「国宝」完成報告会
- 完成披露
完成報告会
作家の吉田修一さんご自身が、三年間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を血肉にして書き上げた渾身作「国宝」。任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の五十年を描いた壮大な一代記が映画化され、6月6日より公開となります。
4月23日には、帝国ホテルにて完成報告会が開催され、吉沢亮さん、横浜流星さん、高畑充希さん、寺島しのぶさん、森七菜さん、見上愛さん、田中泯さん、渡辺謙さん、李相日監督が登壇しました。
イベントでは、本作の主題歌「Luminance」(原摩利彦 feat. 井口 理)が発表されました。また、本作が今年のカンヌ国際映画祭の監督週間部門に選出されたことを受け、登壇者の皆さんが喜びを語った、こちらのイベントの模様を詳しくレポートします。
吉沢亮さん
立花喜久雄(花井東一郎)役
横浜流星さん
大垣俊介(花井半弥)役
高畑充希さん
福田春江役
寺島しのぶさん
大垣幸子役
森七菜さん
彰子役
見上愛さん
藤駒役
田中泯さん
小野川万菊役
渡辺謙さん
花井半二郎役
李相日監督
吉沢さん
本日は、お集まりいただきありがとうございます。
横浜さん
作品が完成して、皆さんに届けられることは、当たり前のことではないので、本日無事に完成報告ができて、うれしく思います。
高畑さん
今日はこの場に皆さんと一緒に参加できてとてもうれしいです。
寺島さん
本作で自分の役に課された役割が、今の自分とダブっていたので、撮影では不思議な感覚を体験することができました。
森さん
今日は皆さんとこの場に立つことができて、とてもうれしいです。
見上さん
本日はお集まりいただきありがとうございます。最後までどうかお楽しみください。
田中さん
よろしくお願いします。
渡辺さん
李監督に、無謀な挑戦を託されましたが、何とかやり抜くことができました。本日はたくさんの方々にお集まりいただいたので、本作を世に広めていただけるようお願いいたします。
李監督
「人間、やればできるもんだなぁ」と言うと、また(渡辺)謙さんに叱られそうですね(笑)。でも、「これができるのか?」という疑問を持っているだけでは、先に進めないですし、たとえ確信を持っていても、落とし穴があることもあります。本作は、この時代に生まれるべくして生まれた「非常に生命力の強い作品」だと感じています。
MC
本作のカンヌ国際映画祭監督週間への正式出品が決定いたしました。おめでとうございます。(会場のお客さん:拍手)
監督週間への出品のご連絡を受けた時のお気持ちと、カンヌで上映されることについての今のお気持ちをうかがえますか?
李監督
カンヌ国際映画祭は非常に狭き門で、世界中でしのぎを削った作品が集まります。本作が、日本で大々的にエンターテインメント作品として皆さんに届くのと同時に、作品性も評価されて、同軸が揃った作品となったのはうれしく思います。
歌舞伎という日本の伝統文化を題材にした作品なので、フランスの方もそうですが、皆さん歌舞伎にはそれぞれのイメージをお持ちだと思います。でも、本作を通してそういったイメージを新たに覆す映画体験をしてもらえたらうれしく思います。
MC
吉沢さんと横浜さんは、カンヌ出品の発表時は、「国宝」の撮影地である京都で、同じお仕事の現場にいらっしゃったとうかがいました。ニュースを聞いた時のお気持ちはいかがでしたか?
吉沢さん
映画に携わっている人間としては、カンヌは憧れの舞台です。その場所にお邪魔できることはすごくうれしいです。
京都の世界遺産の東寺で、横浜さんと一緒にお仕事をしていた時にその発表を聞きました。すごく運命を感じました。「歌舞伎」という日本が世界に誇る文化が世界に放たれて、どのような評価をいただけるのか、すごく楽しみです。
横浜さん
映画人として、カンヌは憧れの場所です。京都で喜びを分かち合いました。我々が魂を込めた作品なので、心からうれしかったです。海外の方々がどのように感じ、受け止めてくれるのか、非常に楽しみです。何より監督、おめでとうございます!
