『ほどなく、お別れです』完成報告会
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完成報告会
「小学館文庫小説賞」の大賞受賞作で、現在累計40万部を突破している長月天音さんの人気小説シリーズを映画化した『ほどなく、お別れです』。
本作は、就職活動に全敗し、途方に暮れていたヒロインが、葬儀会社にインターンとして就職。厳しくも熱い指導を行う指南役の葬祭プランナーとタッグを組み、故人の人生を締めくくる“最高の葬儀”を目指す物語です。
この度、本作の完成報告会が11月20日、明治記念館にて開催されました。当日はW主演を務める浜辺美波さん、目黒蓮さんをはじめ、森田望智さん、鈴木浩介さん、永作博美さん、夏木マリさん、三木孝浩監督が出席。こちらの会見の模様をレポートいたします!
浜辺美波さん
清水美空役
目黒蓮さん
漆原礼二役
森田望智さん
赤坂陽子役
鈴木浩介さん
清水佑司役
永作博美さん
清水美波役
夏木マリさん
清水花子役
三木孝浩監督
浜辺さん
『ほどなく、お別れです』らしい、厳かで美しい場所で、こうやってご挨拶することができてとてもうれしいです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
目黒さん
本日は皆さんお集まりいただき、誠にありがとうございます。今日は皆さんと『ほどなく、お別れです』の魅力をたくさん語っていけたら良いなと思っています。
森田さん
こんにちは。本日は、おまつ…ごめんなさい(苦笑)。
目黒さん
ゆっくりで大丈夫です(笑)。
森田さん
お集まりいただき、本当にありがとうございます。今ので挨拶が全部飛んじゃいました(苦笑)。ごめんなさい。
鈴木さん
ちょっと緊張していたんですが、森田さんの挨拶で、リラックスすることができました。
森田さん
良かったです(笑)!
鈴木さん
“おまつり”気分で(笑)、本日はよろしくお願いします。
永作さん
こんなに来ていただいてうれしく思います。“おまつり”気分で頑張ります(笑)。よろしくお願いいたします。
夏木さん
本日はありがとうございます。(映画が公開される)来年は午年ですので、「うまくいく」ということで、馬が9個ある帯をつけて参りました。
三木監督
本作の企画がスタートしてから約6年、やっと皆さんに完成報告ができることを本当にうれしく思います。
MC
監督が先ほどもおっしゃいましたが、本作は2019年から映画化の構想があったということですが、監督ご自身は原作のどういった点に惹かれ、魅力を感じていたのでしょうか?
三木監督
今までたくさんの作品を手がけていますが、この作品ほど、観る方も、制作するスタッフも、これほどまで自分事化できる内容の作品はなかったと思います。本当に大切な人との別れは、いつか必ずやってくるものです。だからこそ「自分だったらどうするかな?」と考えながら、チャレンジすべき作品だと感じたので、「ぜひ参加したいです」と監督を務めました。
MC
素晴らしいキャストの皆さんが揃っていますね。
三木監督
はい。まだ発表されていない方も、実はいるんです。本作には様々な家族のお別れとお見送りがあるので、どの立場でも、誰かしらに感情移入ができる作品になっていると思います。ですので、本当に多くの方に観ていただきたいです。
MC
浜辺さんと目黒さんには、本作へのご出演のお話が来た時のご感想、そして、オファーを受ける決め手になった理由をうかがいたいと思います。
浜辺さん
最初にお話をいただいた時、脚本が本当に素晴らしくて、読みながら泣いてしまったのを覚えています。ただ、現場に行って、実際に故人様とご遺族の皆さんと、美空として対峙した時に、「どれくらい心が動くのか?」「どんな感情になってしまうのか?」というのが、想像がつかない部分があるなと思いました。そのような作品に挑戦をしてみたいなと思ったのと、三木さんとまたご一緒(「思い、思われ、ふり、ふられ」2020年公開/出演:浜辺美波、北村匠海他)できればうれしいなと思ってお受けしました。
目黒さん
まずオファーをいただいてから、脚本を読んだ後、すぐに漫画を読みました。確かに悲しいお話ではあるのですが、それと同時に、今生きている喜びだったり、亡くなった後にある希望みたいなものを感じられるこの作品にすごく惹かれました。僕もこんなに素敵な皆さんと素敵な作品で関わりたいと心から思えました。それに、僕にできることを頑張れたら良いなという思いでした。
MC
敏腕の葬祭プランナーという役柄についてはいかがでしたか?
