「Dr.コトー診療所」製作報告会見

2022.10.26
  • イベント

製作報告会見

山田貴敏さんの同名漫画を元に、架空の孤島・志木那島(しきなじま)に赴任したコトーこと医師・五島健助と島民の絆を描き、フジテレビで放送されたドラマシリーズ「Dr.コトー診療所」。シリーズ初の劇場版であり、16年ぶりの新作は、オリジナルキャスト&スタッフが再集結し、「Dr.コトー診療所」の“今”を描きます。
10月26日、映画「Dr.コトー診療所」の製作報告会見がザ・リッツ・カールトン東京にて開催され、主演の吉岡秀隆さん、柴咲コウさん、大塚寧々さん、髙橋海人さん(King & Prince)、生田絵梨花さん、泉谷しげるさん、筧利夫さん、小林薫さん、そして中江功監督が出席しました。この日は、最新の予告編が解禁となり、完成前の作品について込めた思い等をそれぞれが語りました。こちらのイベントの様子を詳しくレポートします。

五島健助役

吉岡秀隆さん

五島健助役

五島彩佳役

柴咲コウさん

五島彩佳役

西山茉莉子役

大塚寧々さん

西山茉莉子役

織田判斗役

髙橋海人さん(King & Prince)

織田判斗役

西野那美役

生田絵梨花さん

西野那美役

安藤重雄役

泉谷しげるさん

安藤重雄役

和田一範役

筧 利夫さん

和田一範役

星野正一役

小林 薫さん

星野正一役

中江 功監督

吉岡さん

正直に言うと、まだ(完成作品を)観ていないので、何とも言いようがないのですが…。きっと編集中だと思いますが、信頼する中江監督にお任せして、僕自身(完成作を)本当に楽しみにしております。

柴咲さん

16年前の前作では星野彩佳でしたが、今作では五島彩佳として久しぶりに帰ってきました。ビジュアルが出ているので、ご存じかと思いますが、コトー先生と結婚して妊娠七カ月の彩佳さんです。彩佳も含めて今、島の皆さんがどういう暮らしをしているのか、今作ではどのようなことが巻き起こるのか、皆さんの目で、肌で感じていただきたいと思います。

MC

コトー先生、彩佳さん! ご結婚、そして妊娠おめでとうございます!(会場:拍手)

大塚さん

16年ぶりということで、撮影に入る前は、心配やいろいろな気持ちがありました。会ってみたら、親戚が集まったみたいに、一瞬にして何の違和感もなく撮影に入れたことが嬉しかったです。その時に、この良い雰囲気が画にも現れるだろうと思いました。

髙橋さん

ずっと長く愛されているこの作品に出演できると聞いた時には、本当に嬉しくて、そしてプレッシャーを感じました。本気で挑もうとたくさん台本を読んだのですが、いざ現場に入った時には周りのキャストさんのすごさや、スタッフさんの熱量に、自分の至らなさで打ちのめされました。家に帰っても悔しくて、「明日こそ!」と準備をするんですが、また現場で打ちのめされて……。そんな日々の繰り返しでした。僕の中で、限界突破120パーセント頑張ったと、今は感じています。僕の演じた判斗が、少しでもこの作品を彩れていたら良いなと心の底から願っております。

生田さん

「Dr.コトー診療所」の登場人物の皆さんと同じ空気を吸って、志木那島の診療所で看護師の一員になり奮闘できたことは、本当に幸せだったと思います。撮影中は、緊張していることを忘れてしまうほど、皆さんが温かく自然体で迎え入れてくれました。そのおかげで楽しみながら学ぶ日々となりました。改めて、すごい場所に入らせてもらっていたのだと、今身震いしています。

泉谷さん

漁労長をやらせたら日本一の漁労長役ができる泉谷です。この作品は、まだ完成していないのでねぇ、何とも言えないんだけれども……この作品は完成しません! もう、これはコメントのしようがない。最初から思っていました、これはできないよと……。案の定まだできていないのに、感動しているこの不思議さ。これこそ、「Dr.コトー診療所」の残酷な現場がもたらした結果です(笑)。そういうことを楽しくお話ししたいと思います。

MC

本日は異例の未完成報告会見となっております。

筧さん

いよいよ12月16日、世紀の大決戦が近づいて参りました。「Dr.コトー診療所」の映画版でございます。もう皆さま、ご覧になってお分かりのように、我々は何も変わっておりません! 身長、体重、心に抱えている悩み、すべて同じでございます。どうぞ皆さま、我々と共に世紀の一瞬をご覧ください。よろしくお願いします。

