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「新解釈・幕末伝」完成披露試写会―幕末プレミア―

2025.11.27
  • 完成披露

完成披露試写会―幕末プレミア―

“みんなが知っているようで知らない幕末”を、コメディ界屈指のヒットメーカーである福田雄一監督が、史実にのっとりながら“新たな解釈”で実写映画化。教科書には載っていない英雄たちの物語が映画「新解釈・幕末伝」となって、12月19日より公開となります。
11月27日には「完成披露試写会―幕末プレミア―」が行われ、ムロツヨシさん、佐藤二朗さん、広瀬アリスさん、松山ケンイチさん、勝地涼さん、倉悠貴さん、小手伸也さん、渡部篤郎さん、山田孝之さん、福田雄一監督が、真っ赤な大階段から華々しく登場しました。撮影時のエピソードや、笑って学べてアツくなる「超幕末喜劇」の魅力を熱く語り合いました。この日の模様を詳しくレポートします!

坂本龍馬役

ムロツヨシさん

坂本龍馬役

西郷隆盛役

佐藤二朗さん

西郷隆盛役

おりょう役

広瀬アリスさん

おりょう役

土方歳三役

松山ケンイチさん

土方歳三役

徳川慶喜役

勝地涼さん

徳川慶喜役

沖田総司役

倉悠貴さん

沖田総司役

近藤勇役

小手伸也さん

近藤勇役

勝海舟役

渡部篤郎さん

勝海舟役

桂小五郎役

山田孝之さん

桂小五郎役

福田雄一監督

■福山雅治さんが手がけた主題歌「龍」が流れる中、坂本龍馬役のムロさんと西郷隆盛役の佐藤さんがステージの逆サイドから姿を現し、中央で合流。笑顔でガッチリと握手を交わし、大きな拍手を浴びました。

■続いてキャストの皆さんと福田監督が登場。金色の紙吹雪が盛大に舞うド派手演出の中、総勢10名の豪華メンバーが真っ赤な大階段を歩くと、さらに会場は大盛り上がり。華やかにイベントがスタートしました。

ムロさん

坂本龍馬を演じさせていただきました…(マイクを離し、地声で)ムロツヨシです!(会場のお客さん:歓声&拍手)
本日はお越しいただき、誠にありがとうございます。ステキな完成披露試写会で、やっと皆さんに本作を観てもらえる日が来ました。皆さんが、もし笑えたのならば、皆さんの笑い声で初めて成立する喜劇映画でございます。どうか楽しんでください。
この完成披露試写会、このイベントが楽しくなるように全力でやってみせたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

佐藤さん

西郷隆盛を演じました…(マイクを離し、地声で)佐藤二朗です!(会場のお客さん:笑&歓声&拍手)

佐藤さん

ムロツヨシと僕が、福田雄一と関わるようになって十六年が経ちました。あっという間に感じます。今回ばかりは、福田自身も「ちょっと汗をかきました」と言おうということで、最近、「勇者ヨシヒコ」シリーズ(2011年、2012年、2016年にテレビ東京系列にて放送/主演:山田孝之)の仏などの、福田監督の作品の作り方をSNSでバラしてしまっています。一同で「夢を壊してしまうんじゃないかな」という心配もしているんですが、この作品は「本当に大真面目に、熱く作った」ということを言っていこうという気持ちで、皆さんにお届けしたいと思っています。今日はどうぞよろしくお願いします!

山田さん

桂小五郎を演じました、山田孝之です。(会場のお客さん:拍手) よろしくお願いします。

佐藤さん

これが、山田孝之です。

ムロさん

これぞ、孝之。これぞ、山田。

広瀬さん

短い時間ではありますが、ぜひ楽しんで行ってください。

松山さん

今日はお越しいただき、どうもありがとうございます。

小手さん

実写史上、最もふっくらした近藤勇を演じました。
本日はよろしくお願いいたします。

勝地さん

こんにちは、今日はよろしくお願いします。

倉さん

こんにちは。今日はよろしくお願いします。ありがとうございます!

渡部さん

ようこそ。楽しんで行ってください。

佐藤さん

(渡部さんの渋い挨拶に)…カッコ良すぎる!