目黒さん
現場で、浜辺さんとたわいもない話をして仲を深めていくというわけでもなく、漆原として、美空に背中で仕事を見せていくことを、すごく意識していました。
美空と漆原の関係性のように、浜辺さんとの関係も築き上げていけたら良いなと思いながら演じていました。
MC
美空は、亡くなった人の声を聴くことができる力を持っていて、その人のために動こうとする人物ですが、ご自身ではそこをどのように捉えて演じましたか?
浜辺さん
自分にしか見えない故人様の表情や声があるという設定は、「とても難しいな」と、最初は思いました。でも、そういった特殊な設定の役を演じている中で、故人様が「最後に遺したい気持ち」「感謝の気持ち」「ちょっとした後悔」というものをその表情から見ることができるのは、すごく恵まれていると感じられるようになりました。ご遺族の皆さんにそれをお伝えできるという役割は、とてもやりがいもあるし、「この表情を見ているのは私だけなんだな」と思うと、ありがたみを感じました。
MC
漆原は葬祭プランナーであると同時に、納棺師としての顔も持っている役ですが、納棺の際の所作の完璧さ、そして美しさが際立っている作品でした。目黒さんご自身は、どういったご準備をされて本作に挑まれたんですか?
目黒さん
もう、ひたすら「納棺の儀」などの練習をしましたね。着物のたたみ方もいろいろあるので、家に持ち帰って練習もしました。あとは、実際の葬祭プランナーの方たちの練習動画をいただいて、ひたすら見続けて、しっかりと漆原としてやる時は「美しくなきゃいけない」と思いました。
でも、一つ間違っちゃいけないなと思ったのは、それは“振付”ではないということです。振付のようにならずに、しっかりと故人様、ご遺族の方たちに向けた、漆原なりの思いがあるので、それを大事にしました。
MC
浜辺さんは近くでそうした練習風景や本番もご覧になっていかがでしたか?
浜辺さん
最初の段階から本当に美しくて、指先まで、亡くなった方への慈しみを感じたので、純粋に「美しい」と思ってしまいました。ヨーロッパから帰ってきて、現場がまだ始まっていないのに、納棺の練習をされているのを見て「すごいな」と思いました。帰国直後で時差ボケもあるだろうに、目黒さんは背中で漆原さんを見せてくれました。
目黒さん
いや、浜辺さんも、僕が「納棺の儀」などの練習をしている時に、実際に美空が座っている場所に、ずっと正座をして…。
浜辺さん
座っていただけです(笑)。
目黒さん
僕の練習をひたすら見て、付き合ってくださいました。そういうところからも、美空と漆原の関係性みたいなものが出来上がって、積み重なっていったのかなって思います。
浜辺さん
ただ、座っていただけなんですけれどね(笑)。プロの方がやられていると「簡単にできるのかな」って思ってしまうんですが、想像以上に力もいるし、動きも細かくて複雑なので難しそうでした。目黒さんでさえ苦戦されていたので、納棺の儀はとんでもない作業をされているんだと感じていました。
目黒さん
ありがとうございます。
MC
今回、お二人は初共演にしてW主演ですが、いかがでしたか?
浜辺さん
目黒さんは「忙しいんだろうな」と思っていましたが、思っていた50倍ぐらい忙しい方だと思います。
目黒さん
皆さんと変わらないと思いますよ(笑)。
浜辺さん
変わります! 絶対変わります。
お忙しいんですよ。「まだダンスの振り入れが…」みたいなことを言っていたので、「この後、まだ振り入れがあるんだ!」みたいなことありました。そして、すぐに海外に行って…またヨーロッパから帰ってくるなんて日が何日かありました。時差ボケっていうものは…ありました?
目黒さん
時差ボケ…いや、あんまりないかもしれないです。
浜辺さん
気合い…。
目黒さん
気合い(笑)。
浜辺さん
取材でよく「気合い」という言葉をおっしゃるので、「気合いなんだ」と学びました。
MC
目黒さんは浜辺さんとご一緒されていかがでしたか?