李監督
いやいや、皆さんね(笑)!
MC
渡辺謙さんは、李監督とは過去に「許されざる者」(2013年公開)でヴェネチア国際映画祭出品へのご経験がありますが、カンヌへの出品は初めてですよね。
渡辺さん
「怒り」(2016年)の時は、トロント国際映画祭やサン・セバスティアン国際映画祭に一緒に行きましたが、実はカンヌだけはまだ行ったことがなかったんです。おそらく騒然としていると思います。映画人が世界中から集まってくる中で、本作が上映されるのは、かなり大きな意義があると思います。李監督の作品は、作家性が強いので、海外の方がそれをどう受け止めるのか、楽しみではあります。
MC
ここからは本作の内容についてうかがっていきます。まずは吉沢さん、喜久雄役に正面から向き合いながらお稽古や撮影という怒涛の日々を過ごされたと思います。本作と喜久雄役への思いを教えてください。
吉沢さん
撮影期間を含めて一年半、歌舞伎の稽古を続けて喜久雄役に向き合いました。一年半という期間、一つの役に向き合うのはなかなかできないことだと思います。どの作品も特別で、全力でやっていますが、この作品にかけた時間とエネルギー量は桁違いです。それだけのものを背負って現場に臨みました。確実に、今までの役者人生の集大成です。これまで培ったものをすべてぶつけた作品です。
MC
改めて、喜久雄の人生を演じてみていかがでしたか。
吉沢さん
歌舞伎役者は、役者というつながりはありつつも、全く違う世界だと改めて感じました。我々役者は、人間の人生を演じて生きていきます。歌舞伎役者さんは、何百年も前の先人たちが積み上げてきた一つの芸を生きていきます。そこへの覚悟は、小さい頃から舞台に立って何十年も積み重ねて、ようやく形にしていくものだと思います。僕がそれを演じるのに、一年半では足元にも及ばないことは分かっていますし、技術的に足りない部分はたくさんあると思います。だからこそ、我々役者がやった意味があると思います。僕は喜久雄を通して、がむしゃらな精神や意地を感じました。そこが観ていただきたいポイントです。
MC
吉沢さんは、でき上がった作品をすでに二回ご覧なったとうかがいました。
吉沢さん
いろいろな思いがあって、一回だけではすべての思いが処理しきれず、二回観ました。「とにかくすごいものを観た!」という余韻がありました。カメラワークや、皆さんのお芝居、美術、ライティング、総合芸術、それぞれの素晴らしさがありました。本作は歌舞伎がテーマなので、観る前は難しい題材と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。「純粋にエンターテインメントとして楽しめる、本当に最高な作品が生まれたなぁ」と思って、ホッとしています。
MC
横浜さんも、吉沢さんと同じぐらい大変な準備をされたと思います。役と向き合い、完成した本作をご覧になった感想を教えてください。
横浜さん
俊介という人物は、僕自身とは正反対でむしろ苦手な人間です。なので、普通の役作りとは違って、まず理解し、愛することから始めました。李監督は、「流浪の月」(2022年/主演・広瀬すず、松坂桃李)の時もそうでしたが、自分の中にきっとあるけれど、律して眠らせているものを、解放させて、挑戦させてくださるので、役者冥利に尽きます。それと同時に、力不足も感じましたが、幸せな時間を過ごせました。完成した作品を観て、芸に人生を捧げた彼らの生き様が美しくて、感銘を受けたし、励まされました。僕も彼らのような人生を過ごすためには、「芸に励むのみだな」と思いました。
MC
自分の人生に言葉をもらったような感じですか?