MC

和田さん、特に変わっていないですね。思わず”和田さん”と呼んでしまいました。筧さん、本当に変わっていなくてびっくりでございます。

小林さん

仕事先などで、「『Dr.コトー診療所』が映画化されるんですね」「ずっとファンで観ていました」という声をいただきます。16年経っても、こうして声をかけてもらうことで、作品の生命力と作品の持つ力を感じました。僕も声をかけられて作品に参加できて良かったです。もし、僕だけ声をかけられなかったら、中江監督との関係もギクシャクしたと思います(笑)。ここにいるだけでホッとしていますが、これを聞く側にまわっていたら、ちょっと寂しいなと……。

中江監督

皆さんがお話された後ですし、会見の時間も短いのであまりお話することはありません。
ドラマが終わった後に映画をやるか、スペシャルをやるかという話は、何度も出ていました。でも、話が出ては消えていました。三年ぐらい前にようやく「やろう!」という動きがありまして、そこで吉岡さんとも会いました。ちょこちょこお会いしてお話をしてきた作品でございます。ただ、三年というより、思い返してみると二十年ぐらい前に、最初に「Dr.コトー診療所」のドラマをやろうと言った時から現場などでお話をしてきたことが、全部結集した作品になっているのではないかと思っております。その二十年の思いが形になっていれば良いなと思います。
「見どころは?」とよく聞かれますが、変なところで泉谷さんが捕まったりすることもなく…。(会場:笑) 同じメンバーが元気で揃ったことは奇跡だと思います。そこは一つの見どころだと思っております。

MC

監督から「具体的な話は三年前から」というお話がありました。吉岡さんは「Dr.コトー診療所」がずっと心の中にあったのでしょうか。

吉岡さん

えっと……ありません。監督と会うたびに、”五島健助”の火をなかなか消してくれなくて、「今どうしているんだろうね?」や「和田さんはどうしているかね?」といった話をしてくるので、監督の中では消えることがなかったのだと思います。ですから、(監督が)その火を僕に焚き付けてくれた感じです。

MC

16年ぶりに演じてみていかがでしたか。

吉岡さん

ずいぶん時間が経ち、僕も髪が真っ白になりました。「もう一度戻れるのだろうか?」と自問自答の日々と、同じキャストと同じスタッフ、新しいキャストとスタッフ、振り返れば同じ汗と涙を流した方々が一緒にいてくれたので、そういう中でまたコトー先生に戻してもらった感じです。

MC

彩佳さんは、苗字が星野から五島になりました。どこかでそうなる感じがしましたか。

柴咲さん

「Dr.コトー診療所」は、再放送があると観ていました。不思議と、自分が出演してはいるものの、もはや自分ではなくて、その島はフィクションではなく本当にどこかに実在していて、その地に根付いた人々が今もいるのだろうという気分でずっと観ていました。そして、今回の映画化のお話をいただいた時に、そこに関しての不安はまったくありませんでした。きっとあるところに自分の魂がすっと入っていく感じになるのだろうと思っていました。実際にクランクインしてもそうでした。島での撮影も彩佳さんはずっと島で生活をしていて、とても自然な流れでコトー先生と一緒になったんだろうと簡単に想起できました。

MC

柴咲さんは、この前に別作品(「沈黙のパレード」2022年公開/出演:福山雅治・柴咲コウ)で内海薫を久々に演じられて、本作でも久しぶりとなりましたね。ご気分は?

柴咲さん

不思議ですが、「Dr.コトー診療所」はこれが集大成というか、すべてを描き切ることで映画化になっていると思います。みんな、すべての魂を込めて作り上げているところがあると思います。さきほどもお話したように、志木那島に集う人々は永遠に続いていく……そんな感じがしています。

MC

それでは新キャストにもお話を伺いましょう。
髙橋さんは「とにかく大変だった」とさきほどお話をされていましたが、具体的に苦労したのはどのシーンですか?

髙橋さん

正直、全シーンです。僕自身、求められる水準の高さが……。皆さんがドライの時から熱心にディベートをされて、僕は一つ一つを作っていくことにしがみついていった感じです。

MC

噂によると、20テイクから30テイク重ねたそうですね。そのシーンで一緒だったのはどなたですか?

髙橋さん

結構長いシーンで、織田判斗が島の医療のあり方を問うシーンでした。(一緒だったのは)筧さん、小林薫さん、しげるさんです。

MC

レジェンドに囲まれての30テイク?

