「ディア・ファミリー」家族決起会見

2024.04.24
  • イベント

家族決起会見

心臓に疾患を抱える娘のために、医療知識ゼロのところから医療機器開発に挑む父親と家族の奇跡の実話を映画化した「ディア・ファミリー」。
本作の公開を前に4月24日、東京・信濃町の明治記念館にて“家族決起会見”が開催されました。劇中の坪井家の面々を演じた大泉洋さん、菅野美穂さん、福本莉子さん、川栄李奈さん、新井美羽さん、月川翔監督がそろって登壇しました。こちらの会見の模様をレポートいたします。

坪井宣政役

大泉洋さん

坪井宣政役

坪井陽子役

菅野美穂さん

坪井陽子役

坪井佳美役

福本莉子さん

坪井佳美役

坪井奈美役

川栄李奈さん

坪井奈美役

坪井寿美役

新井美羽さん

坪井寿美役

月川翔監督

大泉さん

本日はもともとの予定では外で会見を行う予定でしたが、私としましては、安定の雨ということで…、室内での会見になりました。まあ、私にとって雨というのは当たり前というか、デフォルトといいますか、逆に幸先が良いと思っております。雨が降って当たり前なんだと。スタッフは「奇跡が起きて、晴れたら外で…」と言っていましたが、そんな奇跡は起こらないんだと。

MC

むしろますます雨が強くなっています。

大泉さん

私のやる気と共に雨足は強くなっておりますので、大変、幸先の良いスタートでございます。本日はよろしくお願いします。

菅野さん

本作は実話がベースになっています。ご家族のお話をベースにして、映画という形でお届けすることができてうれしく思っています。大泉さんとは、演技では今回が初めての共演ですが、一年以上前のクランクインの時も思い起こせば雨だったような気がします…(笑)。

大泉さん

安定の雨ですから。

菅野さん

「雨降って地固まる」でお届けできればと思います(笑)! 今日はどうもよろしくお願いします。

大泉さん

いいぞ! 素晴らしい!

福本さん

本日はお足元の悪い中、お越しいただきましてありがとうございます。公開までもう少しありますが、本日は久しぶりに家族みんなで集まって、本作のお話ができたらと思っています。

川栄さん

一年ぶりにこうして皆さんに会えてすごくうれしいのと、時間は短いですが、本作の奇跡の実話について私たちもしゃべりたいことがたくさんあるので、お話しできたらと思います。

新井さん

本作は私にとってもすごく大きくて大切な作品になりました。皆さんと一年ぶりに会えてうれしいです。本作の魅力をたくさんお話できたらと思います。

月川監督

今日は私たちが本作に込めた思いを、少しでもお伝えできたらと思います。

MC

大泉さんは、オファーを受けた時のお気持ちは覚えていますか?

大泉さん

本作に出てくる佳美さんという生まれつき心臓に疾患があった方と(劇中の時期と)同じくらい年齢の娘が私にもいます。私は、日々なるべく楽しく生きたいと思っているものですから、この撮影を受けるとなると、非常につらい撮影期間が待っていると予想ができました。(モデルである)筒井宣政さんを演じるというのは、自分にとっては辛い期間になるだろうと…。
ただ、これ以上人工心臓の開発をすることができないという話をどうしてもしなくちゃいけない瞬間に、「私の命はもう良いから、その技術をたくさんの方に使ってほしい」と佳美さんがお父様におっしゃったそうです。それが最初にもらった企画書にも書いてありました。その一言でしたね。「どうしたらそんなことが言えるんだろう」と思いました。そして、この物語を「知りたい」と強く思わせられましたね。ただただ大切な娘が亡くなってしまうお話ではないんだという思いに駆られて、「今、僕が演じる意義は大いにあるんじゃないか」と思い、やりたいなと思いました。

MC

月川監督も、この実話について聞かれた時の思いをお聞かせください。撮影の中で大変な苦労もあったのではないでしょうか?

