紙の締めがちゃんとできていなかったから(笑)。

岡田さん

そうそう、その場で締めを書いてくれたんです。でも、「岡田准一」の“准”が違う“ジュン”の字だったんですよ。

広末さん

え? その時ちょっと思いはしたんですが…。

岡田さん

松本潤の「潤ってる」ほうの「潤」になっていて…。

広末さん

え? 純粋の「純」じゃないよね? 間違っていた?

岡田さん

ニスイ(冫)に進の右側なのよ(=准)、僕の字は。

広末さん

そう言われれば! あぁ、ごめんなさい(笑)! えぇ、嘘!

岡田さん

潤ってねーから(笑)! 

広末さん

潤ってるでしょ(笑)?

岡田さん

昔から知っているんだから…。

広末さん

私、「岡田くん」って呼んでいて…。皆さんは「准一」さんって呼んでいるみたいなんですが…。

綾野さん

そうですね。「准一さん」ですね。

広末さん

23年前にドラマ(「オヤジぃ。」2000年にTBS系列にて放送/主演:田村正和)で私の弟役で共演したんです。だから、今回、私が妻役ってすごく意外で「良いんですか?」って…。だから、当時のまま「岡田くん」っていう呼び方のままなんですよね。「准一」ってのがイマイチ…。何なら「シュウイチ」だったかなとか…(笑)。皆さん「准一さん」って呼ばれるんですよね?

綾野さん

そうですね、僕は…。
何の話をしているんでしょう(笑)?

MC

綾野さんは、本作の魅力についていかがですか?

綾野さん

ぶっ込んできますね(笑)。
本作の魅力ですか? いやぁ、本当に、今何も考えずにお二人の話をずっと聞いていたので…(笑)。でも、登場人物皆さんが魅力を持っていますよね。ちゃんと役割を持っていて、ちゃんとそれが混ざるって作品がなかなかないと思っています。96時間、約四日間のお話の中で、それぞれが一緒にいるシーンがそこまで多いわけじゃないのに全部のシーンがつながっているっていうのはなかなかないと思っています。シンプルにエンタメとして面白いと思っていますね。

広末さん

実際、あれだけやって、あれだけ地面に素手で這いつくばったり殴り合ったりして、ケガとかはなかったんですか?

綾野さん

僕は手袋をしていたのでまだ良かったんですが、准一さんのほうは素手だったので…。

岡田さん

冷たかったですね、墓が…。こんなに冷たいんだ、冬の墓場って…。

広末さん

本当に寒かったですよね。

岡田さん

一月の、真冬の撮影でしたね。

綾野さん

土の地面も凍っていて、コンクリみたいになっていて…。

広末さん

朝方まで…。

岡田さん

でもケガはなかったですね。

綾野さん

かすり傷くらいですね。

岡田さん

まあ、「どこからがケガか?」っていう話もありますが…。

綾野さん

そうですね。

岡田さん

僕らたぶん、ケガの基準が人よりね…? かすり傷くらいはケガには入らないんで。

綾野さん

ですね。

MC

磯村さんはいかがでしたか? 過酷さという点では死体役ということで…。

岡田さん

役作りはどうしたの?

磯村さん

役作りは、「どう死んでいるべきかな?」と考えていました。

岡田さん

あ、そう(笑)?

磯村さん

ずっと死んでいることが多かったので、何というか息を止めるという。

岡田さん

止めるんだ?

磯村さん

止めますよね。

綾野さん

お腹の動きもね。

磯村さん

なるべくしないようにしていました。でも、どうしても一連で撮る時は、息がもたないですよね。

岡田さん

どうしてたの? 困るよね?

磯村さん

その時に思いついたんですよね。普通に肺で呼吸すると動いちゃうんでダメなんですよ。だから、口でちょっとずつ息を入れるんです。そうすると全く動かないんです。それに今回気づけて、死体役をやれて良かったです。

広末さん

向いていたんだよ! だって「おくりびと」(2008年公開/監督:滝田洋二郎/出演:本木雅弘 ほか)も死体オーディションありましたもん。だってどんなに息を止めていても、静脈が浮いちゃったりする人は、カメラが寄ると分かっちゃうんだって。向いてるんだよ。また話が来るよ、きっと!

