「四月になれば彼女は」初日舞台挨拶

2024.03.22
  • 初日舞台挨拶

初日舞台挨拶

映画プロデューサーで小説家の川村元気さんの長編小説第三作目を映画化した「四月になれば彼女は」が3月22日に公開を迎えました。公開当日、東京・日比谷のTOHOシネマズ 日比谷にて舞台挨拶が開催され、佐藤健さん、長澤まさみさん、森七菜さん、山田智和監督が登壇しました。撮影現場での監督の口癖が話題になったり、本作でも印象的な「手紙」にちなんだエピソードが披露されるなど、和気あいあいとしたこちらの舞台挨拶の模様をレポートいたします。

藤代俊 役

佐藤健さん

藤代俊 役

坂本弥生 役

長澤まさみさん

坂本弥生 役

伊予田春 役

森七菜さん

伊予田春 役

山田智和監督

佐藤さん

本作をご覧になった後と聞きしましたが、いかがだったでしょうか? 本日、無事に公開を迎えられました。皆さん本当にありがとうございます。当初は、今日は桜が満開の予定だったんですが、どうやら開花が遅れていて、全然咲いていないようです。でも、皆さんがお花のボードを持っているので、日比谷は満開ですね(笑)。

森さん

日比谷は満開(笑)!

佐藤さん

楽しんでいってください。

長澤さん

たくさんの方に観ていただけてとてもうれしいです。ありがとうございます。「愛」や「恋」について深く考えたくなるような本作ですが、たくさんの人に観ていただけたらと思っています。

森さん

皆さん、今日はお越しいただいてありがとうございます。まだ余韻が残る中かと思いますが、皆さんと楽しめたらと思います。

山田監督

今日、無事に初日を迎えることができて、本当に感無量です。

MC

2022年の3月にクランクインし、ちょうど三回目の桜が、まもなく咲くであろうこの日に初日を迎えました。

佐藤さん

そんなに経つんですね…。コロナ禍もあって、何だかすごく昔のことみたいですね。今日を無事に迎えられて感慨深いです。ぜひ、私たちにとって大切な作品がたくさんの方の元に届いたらと良いなと思います。

長澤さん

あっという間に時間が流れていて、「そんな前に撮っていたんだな」と信じられない気持ちです。二年前に撮影をしていますが、一年前には海外パートのロケも行いました。無事に帰ってこられたんだな…と、親心のような気持ちがこの作品に対して芽生えているのを感じています。

森さん

公開初日を迎えられてすごくうれしいですね。さっき、明後日24日くらいに桜が開花すると聞きました。本作のタイトルが「四月になれば彼女は」で、春になる前の話なんです。だから、開花が遅れたことも本作のためなんじゃないかと思いました。

山田監督

原作者の川村元気さんから、本作を「ぜひ実写化したい」とオファーをいただいてから四年が経ったんですね。その間にコロナ禍もあったので「海外ロケに果たして行けるのか?」とかいろいろありました。映画館が満員になることが想像できない時期から、本作の企画は走っていたので、無事に初日を迎えられてうれしい気持ちでいっぱいです。なるべくたくさんの方に届くことを願っています。

MC

佐藤さん、長澤さん、山田監督は同年代ですが、改めて山田監督の現場はいかがでしたか?

佐藤さん

ライブ感がある感じでしたね。本当にそこで生活をしているだけで、監督がそれを捉えてくれるという安心感がありました。本当に芝居に集中できました。

山田監督

佐藤さんは原作の大ファンで、企画の脚本づくりの段階から参加していただきました。だから、ある種クランクインの時から背中を預けるじゃないですが、目線が合っている現場を作っていただいたので、ドキュメンタリー性みたいなものを含めて、楽しめました。

佐藤さん

いや、監督が「ある種」ってメチャクチャ使うのよ(笑)。撮影の時、監督が俳優さんに説明をするじゃないですか。監督が「ある種」って言い過ぎていて長澤さんが怒っていました(笑)。

長澤さん

怒っていないです(笑)。
さっき、車の中で、みんなで監督のモノマネをしていて、「ある種」って言っていました(笑)。

MC

長澤さんは同年代の山田監督の現場はいかがでしたか?

長澤さん

うれしかったですね。今まで、「監督」というと自分より年上の経験値の高い人たちばかりで、遠い存在に感じていた部分もあったんです。でも、同世代というと「一緒に作っているぞ」という感覚で、こっちも「やったるで!」って感じでした。とにかく「監督のためにどうにかできないか」と考えていました。ある種(笑)。

MC

森さんからすると、少し年上の皆さんとの現場でしたがいかがでしたか?