横浜さん
そうですね。なので、役者の方々も観ていただくと、いろいろな思いが感じられるのかなと思いました。
MC
人生をかけて歌舞伎役者を支えた女性陣にもお話をうかがいます。高畑さんは、喜久雄と俊介と大きく関わる役でしたが、演じた感想や、完成した作品をご覧になった感想を教えてください。
高畑さん
本作を拝見して、結構くらいました。李監督とは「怒り」(2016年)でもご一緒しましたが、その時も作品を観た後に、一日、二日引きずるというか、良い意味ですごくドーンと来ました。「すごく重厚な作品に参加させてもらえたな」と思いました。春江は、長きにわたり一番近くで喜久雄と俊介の二人に寄り添い、見守る役でした。私も実際に、若い時代から歳を重ねるまでの撮影で、ずっと二人を横で見ていました。二人が血反吐を吐くような努力を重ねて芸を習得する姿を見ていたので、自然と春江の気持ちになれたし、客席や舞台裏で「何か力になれないかな?」と思っていました。作品を観た時にその記憶が蘇って、二人の人生を見られて、すごく不思議な幸せな気持ちになりました。
MC
寺島さんは、「今まで生きてきた私の環境や、蓄えてきたものを少しでも活かせていれば」とコメントされていました。皆さんご存知のように、寺島さんご自身も歌舞伎界に近く、今回「国宝」に参加されました。どのようにオファーを受けて、本作の撮影に臨まれたのでしょうか?
寺島さん
幸子は、二人を部屋で預かってしつけていく役ですが、歌舞伎界は世襲制なので、この役自体はリアルには成り立たないものです。なので、吉田さんの本を読んだ時に「とても夢がある物語だな」と思いました。
李さんとは、これまで何度か「ご一緒できるかなぁ?」と思っていたのですがなかなか叶わず、この作品でお会いできました。また、歌舞伎と言う題材で、ご一緒できることに意味があるのかなと感じました。私は今回、役者と言うより、スタッフの一部のようでした。例えば、セットで自分が見てきたものと違うと思ったら、監督に「こうじゃないですか?」と言ったりしていました。
李監督
結構厳しい指摘でした(笑)! でも、素晴らしい指摘でありがたかったです。
寺島さん
(笑)。不思議な体験でした。演じつつも、セットなどを見ては、指摘をして、監督がそれを真摯に変えてくださって、楽しい撮影でした。
私は、いつもでき上がった作品は観ないのですが、評判は聞いております。李さんは、「えげつなくカットする」と、有名な監督ですから、私のシーンなんて大して残ってはいないかと……。
渡辺さん
ちゃんとあったよ!(登壇者の皆さん:笑)
寺島さん
ありました(笑)? カットされていた場合、「観るの嫌だなぁ」と思っていたので、もう二、三年寝かせてから拝見しようかな。
李監督
その間にまた編集を変えたりして(笑)! (寺島さん:大笑い)
MC
寺島さんは幸子として、子どもの時代から二人を見ていて、いかがでしたか?
寺島さん
俊ぼん(俊介)は自分の子どもですからね。それを差し置いて主人(渡辺謙さん演じる花井半二郎)が喜久雄を支持するのは、ムカついてしょうがなかったです。歌舞伎界では、ほとんど考えられないことなので、「吉田修一さんはすごいものをお書きになったな」と思っていました。
MC
森さんは、喜久雄にとってターニングポイントとなる女性を演じました。どのような気持ちで撮影に臨みましたか?
森さん
撮影には途中から参加したので、正直すごく緊張しました。吉沢さんとの共演は二度目でしたが、ずっと迷宮にいるような気持ちでした。でも、それが楽しくて毎日現場に行っていました。私は彰子として、喜久雄がこの後どうなっていくのか、現場で吉沢さんのことを見ていたのですが、ずっと炎みたいでした。吉沢さんはすごく優しく接してくれるのですが、青い炎に見えて、どこか近寄れなくて、「喜久雄じゃない時間ってあるのかな?」って、彰子として心配している時間がありました。(吉沢さん:笑)
カメラが回っていないところで、吉沢さんが物を落とされた時も女性らしくすごくきれいに拾われた瞬間があって、「すごすぎる!」と思いました。彰子は、これから喜久雄が歌舞伎役者として芸を磨いていく中で、こういう瞬間を目にしていくのだなと思うと、次のシーンの心の手助けになったので、本当に感謝しています。ありがとうございました。
吉沢さん
(笑)。どういたしまして。彰子とのシーンは、彰子と一緒にいても、喜久雄は常に自分の世界にいるような接し方だったので、「自分から話しかけるのも何か違うのかな」と思っていました。すみませんでした。
森さん
いやいやいや。こちらこそです。
吉沢さん
炎を燃やしていました!
