「新解釈・幕末伝」初日舞台挨拶

2025.12.19
  • 初日舞台挨拶

初日舞台挨拶

福田雄一監督の最新作で、福田監督作品を長年支え続けてきたムロツヨシさん、佐藤二朗さんの二人がW主演を務める映画「新解釈・幕末伝」がついに公開を迎えました。
12月19日、東京・日比谷のTOHOシネマズ 日比谷にて、舞台挨拶が開催され、ムロツヨシさん、佐藤二朗さん、山田孝之さん、広瀬アリスさん、福田雄一監督が登壇しました。こちらの舞台挨拶の模様をレポートします。

坂本龍馬役

ムロツヨシさん

坂本龍馬役

西郷隆盛役

佐藤二朗さん

西郷隆盛役

桂小五郎役

山田孝之さん

桂小五郎役

おりょう役

広瀬アリスさん

おりょう役

福田雄一監督

■ムロさんと佐藤二朗さんのお二人の登壇で舞台挨拶が始まりました。

ムロさん

皆さん本日はお越しいただきましてありがとうございます。初日おめでとうございます。初日ありがとうございます。(地声で)ムロツヨシです!
うれしい、うれしい。大好きな満席でございます。皆さんにはすでに観ていただいたということですが、いかがだったでしょうか? (会場からの拍手に)ありがとうございます。今日も皆さんの思い出に残るような、楽しい舞台挨拶に、喜劇にしてみせたいと思いますので、どうぞお付き合いください。

佐藤さん

この師走の年の瀬にね、深く考えずに、気を楽にして笑って楽しめる作品があるということは、とても良いことだと思っています。今日は最後までお付き合いください。

MC

映画を観たお客さんの前では、今回が初めての舞台挨拶となります。今、お客さんの表情を見ていかがでしょうか?

ムロさん

何かうれしいですね。笑ってこちらを見てくれているのと、あの最後の二人のシーンを観た後の皆さんの顔を見るのは初めてですからね。僕らはスタッフさんの顔(反応)は見ていますが、台本を見ていないお客さんは、皆さんが最初です。本当に良い顔をなさっていて、感謝しかありませんね。
あはは、満席がうれしいの!
やっぱり来るんですね、初日って…。
最後の締めの挨拶の時にと思いましたが、福田さんに会いに行ったのが、もう三年前なんですって。「映画を作ってください」って言ったのが。あの時は、なんちゃらウイルスで、家にいなきゃいけない時で、その時に思いついたことを…。絶対にこの期間を笑ってやりたいと思いましてね…。それがね、(会場を示しながら佐藤さんに向かって)この状況を、五年前の自分に言いたいです! 本当にありがとうございます。

佐藤さん

本当に良い意味で観る人を選ばない作品といいますか、本当に老若男女、いろいろな方に観ていただきたいと思っています。今こうやって会場を見渡しても、女性が多かったりもしますけが、男性もいらっしゃるし…。

ムロさん

どういうこと?

佐藤さん

ごめん、ごめん! 当たり前のことだった(笑)。

ムロさん

(前に出ながら)何、そんな当たり前のことを…(笑)。

佐藤さん

(ムロさんにツッコミながら)いちいちお前は二歩前に出るな(笑)!
こうして、いろんな方が観に来ていらっしゃるということで、改めて、いろんな人に観ていただきたいというのを、皆さんの顔を見て改めて思いました。

MC

幕末という時代は戦争や争いごとといったものが多くありまして、なかなか笑いとは結びつけづらい部分があると思います。でも、本作を観る中で、そんな時代を動かしていったのが、坂本龍馬や西郷隆盛――「戦いたくない男たち」といった新解釈が、まさに喜劇人であるお二人にぴったりだったと思いました。