森さん

すごく楽しかったですね。ある種(笑)、年下なので「ここにいても良いのかな…?」っていう気持ちもありました。でも、皆さんが、対峙した時にそれに合う雰囲気を作ってくださったのでありがたかったですね。変に恐縮せずになじんでいけたので、助かりました。

MC

ちなみに昨日3月21日は、佐藤健さんの35歳の誕生日でした。おめでとうございます。

佐藤さん

ありがとうございます!

MC

ケーキとかはないんですが…。

佐藤さん

僕、そういうのあると困っちゃうタイプなんで、ありがたいです(笑)。

MC

35歳、どんな気持ちで過ごしていきたいか、抱負をお願いします。

佐藤さん

もう、フルスロットル全開、マックス・ウルトラ・スーパーパワー全開でやりたいですね。ある種(笑)。

MC

これまでも全開でやられているように見えましたが…。

佐藤さん

いやいや全然です。35歳でついに初めて本気を出していますね。自分でもどうなるか分からないですね、怖いです自分が。ワクワクしますね。

MC

これからさらに全力で?

佐藤さん

本当にそうですね。20代って、なんとなく頑張っていたんですよ。言われたことをガムシャラにやっていて、当時は当時なりの本気を出していたんです。でも、もうちょっといろんなことを俯瞰的に見られるようになりました。「なるほど、この方向に全力を出したらもっと遠いところに行ける」と分かってきて、より明確に深く努力していきたいと思いますね。

MC

川村元気さんは、自身の周りから恋愛が消えているということをきっかけに原作の小説を書かれたそうです。改めて、皆さんは、最近の恋愛についてどのような考えをお持ちでしょうか?

佐藤さん

恋愛をしなくても楽しいことがあふれている世界になっていると思いますね。昔に比べて、楽しいことがあふれ過ぎて、決して恋愛している人がいないわけじゃないんですが、恋愛をしなくても楽しく生きている人が増えている印象はありますね。ただ、そういう人も恋愛に出会ったら、悩みもするし、楽しくもなるだろうし、恋に出会った時のときめきみたいなものは変わらずにそこに残り続けるんじゃないかと思いますね。

長澤さん

佐藤さんがおっしゃったように、楽しむものが増えて、自分のために時間を使うことが流行っているように思います。そうすると、「出会いがない」という印象になります。人と関わる時間がないので、なかなか恋愛に踏み込めない人もいるのかなって思いますね。

森さん

同世代を見ていると、「みんな、恋愛のハードルがすごく高いな」って思いますね。恋に落ちる時の「音」の感じとか、アニメとかにあるキラキラしたドラマをみんなで見ているんですね。だから、それ相応のものじゃないとダメって思っているんです。「私が感じたこれは、まだ恋じゃない」って思っている感じがするので、いやぁ、「ある種」生きづらいっていうか…(笑)。

佐藤さん

一番「ある種」の使い方がうまいと思います(笑)。

MC

恋愛へのハードルが上がっていることに関して、いろんな恋愛作品に出られてきた佐藤さんや長澤さんにも責任の一端があると言えるんじゃないでしょうか…?

佐藤さん

でも、恋はやっぱり、それくらいときめいてほしいよ、もう。

森さん

だから、本作は恋愛の些細なところも、残酷なところも拾っています。ちゃんと次の私たちの世代に観てほしい教科書だと思っているんです。

山田監督

「ある種」ハードルを…

森さん

(「ある種」の)本物だ(笑)。

山田監督

「ある種」、恋愛のハードルを上げた二人が、あえてこの作品でまた新しい愛の形にトライしてくれたことに、意味があると、今の話を聞いて思いましたね。
ある種、問題意識というのは、皆さんのほうが感じていると思います。対象が幼なじみの恋人とか、そういう分かりやすいものじゃなく、趣味でもペットでも良いと思います。それから、愛の総量みたいなものは、実は変わっていなくて、ただその形が変わっている。愛が消えたというよりは、いろんな形があっていい――それは逆にポジティブなことかもしれないと思います。

MC

本作の主題歌は藤井風さんの「満ちてゆく」ですが、藤井さんとはどんなお話をされましたか?

山田監督

クランクイン前からぜひ藤井風さんにお願いしたいと思っていました。だから、現実になって、本当にうれしく思います。お願いする時に、「登場人物や、作品を観てくださった皆さんを優しく照らす希望や、光のような曲」を作っていただきたいと思っていました。そして、想像以上の楽曲が上がってきて、身体が震えて感動するっていうのはこういうことかと思いました。

佐藤さん

やっぱり、恋愛って良いところも悪いところも全部あって、それを含めて全部が恋愛じゃないですか。辛いところもあって、でも、心は満たされるというか――うまく言えないですが、「この曲が流れて最後に作品が完結するんだな」って本作を観て思いました。

MC

本作では「手紙」が印象的ですが、皆さん、これまでに手紙にまつわる印象的なエピソードがあれば教えてください。

佐藤さん

森さんがあります。このエピソードの担当は決まっているんです。

森さん

激アツな話があります! 良いですか? 
高校三年生の時「高校生活でやり残したことはありますか?」と聞かれて「ラブレターをもらったことがないですね」みたいな話をしたんです。そしたら、卒業式の日、靴箱に本気のラブレターが入っていたんです。

佐藤さん

高校は東京?