月川監督

最初に、これが実話なのだという話をうかがいました。心臓に難病を患った娘のために、知識のない町工場のお父さんが、医療機器を開発。それが今でも世界中で多くの人を救い続けている。「果たしてこのお父さんに何があったんだろう?」「家族とどんなやり取りがあったんだろう?」と、まず知りたかったです。そして、知るほどに多くの人に伝えたいという思いが芽生えてきて、どんどんのめり込んでいきました。
大変な年月をかけて、宣政さんが開発したものなので、話を聞いて分かったような気にはなるけれど、その全てを画面に映るものにするのは困難でした。いろんな方に取材で話を聞いていくと「そんなやり方ではできないですよ」という話まで出てくるんです。宣政さんから人工心臓の試作品が出てきた時は感動しましたし、そこは、映画の中で映しています。そういったたくさんの感動がお話をうかがっていく中でありました。

MC

大泉さんにとっても、これまで演じられてきたキャラクターとまた違う気がします。

大泉さん

モデルの筒井宣政さんはまだまだお元気で、しっかりお話をされているし、会社も経営されている方です。名古屋のご自宅でお話をうかがったんですが、僕にはない――久しぶりに全然僕にはない…(苦笑)、けれど、僕の父にはあるなという部分を感じました。僕は昭和48年生まれで、生まれてから世の中的に不自由があった世代ではないんですね。でも、僕の父にも宣政さんにも、選択肢なんてない中で「やるしかないんだ」という世代の強さを感じました。とにかく言われたのが「なせばなる。できないことなんてないんだよ」という考え方でした。映画の中でも「人間が月に行けると思いましたか?」という言葉がありますが、「できないことなんてない」っていう精神でやっていたというお話を聞いて、うちの父と同じような、「できるできないじゃなくとにかく動くんだ」「やるんだ」という強さを感じましたね。

MC

キャストの皆さんも家族の方とお話する機会があったそうですね? 大泉さんから聞いていただいても良いですか?

大泉さん

(菅野さんらに)どうですか?  皆さん。

菅野さん

私はオンラインでお会いしました。大泉さんがおっしゃるように、パワフルで、でもお話しやすくて、エネルギーに満ちた方でしたね。全員ではないんですが、ご家族にもお会いしました。私は陽子さんとお話をして、演じるご本人とお話することに緊張もしました。お母さんへの思いを感じる言葉をいただきました。娘さんへの思いも大切に演じられたらと、陽子さんの雰囲気をいただいた感じでした。

川栄さん

私も莉子ちゃんと一緒に宣政さんと寿美さんにお会いする機会がありました。奈美さんとはオンラインでお話をしました。

大泉さん

長女は奈美さん、三女は寿美さんですが、不思議と(キャスト陣と)何となく似ているんですよ。川栄さんと奈美さんは落ち着いている感じが似ているし、寿美ちゃんと美羽ちゃんの天真爛漫の三女の感じが…、感じませんでした?

新井さん

感じました。パワフルな感じで「ケガしちゃったんですよー」とおっしゃっていましたね。確かに自分と似たようなところがあるなと…。

大泉さん

莉子ちゃんは、佳美さんとお会いすることはできなかったですが、いろんなお話は聞いたんでしょ?

福本さん

はい、台本に書かれていない姉妹と佳美さんの思い出とか、亡くなる直前までのお話とか、普段こういう風に過ごしていたという話をお聞きしました。

MC

菅野さんは大泉さんとは初めてお芝居をされたということですが、最初はどんな印象を?