磯村さん

来ますかね? オーディションがあったら受けたいです(笑)。

綾野さん

ちなみに、(本作の中で岡田さん演じる工藤が)尾田のモノマネをしているじゃないですか? あれは尾田からするとどういう…(笑)?

岡田さん

そのことについて話してはいないじゃない?

磯村さん

たしかに一切話していないですね。たぶん、普段の会話の中からマネされたのかなって…。僕、死体としてずっと車の中で聞いていて、メッチャ笑いました。でも動いちゃダメなので我慢していたんですが…。似ているのかな? 誇張し過ぎた尾田ってことであれば良いんじゃないかと(笑)。

広末さん

試写で観た時、綾野くんと私が爆笑しました。

綾野さん

本作は「笑って良いのかな?」って探り合いがあるじゃないですか? それが「あぁ、笑って良いんだ!」って思えた瞬間でした。

広末さん

(会場に向かって)皆さん、笑いましたか? (会場:拍手)ですよね? あれはもう「何やってくれてるの?」って(笑)。

岡田さん

現場でいろんなことがあったんですよね。
そういえば柄本さん、一つだけ聞きたいことがあるんですが、良いですか? トカゲをぴょこぴょこってやるじゃないですか?

柄本さん

そんなことやったっけ? 何か「トカゲ」ってセリフはありましたね。

岡田さん

「トカゲがぴょこぴょこ」って言うあの時、一瞬、顔マネしていなかったです?

柄本さん

していないよぉ(笑)。

岡田さん

していなかったですか? 一瞬、舌なめずりしていたから、「あれ?これトカゲのマネしたのかな」って。

柄本さん

トカゲの顔ってどんな顔よ?

岡田さん

(報道陣に)いや、今写真を撮らないでよ(苦笑)! みんながカメラを構え出した…(笑)。こうやって「ぴょこぴょこ」って言い出した時に、首を出して…。「僕、今トカゲをやっているんだ」って感じた時があったんですが…。

柄本さん

イヤぁ、それは記憶にないですね。分からないです。覚えていない(笑)

綾野さん

監督、そういう演出はしたんですか?

藤井監督

していないです(笑)。

岡田さん

僕の勘違いですね(笑)。

MC

監督はコロナ禍で撮影の延期もありましたが、それを乗り越えて、こうして初日を迎えることができましたが、いかがですか?

藤井監督

クライマックスシーンは、中断してから11カ月後の撮影で、それまで積み上げてきたものがあってのラストシーンで…。カウントダウンだから人がたくさん集まるシーンだったので、コロナ禍が明けてから撮影をしました。だから、撮影が本当に最近だったんです。でも、「ギアをバチンッと戻してくる岡田さん、剛さん、広末さん、本当に素晴らしいな」って思いました。去年一年間は、この作品がずっとあった感じでした。

岡田さん

最後の車のシーンは一年くらい空いて、朝早く来て「久しぶり!」って挨拶をして、僕は泣くわけですよ(笑)。綾野くんもひらがなの「へ」みたいなすごい顔をしていて…。あれを見て「すごいな」って思いました。でも、僕も泣かなくちゃいけなくて…。でも、何も褒められなかったですよね…。

綾野さん

サラッとでしたね。

岡田さん

サラッと「次のシーン行きます」「綾野さん、終わりです。お疲れ様でした」ってね。あれは内心、どうだったんですか?

藤井監督

「すげぇ良かったね!」って言いながら、次の現場に急いで向かっていました(苦笑)。

岡田さん

車の中で? それは、一言、言ってほしかったな…(笑)。

綾野さん

ブランクというか、ずっとこの作品の完成を楽しみにしていたので、10カ月撮影が空いていたことも愛おしい時間でした。とにかく最後まで走り抜くということが楽しみで仕方なかったので、「空いていた」という感覚じゃなく、ずっと役がありました。