福田監督

ありがとうございます。先ほど二朗さんが「ちょっと汗をかきました」と言ってくれたんですが、こんなにちゃんと勉強をして脚本を書いたのは初めてです。だからこそ、「史実に間違いはない」と信じていますし、それに基づいた新解釈を楽しんでいただく映画だと思っています。どうぞよろしくお願いします。

MC

いよいよ、完成披露試写会を迎えました。企画段階から特別な思いを持って取り組まれたとうかがっていますが、改めて今はどのようなお気持ちでしょうか。

ムロさん

やっと、この日が来たなという思いでございます。僕が言い出しっぺでございます。(コロナ禍で)家にいなければいけない期間、あの時間、とても悔しかったものですから、この時間をいかにプラスできるかと考え、やるべきリスト、やりたいことリストとして「福田雄一作品の看板を背負う。背負う側になる」というものを掲げました。
そして「家から出ても良いよ」となってすぐに、福田さんに会いに行って、許可をもらいました。そこで「二朗さんとやってみたらどうだ」と言っていただき、すぐに二朗さんに会いに行きました。
その後、山田くんが参加することになったり、その後も蓋を開けていくと、(ステージを見渡しつつ)…見ても分かる通り、この豪華な皆さんに参加していただくことになりました。「ちょっと言い過ぎたな…」と思っています。
途中から「ちょっと豪華すぎやしないか」となってきたんですが、とても撮影は緊張感のある日々で、楽しかったです。本当にクソ真面目にふざけ切ることができたのではないかと、…言い出しっぺながら、やり切ったかなと思っています。

佐藤さん

実は、福田と僕とムロは、プライベートではあまり会ったりしていないんです。十六年の中で、福田雄一と二人で飯を食いに行ったのは一回だけなんですよ。しかもその時は「舞台に出てくれ」「うん、まあ出るか」で終わりましたからね。その三十分だけなんです。
だから、ムロから急に「ちょっと二朗さん、お話があります」とメールが来た時は、「あれ、珍しいな」と思いました。あれが、どれくらい前になるかな?

ムロさん

声をかけたのは、三年ぐらい前ですかね。

佐藤さん

(うなずきながら)今日は朝からずっと、ムロと取材を受けていますが、やっぱり記者の皆さんから「ダブル主演という形で作品を背負うことに、どういう感慨がありますか」と聞かれますが、あえてその感慨は持たないようにしています。これで終わりではないので…。もちろん十六年というのは、僕もあっという間だと思いますが、あえて通過点と言いますか…、何かここで感慨を持ってしまうと、それで終わっちゃいそうな気がして…。なので、そんなにすごい感慨は持たないようにしています。ごめん、「感慨」ばかり言っているね。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

ムロさん

通りたかった道というか、場所ではありますね。そこを避けてというか、ナシでずっと歴史が続くのならば、むしろ自分からその場所を作りに行ったという感じですかね。

MC

ムロさんは十六年間、福田監督作品を支え続け、今回はこのステージの真ん中に立っていらっしゃいます。その辺りもまた少し、特別な気持ちがありますか?

ムロさん

いや、言い出しっぺということだけですかね。この真ん中にどうしても立ちたかったというよりは、真ん中に立つ“日”、“ページ”、“場所”があっても良いし、僕がいつも通り端っこに行くこともありますし、これからもどんどんやって行こうと思っています。でも、真ん中に立った経験があるからこそ、これから福田さんの作る先で、また違った暴れ方をするのか、僕も(作品にとっての)重し(のような存在)になれる日が来るのかなと思っています。今回は、二朗さんが重しになってくれましたが、そういったポジションもやれたら良いなと思っています。

MC

同じく、主演を務められた佐藤さん。今回は福田監督作品における、いわゆる“佐藤二朗節”といったお芝居を封印された印象があります。これは佐藤さんのご提案だったのでしょうか。

佐藤さん

そうです。脚本を読んで、いわゆるいつもの“福田雄一作品での佐藤二朗”というのは、一切封印しようと思いました。
福田作品なので、やっぱりみんなも前のめりになるし、僕もいつも前のめりになるんだけれど、今回は幕末のお話で「どうしても血は流したくない」「だけど国のためを思うと幕府を倒すしかない」という、とんでもない葛藤を抱えた西郷をちゃんとやりたいなと思いました。ただ、福田さんにだけはメールしました。満を持してムロツヨシと佐藤二朗がダブル主演をやるんだから、みんなも丁々発止の笑いをやると思うだろうから、監督に「いやいや、それは二朗さん勘弁してください」「いつものようにやってくださいよ」と言われる可能性も当然ある。だから、ちょっと恐る恐る福田には長文のメールを送った。「何回も脚本を読んだけれど、(その方向性でやることに)勝算がある」と。まあ、そんなに勝算があったわけではないんですが。

福田監督

なかったの!? (会場のお客さん:笑)

佐藤さん

“そんなには”なかった(笑)。(会場のお客さん:笑)

福田監督

なかったんだ!