菅野さん

大泉さんは、いろんな顔をお持ちで、例えば、番組も持ってらっしゃいますし、舞台もされるし、歌い手としても紅白に出場されました。それぞれの位置で「そこまで行けたら良いな」というところまで行かれている方ですよね。
明るい印象がパブリックイメージですが、実は神経質な面があるんじゃないかと心配していたんです。でも、お会いしてみたら思った通りでした(笑)。

大泉さん

見たまんま(笑)。

菅野さん

台本のやり取りで「このシーンはどうしよう」みたいな話はなかったんです。でも、家族で撮影の合間にお茶を飲みながらお話したりして、家族の雰囲気にすごく良い影響があったと思います。自然とそういうことができる方で、親しみもあるし…。何でしょうね、この“抜け”の感じは…。

大泉さん

毛が抜けているって話じゃなくて(笑)?

菅野さん

そんなこと言ってない(笑)! ひょうひょうとしたたたずまいって、演じられないものだなと思いました。それは大泉さんにしか出せないニュアンスだし、宣政さんを大泉さんが演じられたから、親しみがより湧くというか…。お客さんにより近いお話として届けられるのは、大泉さんの持ち味かなと思いました。

MC

大泉さんは菅野さんと共演されていかがでした?

大泉さん

「明るい方だろうな」と思っていました。でも、私の予想を相当突き抜けて明るかったですね。現場に入られると、控室の笑い声で「来たな」というのが分かるんですね。そんな風に「来たな」と分かったのは、私の中では柳沢慎吾さん以来でしたね。柳沢さんも、ずっとしゃべりながら来るので分かるんですよね。例えるなら「山賊たちの晩餐」みたいな笑い声が聞こえてくるんです。「親方、今日もうまくいきましたね」「きゃははは」みたいな(笑)。そんな声が聞こえてきますよね?

川栄さん

朝、メイク室ですぐ分かりますね。

大泉さん

「やって来たな!」「よし、今日も頑張ろう」ってエネルギーをもらえるパワースポットみたいな人でした。歩くパワースポットでしたね。

MC

福本さんは佳美さんを演じたことで変わったことはありますか?

福本さん

「あきらめない心」ですかね。それは、宣政さんの背中を見ているからだと思いますが、生まれつき心臓に疾患があって、いじめとかもあって、私ならへこたれて、もっと悲しくなっていたと思います。でも、佳美さんはそうじゃなくて、常に前を向いて、一日一日を大事に生きていました。小さなことでくよくよせず、家族全体のモットーである「次はどうする?」っていうマインドには私も感銘を受けました。

MC

福本さんが挙げていらした印象的だったシーンは、実は大泉さんも同じでした。

福本さん

予告編でも使われている「私の命はもう大丈夫だから」と宣政さんの肩をもみながら言うシーンですが、そのシーンの撮影は、私がクランクインしてすぐくらいだったんです。私の中でも佳美さんをどう演じていこうかと悩んでいて、まだ手探りの状態のタイミングで、一番大事なシーンをやるんだと、ドキドキしていました。前日も寝られなかったです。

MC

大泉さんとはお話をされたりしたんですか?

福本さん

一回リハーサルをやった時に、「もうちょっとこうしたほうが良いかも」というお話を参考にしました。あのシーンは、宣政さんがそれまで人工心臓を作るために奔走してきたけれど、佳美さんのその一言でいったん区切りが付くという、第一章が終わる大事なシーンだったので、頑張りました。

大泉さん

僕の中でも、さっきお話した通り、そのシーンが僕に本作を「やりたい」と思わせてくれたのでね。ある種、順撮りではありました。それまでのシーンが(佳美がまだ子どもの時期で)子役の子たちと過ごして、(佳美が)大人になって福本さんが来られて…という流れだったので、台本上はそれなりに順撮りなんです。でも、僕と福本さんは全然一緒に撮っていないんですよ(苦笑)。子役とばかり撮っていたので、莉子ちゃんとやるには、積み重ねがない中でのシーンだったので難しいですよね。じゃあ、そのシーンを後でやるかというとそれも逆になってしまうし、しょうがないよねって。「あぁ、もうこのシーンか…」っていう感じでした。「よろしくお願いします」って言ってすぐに、一番大事なシーンを撮っちゃうという。でも、思い出しても涙が出ちゃいますね。佳美さんに肩を揉まれているんだけれど、力が入っていない…きつかったね。

MC

川栄さんは長女の奈美役を演じる上でどんなことを大切にしましたか?