岡田さん

これでやっと撮り切れるというね。

綾野さん

そうですね。やっと撮り切れる喜びもありました。准一さんは、朝6時くらいから橋にいて撮影をしていました。テストもほぼなくいきなり本番で、…あの状態でよく瞬間的に涙が出てくるなんてすごいなって僕も試写を見て思いました。

岡田さん

僕らは本当にずっと本作が出来上がるのを楽しみにしていました。絶対に面白くなるはずだから、その出来上がりを早く観たいなと…。撮影期間は空いているんだけれど、ずっと心の中にこの作品があったから…。「空いている」って感じはなかったですね。

綾野さん

そうですね。

MC

タイトル「最後まで行く」にかけた質問です。皆さん、今後、俳優・監督として「最後まで行きますか?」

岡田さん

はい、行きたいとは思っています。
できる限り、夢はまだこれからだと思っているので…。夢を追いかけながら、「皆さんが本当に面白いぜ」っていう作品をみんなで作っていきたいと思っています。

MC

ご自身の中で課題や成長したい部分などはあるんですか?

岡田さん

「いつまで全力で動けるか」っていうのはありますね。体力的に…。動きのピークというか、身体がどこまで動かせるかということによって、表現できる形も変わってくるかもしれないですね。身体操作とか、心情操作とか、それらのバランスがどこかで変わっていくだろうとは思います。自分が求める俳優像は両方できることなので、「どこまでできるかな」っていうことはあります。

MC

綾野さんは俳優として「最後まで行きますか?」

綾野さん

はい、そうですね。でも、何が「最後」なのか…。ただ、一緒に作品を作ることに対する目標を一緒に叶えたい仲間たちがいて、そしてまだ、なかなか想像できないけれど何となく皆さんと一緒に見たい景色があるので、それを一つ一つ丁寧に叶えていきたいと思います。

MC

広末さんはいかがですか?

広末さん

私は俳優であり母親なので、正直なところ、いつでもやめて良い覚悟はあります。でも、全力で挑みながら生きている限り続けたいです。

MC

磯村さんはいかがでしょうか?

磯村さん

そうですね、死んだことすらも「あいつ、芝居なんじゃね?」と思える「最後」までは行きたいですね。

MC

数々の先輩方との作品でしたが、この作品は磯村さんにとってどういう影響を与えてくれましたか?

磯村さん

藤井さん、綾野さんとは何度もご一緒していますが、今回は、岡田さん、広末さん、柄本さんという偉大な先輩ともご一緒できて、めちゃくちゃ緊張感がある中で、実りある時間をいただけたと思います。最後まで、皆さんからいただいた愛情を持って、墓場に入りたいと思います。

MC

柄本さんにもお伺いできればと思います。

柄本さん

僕も何か言わないといけないですか? いや、こちらの皆さんはまだお若いけれど、僕はもうほとんど最後みたいなもんだから…。まあ、需要と供給の問題ですね。こっちがいくら供給しようとしても需要がなくちゃしょうがないからね。

岡田さん

ものすごく現実的なことを言いますね(笑)。

柄本さん

それだけですよ。しょうがないですよ。

広末さん

需要がある限り?

柄本さん

もうないんじゃない? よく分からないですね? 

MC

皆さん、まだまだ観たいですよね?

柄本さん

(会場からの大きな拍手に)ありがとうございます。

MC

監督もお願いします。

藤井監督

本当に柄本さんがおっしゃる通り、求められたことに一生懸命球を打ってきたので、求められているうちは、良い作品を作っていける環境を作っていきたいと思っています。日々精進中でございます。

MC

最後に岡田さんから皆さんにメッセージをお願いします。

岡田さん

今日は本当にありがとうございます。本作は、自分たちが自信を持って皆さんに勧めたい映画です。日本映画が世界に届くエンタテインメントを作れるように。皆さんも人生がいろいろある中で、本当に「良い時間を過ごせた」と思ってもらえるものを作れるように、頑張って仲間たちとこれからも作品を作っていく所存です。ぜひ応援していただければありがたいです。皆さんが喜んでくれる笑顔、「面白かったよ」というのが僕らの力になります。ぜひどこかで周りに伝えていただき、今日、面白かったと思っていただいた方はぜひ応援をお願いいたします。