佐藤さん

“そんなには”なかった。でも、そう言わないと監督のOKが出ないから…。

福田監督

僕はもう、最後の文章に「勝算がある」と書いてあったから、信じたんですよ。

佐藤さん

良かった、良かった。うん、騙せた、騙せた。(会場のお客さん:笑)
そんなに勝算があったわけじゃなかったんだけれど(笑)、だから、作品全体の文鎮みたいな役割ができれば良いなと思いました。ムロはムロで、ベクトル的にはいつもの笑いを、もっと前のめりにやるけれど、僕は一切それをやらないという形のダブル主演があっても良いかなと思いました。

MC

演じる前から、そういった熱い思いがあったのですね。
山田さんは、2009年公開の山田さん主演映画「大洗にも星はふるなり」を皮切りに、「勇者ヨシヒコ」シリーズなど、ムロさん、佐藤さんとは長い共演歴があります。今回の出演情報解禁時には、「偉大な先輩たちからも、そろそろ何だか、ほんの少しだけ勉強させていただける機会が近づいてきた」とコメントされています。

山田さん

あまり明確には覚えていないんですが…、(佐藤さん:笑) 「多分、近づいてきたかもしれない」くらいだったと思います。

佐藤さん

そういう時期がね、近づいてきたかもしれないと。

山田さん

ずっとお二人とは一緒にやってきたので、もうそのままですね。お二人がダブル主演でやるとなったら、僕も何かできることがあるんじゃないかと思って、「参加させてください」という感じでしたね。

MC

三人でのシーンは、撮影されてみていかがでしたか?

山田さん

(しみじみと)大変でしたね…。

佐藤さん

まあ、大変なシーンだったね。

ムロさん

「大変じゃない」がなかったもんな。

山田さん

薩長同盟という、今後の日本の未来を決めるような場所なので、もちろん緊張感がすごくあるんです。何だかね(ムロさんと顔を見合わせながら)「楽しんでやる!」という感じでもなかったですね(笑)。

ムロさん

なかったですね(笑)。今回の台本も含めて。

山田さん

だから、シーンの状況とは合っていましたよね。

MC

薩長同盟のシーンは、まさに本作のハイライトとも言える場面だと思います。お三方による緊迫した会話劇を、福田監督はどのようにご覧になっていましたか。

福田監督

お三方に、「セリフ合わせをしないでください」というお願いをしました。
東宝のスタジオで、真ん中に和室のセットが組まれているんですが、それぞれが別の場所に座って、「一人で台本を読む」という時間を過ごしながら撮ったんですよね。僕的に、「新鮮味がほしいから」という簡単な理由ではなくて、薩長同盟って、西郷と桂がそこで初めて顔を合わせて話をする。そこに坂本龍馬もやって来て、初めて話をするわけですから、相手がどう出てくるかを知ってほしくなかったんです。ムロくんが山田くんに指示を出すところがあるんですが、そのシーンも山田くんがどう出てくるのかを分からずに演じているんです。でも、実際の薩長同盟ってそうだったはずじゃないですか。
薩長同盟の話し合いの終わりのところで、二朗さんが山田くんにガチギレをするんです。僕としては台本はそんなつもりで書いてなかったので、モニターを観ながら二朗さんがガチギレしたことに本当にびっくりしたんです。

佐藤さん

(笑)。

福田監督

二朗さんがガチキレするのを山田くんも初めて見たはずで、それに対して山田くんもガチギレ返すんです。そうやって、あのすごいシーンができあがっていきました。本当にこの作品は、CGが黒船だけで、あとはもう、役者の力でしかないんです。

ムロさん

すごい。CGの場所をちゃんと言うんだ。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

佐藤さん

監督だから!(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

ムロさん

そうか。(佐藤さん:笑)

福田監督

この前、福田組のスタッフと話をしたんですが、やっぱりこの作品は「役者を観る映画ですよね」ってなったんです。編集をしている時にも、三人のやり取りが圧巻だったので、「すげーな、役者さん!」と改めて思いました。

MC

そのヒリヒリとした薩長同盟のシーンは、ぜひこれからご覧になる皆さんも注目していただければと思います。

ムロさん

(会場のお客さんに向けて)皆さん、本当に長いです。とても長いです。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)
そんなつもりで観てほしいわけじゃないですが、どんどん呟いてください。「あれ、まだやる?」って。(佐藤さんに話しかけるように)「え、まだ続く?これ」