川栄さん

お姉ちゃんとして、強くいられたらと思ったんですが、実際の三姉妹は絆がすごく強いので、お姉ちゃん過ぎず、親しみやすい仲の良い三姉妹になれたらと思いました。美羽ちゃんとは初めてでしたが、莉子ちゃんとは共演経験があったので、すごく良い雰囲気で撮影できたと思いました。

MC

監督は川栄さんについて「安心の川栄さんです」とおっしゃっています。

月川監督

もう本当にベテラン俳優さんのような安心感と子どものようなみずみずしさを併せ持つ方です。空間や相手のお芝居に柔軟に反応して、物語に溶け込んでくる。そこにいればそれで安心という感情をいつも持っております。

川栄さん

ありがたいです。私も月川監督を信頼しているので、作品の中で「監督がOKと言ったらOK」と思っています。だから、あまり納得がいかなくても「もう一度やらせてください」と言ったことがなかったんです。でも、今回とあるシーンでどうしても納得がいかなくて、初めて「もう一回やらせてください」とこの業界に来てから初めて言ったんですね。でも、初めて言ったもんだから「待てよ。あと一回で絶対に成功させなきゃいけないんだ…!」って思ってしまって、メチャクチャ焦っている川栄李奈が出てきてしまい、10回以上…(苦笑)。

大泉さん

(爆笑)。「あと一回」どころじゃなくなったのね(笑)。

川栄さん

莉子ちゃんも一緒に新幹線で帰らなきゃならないのに1時間以上も押しちゃって…。

福本さん

私も覚えていますが、役に対する意識の高さに鳥肌が立ちました!

川栄さん

ただ焦っている川栄が「やばい!やばい!」って思っていただけですよ(苦笑)。

大泉さん

「もう一回やらせてください」は諸刃の剣ですからね。「OK。さっきよりできるのね?」っていう…。

川栄さん

そうですよね(笑)。はい、学びました。

月川監督

それは、メチャクチャ覚えています。確かに、僕が出したOKを超えるものじゃないと、今度はOKが出せないけれど「帰らなきゃいけない時間が…」というのもあって…(笑)。でも、最後にすごく良いものが撮れたので、一番のお気に入りシーンになっています。

MC

新井さんは甘えん坊の末っ子ということで、川栄さん、福本さんのお姉ちゃんはいかがでした?

新井さん

この作品に入る前は、今まで以上に緊張していました。最初は自分から声をかけるのが難しかったです。でも、お二人がたくさん話しかけてくださって、学校とかお仕事の話をしてくださいました。最後はお姉ちゃんたちがいるので、安心感があって良かったです。

MC

菅野さんは新井さんのシーンで感銘を受けたとのことですが?

菅野さん

美羽ちゃんの演技で、緊張感のあるシーンでした。月川監督も優しく、新井さんが演技に集中できるように待っていました。私にできることはないので、ただ待つしかないんですが、美羽ちゃんが、本当にギリギリのところで演技をしようと、ひたむきに一生懸命に役と向き合っている姿勢を見て、「我娘ながら…」というか、私も新井さんの姿勢に教えてもらうものがありました。

月川監督

新井さんがお芝居に集中する時間を作ったら、「どう戻ったら良いか分からなくなっちゃった!」という状態になったんです。でも、菅野さんが「私はさっきから、あなたのお芝居すごく良いなと思っているよ」と、現場に本当のお母さんがいるような感じで接しているのを見ました。それだけで現場に感動が生まれそうな空気で、だんだん役に入っていき、素晴らしいOKテイクが出ました。

菅野さん

川栄さんも美羽ちゃんをさすってあげていて、それぞれ役の上での家族だけれど、それとは違った支え合いがあったかもしれないですね。

新井さん

覚えています。私自身、こんなに役と正面衝突したのが初めてで、戸惑って「どうしよう?」って真っ白になっちゃったんです。でも、家族のみんなに話したら、一気に肩の鎖が解けたみたいに感情がすごく湧き出てきました。今思い出しても心臓がドキドキします。

MC

本日は「家族決起会見」ということになっていますが、改めてこのキャストで家族を演じられていかがでしたか?

