映画「きみの色」公開御礼舞台挨拶
- 公開後舞台挨拶
「きみの色」公開御礼舞台挨拶
『映画 聲の形』(2016年公開)「映画けいおん!」(2011年公開)の山田尚子監督×脚本:吉田玲子×音楽:牛尾憲輔による青春×音楽映画「きみの色」が、8月30日に公開しました。
本作は、アヌシー国際アニメーション映画祭2024長編コンペティション部門出品、第26回上海国際映画祭金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞しました。9月12日、公開御礼舞台挨拶をTOHOシネマズ日比谷にて開催し、鈴川紗由さん、髙石あかりさん、木戸大聖さん、山田尚子監督、パワーパフボーイズのAOさん&KANさん&naotoさんが登壇しました。
この日は、山田監督からキャストへのサプライズ返しと、劇中歌「水金地火木土天アーメン」ダンスの生披露も行われ、盛り上がったこちらのイベントの模様を詳しくレポートします。
鈴川紗由さん
日暮トツ子役
髙石あかりさん
作永きみ役
木戸大聖さん
影平ルイ役
山田尚子監督
AOさん(パワーパフボーイズ)
ダンスの振り付け担当
KANさん(パワーパフボーイズ)
ダンスの振り付け担当
naotoさん(パワーパフボーイズ)
ダンスの振り付け担当
鈴川さん
本作が公開してからたくさんの方に観ていただいて、こうしてまた皆さんとお会いできる機会をいただけて、本当にうれしく思います。
髙石さん
いろんな感想を拝見して、本作の温かさが皆さんに届いていることを感じました。本当にうれしいです。
木戸さん
公開御礼舞台挨拶ということで、こんなにもたくさんの方の前で公開後にお話ができることをすごくうれしく思います。
山田監督
今日は、大事なお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。公開されてホッとしております。
MC
公開されて二週間ほど経ちましたが、SNSで「心に刺さりまくっている」という感想を拝見しました。また「劇場で今から四回目を観ます」というリピーターの方もいらっしゃいました。皆さんのもとには、どのような感想が届いていますか?
鈴川さん
「観れば観るほど良さが深まっていく」という声をよく聞きます。私のInstagramのDMでは「トツ子ちゃんがすごくかわいかったです」「トツ子役をやってくれてありがとうございました」という、本当にうれしいお言葉をいただきました。ありがたいです。
髙石さん
友人や知人が観てくれて、感想を聞いてすごくうれしかったです。皆さんにも(本作の)優しさがしみていると思います。「伝わればいいな」と思っていた部分がきちんと伝わっていますし、音楽もすごく聞いてくださっているようで、それがすごくうれしいです。友人からは「めっちゃ面白かった!」「大好きな作品」という感想をいただきました。私がどうだったかという感想はなかったので「私どうだった?」って感じでした(笑)。
木戸さん
劇場で本作の色と音楽を体感した方の「この作品は確かに劇場で観て良かった」という声が多かったと思います。僕も初めて本作を観た時に同じように思いました。始まった瞬間に、ばーっと色が広がる感じが、山田監督の豊かな色の世界に包み込まれるような、連れていかれるような感じが、皆さんにも届いていると思いました。
山田監督
友人、親戚、家族が観てくれました。友人は子どもと観てくれて、「『水金地火木土天アーメン』がすごく好き」ということだったので、宣伝隊長に任命しました。今、広めてもらおうとしています(笑)。
MC
会場にいらっしゃる皆さんは今本作を観たばかりです。キャストの皆さんはご自身が一番好きなシーンを話していただけますか?
鈴川さん
一番好きなシーンは、きみちゃんとトツ子がクリスマスにショッピングをしているところです。そのシーンで、きみちゃんの感情がパッとあふれて、キラキラと弾け出る瞬間がすごく好きです。本当にきれいで、観ていただかないと伝わらない美しさというところも好きです。
MC
監督、そのシーンのこだわりは?