ムロさん

そうですね、そう願いたいです。悲劇よりも喜劇が勝つことを、そして喜劇が作れるということを願っています。そんな願いの中で生まれた作品なので、争いなく時代が動いたことを皆さんに知ってもらう時に、あれは喜劇だったと…。もしかしたら喜劇が時代を動かしたのかもしれないという可能性、もしくは希望を、皆さんと一緒に共有できたのではないかと思います。
本作を通して、今の時代、いろいろなことが、いろいろな場所で起こっております。着地点の見つからない問題がある、そういう中でも、喜劇を作れる時は作って、その上に「希望は絶対に作れるんだ!」「希望は絶対にあるんだ!」ということ言っていきたいと思う役者でございます。喜劇役者というのは「称されるもの」であって、「自分で称するもの」ではないんです…。それをまた恥ずかしげもなく…、いや恥ずかしいんですが、怖さをもって「喜劇役者です」と名乗っていきたいと思います。

MC

ムロさんは、本作でW主演として、佐藤さんと一緒に作品を背負うという経験をされました。撮影やプロモーションを通して、改めて感じた「佐藤二朗のすごいところ」を教えていただけますか?

佐藤さん

何ですか、そのこっ恥ずかしい質問は!

MC

この後、佐藤さんにもおうかがいします。

佐藤さん

何ですと!?

ムロさん

今回、プロモーション活動を結構ご一緒しました。お芝居以外でここまでご一緒することは初めてだったと思います。ただ、一緒にプロモーションという形でお客さんの前に立ったり、カメラの前に立つとですね、恥ずかしいんですが「呼吸が合う」と言いますか…、やりたいことを見抜いてくれるんです。こちらを見透かして、一つの形にしてくれる先輩でございますから、頼りがいがあるなと思います。
撮影では、皆さんに観てもらった通り、今回は「作品の重し」となってくれたこの先輩。生意気ながらも一緒に横を走らせてもらいました。
まとめますと、やっぱり「頼りがいのある先輩」でございます。追いかけがいのある背中でございます。

佐藤さん

私は、前から考えていたことですが、ムロさんが本作の言い出しっぺなんです。それも、いわゆる「家にいなきゃいけない期間」に自分の「やりたいことリスト」を作ったと…。私はそんなこと一切考えていなかったので、昔からそうでしたが、やっぱり日々考えているんだなと思いました。売れていない時から、考えてそれを実現させる行動力があって、「実現力」と言ったらいいのだろうか? そういう力があるので、そこはやっぱり一番すごいところだと思います。
あと、僕がさっきから割と気になっているのは、(客席を指して)あそこに「大好きムロ二郎」って書いてあるんです。でも、「じろう」の「ろう」の字が違うんだなぁ…。だから、きっと僕のことはそれほど大好きじゃないんだと…。

ムロさん

(笑)。(お客さんに向かって)字はこれから勉強していこうね!

佐藤さん

右側が「月(朗)」ですからね。覚えてくださいね。ありがとうございます。

MC

それではですね、ここからは、二人のキャストに加わっていただきます。桂小五郎役の山田孝之さん。おりょう役の広瀬アリスさんです。

■山田さん、広瀬さんが花束を抱えて登壇! 

■まずは山田さんからムロさんへの花束贈呈。お互いに一歩ずつ近寄ると、ぐっと山田さんが花束を贈呈しました。

■広瀬さんから佐藤さんへの花束贈呈。

佐藤さん

うれしいわ…ちょっと照れるけどありがとうございます。アリス大好き! ありがとう。

広瀬さん

(爆笑)。

MC

それでは、お二人にもご挨拶をお願いいたします。

山田さん

今日は観に来てくれてありがとうございます。よろしくお願いします。

広瀬さん

本日はお越しいただきありがとうございます。いっぱいお話をしたいと思いますので、ぜひ楽しんでいってください。よろしくお願いします。

MC

さて、本作の重要な場面といえば、やはり坂本龍馬、西郷隆盛、桂小五郎の薩長同盟のシーンです。皆さんのご記憶にも大きなインパクトがあると思います。あのシーンは、映画作品としても類を見ないシーンとなったと思います。お三方はいかがですか?