大泉さん

さっき話した通りで、モデルになった筒井家の皆さんがいらっしゃるんですが、皆さん、どこか面影を感じますね。撮影中に「この役はこうだ」とか役の話をそんなにすることもなく、それぞれが役に向き合って、一生懸命やった現場だったと思います。自分も役に挑むわけですが、この子たちがいるおかげで「坪井家ってこうなんだな」と、スーッと役に入れました。あとは、子どもたちの制服姿が印象的ですね。川栄さんが「これが私の最後のセーラー服です」ってしみじみとおっしゃっていました。

菅野さん

劇場でぜひご覧ください!

大泉さん

「これが最後になります」っておっしゃったので「お似合いですよ」と言ったんです。そうしたら、最近もっと若い役(舞台「千と千尋の神隠し」の千尋役)をやっていたから…「今はランドセルを背負っています」って、どこまで若い役をやるんだろうって思いました。
とにかく彼女たちの制服姿の時代は、より感情移入しやすかったですね。この子たちのお父さんなんだなと思いました。でも、私も誰にも負けずに突き進むお父さんなんですが、そんなお父さんをみんなが支えるんですよね。お母さんはもちろん「この後、どうするの?」って言うし、奈美ちゃんもお父さんに「そんな顔、佳美ちゃんに見せないで」と言うし、素晴らしいチームワークの家族でした。

MC

ほかの皆さんも家族を演じられていかがでしたか? 大泉さんから聞いていただいてよろしいですか?

大泉さん

(登壇者の皆さんに)どうでした、皆さん? 家族ということで、良かったなと思うこととか…菅野さん、いかがでした?

菅野さん

(爆笑)。良かったです。演技での共演は初めてでしたが、大泉さんが真ん中にいてくださるおかげで、私たちもリラックスできました。さっき、娘たちの晴れ姿を動画で撮っている大泉さんを「娘が成人した時はこういう気持ちかな?」って、すごくうれしかったです。みんなかわいくて…。

大泉さん

SNS用に動画を撮ったんです。福本さんはどうでした?

福本さん

ちょっと悲しいシーンもありますが、撮影の合間もお母さんとお父さんがすごく面白くて、にぎやかな現場でした。そういう時はリラックスできる、メリハリのある現場でした。集中する時は集中するし、みんなで和やかな雰囲気になる時もあってお二人が場を盛り上げてくださったのはありがたかったです。

川栄さん

私は、大泉さんと菅野さんという役者として大先輩と、近くで、しかも家族としてお芝居できたのがうれしかったです。菅野さんの明るさと若々しさを本当に見習おうと思いました。
あと、話は変わるんですが、現場で大泉さんが「僕は紅白で歌うのが夢なんだ」と突然、語られていたことがあったんですが、本当に紅白で歌ってらっしゃったので…。

大泉さん

そんな話、していました? 私。

川栄さん

していました。

菅野さん

その年は、司会をやっていましたよね?

川栄さん

司会をやって、歌って…言霊って大事なんだなと思いました。強い気持ちをもって生きていくことで、夢に近づけるんだと、人間的な部分で学びました。

大泉さん

そうですか…、そんなこと言ったかな? 恥ずかしいですね…。

新井さん

私は、皆さんの姿勢を見て、日々勉強だなって感じでした。大泉さんとはその後も何度か…。

大泉さん

そうそう。現場ではかわいいけれど、「ちょっと緊張しているかな?」っていうところがありました。そうしたら別の現場でご一緒することがあってね。あの時よりも弾けて僕に会いに来てくれるのがかわいくてね。「大泉さーん!」って。この間も僕が時代劇でメイクしているところに来て、ずーっと後ろでしゃべっていました。「そうなんだ」とか言いつつ、内心は「邪魔くせーな」とか思っていたんです。撮影中に二回くらい来てくれたよね?