佐藤さん

(ムロさんの問いかけを受け)「これ、長くない?」(コントが始まったかのような雰囲気に、会場のお客さん:笑)

ムロさん

「長くない?」

佐藤さん

「これ、編集ミスじゃない?」

ムロさん

「これ、大丈夫?」

山田さん

(どこかから戻ってきたようなフリをして)「まだやっていたの?」(即興芝居に参加した山田さんに、会場のお客さん:笑)

ムロさん&佐藤さん

(山田さんを示しながら)今、トイレに行っていた人です!(会場のお客さん:笑)

佐藤さん

そういう芝居です!(会場のお客さん:笑)

MC

そして、広瀬さんの撮影が終わった日には、福田監督からプロデューサーのもとにLINEが届いたとうかがっています。

福田監督

いや、僕はLINEじゃなくて、Twitter(X)に呟いていました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

佐藤さん

世界に発信したね!

福田監督

「ヤバい、ヤバい!今回のヒロイン、だいぶヤバいコメディエンヌです!」と書いていました。「ヤバい、ヤバい、コメディエンヌ。最高です。見たことない、こんなコメディエンヌ」と呟いたその朝、アリスちゃんがほぼ同じ刻に「今日は全身タイツで頑張ります」って呟いていた(笑)。それを見た人から「あれ、これ同じ作品なんじゃねえの?」的なコメントをいただきました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

佐藤さん

まだ情報解禁していないからね。

福田監督

全然、していないから。

MC

匂わせちゃったということでしょうか。

福田監督

いや、匂わせるつもりは全くなかったんですよ! たまたま二人で、同時に言っちゃったんです。

佐藤さん

もう匂わせどころか、ほぼアンサーだもんね。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

福田監督

アンサーだね、本当に。

MC

そのコメントをご覧になって、いかがでしたか?

広瀬さん

めちゃくちゃうれしかったです。
でも、薩長同盟のシーンは(台本のページ数)三十八ページもあって、めちゃめちゃ緊張感があるのに、私はただ全身タイツで暴れただけなんです。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)
申し訳ない気持ちでいっぱいです。

佐藤さん

ただね、全身タイツで暴れられる女優さんはそんなにいないから。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

広瀬さん

(うれしそうに)本当ですか?

佐藤さん

うれしそう(笑)!

ムロさん

観終わった時に、「主演・広瀬アリスだな」って思う方、結構いると思います。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) 本当にそう思います。

MC

本作で描かれるおりょうは、現代にも通ずる女性像だと感じました。広瀬さんご自身は、演じられていかがでしたでしょうか。

広瀬さん

先ほど、皆さんが「おりょうは頭のおかしい女だ」と言っていたので、私も「頭のおかしい人なんだな」と、ちょっと思っています。でも、それがちょっとうれしい自分もいるので、早く皆さんに観ていただきたいと思っています。

MC

勝地さんは先輩でいらっしゃいますが、本作の広瀬さんいかがですか?

勝地さん

イカれていました!(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) 僕は、十代の頃から(広瀬さんを)知っていますが、ここまでできるのかと思いました。だって、福田作品、初めてですからね。

佐藤さん

それが信じられない。

勝地さん

爪痕を残しまくるので、びっくりしました。

MC

そして、渡部さんは以前、舞台で福田監督作品に出演されていますが、映像作品は初めてだと思います。何か意識されたことなどはありましたでしょうか。

渡部さん

ありません。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)
何でも、とりあえず一生懸命にやろうかなと思っていました。

MC

福田監督からの演出は、どういったものがありましたか?

渡部さん

いや、どうなんでしょう。忘れました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

佐藤さん

ありませんし、忘れました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

福田監督

(笑)。僕は、篤郎さんに一回だけ、注意したことがあるんです。一緒に舞台をやらせていただいた時に、稽古初日で「今日から立ち稽古をしますよ」という時に、スーツでいらっしゃったんです。

佐藤さん

そうだ、そうだ。

福田監督

「篤郎さん、稽古をその格好でやりますか?」って聞いたら、「あ、これじゃダメなのか。じゃあ、ちょっとジャージ買ってくるわ」って(笑)。

佐藤さん

買ってきたの!?