ムロさん

会場の皆さんは、観ているのでいろいろな感想をお持ちだと思います。やはり、あの形は三人だからこそできた部分も大きいと思います。三人で重ねた歴史があるからこそ、お互いを信用しているからこそ、お互いを見抜くことができるからこその演じ合いだったと…。一緒にシーンを作ったのが、三人だからこそと、思いますね。

MC

どういったところでそれを感じますか?

ムロさん

やっぱり、会話ですよね。喜劇というのは、皆さんに笑っていただきたいけれど、会話が成立しなきゃいけないんですよね。すごくふざけているところだとか、困らせようとしているところがフィーチャーされて、スポットが当たっちゃうんですが、前提として会話が成立していないと、皆さんに笑い声を出してもらえるような形にはならないんです。だから、そこの成立を一緒に目指していました。目指している場所が一緒っていうのが、やはり三人だからこそなのかなと思います。

山田さん

(会場のお客さんに向かって)トイレは行けましたか…?

ムロさん

そこトイレタイムじゃないの!

佐藤さん

何を言っているの?

ムロさん

トイレタイムじゃないのよ。

佐藤さん

そういうことじゃないの。

山田さん

あ、そうか。一応、真に受ける方もいるかなと思って…。

佐藤さん

真に受けるなら、余計に言わないで。

ムロさん

今回は、真に受ける方はいなかったの。

山田さん

それだけぐっと引き込まれたということですね。

MC

ムロさん、佐藤さんは、山田さんとの長い共演歴を経て、本作「新解釈・幕末伝」を通して感じた、伝えたい気持ちというのはありますか?

佐藤さん

僕は、薩長同盟のところを観て、ご覧いただいている皆さんは分かると思うんですが、ムロさんと山田さんがずっとしゃべっていて、僕はほとんど黙っているんですね。だから、本当にお二人が良いゴールが決められるように、良いタイミングでパスを出そうっていうことぐらいしか考えていなかったんです。撮影前は、お二人ともあの膨大なセリフを「これ本当にやんのか?」みたいな感じしたが、撮影に入ったら見事な丁々発止を繰り広げていましたね。これこそまさに、「ヨシヒコ(「勇者ヨシヒコ」シリーズ/2011年、2012年、2016年にテレビ東京系列にて放送/主演:山田孝之)」から培った、お二人の見事な感じだったと思いましたよ、僕は本当に。

ムロさん

僕は、やっぱりこの作品に参加することを決めてくれたことに感謝といいますか…。先ほど「ヨシヒコ」の名前が出ましたが、山田くんが「ヨシヒコ」の看板を背負ってくれて、私たちはその周りをウロチョロしたり、邪魔をしたりしていました。僕は、そのおかげで皆さんに名前を覚えていただけたと思うので、山田孝之のおかげでこうなった部分もあります。だから、自分が言い出しっぺで作品をやりたいって言った時に「参加します」と決めてくれたことにはまず感謝、感謝、感謝ですね。

MC

広瀬さんは福田作品へ初参加ということで、大きなパワーアップでしたね。

広瀬さん

このお三方の後のお話とか、気まず過ぎて嫌なんですけれど…(苦笑)。

佐藤さん

でも、あなたは初参加とは思えない。

ムロさん

たぶん「ヨシヒコ」に出ていたでしょ(笑)? 「ヨシヒコ」からの歴史がある人がやることですよ、あれは。

佐藤さん

ずっと福田組を支えている感じだよね?

広瀬さん

私はすごく緊張して…。だって、本作を観た方は分かると思いますが、長さで言うと、薩長同盟の部分より出ていないですからね。

佐藤さん

でも、印象としては、「広瀬アリスはずっと出ずっぱりだったんじゃないの?」って感じだよね。

広瀬さん

インパクトは残せたとは思います。

MC

まさに劇中のおりょうは、坂本龍馬にも西郷隆盛にも常に強気で、インパクトのある人物像ということで、おりょうの新解釈でしたよね?