目黒さん
浜辺さんはこうおっしゃいますが、皆さん、忙しいし、浜辺さんの作品に懸ける思いをすごく感じました。いなくても良いのに、僕の練習を後ろで正座のままずっと見ているとか、それだけでこの作品に懸ける思いが伝わってくるじゃないですか? あと、本読みの段階で、しっかりと美空を作ってきていて、まさに「美空だな」と思いました。そういった姿勢から、本当に素晴らしい方だと感じました。
MC
三木監督は、浜辺さんとは五年ぶりで、目黒さんと初めてですが、お二人とお仕事をされていかがでしたか?
三木監督
今、見ていただいた感じです。現場でもこうやってリスペクトし合う感じが本当に良い関係だなと思っていました。この世代で一番、落ち着いているというか、「浮ついていない度No.1の女優・俳優」じゃないかなと思います。
今回の葬祭プランナーという役どころが、生と死の狭間で、いろいろな家族の別れを見送るという役なので、その落ち着き、繊細さというのは、この二人に演じてもらって良かったなと思う部分でしたね。
■三木監督の「浮ついていない」という言葉に浜辺さんはガッツポーズ!
MC
浜辺さんはガッツポーズをされていましたが…(笑)。
目黒さん
「浮ついていない」ですごく喜んでいましたね(笑)。
浜辺さん
何だかすごくうれしかったですよね(笑)? うれしくなかったですか?
目黒さん
「浮ついていない」の後のガッツポーズが…(笑)。
三木監督
それが「浮ついてるやん!」という(笑)。
浜辺さん
バレちゃった(笑)。
MC
森田さんが演じる赤坂という役柄は、あまりなじみのない葬祭プランナーという職業について、心得や役割を教えてくれる役どころでもあると思います。実際に演じてみて、葬儀についての捉え方が変わった部分があれば本作のご感想もあわせて教えてください。
森田さん
今回、実際の葬儀プランナーの先生方にご指導いただきました。それまでは、勝手にお葬式や葬儀プランナーというものに「暗い」イメージがありました。でも、実際はそうではなくて、明るく朗らかで、すごく丁寧な方々がたくさんいらっしゃって、前向きな気持ちをいただける方々に囲まれて撮影ができました。
「どんなことを心がけてお仕事をしていますか?」とお聞きした時に、「葬儀プランナーとしての葬儀は、これからもあるけれど、ご遺族にとっては、一生にたった一度しかない大切なご葬儀。そのことを絶対に忘れないように、毎日初めてのご葬儀に挑む気持ちでやっています」っていうことをおっしゃっていました。そんなお仕事ぶりにも、すごく感銘を受けました。
ご葬儀というのは、亡くなられた故人様のものだと思っていました。それはもちろん、そうなんですが、それ以上に遺された皆さんが「これからどう生きていくのか?」「やり残したことはないか?」「これからどう進んでいくのか?」を考えるための区切りであり、終わりであり、始まりなのがお葬式にはあるんだと、本作で演じてみてすごく感じました。
MC
夏木さんは、浜辺さん演じる美空の祖母として、奮闘を見守り、背中を押すという役どころでした。今回のご共演は、いかがでしたか?
夏木さん
何を話したかしら?
浜辺さん
海外のミュージカルの話をしました。
あれから、観に行きました!
夏木さん
本当?
現場に入るといつも思いますが、先輩・後輩とか、キャリアは関係なくて、やっぱり素敵な方は素敵なんです。今回は、浜辺さんのお芝居に向かう姿勢を学びました。難しい役なので、気持ちに沿いながら、それをいかに豊かに表現するかということを悩んで、ちゃんと監督と話しながら、真摯に一歩ずつ進めている姿勢を拝見していました。その姿は「あぁ、素晴らしいな」と思いました。「やっぱり、人気のある人はこうなんだな」と、素晴らしい後輩に会うといつも思います。素晴らしい女優さんだとご一緒して思いました。
MC
夏木さんは、完成した本編をご覧になってどのような感想をお持ちになりましたか?
夏木さん
もう泣きました。私が拝見した時は、エンディングの音楽が決まっていなかったので、そこに「アメイジン・グレイス」が加わったら、嗚咽してしまうんじゃないかと思いました。それから、出演しているような、していないような…ちょっと不思議な感じで試写を観たのは久しぶりでした。
MC
永作さんが演じる美空の母は、美空を心配して、葬儀業界に関わることに少し複雑な思いを抱いている役どころでした。そして、長年、抱いていた想いを吐露するシーンも大変印象的でした。どんなお気持ちでこの役柄には挑まれましたか?