福田監督

次の日、ジャージ買ってきたの。

佐藤さん

僕もその舞台に出ていたから、渡部さんがスーツを着てきたのは覚えている。

渡部さん

(MCに向かって)ごめんね、全然違う話でね。
僕は、福田監督の映像作品は初めてだったので、すごく楽しみにして現場に行きました。特に何かという演出ではなくて、一生懸命にやっていました。

福田監督

一つ思っていたのは、ムロくんのノリに乗っかってきてくださる役者さんだと、この役はちょっと違うなと思ったんです。ムロくんが作り出すノリに、全然乗ってこない役者さんが良いなと思っていたら、プロデューサーさんから「渡部さんはどうですか」と言われた時に、「うわ!それじゃん!」となったんです。「篤郎さん、やってくれますかね!?」と聞いてみたら出てくださるとお返事をくださって…。
現場では、もう明らかに、篤郎さんの周りだけワールドが違うんですよ(笑)。割とみんな砕けてしまうんですが、篤郎さんだけ独特の空気を保ってやっているので、それがもう勝海舟でしかない。そういった僕の思いが、現場ではそのまま実現されていました。

ムロさん

今回は、二朗さんが作品としての重しになりますが、前半の重しとなったのは、僕らのアツロウ・ワタベ。みんなのアツロウ・ワタベ。篤郎さんですよね。

福田監督

ちょっとネタバレになってしまうんですが、「忍び茶屋」というのが、実際に江戸時代にあったんです。いわゆるコンセプト茶屋のようなもので、本作では、くノ一が接客をしてくれるお茶屋さんです。そこに行く道中で、ムロとガンちゃん(岡田以蔵役の岩田剛典さん)と篤郎さんが歩いてしゃべっているシーンがあって…。ガンちゃんは堅物の殺し屋役なので、「なぜそんなところに行かなきゃいけないんですか」と言うんです。そこで篤郎さんがものすごくカッコ良い顔をして、「興奮するからだよ」と言うんですよ(笑)。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

MC

福田監督、皆さんはこれから本作をご覧いただきますので、それ以上お話をすると…。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

福田監督

そうですね(笑)!

佐藤さん

今、マイクが入っていないところで、渡部さんが僕に「福田、中身を言っちゃっているよ」って言っていました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

MC

続いて、勝地さんは、最後の将軍である徳川慶喜として出演しています。オファーがあった際のお気持ちを教えてください。

勝地さん

福田さんの「銀魂」を観ていらっしゃる方は分かると思うんですが…。(「銀魂」で勝地さんが将軍の徳川茂茂役を演じていたことから、周囲から「将軍と言えば!」と声が上がる)「また将軍、勝地かよ!」と思いましたが、でも、福田さんが「勝地だ」と言ってくださるので…。

福田監督

食い気味に言いました。(キャスティングの打ち合わせで)「慶喜役、誰にしますか?」と聞かれて「勝地で!」って。

勝地さん

僕は、事務所の人から、「福田さんから将軍役が…」「やります!」って、食い気味に答えました。

福田監督

何だったらもう、茂茂と同じしゃべり方しています(笑)!

勝地さん

(笑)! 僕は、何本も福田さんの作品に出演していますが、今回はムロくんと二朗さんが主役ということで、その作品にちょっとでも関われたのがすごくうれしかったです。僕は一足先に観たんですが、オンラインで観たので、巻き戻すことができるんです。先ほどのお話にあった薩長同盟のシーンは、もう一回観直しました。

ムロさん&佐藤さん

ええ!

勝地さん

それぐらい、ヒリヒリ感とか、「現場ではどんな空気だったんだろう」とか考えると、少し熱くなってジーンとしました。面白いシーンなんですが、そういう思いになりました。

福田監督

そうだよね。あれ、役者さんが観るとあの場が特別な空気感であることが分かるよね。

勝地さん

分かります。ヒリヒリしていて、すごいなと思いました。

福田監督

すごい緊張感でやっているんだろうなって、分かるよね。

MC

そして、近藤勇・土方歳三・沖田総司という、人気のある新撰組を演じた三人にもお話をうかがいます。小手さんは現場を終えて、「洗礼を受けた」とコメントされています。

小手さん

そうですね。僕にとって福田監督の作品は「初めまして」だったんですが、ちょうど僕らの登場シーンは、この映画全体のクランクインで、本当に、初日も初日だったんですね。何も分からない状態で、「初めまして」の現場に来て、シーンの撮影を始める前のドライリハーサルというものをやりました。普通は、一つのシーンを頭から最後までざっと流してやってみて、それを見てどう撮るかを考える、そういうリハーサルなんです。そのドライの時に、僕らはセリフを合わせるはずなんですが、僕らが言うはずのセリフを全部、福田さんが「じゃあこの人がこう言って、こう言って、こう言って、ここで出てきて…」と、全部段取りをしゃべっちゃうから、僕らはやることがないんです。(会場のお客さん:笑) しかも、それを聞いている状態で、「シーンを理解したな」という空気が流れて「じゃあ本番、行こう!」って言われて、「ええっ!今のがリハーサルなんですか…!?」ってなりました。