広瀬さん

そうですね…。

佐藤さん

もう「そうですね」としか言いようがないね、アリス。

広瀬さん

台本がすごかったので…。こんなに「びっくりマーク」ってあるんだって…。

佐藤さん

福田さんの台本は、「小さい“つ”」も多いですね。

広瀬さん

台本をそのまま現場でお芝居に出したいと思ったら、ああなりました。

佐藤さん

僕は、広瀬アリスとは何回か共演していて、舞台でも共演することがあったから、「ここまで思い切ってやる女優さんは良い意味で稀有だな、稀だな」って思っていました。でも、さらにその気持ちが大きくなりましたね。いやもう、ムチャクチャだもん。「あれをできる女優さんはなかなかいないだろうな」って思います。非常に貴重な存在ですよね、広瀬アリスってね。

ムロさん

あそこまでやりきってくれる――僕たちが想像している「やりきる」をさらにやりきりますからね。あの「モザイクのシーン」「全身タイツのシーン」とも言われているそのシーンで、早口のあのセリフを「もうちょっと早口でいける?」って福田さんに言われた時、すぐにもっと早口でブワーッて言ったりするんです。
私、一回笑っちゃっているんですよね。だから、負けているんですよ。アリスさんに笑わされちゃったんです。良かったらそのシーンもまた探してみてください。本当に負けました、もう広瀬アリスが主演です!

MC

そんな撮影現場はいかがでしたか?

広瀬さん

そうですね。…どうでしたっけ?

佐藤さん

どういうところに行ったとか…。

広瀬さん

遠いところに行きました。暑かったですし、初日は雨でした…。

佐藤さん

そうだった。石畳のな…三人のところだな…。それ以外はない? ムロの印象とか…。

広瀬さん

ムロさんは、このまんま…。

ムロさん

違うのよ、アリス。そんなわけないじゃない(笑)。

佐藤さん

役者だよ。

ムロさん

良いのよ、台本通りのこと言わなくたって! 本当のこと言っちゃえよ!

佐藤さん

台本にないよ、そんなこと。

広瀬さん

本当に優しくて、明るくて現場を和ませてくださる方です。私は初参加ではありましたけれど、本当にリラックスして全力を出すことができました。

MC

では、最後に、この方をお呼びいたします。福田雄一監督です。

■福田監督が登壇!

福田監督

監督の福田です。ありがとうございます! 二人が主役の映画っていうのは、悲願だったのでね、福田組の…。もう17年間に及ぶ悲願なので、もう感無量ですね。ちょっと考えたんですが、僕はこの三人(山田さん、ムロさん、佐藤さん)との舞台挨拶は「大洗」(「大洗にも星はふるなり」2009年公開)以来なんですよ。ドラマではこういう舞台挨拶がないから…。

佐藤さん

「銀魂」では、このうちの一人は被り物(「銀魂」2017年公開/出演:小栗旬ほか。公開初日舞台挨拶の時にエリザベスに扮して山田さんが登壇)していたし…。

福田監督

だから、まともに三人が揃った状態の舞台挨拶は「大洗」以来なの。

広瀬さん

気まずい、気まずい、気まずい(苦笑)。

福田監督

違う、違う、違う、違う(笑)!

広瀬さん

ちょっと司会の方に寄っちゃおうかなって(苦笑)。

福田監督

(爆笑)。

ムロさん

W司会する?

福田監督

…だから、三人がこうして舞台挨拶に立つっていうのは、ちょっと感慨深いですね。

MC

そして、本作は福田監督にとって劇場公開20作品目という大変メモリアルな作品になりました。時代が変わってもコメディ、そして喜劇を作り続けるその思いを教えていただけますか?