MC
森さんは、今日完成作をご覧になったんですよね?
森さん
三時間があっという間でした。お二人の歌舞伎の演目のシーンは、背もたれを使わずに、久しぶりに前のめりで画面を観ていました。芸事や、自分がお芝居をしている時もそうですが、「夢中になれる時間があるって、本当に幸せなことだな」と、本作を通して感じました。喜久雄さんから教えてもらったことがたくさんあります。
MC
喜久雄を見染めながらも、身を引く切ない表情が印象的でした。撮影はいかがでしたか?
見上さん
私は撮影の二カ月前から日本舞踊、一カ月前から三味線のお稽古を始めました。日本舞踊のお稽古では横浜さんとすれ違うこともあって、一瞬横浜さんのお稽古を覗いた時に、「これは私間に合わないかも」と、すごく焦りました。撮影の一、二カ月前には、皆さんの立ち姿から違っていて、すごくドキドキしました。でも、初めて芸事から役を手繰り寄せていくのは、すごく新鮮な時間を過ごせました。
MC
完成作をご覧になっていかがでしたか。
見上さん
すぐに感想がまとめられませんでした。遠くない仕事をしているからこそ、「これほどの狂気じみた覚悟を持たないと、ここまで到達できないのか」と考えたら、「私はこの仕事に向いていないかも」と思い、自分の生き方を見つめ直すほど心に響きました。
MC
田中さん、当代一の女形で人間国宝、二人の道標になるような役どころでした。決して簡単なものではなかったと思います。万菊役と向き合われて、どのようなことを感じられたでしょうか。
田中さん
役と向き合えたかは怪しいところです。とにかく「万菊役」と言われてびっくりしました。僕は、いわゆる伝統や常識から逃げるようにして生きてきた人間なんですが、「日本の踊りの本陣は歌舞伎にあり」と、ずっと昔から思っていました。だから、映像のコレクションを見たり、本を読んだり、勉強をしてきました。僕自身は、人間の世界に踊りが生まれ、始まったことに憧れていて、それが、踊りが大好きな根拠です。その中で、素晴らしい歌舞伎舞踊を人間が開発して、見事な文化を成しました。歌舞伎のように踊りと言葉が一緒になって、人々に訴えかける踊りを持っている国は日本だけです。そのことに関わる仕事が、まさか自分に来るとは毛頭なかったです。そして、その長い時間をかけた伝統の踊りを、まさかこの私がやるなんて、今でも想像がつきません。こんな風に歌舞伎の話を僕の口からすることは、生まれて初めてですが、密かにずっと言葉と踊りの関わりをずっと思い続けてきました。本作に出演したことが、また僕の新しいスタートラインになると思っています。ちょうど僕の年が万菊さんと同じくらいで、被る部分がたくさんあります。おそらくこの万菊さんを演じた私自身は、これからも同じ線に沿った勉強をしていくんだと思っています。また一つ楽しみが増えたということで、監督ありがとうございました。皆さんも、ありがとうございました。
MC
最後に渡辺謙さんは「歌舞伎は演じられないけれど、歌舞伎役者なら演じられる」と、おっしゃられたとうかがいました。改めて作品へのご参加はいかがでしたか?