佐藤さん

無茶苦茶ですよね。

ムロさん

役者がリハーサルをやっていないですもんね。

小手さん

役者、やっていないですからね。言い方は悪いですが、こんな雑な…。(福田監督:爆笑)

ムロさん

言葉、選んでもらっても良いですか(笑)。

佐藤さん

思った以上に、言葉が悪かったねえ(笑)。

小手さん

だって、びっくりしましたよ! そこから急に本番が始まるんですが、マツケン(松山)さんとかはもう福田監督の撮り方に慣れているから、始まったら始まったで、急にすごいトップギアを入れてくるし、倉くんは倉くんで勘が良いので、途中から一気にヒートアップしてくるし…。僕は二人の勢いを止めるのに精一杯でした。ツッコミで筋肉痛になったのは初めてですよ。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) 

佐藤さん

本当に面白かったよね、あの三人。

松山さん

やっぱり、生きるか死ぬかのシーンでしたもんね。

小手さん

(勢い良くツッコミ)違うだろ! (登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

ムロさん

違うね。茶屋に入るか、入らないかの話だよ!

佐藤さん

松山、全然違うぞ。

小手さん

茶屋に入るか、入らないかで揉めているだけのシーン!

松山さん

でも、僕らにも三十八ページ分の緊張感ありましたよね。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

小手さん

(爆笑)。そうだよ、本筋の薩長同盟があって、「僕らが茶屋に入るか、入らないかなんていうところで、時間を割いて良いのか」と思いながらね。でも、福田監督は福田監督で、「押し問答を二分やってくれ」みたいなことを…。(福田監督:爆笑) 「二分も撮るんですか!」と思って…。

佐藤さん

長いよ、二分って。

小手さん

びっくりしましたよ。

ムロさん

あるんですよね、あの松山ケンイチには“悪魔のトップギア”が。この人は、トップギアのまま走り続けられる人だと、みんな忘れがちです。

福田監督

倉くんにも、トップギアがあったんですよ!

小手さん

あったんですよ。

福田監督

僕、この前の試写会終わりに倉くんに「倉くん。自分、面白かったでしょ」と聞いたら、「僕、面白かったです!」って…。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

倉さん

やめてください! 恥ずかしい、恥ずかしい! あまり言わないでください…。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

佐藤さん

それ良いね、それ良いね(笑)。

小手さん

僕がヘトヘトになって帰ってきたら、坂本龍馬の格好したムロさんが座っていて「こういうもんだよ」みたいな…。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) 「あ、なるほど!これが福田組か!」と思いました。

ムロさん

三人の芝居を観ている時、ちょっと遠くから篤郎さんがゆっくり来て、「ツヨシくん、彼らは何をやっているの?」って言っていました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) 「篤郎さん、芝居ですね!お芝居やっています!」と返しました。

佐藤さん

みんな、仕事をしています。

ムロさん

(ポケットに手を入れ、モノマネするように)「そうか、芝居か、そうか」って…。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) 名言ですよ「彼らは何をやっているの?」「お芝居ですね」「そうか」って会話。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

MC

松山さんは、“悪魔のトップギア”をお持ちだということですが、ご自身でも心当たりはありますか?

松山さん

“鬼の副長”と言われているキャラクターだったので、全力でぶつからないといけないなと思いました。クランクインということもあって、めちゃくちゃ緊張していたんですよね。

小手さん

ほう?

松山さん

小手さんとは、前にも大河ドラマ(「どうする家康」2023年NHK総合にて放送/主演:松本潤)でご一緒させていただきました。その時に、何でもすごくキャッチしてくれる方だと知っていたので、とにかく球を投げようというよりは、どこか絶対に刺してやろうって…。(小手さんに向けて刺すようなジェスチャー、小手さん:爆笑)

佐藤さん

本当にそういう感じだったね。

小手さん

なるほどね。

松山さん

それで、どこまでお互いに耐えられるか…みたいなことをやりたいなと思っていたんですよ。だから、僕の中ではすごく緊張していました。

小手さん

確かに、力はこもっていた。翌日、体がボロッボロ、ボッキボキになりました。

松山さん

なりました、なりました。

MC

倉さんはいかがでしたか?

倉さん

僕も全身バキバキでした。本当の意味の、体当たりな芝居というか。

佐藤さん

文字通りの!