福田監督

今朝「ZIP!」(日本テレビ系列で放送中)を見ていて、二人(ムロさんと佐藤さん)が生出演していたじゃないですか? ほぼロクなことを言っていなかったでしょ? ただあれをね、子どもたちが見た時にさ「こんなふざけたおじさんでも、映画で主演ができるんだ」って思ったと思うんだよ。

佐藤さん

なるほどなるほど。

福田監督

僕たちは「ドリフターズ」を見て、志村けんさんになりたかったわけじゃないですか。

ムロさん

そうですね。志村けんさん、加藤茶さんに憧れて…。

福田監督

ドリフターズってすごく楽しそうに仕事をしているって思っていたじゃないですか?

ムロさん

思っていましたね…。

福田監督

僕は、一度ドリフターズ関連のドラマ(「志村けんとドリフの大爆笑物語」2021年フジテレビ系列にて放送/主演:山田裕貴)を作らせてもらったので、ドリフターズがいかに地獄だったかっていうのを、本当に知っているんです。ただ、子どもの頃の僕らは一切知らないじゃないですか。

佐藤さん

「こんな楽しいことやってお金もらえるの?」ってね。

福田監督

そうなんだよ。それを、本作を観て思ってほしい。少年少女たちに…。「こんな楽しい仕事して、お金もらって、主演までできるようになったのか!」「僕もふざけて楽しい仕事して、映画の主演できるかもしんねぇ」って、子どもたちに思ってほしいです。

佐藤さん

大丈夫かな? 子どもたち。それがすごく心配なんだけど…。

福田監督

(爆笑)。

ムロさん

「楽しそう」「いいな」から始まる憧れもあるかもしれませんよね。

福田監督

僕らは、とんねるずとかドリフを見て、「この業界楽しそうだな」と思って育ってきたじゃないですか。それを、本作で皆さんが見せてくれていると、すごく思いますよ。

MC

大人たちが、本作を頑張って作り込んで、作品にしてきたっていうことですね?

福田監督

「頑張っていない」感じに見せるのが良いんじゃないですか。だって、ドリフだって「頑張っている」とは見ている時に思っていなかった。ドリフの忍者屋敷のコントって、志村さんが移動する度に落ちてくるタライとかが、どんどん大きくなるっていうのは、寸分たがわずに場当たりをしているはずなんだよ。だって、志村さんの立ち位置がちょっとでもズレたら当たらないんだから。でも、見ている時に、そんな苦労をしているなんて思わなかったじゃないですか。だから、福田組の映画は、そうあってほしいっていう気持ちがすごくある。

佐藤さん

なるほど、なるほど。分かりやすい。

ムロさん

でも、今まではそうだけど、今回の作品に関しては「ちょっと汗をかいたぞ」と言っていこうと?

福田監督

それはさ、だって勉強しなきゃ書けないですよ! ムロくんと二朗さんで幕末やろうって思った時に、「うわぁぁぁ、これ勉強しなきゃなんねーぞ!」って思ったし、本当に資料をたくさん読んだ。

佐藤さん

あのさ、本作には関係ないんだけど、ごめんな。今の「うわぁぁぁぁぁぁぁ」ってその発声ね。もう、映画監督の発声じゃない! そんな発声する映画監督はいない。

福田監督

でもね、勉強をしたおかげで、例えば、おりょうさんがちょっとアタマのおかしい女ですっていうのが分かったんですよ。

ムロさん

うん、表現がおかしいけれど、大丈夫。

福田監督

皆さん、本作を観て分かったと思うけれど、龍馬が銃を持って震えて全然当たらないのを横でおりょうが爆笑して見ていたっていうのは、本当のことなんですよあれ。

佐藤さん

これ、史実なんです。

福田監督

あれは、ちゃんと文献として残っているエピソードなの。

佐藤さん

文献の一つには残っているのね。

福田監督

これって、大分おかしな女じゃないですか?

ムロさん

ちょっと表現が…すみません。後で注意しておきますので、記事には書かないでください。(その場で記事を書いている記者さんに向かって)パソコンを動かさないでください!