新井さん

二回行きました。

大泉さん

「今日もいる」と思っていました。大事な目のあたりをメイクしている最中、ずっとしゃべっているから「うるせーな」と思っていたんだけれど…。

新井さん

えぇー(笑)!?

大泉さん

冗談、冗談。かわいいです(笑)。

新井さん

うれしかったんです。

大泉さん

撮影の時以上に娘のようでたまらなくかわいかったです。あの時もセーラー服着ていたよね?

新井さん

ずっと着ているんです(笑)。

大泉さん

かわいい!

MC

大泉さんは本作に出演して、家族観に変化はありましたか?

大泉さん

改めて、僕たちが思っている生活を「当たり前だ」と思っちゃいけないと思いました。こういう経験をしている方は、実はたくさんいるわけです。本当に僕たちも日常を大切に生きなきゃと改めて思いました。
今の僕たちの世代は、何でもできるから、逆にそこで自分の生活が充実していないと悩む世代なんですよね。でも、宣政さんや僕の父親の世代は、そんなこと言っていられない。生きていくことに精いっぱいの世代で、悩んでいる暇がないというか…。僕たちが演じた坪井家も、とにかく目の前の壁を乗り越えていく。日々、無駄な時間なんて一つもなくて、とにかく頑張って生きていかなきゃいけないと改めて思いましたね。なあなあに生きていきたくないなと。

菅野さん

私も実生活では子育て中で、毎日必死で、「今日をどう終わらせようか」っていう感じです。本作の中で、家族がそろって食事をするシーンがあるんですが、これ以上の幸せはないんだなと思いました。普段、自分がその中にいると、幸せを噛みしめる暇がないくらい目まぐるしいけれど、それって当たり前のことじゃないんだと、改めて子どもたちと過ごせる時間は永遠ではないんだと思いました。

■記者からの質問

【記者質問1】

福本さん、川栄さん、新井さんから見て、大泉さんが演じるお父さんはいかがでしたか?

福本さん

大泉さんは、普段は話しやすいし、場を盛り上げてくれるけれど、宣政さんはもうちょっと厳しい感じがしました。でも、娘への愛をすごく感じて、厳しいけれど、優しさを感じるお父さんでした。そこが大泉さんが演じるお父さんの中で好きなポイントです。

川栄さん

大泉さんが持っている優しさが、今回は佳美ちゃんのために働くので、みんなと和気あいあいと接するお父さんではありませんでした。でも、オフの時、みんなに話しかけてくださって、そこで優しさを感じました。

新井さん

寿美を演じている時は、少し普段の大泉さんよりも遠い存在に感じました。難しいことをやっているし、忙しそうだし、家族に目を向けてくれないところもあって、少し遠くに感じてしまうところがありましたが、普段はそんなこと全然なくて…そんな感じでした。

大泉さん

最後、ちょっとフワッとしましたね。美羽ちゃんらしくて良いと思う!

【記者質問2】

本作は絶対に乗り越えられない壁を乗り越えていく物語ですが、皆さんが「これは無理だな」と思いつつ乗り越えた体験を教えてください。

大泉さん

じゃあ…美羽ちゃんからいってみようか?

新井さん

今、パッと思い浮かんだのは、本作のさっきお話したシーンです。途中で「私、もうダメかも」って一瞬思ったんですが、皆さんの力を借りて打ち破ることができました。

大泉さん

李奈ちゃんもあるでしょ(笑)?