松山さん

本当の修羅場だったと思いますよ、あれは。

MC

近藤勇からは「お前、本当に沖田総司だよな?」というセリフが飛び出すシーンもありましたが、改めてどのような現場でしたか?

佐藤さん

(爆笑)。その質問、どうよ!

倉さん

(笑)。そうですね…、結構ハチャメチャで、エネルギッシュな現場だったと思います。僕はもう、全力で臨んだだけなので、そのシーンを楽しみにしていただきたいです。

福田監督

僕のツボは、「お前は本当に沖田総司だよな?」というのも面白いんですが、それに対して倉くんが「はい!沖田です!」と言うんですよ。それが僕はツボです!

MC

はい…。またちょっとネタバレが出てしまいました。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

佐藤さん

言っちゃうから!

福田監督

これくらいは良いんじゃないですか? (ネタバレを)言われたことで「あ、これか」って思うこともありますから!

MC

本日は本作にとって関係性のある、ある方からのスペシャルメッセージをちょうだいしています。スクリーンをご覧ください。

■主題歌「龍」を手掛けた福山雅治さんから、スペシャルメッセージが到着。キャスト&監督陣は、スクリーンに映し出された福山さんからのメッセージを観客と一緒に鑑賞しました。

【福山さんからのメッセージ】

福田雄一監督、ムロツヨシさん、佐藤二朗さん、山田孝之さん、広瀬アリスさん、松山ケンイチさん、勝地涼さん、倉悠貴さん、小手伸也さん、渡部篤郎さん。そしてTFTホールにお集まりの皆さん、福山雅治です。
この度、福田監督、そして映画プロデューサー陣によりオファーをいただき、主題歌「龍」を書き下ろさせていただきました。大いに悩みました。(福山さんが主演として龍馬を演じた2010年放送の)大河ドラマ「龍馬伝」。もう今から十五年ほど前になりますが、(龍馬を)演じました。まだいるんでしょうね、自分の中で、幕末を生きた龍馬さんが。(主題歌を)描いて良いものかどうかっていう、解釈と解釈がぶつかり合っちゃうんじゃないかなと思って、ギリギリまで、躊躇しちゃいまして。
幕末というのは、時代が大きく変わる変化と進化のタイミング。その中で龍馬さんも、西郷さんも、みんなが濁流に飲まれながら、それでも必死に生きてきたんだと思うんです。その必死に生きてきた生き方が、人生のダンスと言いますか、もがきながら、苦しみながらも、ステップを踏む。そんな人生のダンスを、この楽曲で表現してみました。
そんな主題歌「龍」は、11月29日土曜日より各配信サービスでデジタルリリースされます。そして、同日の日本テレビさんの冬の大型特番「ベストアーティスト2025」にて、「龍」を地上波初パフォーマンスさせていただきます。ここ、宣伝です! そして、この「ベストアーティスト2025」に何とですね、ムロさんと 佐藤二朗さんが来てくださる! 本日はそのリリースに先駆けて、新曲「龍」のリリースに先駆けて、「新解釈・幕末伝」と私のパフォーマンスがコラボしたインスパイアムービー・ショートバージョンをご覧になっていただきたいと思います。
本当に映画もすばらしく、面白く、胸に迫り、グッとくるものがあり、笑いあり、そして学びがある。そんな「新解釈・幕末伝」を僕も、大いに楽しみました。すばらしい映画の完成、おめでとうございます。そして公開おめでとうございます。たくさんの人に長く愛される映画であることを、願っております。では、またお会いしましょう。
福山雅治でした。(会場のお客さん:拍手)

■インスパイアムービー・ショートバージョンがスクリーンに投影されました。

MC

同じ龍馬を演じたムロさん、福山さんからのメッセージはいかがでしたか。

ムロさん

改めて福山雅治さんという方の、“粋”を感じることができました。福山さんは、「龍馬伝」で坂本龍馬を演じられていますが、「新解釈・幕末伝」は喜劇です。「龍馬伝」で龍馬を演じたあの方が、本作の主題歌を快く即答で引き受けてくれたという、それこそがまた喜劇の一つになっていると思います。本作に参加していただけたこと、その“粋”に本当に感謝しています。

佐藤さん

これ、言って良いのかな。福田が、福山さんのライブを観に行った時に福山さんが「監督、映画を観た方が良いですよね」と言ったら、福田が即答で「あ、観なくて良い。観ないでください」って…。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑) そうしたら福山さんも「あ、分かりました!」と一瞬で打ち合わせが終わったという話を聞きました。その辺も“粋”な感じがしますよね。

ムロさん

そうですよね。

MC

それでいて、この曲はしっかりと映画に勢いをもたらしていますよね。

佐藤さん

びっくりするよねえ!