広瀬さん

ぜひ書いてください! よろしくお願いします(笑)。いつでもネジを外すことはできますので!

ムロさん

なぜ勧めるんだ君は…。

佐藤さん

場が荒れてきたぞ(苦笑)。

福田監督

だって、あの時のアリスちゃん、最高じゃん。「マジ卍なんですけど!」ってもう最高じゃないですか!

MC

あのシーンは、史実に基づいたからこそ生まれたわけですね。
ここでですね、最後に皆さんに質問です。2025年もいよいよ年の瀬、年末に差し掛かってまいりました。ということで、皆さんにとって、2025年がどのような年だったかを漢字一文字で教えていただきたいと思います。

■事前に登壇者の皆さんが答えを書いたフリップが配布される。

MC

それでは、皆さん一斉にフリップをオープンしていただきます。お願いします!

佐藤さん

結構真面目に書いちゃったな。

MC

福田監督は「米」ですか?

福田監督

絶対これでしょ! いや、清水寺で発表された「2025今年の漢字」があったじゃん? でも、「熊」ではなくないすか? いや「熊」も重要ですけど…。

佐藤さん

でも、今のお題は、福田にとっての今年の漢字ですよ?

福田監督

でも、あの「熊」に異議を唱えたかった。

ムロさん

(福田監督に向かって)ちょっと、本当にしゃべることを先に教えておいてくれ! いろいろとお願いしなきゃいけないことが増えてくるから…。
(記者さんたちに向かって)後でちょっと皆さん、喫茶店に行きましょう(笑)。すみません、今からしゃべることは書かないでください(笑)!

福田監督

いや、あの発表があった時に「熊」は違うよなって、ちょっと家族会議になったもん。でも、会場のお客さんの8割の人も「あぁ、だよな!」って思っているよ。

■会場から拍手が。

ムロさん

だから、このコーナーはそういうコーナーじゃないんですよ!

佐藤さん

福田さんにとってのこの一年を総括するという…。

広瀬さん

(会話を遮るように)えっと、私の今年の一文字は…。

MC

ありがとうございます。(会場:拍手)

広瀬さん

えっと、「教」えるという字で、教師役が多かったからというだけです。以上です、どうぞ(笑)!

MC

教師役の多い一年ということで、「教」えるという漢字なんですね。

ムロさん

さすが! さすがうちの主演です。

MC

山田さん、お願いします。

山田さん

「厄」ですね。42歳で本厄だったんですよ。でも、最後にこういう笑いのもので終われてうれしいということです。何もネガティブなことではなく。本厄が終わるところです。

佐藤さん

良いね。むしろ前向きな。

MC

山田さん(※佐藤さんと呼び間違えて)は「応」という漢字ですね?

佐藤さん

山田さんじゃないですね、私。(会場:笑)

■佐藤さんがフリップを投げ捨てて舞台を立ち去ろうとする。

MC

申し訳ございません(笑)。

■福田監督が佐藤さんを引き留めようとして、なぜか壇上で相撲を取る格好に。

広瀬さん

大暴れですね。

MC

申し訳ございません!

佐藤さん

僕がネットニュースになっちゃう(笑)。

ムロさん

(MCに向かって)君の職業は何だ? これじゃあ、君がトップニュースになるだろう。

佐藤さん

あるいは「監督と主演が舞台上で相撲をとった」ってなるな。

MC

改めまして、佐藤二朗さんお願いします。

佐藤さん

56歳になってね、いろいろ周りに変化が起きているので、それに身を任せて対応するっていうことの大事さを感じた一年なので、「順応」とか「対応」の「応」ですね。

MC

最後にムロさん、お願いします。

ムロさん

私、2025年は舞台づくりから始まりまして、まずここで無事に幕が開いたということで「幕」でございます。そして、舞台の方は全国ツアーを回りまして、その幕も無事に閉じることができました。無事に幕を開けて、閉じることが、もう当たり前ではない時代になりましたからね。あとは、いろんなこの幕を開けて、閉じた時に、ちょうどこの「幕末伝」の“幕”があるということで…どうでしょう? (会場を見渡しながら)普通に小さくまとまった意見を言ったら、何でしょうこの反応は…?(会場:笑) それはそれでだよ? 僕だって順番がまずいなと思ったよ?