山田監督
これは作画の話になるんですが、キラキラと色が変わる処理がすごい技術なんです。「これは特許が取れるんじゃないか?」とスタッフ一同思っています。それくらいすごくきれいにできました。
髙石さん
いっぱいあるんですが、最後にきみの感情があふれて、ルイが乗っている船を追いかけるシーンが好きです。公開前には言えなかったので、今ここで言わせていただきます。すごく思い出深いシーンです。
収録の時は涙もあふれて、とにかく今まで貯めていたきみの100%、120%の感情をただただ放出する感じで演じました。一回目の収録では、自分の中で、何かもやっとしていた部分があって、「今ので大丈夫ですか?」と監督にうかがいました。その日は「大丈夫!」とおっしゃっていましたが、次の日に監督が「もう一度やりましょう!」と言って撮り直したんです。本編では、その二回目のテイクが使われていると、先日知りました。
山田監督
最初のテイクは、流れのままに勢いでもらった叫びで、それはそれで素晴らしくて良かったんです。でも、「大丈夫でしたか?」と言った髙石さんの姿がずっと心から離れなくて、このまま放っておいてはいけない感じがしました。なので、二回目をお願いしました。二回目では、きみの思いがしっかりと声に乗っていて、きみが人生の中で初めて叫んだ大きな声になりました。本当に感動しました。すごく思い出のあるシーンです。
木戸さん
僕は、自分は関わっていないシーンですが、トツ子ときみちゃんのシーンが好きです。きみちゃんがこっそり寮に来て、二人で一緒に漫画を読んだり、ネイルをしたりする、女子のお泊まり会みたいなところがすごくかわいらしく思いました。その中でも、漫画を読むスピードが違って、トツ子が遅いというのが、また良いなと思いました。僕は、男性として、そういうところが見えないので、かわいらしいなと思っていました。
山田監督
木戸さんの目線がすごくマニアックで、今、すごく好感度が上がりました。そんなに細かく観ていたんですね。あのシーンは、トツ子ときみが人生で一番悪いことをしているところなので、すごくいたずらっぽい音楽がかかっています。本当に大好きなシーンです。
MC
監督とのやりとりや言葉で覚えていることを教えてください。
鈴川さん
言葉ではないんですが、作品の中でトツ子が「水金地下木土天アーメン」をスキップしながら大きな声で歌うシーンがあります。私がどんな風に演じればいいのか分からなくて迷っていたところ、監督がブースに来て「こういう感じに」と演じてくださったんです。「これは覚悟を決めてやるしかないな」と思って、体当たりでお芝居をしたら、監督がすごく笑ってくださったんです。でも、その声がマイクに入ってしまったので、やり直しになったことがありました。
山田監督
大反省です…。鈴川さんの声とかぶったので、編集もできなくなってしまいました。でも、それぐらいすごく良かったんです!
鈴川さん
すごくうれしかったです。間違いを恐れずに体当たりでやって良かったと思いました。自分の殻を破れました。
髙石さん
きみのキャラクターについて監督と話している時に、「湿気」というワードをいただきました。最初は感覚的な言葉だったので、「どういうことなんだろう?」と思っていました。でも、後々ゆっくり噛み砕いていくと、すごく伝わってくる感じがしました。きみを演じる前や歌を歌う前には、「湿気!湿気!」と唱えて演じました。
山田監督
そのお話をしてからアフレコをやったんですが、髙石さんは本当に静かでものすごい湿気をまとっていらっしゃっていて、「本当にきみちゃんみたいな子なんだ!」と思いました。
でも、キャンペーンとかでお話をしていくにつれて、実はすごく面白いお姉さんというか、芸達者な方だと分かりました(笑)。その場を明るくしてくださる方です。なので、本当にその「湿気」という言葉に対して真剣に受け取り、そのまま演じてくださっていたんだということが分かって本当に感動しました。
木戸さん
監督から、「ルイくんは人を包み込む優しさを持っている大型犬のような男の子です」と言われました。彼の髪がフワッとする感じも、大型犬の耳が跳ねている時にフワフワとなる感じに似ているなって思います。ただ、後半になるにつれてだんだんと犬っぽさが抜けなくなってしまって…(苦笑)。監督から「ちょっと犬を抜きましょうか」と言われました。
山田監督
そうなんです。犬が過ぎる(笑)。木戸さんが最初に、一瞬で大型犬を自分の中におろされて、大きなワンちゃんに見えていたんです。それがこれまたお話しするにつれて、大型犬というよりも、逆にワンちゃんと遊んでくれる、ボールを投げて「取りに行け」と言うお兄さんのイメージのような気がしたんです。なので早々にワンちゃんをおろしてもらったのは悪かったかな? と思っています(笑)。
MC
鈴川さん、木戸さんはワンちゃんぽいところがありますか?