ムロさん

映画の中の一ページになっているのが、本当にすごいなと思います。

■キャストの皆さんの名前が書かれたのぼりを背景に、賑やかにフォトセッション。キャノン砲からプシュー!という大きな音と共に盛大に金色の紙吹雪が放たれ、キャストの皆さんもびっくり。タジタジとなる様子に、会場も大盛り上がりとなりました。

佐藤さん

福田作品が初めての方も、常連の方もいらっしゃいますが、ここまで豪華な俳優の皆さんに集まっていただけたこと、本当にうれしいし、ありがたいです。その俳優たちが福田作品において、もうこれ以上ないぐらいに前のめりに演じています。その俳優たちの熱と、幕末で命をかけた志士たちの体温がリンクして、極上の色彩をこの作品が放つことを願っております。よろしくお願いします。(会場のお客さん:拍手)

ムロさん

これから皆さんには本作を観ていただくということで、どうぞ楽しんでください。笑いたい時は笑っていただいて、笑えない時はムスッとしていても構いません。(会場のお客さん:笑)
とにもかくにも、素直な心で楽しんでいただけたらと思います。勇気を持って、覚悟を持って、喜劇を作りました。今、この時、この場所に、喜劇が必要かどうか…僕は必要だと思っていますが、そのジャッジは、皆さんが教えてくれると思いますので、それを真摯に受け止めようと思います。ただ、僕としてはこの時代に笑うということ、映画で笑うということを、これからも作っていきたいと思います。
今回もクソ真面目に作りました。この時代だからこそ、本作で描かれている坂本龍馬のような男がいてほしいと、演じた僕すらも思える男になっています。本当にふざけたヤツです。
大したことを言っていないのに、なぜか時代が動いた。それはなぜなんだろう。今のこの時代と比較して、なぜこの時代に動かないものが、あの時は動いたのだろうという視点でも楽しんでいただけたらと思います。
クソ真面目にふざけています。そして最後には、このキャストを目の前にして恐縮ですが、佐藤二朗とムロツヨシが二人で一つのメッセージをお届けしています。どうか最後まで楽しんでいただけたらうれしいです。どうぞ楽しんで。今日は本当にありがとうございました。(会場のお客さん:拍手)

福田監督

僕はコメディ作家だから、この先、この話をすることなんてもう二度とないし、具体的な話はしませんが、僕は、実はちょっと前まで体調を崩していました。だいぶ長いこと崩していたんですが、その最悪な時に山田くんとムロくんが僕の家に来て「福田さんが元気になるためだったら、僕たちは何でもしますよ」「何かできることありますか」と言ってくれたんです。それを言ってくれたのが本当に、何と言うか情けない上に、ちょっとうれしかったんです。
それからしばらくは回復もしなかったんですが、この映画に入る半年ぐらい前に、奇跡的に回復をしたので、台本を書いて、撮影の時にスタッフと僕とムロくんと山田くんで中打ち上げをしました。山田くんとムロくんが「福田さんとまた、こうやって楽しくご飯を食べられるとは思っていなかったから、本当にうれしい」と言ってくれたんですよね。本当に、僕はそれがうれしくて、ホテルに戻って、家族LINEに「ムロくんと山田くんがそう言ってくれたんだ」と言ったら、妻が「本当に良い友だちを持ったね」と言ってくれて、僕ちょっとホテルで一人で泣きました(照笑)。
ムロくんと山田くんが言ってくれた「何でもしますよ」という言葉が、僕の中でずっと突き刺さっていました。撮影の時にはフルスロットルが、僕に戻っていました。福田家では「新解釈・幕末伝」のことを、「福田雄一復活祭」と呼んでいます。
あと、本当にうれしかったのは、アリスちゃんに芝居をつけている時に、二朗さんが「今回、お前すごいね!」と言ってくれたことです。

佐藤さん

ちょっと戻った感じがしたんですよね。

福田監督

劇場公開二十作目ということではあるんですが、僕にとってはものすごく大きな意味を持つ映画です。この映画で、ちゃんとムロくんと二朗さんと山田くんに報いることができたのは、本当に僕にとっては記念すべきことです。長い間、僕をずっと支えてくれたプロデューサー陣に、この場を借りてお礼を言いたいと思っております。
僕が大復活を遂げたこの作品、楽しんでいただければと思います。こんな話にお付き合いいただいて、ありがとうございました。(会場のお客さん:拍手)