永作さん
そうですね、私は「死」ということを受け止めきれずに生きている女性ですが、母であり、嫁であり、妻であるという立場なので、生活の中では、自分の思っていることをどの立場からも言えなかったんだろうと思いました。そんな思いのまま、ニコニコと生活していたんじゃないかと思いながらこの役を演じました。ただ幸いにも、想いを吐露できるシーンを作っていただいたので、そこで雪崩のように、いや、雪崩じゃないですね…。何かもう突き動かされて、あふれ出るような感じですね。そういうことは、人生であるかもしれないと思いながら、演じたように思います。
MC
本編をご覧になっていかがでしたか?
永作さん
センシティブな内容であるだけに、皆さんが、技をたくさん使って、思いもたくさん使って演じられていて、皆さんに感動しました。素敵でした、皆さん。
MC
鈴木さんが演じられた美空のお父さんは、作中でも涙を流されていましたが、鈴木さんご自身はどんな思いでこの作品にご参加されましたか?
鈴木さん
僕は、割とクセのある役のオファーが多いんですよ。だから珍しくクセのない役だなと思いました。すごく普通のお父さんというか、家族の中で、自分の母親と妻と娘の間で、そこに居れば良いという役柄でした。10年に1回の普通の役が来たなとすごくうれしくて、わくわくして現場に向かった日のことを先日のように覚えています
MC
本作をご覧になっていかがでしたか?
鈴木さん
現場の浜辺さんは、美空としてずっと家族の中にいました。気遣いをしながら生きてきた辛さが彼女の人格を形成したと思うんですが、先ほどの目黒さんの話で、正座をして見ていたというエピソードを聞いて、すごく気合いが入っている娘で良かったなって思いました(笑)。
現場では、漆原さんが立って葬儀を見守るというか、葬儀のシーンの時は、ずっと目黒さんが漆原さんとして立っているんですよ。ずっと座らないから、永作さんと二人で「全然、座りませんね」という話をして、遠くから「座りなよ」ってサインを送って…。
永作さん
すごく頑張って立っているのを見て、楽な方にしてあげたいって思うんですが、(目黒さんは)全然、楽な方には…。
鈴木さん
「大丈夫です」みたいな…。「高倉健さんってこんな感じだったのかな?」って思いました。
やっぱり気合いが入っているんですよ。『ほどなく、お別れです』は、気合いが入っていますよ。みんなそれぞれのパートからバトンを渡していくっていうか、そのバトンをずっと横で見守り続けてきた二人が、全部受け止めて……面白かったです!
MC
様々な形でのお見送りが描かれているので、世代を超えてぐっとくるポイントがありますよね。
鈴木さん
私の子は四歳なんですが、本作を観た時に、横で「パパ、この子は何でここにいるの?」とか、「死」というものをまだ捉えきれていませんでした。そんな年齢なのに、一緒に観ていて「これ面白いね」って言ってくれたんですよね。だから、「四歳にも分かるのか?この作品は幅広いな」と思いました。僕にとってはすごく思い出に残る、忘れられない作品になりました。
MC
おそらくほとんどの皆さんが、本作を観終わって思い浮かぶ方がそれぞれあると思いますが、皆さんは本作をご覧になった後に思い浮かべた方をお聞きしたいと思います。
浜辺さん
私はおばあちゃん、おじいちゃんっ子だったので、祖父母を思い浮かべました。
あとは、大好きな愛犬二匹を…。一緒にいられる時間は限られているので、日々を大切にしたいと思いました。
MC
連絡をしたくなりますよね?
浜辺さん
そうですね。連絡もしたいし、実家にも帰りたいと思いながら帰路に着いて、私は犬を抱きしめました!
目黒さん
僕もおじいちゃん、おばあちゃんだったり、ワンちゃんを…と、全く同じだったので、びっくりしました。
僕も、小っちゃい頃に、おばあちゃんがいろいろなところに連れて行ってくれたので、「あと何回おばあちゃんに会えるんだろう?」と思いました。今は、おばあちゃんからちょいちょい電話がかかってくるんですが、だいたい仕事中なんですよ(苦笑)。でも、「これに出なかったら…」「この一回の電話が減ったら…」と考えたら、ちょっとかけ直したり、仕事中でも出たりとかしているので、…まさにそういうことを思い出しました。
MC
さっきの浜辺さんのお話ですと、大変多忙で、ほぼお仕事をされているように思いますが、その中でも、おばあさまにお電話を返されているんですね?