山田さん

ムロさん、何でこんなに字がうまいんですか? これ、ペンで書きました?

ムロさん

ペンで書いた!

佐藤さん

味があるね。

山田さん

二朗さんは細いし、僕はめっちゃ太いし。

広瀬さん

私は二朗さんと同じだ。

ムロさん

太いペンもありましたよ。

佐藤さん

この話題、そんなに続ける意味ある?

山田さん

そんなこと言ったら、ずっとそんな会話してるじゃん(笑)。

ムロさん

本当だよね。

福田監督

昔から福田組の舞台挨拶はこんな感じです。

佐藤さん

まだまともな方だよな。

福田監督

司会の方がしゃべっている時点でまともです。

ムロさん

でも、今日はちゃんと司会の方が名前を間違えたもんなぁ(笑)。福田組に感化されているかもしれないですね。

MC

まだまだお話をうかがってまいりたいんですが、お時間が…。

■客席をバックにフォトセッション。

MC

最後に主演のお二人よりご挨拶をお願いします。

佐藤さん

冒頭にも言いましたが、年の瀬に笑って楽しめて、劇場を後にする時には、観る前よりほんのちょっとでも元気になって家路につくという、それは間違いなく芸能の持つ力だと思います。この作品は、福田雄一という一見ゆるキャラのような映画監督が、本当に勉強して書いています。観終わった後、僕は本当に「坂本龍馬ってこういう人だったかもしれない」って、思ったんだよね。だから、勉強にもなるし、観る人を選ばない作品だと思います。本当に子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、いろいろな世代の方に観ていただき、年末、お正月元気になっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

ムロさん

皆さん、本当にありがとうございました。そして、「これから観ようかな?」「観るのどうしようかな?」って考えている皆さん、ぜひ観てください。
あの、家にいなきゃいけない時に、やりたいことを思いついて、動いてみました。それから三年かけて、このような景色の中で、作品を皆さんに届けられることが証明できました。皆さんも、何か思いついたら、作ってみたり、集まってみたりしてみてください。このような景色が見られるかもしれません。
プロデューサーの皆さんがこうやって形にしてくれたこと、そして、そのプロデューサーの皆さんが「夢がある」と言ってくれました。ずっと福田作品を支えていた二人(ムロさんと佐藤さん)が、17年を経て、真ん中に立ち、作品を背負っています。作品だけではなく、舞台挨拶でもこうして本気で遊んで、このような景色が見られることを、若い皆さんに特に伝えたいと思います。
だからこそ、皆さんには「目標を持って!」「夢を持とうぜ!」と、恥ずかしいですが言っていきたいムロツヨシでございます。
だから、皆さんの感想を聞かせてください。けなしてください、褒めてください…どんな感想でも言ってください。本気で勉強して、本気で遊び、本気で作った喜劇「新解釈・幕末伝」が、一人でも多くの人に届くことを願っています。
「人は人を笑う」という言葉は、18年前に、私に急に降ってきた言葉でございます。「人は人に笑われる恐怖」と「笑わせたい欲」をしっかりと自分で認め、そして「人は人を笑う」と自分に言いきかせながら、皆さんに楽しんで観てもらえる作品を、作っていきたいと思っています。
これからも、福田雄一を、佐藤二朗を、山田孝之を、広瀬アリスをはじめとした共演者の皆さん、スタッフの皆さん、プロデューサーの皆さんをどうかよろしくお願いします。
僕も真ん中に立てました。ありがとうございます。