鈴川さん
そうですね(笑)。木戸さんは包み込んでくれる感じで、普段も私とあかりちゃんを後ろから見守ってくれているような安心感があります。
MC
そして本日はですね、監督からキャスト三人にプレゼントがあるそうです。
山田監督
はい!
鈴川さん&髙石さん&木戸さん
(驚きと喜びの声を上げる)
山田監督
公開初日に素敵なもの(木戸さんから花束、髙石さんから額入り写真、鈴川さんからお手紙)をいただいたので、色紙を書いてきました。
■山田監督が鈴川さん&髙石さん&木戸さんに色紙を手渡しました
山田監督
会った瞬間から大好きです。トツ子に出会えて、鈴川さんに出会えて、本当に幸せです。これからも仲良くしてください。本当にありがとうございます。
鈴川さん
かわいい! ありがとうございます。(会場:拍手)
山田監督
ずっと昔からお友だちみたいな不思議なあかりん。ありがとう!
髙石さん
ありがとうございます。(会場:拍手)
山田監督
本当にキラキラしていて、ルイくんをやっていただいて本当に良かったです。ありがとうございます。またお会いしましょう!
木戸さん
ありがとうございます。(会場:拍手)
MC
そして、本作の最大の見どころとも言えるライブシーン。三人が奏でた、あの曲「水金地火木土天アーメン」が、頭から離れないとの声も寄せられていますが、あの楽曲にはダンスがあります。既にSNSで300万回以上再生されバズっている、このダンスの振り付けを考えてくれたのは、三人組のボーイズグループ「パワーパフボーイズ」の皆さんです。
なんと今日は、この舞台挨拶にお越しいただいております。どうぞ大きな拍手でお迎えください。(会場:拍手)
■パワーパフボーイズさんが登場
パワーパフボーイズの皆さん
呼ばれた時点でうちらの勝ち! パワーパフボーイズで~す。
MC
アニメ映画の振り付けのオファーをいただいていかがでしたか?
AOさん
正直びっくりしました。超うれしかったです。今までたくさん振り付けはやってきたんですが、映画のお仕事は初めてでした。山田監督の作品ということで、僕たちもめちゃくちゃ興奮して「頑張ろうね」と言って取り組みました。
MC
振り付けについては、監督も打ち合わせに参加されたと聞きました。
山田監督
一度打ち合わせをしましたね。作品の内容や、曲を作ったトツ子のことをお話しして、作品のイメージを共有してもらいました。
AOさん
山田監督からは、トツ子の頭で考えた「何か楽しいダンスがいいんじゃないかなぁ」というお話をいただいたので、それを想像して考えました。
山田監督
出来上がったダンスはめちゃくちゃかわいかったし、一瞬一瞬のポーズも、流れもかわいいです。後、難しそうと思いつつ、思わず踊りたくなる感じもあってすごく楽しい仕上がりになっています。
MC
パワーパフボーイズの皆さんも声優としてアフレコをしているとうかがいました。どのシーンですか?