渡辺さん
「歌舞伎役者を演じられる」というよりは、僕もそれなりのキャリアがあるので、エンターテインメントや芸にどう向き合うか、どう練っていくのか、それを一緒に考えることはできるなと思っていました。
李監督は最初に、「エンターテインメントという非常に不可解で、不思議な世界で生き続けている男。その上いっぱいアップダウンがあって、その中で溜まってしまった澱や業みたいなものが花井半二郎にほしいんです」と、言ったよね?(李監督:うなずく)
それをある意味よすがにして、この役と向き合えた気がします。僕はそんなに演目はありませんでした。まあ、連獅子の演目の稽古はしましたが、それよりも喜久雄や俊介をどう見つめて、鍛えていくか…。しのぶちゃんと同じような感覚だったと思います。その中で「何かを引き出せるのか」「何かを突き上げていけるのか」ということの方が、僕にとっては重要でした。後は何となくやっていたという感じで、申し訳ないです。
MC
オファーを受けた時には、「腰が浮くのを抑えながら、果たしてこの大作を支えられるか悩みました」とありましたが、改めてでき上がった本作をご覧になっていかがでしたでしょうか。
渡辺さん
吉田さんの本を読んだ時に、「こんなの映像化なんてできない」「誰もこんなのできないよ」と思いました。でも、いたんですね。
生意気なことを言うとあれですが、亮はこれまでも大河ドラマや、映画にもたくさん出ていると思います。でも、本作の試写を観た後に、すぐに李監督に「これは吉沢の代表作になるね」って言いました。これはおべんちゃらではなく、本作に賭けている姿も知っているし、もちろん流星もすごいんですが、この重荷を背負うその覚悟と、ある種の執念みたいなものを亮は持ち続けていました。だから、森さんは亮に近づけなかったんだと思います。試写で観た時には、俳優仲間として「こいつ、すごいものを作ったな」って思って、尊敬できましたね。
吉沢さん
本当にありがとうございます。先ほどもお話ししましたが、本作はかなりの思いをかけて臨んだ作品です。「この作品が僕の代表作になってくれたら良いな」と思っていたので、すごくうれしいです。
MC
「映画化は無理だ」というお話もありましたが、監督が、本作の映画化に至った経緯をうかがってもよろしいでしょうか?
李監督
「無理だ」と言うのは同感です。だからこそ百年近く歌舞伎の作品はないわけです。なぜなかったのかは、やってみて分かりました。でも、吉田さんから最初に「歌舞伎のお話で、女形の取材を始める」という話を聞いて、「もうこれは始まってしまっている」という、作品の重みを感じました。
先ほど、しのぶさんの「歌舞伎界ではありえない」を、まず吉田さんに突破していただいて、次は僕が背負う番だったので、共に背負う仲間を引き入れました。僕一人では背負い切れない規模だったので、背負い分け合った感じです。今日はここにいない(黒川想矢さんと越山敬達さんが演じる)少年時代の喜久雄と俊介も、まるで歌舞伎をやったことがないところから、「歌舞伎の天才少年現る!」というシルエットを体現するために、同じように努力していました。歌舞伎指導に入っていただいた四代目中村鴈治郎(吾妻千五郎役・彰子の父親)さんも常に前のめりでした。本番中に、いつカメラの前に行っちゃうかとハラハラとすることもありました。それぐらい関わった皆さんが背負いあっていて、「やればできたんだな」という気持ちです。
MC
原作者の吉田さんが、本編ラッシュをご覧になった後に「100年に1本の壮大な芸道映画」とおっしゃったとうかがっております。監督は、その後吉田さんとお話などされたのでしょうか?
李監督
ラッシュを観終わった後に非常に興奮された状態で、そのようなことをおっしゃっていました。それと「想像を超えてきた!」とぼそっと付け加えていただきました。吉田さんも「果たしてこの歌舞伎俳優ではない方々が、歌舞伎役者としての佇まいが生まれるのだろうか」と、どこかで思っていたのでしょう。でも、その杞憂はすべて吹き飛んだようで、ものすごく喜んでくださいました。カンヌの報告をした時も、誰よりも喜んでくださいました。
MC
最後に代表して吉沢亮さんからご挨拶をいただきます。
吉沢さん
本日は、お集まりいただき誠にありがとうございました。この作品は本当にたくさんのスタッフの皆さん、キャストの皆さん、監督、そして吉田先生と、皆さんそれぞれの持っている、背負っているものを全員がぶつけ合って、どうにか生まれた至極のエンターテインメント作品だと思っています。
いろいろと作品にかけた熱い想いを語らせていただきましたが、観てくださる皆さんには、ただただこの作品を楽しんでもらえたらうれしいです。そして、たくさんの方に観てもらえたら、すごく幸いです。今後とも「国宝」をよろしくお願いします。今日はありがとうございました。