髙橋さん

そうなんですよ。神々に見守られている感じで、それはもう生きた心地がしなかったですね。

MC

その時に、泉谷さんが助けてくれたそうですね? 泉谷さん、そのシーンのことは覚えていますか?

泉谷さん

覚えています。(髙橋さんに向かって)お前、ちゃんと言えよ! なぁ、俺、助けただろ?

髙橋さん

はい。

泉谷さん

具体的に言うと、この監督は回数を撮るわけ。彼(髙橋さん)向けのところをやるにしても、こちらを狙っていても、そのシーンの頭から全部やらないといけなくて、30ページを何回もやる。そりゃあ、間違うわ。その間にも、監督がちょこちょこアイディアを入れてくる。まったく失礼な野郎(監督)です。それで彼(髙橋さん)がいっぱいいっぱいなことは、見ていて分かる。だから、「NGを出しても台本が悪いんで、(中江監督のもとで)みんなもそういう目にあってきているから、ここはお前が悪いんじゃない。監督が悪いんだ! スタッフ全員謝れ」と……謝らせたんだ。その恩義を忘れたな……。(会場:泉谷節で笑う)

髙橋さん

(苦笑)。いや、助けていただいて、そう言ってくださるのはすごく嬉しかったです。「スタッフ謝れ!」「監督が厳しい」とか、そういう言葉が逆にブーメランで僕に返ってくるっていう……こともありましたね。

MC

なるほど、逆にね。もう、どこまでが(役柄の)漁労長で、どこからが泉谷さんか、ほとんどのエピソードって漁労長そのものですよね。

泉谷さん

こう言っちゃなんだけれど、台本を全然読んでいないので、状況が分からないんです。(会場:笑) …読む気がしない。台本を読んじゃうと、やらないといけないでしょう? 薫ちゃんにもたまに「泉谷、ここは違うだろ!」と指摘されているんだけれど……演技を間違えているんだよね(笑)。彩佳にも「結婚したの?」と聞いたりして……本当にすみません。

MC

小林さん、その辺り、親友として泉谷さんのアプローチはいかがでしょうか。

小林さん

(笑)。いや、良いんじゃないですか? 泉谷さんらしいといえば泉谷さんらしい。忘れちゃったけれど、本当に何も考えていないんだよね(笑)。「これはこういうシーンだからね!」と(泉谷さんの)耳元で言ったら「え、そうだったのか!」と初めてそのシーンの意味合いが分かったりして……その後はちゃんとやっていましたね。(登壇者の皆さん:大笑い)

MC

これはある意味、天才ですね。そういう状況であの演技をしていたのかと……改めて思いました。

■ここからは、記者からの質問。

【質問】

吉岡さんに伺います。ご自身にとって「Dr.コトー診療所」という作品はどういうものかお聞かせください。また、この作品は今の日本の過疎の問題や現在の問題がいろいろ織り込まれたストーリーになっているかと思います。今この時代に「Dr.コトー診療所」を届ける意味合いはどこにあるとお考えでしょうか。

吉岡さん

難しいことを聞きますね。
中江監督とは、コロナ禍に入って命の問題を考えるようになったことも含めて、いろいろな話をしました。僕も最初に演じたのは二十年前だったので、その時は32か33歳で、もう52歳ですから、コトーに対する気持ちはもちろん変わりました。こういう時代になったからコトー先生みたいな人にいてほしいと余計に思います。
あの頃は、無我夢中でやっていたことが、今になってみるとここにいるみんなと一緒に同じ汗と、同じ涙を流して本当に良かったと思える作品になりました。僕自身にとっても大事な役と作品ですし、皆さんが新しい役を吹き込んだ役と作品です。

MC

吉岡さんは企画段階から「何かを背負っていないとあの坂を自転車で登れない」とおっしゃっていたそうです。そういう思いは、今回の映画に至るまで(2003年ドラマの)19年前や、(2006年のドラマの)16年前からあるのでしょうか。

吉岡さん

そうですね。みんなは”Dr.五島”のことを”コトー先生”と呼びますが、僕が演じるのは五島健助という一人の医師なので、彼が背負っているものや悲しみが何か、しっかり分からないとコトーにはなれない気がしていました。