KANさん
「せんせー、いってらっしゃい!」のところです。
AOさん
はい、島の人々です!
MC
これは気がついていらっしゃらない方も多いと思います。アフレコはどうでしたか。
naotoさん
人生初のアフレコでした。僕たちはダンスばっかりしてきた人生なので、まさかアフレコをする日が来るとは思っていなかったんですが、初めてのアフレコがこの素敵な作品でとても光栄な機会でした。ありがとうございました。
MC
出来上がった作品をご覧になっていかがでしたか?
naotoさん
大感動です!
MC
キャストの皆さんはダンスを踊ってみていかがでしたか?
髙石さん
ダンスをやりますというお話はうかがっていましたが、どんなことをやるのかまでは聞いていなかったので、実際に踊ってみて、難しい! と感じました。
鈴川さん
「上半身だけ動かすような、かわいい感じのダンスかな」と思っていたら、しっかり下半身も振り付けがあって、たくさん練習しました。
MC
パワーパフボーイズの皆さんと練習されたことは?
髙石さん
一度、皆さんと一緒に練習できる時間がありました。難しかったですね。
MC
三人の中で一番苦労したのは誰ですか?
鈴川さん
(自らを指し示す)
髙石さん
みんな平等に(苦労しました)!
木戸さん
パワパフさんの前で踊る時に、(立ち位置決めで)誰が真ん中に立つかというので譲り合いました(笑)。
髙石さん
私はヤダから! って(笑)。
MC
普通はセンターに行きたいものかと思うんですが、行きたくないということですね(笑)。
パワーパフボーイズの皆さん、教えがいはありましたか?
naotoさん
三人ともめちゃくちゃ熱心に練習をしてくださいました。「一回休憩しよう」と言っても、全然休憩してくれないんですよ。ずっと練習しているんです。僕たちも光栄でした。
MC
今日は、パワーパフボーイズの皆さんもいらっしゃるので、会場の皆さんも生で踊っているところ見てみたくないですか?(会場:拍手) 監督も踊りますか?
山田監督
私は踊りません(笑)!
MC
キャストの皆さん、準備は大丈夫ですか?
髙石さん
(ほんわかした口調で)がんばりま~す!
鈴川さん
胃が痛くなってきました(笑)。
MC
それでは「しろねこ堂」の皆さんと「パワーパフボーイズ」の皆さんで「水金地火木土天アーメン」です、どうぞ!
■劇中歌「水金地火木土天アーメン」ダンス生披露
MC
皆さんバッチリでした。大きな拍手をお願いします。(会場:拍手)
山田監督
すごい、感動しちゃった! めっちゃかわいい! いいもの見られたー!
鈴川さん
ずっと冷や汗をかいていました。
髙石さん
実はさっき少し練習させてもらったんです。でも、皆さんの前でというのがもう(緊張して)はぁーって感じでした。
木戸さん
心臓が! …飛び出るかと思いました(笑)。
AOさん
本当に完璧でございます! お三方、それぞれの色に染まって踊ってくださって、素晴らしかったです。(会場:拍手)
MC
それでは、最後に監督からご挨拶をいただきます。
山田監督
本作は、自分の中で「大丈夫!」と悩みを閉じ込めてしまうような人たちの「こういう道もあるよ」という、「何か新しい道を描けたらいいな」と思って作った作品でした。カッコ良い音楽と、きれいな音と、みんなで心を込めて挑んだ作品になっています。
本作は、一回目、二回目、三回目でどんどん見方が変わる作品だと思います。なので、もし良かったら一度映画を観ていただいた方は、小説版と漫画版もあるので、それも読んでいただくと、トツ子、きみちゃん、ルイくんのそれぞれの気持ちがまた変わって見えてくると思います。そして、また映画館で本作を観てください。すごく楽しめると思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。