川栄さん

私も同じで、さっき話をしたシーンで「あ、もう無理だ…」ってなったんですが、気持ちが整えられたので行けたというか、ぶち破ることできました。

福本さん

私もこの作品に限らず、毎作品、壁にぶち当たっています。毎回、悩んで、悩んで…それでも何とか乗り越えて、自分の中で消化して助けていただきながら頑張れています。

大泉さん

母さん、どうだい?

菅野さん

あなた…(笑)。

大泉さん

何を乗り越えた?

菅野さん

私ね、この間タケノコ掘りに行ったんですよ。山を乗り越えたわ! タケノコ掘りに行ったことあります? 掘っても、掘っても出てこないんですよ。いやぁ、乗り越えました! もう、50代も見えてきて、新しいことってあまりないんですよね。だから、「タケノコとったぞ!」とか「山越えたぞ!」とかに新鮮なことを感じるお年頃になってまいりましたね。

大泉さん

私はこの作品に入りまして、いろんな経験をできました。やはり「乗り越えた」となると、この間の紅白歌合戦での歌手としての出演でしょうかね。「ぶっちゃけ、司会に比べたら自分の出番だけ行って、パッと歌って帰ってくりゃ良いだろ」と思っていたところがありました。だから、「今年の紅白は暇だな」と思っていたんです。
でも、福山雅治さんから「大泉くん、緊張するから紅白は待っている間は見ちゃいけない」と言われました。「なるほど。そうなのか、見ないでおこう」と思っていたんです。でも、台本に有吉さんから「大泉さん、我々の司会はここまでどうですか?」って質問が入ると書かれていて、そうなると見ないといけないわけです。仕方ないから見ていたら、福山さんが言う通り、緊張していくんですよ。
歌う直前はとんでもない緊張でガクガクになっていて、「やべぇ…」って思いました。いよいよ私が歌う直前になったら、時間が押しているから有吉さんからの私への質問はカットになりました。私はただ緊張するために紅白を見ていたことになり、死ぬほど緊張する中で、歌を歌いました。あれは乗り越えましたねぇ。もう歌えなくなるんじゃないかって感じがしました。そして、「これが紅白か」とも思いました。「OKです」って言われる直前まで笑っていましたが、「OK」が出た瞬間に腰が抜けて、倒れるかと思いました。でも、場面転換があるから「はけてください!」って言われました。去年まで司会していたやつが、初出場となると扱いが全然違いますからね。「どいてー!」って言われます。
一つも映画に関係ない話を…(苦笑)。お父さんとお母さんはこうなっちゃった…。

菅野さん

お父さんとお母さんはこうなっちゃった(苦笑)。

MC

最後に大泉さんから、一言いただきたいのですが、普通は映画を楽しみにされている皆さんに向けていただくのですが、今日は家族決起会見ですから、家族キャストの皆さんに向けて、メッセージをお願いしたいと思います。

大泉さん

皆さんじゃなくて家族に…(笑)?

■大泉さん、家族に身体を向けて。

大泉さん

いよいよ、我々が魂を込めて撮った「ディア・ファミリー」があと二カ月で公開になります。これからは、この素晴らしい物語を少しでも多くの方に観ていただけるように我々家族で頑張っていこう!

福本さん・川栄さん・新井さん

はい!

菅野さん

カメラにお尻向けちゃって良いのかしら(苦笑)?

大泉さん

仕方ないだろう。「家族に向かって」って言うんだから。
いいか、これから我々は「宣伝ファミリー」となっていく、みんなそれぞれ仕事を抱えているかもしれない。しかし、そこを頑張って宣伝していこうじゃないか!

福本さん・川栄さん・新井さん

はい!

大泉さん

(川栄さんに)「千と千尋の神隠し」で大変かもしれないけれど、休みの日は全部本作の宣伝だ!

川栄さん

頑張ります(笑)! 

大泉さん

キミたちはまだ若い! 頑張れるからな! じゃあ、これから公開に向けて、頑張っていきましょう。よろしくお願いします。