【質問】

中江監督に伺います。先ほど「本作が集大成」とのことでしたが、これが完結編になるのでしょうか。

中江監督

ご覧になった方がどう思われるのかは分かりませんが、一応集大成で……完結編だと思います。僕の中では、最初で最後の映画化だと思っています。フジテレビの戦略で「また連ドラをやるだろう?」と思われるかもしれませんが、「もうこれで最後にして、コトー先生を一度締めよう」と吉岡さんともお話をしたので、僕はやる気はないです。……こんなこと言って良いのかな(笑)。

MC

ただフジテレビの場合、昔「海猿」という映画があって、ファイナルと言って、その後どんどん作ったことがございます。(会場:笑) あまり真に受けなくても良いのかと…。ただ中江監督(の意思は)は最後という気持ちで作られているということですね。

【質問】

吉岡さんと柴咲さんに伺います。俳優として、(前作ドラマから)16年が経ってお互いに変わったこと、変わっていないところはありますか?

吉岡さん

柴咲さんは、まったく変わっていないと思います。凛としていて、観音様みたいな優しさもあるんですが、目を見開いている観音様のような少し怖い部分もあります。そばにいるとホッとしますし、近づき難い時もありますし、一言が重い時もあれば、その一言に救われる時もあります。

柴咲さん

ということは、最初に共演した時は私が二十代でしたが、ふてぶてしかったんでしょうね。

吉岡さん

(即座に)いやいやいや! ふてぶてしいとは言っていないです。

柴咲さん

失礼しました。
吉岡さんは、「髪の色が変わった」とおっしゃっていましたが、久しぶりにお会いして、本読みをした時に、もう物語の中にいらっしゃったんですよね。そういう作り込み方と誠実さは何も変わっていないなと思いました。もし、変わっているとしたら、重圧というかコトー先生や「Dr.コトー診療所」に対しての周りの期待、コトー先生暮らしの日々が積み重なっているので、その重さは二十年前よりもさらに重く吉岡さんにのしかかっていたように感じました。

MC

変わらないもの、変わったものがある19年かと思います。変わったといえば、(「Dr.コトー診療所」フジテレビ系列にて2003年放送の第一期に出演された)神木隆之介さんが当時は10歳でしたが、29歳になりました。大塚さん、これは変わりましたね。

大塚さん

そうですね。19年前にドラマを撮っていた頃は、撮影がすごく厳しかったので、子どもたちは撮影現場でリアルに泣いていました。
その彼らが、あんなに成長して立派な大人になられていて感動しました。

MC

子どもたちも泣く”鬼の中江”というのが改めて伝わってまいりました。
生田さん、柴咲さんの後輩看護師役として共演されてみて何か得るものがあったのではないでしょうか。

生田さん

先輩後輩として道を歩きながら会話するシーンを最初に撮りました。モニターでその時の彩佳さんの表情を見ていたらとても良くて、このような表情で後輩を見るのであれば、(自身が演じる役柄は)たくましくないといけないし、どんな時も彩佳さんについていくこと、何かできることがあればすぐ行動できる人にならなければと感じました。柴咲さんが演じる彩佳さんの表情からヒントやひらめきをたくさんいただきました。

MC

ある時は柴咲コウさん、またある時は蒼井優さん、そして今度は生田絵梨花さんといろいろな診療スタッフの皆さんが診療所にやってきます。でも、そこに変わらずにいるのは筧さん演じる、和田さんです。和田さんの存在感が安心につながっていると思います。今回も期待して良いですか?

筧さん

話を無理やり振らなくて良いですよ! 

MC

還暦おめでとうございます。

筧さん

(MCの軽部真一アナウンサーも)同じ年ですからね!
今回も見守らせていただきました。今言ったら良いのか分かりませんが、前にも増して愛情を感じました。手術シーンでは、もっと先生を助けようとか、何とかしようと思う気持ちが増していました。そういう意味では自分も大人になって良かったと思いました。ありがとうございました。

MC

今回も和田さんはたくさん写真を撮っていますか?

筧さん

はい、そういうシーンを撮りました。

■フォトセッション

MC

最後に代表して主演の吉岡さんからメッセージをお願いします。

吉岡さん

今日はありがとうございました。19年前に、「決して色褪せることのないドラマを作るんだ!」と作りまして、こうして映画化されて「色褪せていなかったんだ!」とつくづく思いました。そして、当時かいた汗と涙に負けぬよう同じキャストと新しいキャストとスタッフとともに頑張りました。今は何だかとても不安定な時代になりましたが、12月16日に志木那島で待っていますので、どうぞ劇場に遊びに来てください。