目黒さん
一回一回を大事にしたいなって思います。
MC
森田さんはどんな方を思い浮かべましたか?
森田さん
母なんですが、すごく離れて暮らしているので、この作品を機に「このままいったら何回会えるんだろう?」って考えました。一年に一回だとしたら、あと40回ぐらい? いや、30回とか…。毎日一緒にいられれば、素晴らしいことですが、限られた時間の中で、言いたいことを言って、伝えたいことは伝えなきゃいけないなっていうのは、この作品に教えてもらいました。
MC
夏木さんはどんな方を思い浮かべましたか?
夏木さん
もうここまでくると私自身です。「死にざまは生きざま」ということで、ちゃんとした葬儀を望むのであれば、ちゃんとしなくてはいけないと思い、反省しました。そういう意味では私にとっては貴重な作品になりました。
永作さん
私も、両親や家族や、昔飼っていた犬のこととか、いろいろ思いましたが、私もなぜか自分のことを思いましたね。そして、自分と今一緒に生きている人たちのことを思いましたね。「会いたいな」と思ったらすぐに会いに行こうとか、連絡しようとか…。私もいつか、その時のための準備をして、しっかり生きていこうと思いましたね。
MC
鈴木さんはいかがでしたか?
鈴木さん
目黒さんと同じになっちゃうんですが、祖母が…。僕もおばあちゃんっ子だったので、そんな思いが浮かびましたね。
あと、「ほどなく、お別れです」という言葉の意味に含まれた希望みたいなものにすごく救われた気がしました。“ほどなく”お別れだから、「いつかおばあちゃんと会えるかな…?」みたいなことを思いましたね。
MC
三木監督は、原作を読まれた時はどういった方を思い浮かべましたか?
三木監督
やっぱり家族ですね。おじいちゃん、おばあちゃんもそうですが、今までお別れに直面した時に、必ず後悔してきたんですよね。「もう少しやり取りできたんじゃないか?」「伝えることがあったんじゃないか?」と…。
普段、自分の身に起こってほしくないことは遠ざけて、考えないようにしちゃうんですよね。でも、それを考えることで、いざ別れる時に、ちゃんと見送る心構えを意識するだけでも、できることはあるんじゃないかと、この作品で教わったように思いますね。
MC
最後に代表して主演の浜辺さんと目黒さんから一言ずついただきたいと思います。ぜひ本作をどなたと観たいかを含めて、最後にご挨拶をいただきたいと思います。
目黒さん
そうですね、世の中にはいろいろな種類の作品があると思いますが、この作品は死や別れが大きなテーマとしてあります。普段、日常の中では、どうしても「死」というものを非現実的なものに感じてしまいがちな気がしています。でも、実は誰かを送るのも、送られるのも、誰もが経験することで、「死」は、一番現実的で、一番近いものだと改めて感じさせてくれる作品です。
だから、少しでも悔いのないように生きようと、大切な人を1秒でも、1回でも多く、大切にできる時間を作ろうと、観終わった後に思えて、そして、希望を持てる作品だと思います。
どこのシーンに注目してほしいというよりも、皆さんが観た後の人生に、それぞれが注目してもらえたらうれしいです。なので、大切な方と観たらよりその人のことを大切にしたいと思える作品だと思うので、ぜひご覧になっていただけたらうれしいです。
浜辺さん
初号試写で作品を観た時に、脚本を読んでいたし、現場で芝居をしていたのにもかかわらず、本当に素敵な作品で、涙がこみ上げてきたのを覚えています。
故人様が遺族の皆さんを思う気持ち、そして、遺族の方々が故人様を思う気持ち。そして、葬祭プランナーたちが、素敵な区切りになるようなお葬式にしたいと思う気持ち。そんな気持ちを、改めて尊いものだと感じさせてくれる作品でした。それが、目いっぱいの愛とともに美しく描かれています。あと二カ月ちょっとで公開となりますが、皆さんのもとに本作が届くのがとても楽しみです。私は、親友と一緒に観に行きたいと思います。家族には、(実家のある)石川県でそれぞれ観てもらいたいと思います(笑)。本日は本当にありがとうございました。