森さん

大分です。東京に行く前の日に靴箱に入っていたんです。「女優の森七菜さんではなく、あなたとして好きなんです」って書いてくれていて、ものすごくうれしかったんです。急いで返事を書いて、走って追いかけて…。ある種「ごめんなさい」っていう手紙だったんですが、「でも、ありがとうございます」って返事をしました。そして、この前、東京で写真集のお渡し会があったんですが、そこに彼が登場したんですよ!

MC

会場からはちょっと「怖い」みたいな反応がありましたが…?

森さん

いや、「ヤッホー!来ちゃったぜ」みたいな軽い感じでした。高校生の時、そんなに話をしたことなかったんですが、「いつも、取材でプライベートな手紙の話をしてごめんね」って言ったら「いや、全然いいっす」って。ある種(笑)。

佐藤さん

それはすごくうれしかったんじゃない?

森さん

東京までわざわざ来てくれてメチャクチャうれしかったです!

MC

「まだ好きです」とかは…?

森さん

それはちょっといただけなかったですね(笑)。

MC

さらに良い思い出になったんですね。

森さん

最近レベルアップした思い出でした。

佐藤さん

素晴らしい。

MC

長澤さんは手紙にまつわるお話はありますか?

長澤さん

この話の後では話しづらいんですが(苦笑)…。この作品が始まる前に監督からお手紙をいただきました。

山田監督

お渡ししました。

長澤さん

監督とは地元が近くて…。

山田監督

隣の中学校なんですよね。

長澤さん

同い年だったりとご縁があって…。
「地元のスターだ」と言っていただいて、東京に出てきてから住んでいた町だったんですが、「あぁ、この街に私は受け入れられていたんだ」って思ってうれしかったのを覚えています。

山田監督

大スターですよ。本当に、びっくりですね。中学の時の自分では、ここに立っているなんて想像していなかったんです…ラブレターを渡しておけば良かったですね。中学は特定していたんで…。

長澤さん

怖い、怖い(笑)。

MC

本日は映画の初日にちなんで「四月になれば、私は○○」というお題に答えてもらいました。一斉にフリップをお出しください。

■三人の答え

佐藤さん「桜を見たい」
長澤さん「未知との遭遇」
森さん「20本」

森さん

四月のうちに、映画を20本観ることを目標にしたいなって…。最近、全然観られていなくて、そろそろ観ないとヤバいなと思っています。だから、観る本数を決めたらできるんじゃないかと思いました。ジャンルは問わず、アニメも子ども向けでも、ジャンルレスで観たいです。

長澤さん

「未知との遭遇」――四月になると、新たな撮影が始まるんです。その撮影自体、今まで経験したことのない感じになりそうな気がするので、また未知と遭遇しちゃうのかなって楽しみにしています。

MC

不安よりも…?

長澤さん

楽しみが勝りますね。

MC

そして、佐藤さんのこの答えは…?

佐藤さん

「桜を見たい」。いや、分かるでしょ? 一番分かるやつでしょ。普通、一番分かりやすい答えを最初に聞くけれどね(笑)。(順番を)飛ばされた時、ビックリしたわ! 
これは、ただの「桜を見たい」じゃないですよ。映画って、一生懸命作って、公開までドキドキワクワクしながら過ごして、こうやって宣伝もするんです。本当は、公開してからが本番なのに、作品が公開したら、僕らチームは離れ離れになって何年も集まることがなくなっちゃうんです。だから、この「四月になれば彼女は」のみんなで桜を見たいです。

MC

お花見ということですね?

佐藤さん

そうです。

長澤さん

行きましょう!

佐藤さん

行こうぜ!

森さん

行きましょう!

山田監督

コロナ禍だったから打ち上げをしていないんでね。じゃ、健くん幹事でやりましょう。

佐藤さん

OK! 「寂しいな」っていつも思っていたので。

MC

本日の舞台挨拶では、皆さんに特別なプレゼントがあるそうですね?

佐藤さん

本日来てくださった方と中継を見てくださった方に、僕たちがメッセージを入れたスペシャルビジュアルをプレゼントいたします。

MC

こちらの舞台挨拶に来てくださった皆さん限定で、初日の恋ビジュアル――「初恋ビジュアル」をデジタルプレゼントいたします。

■スクリーンに初恋ビジュアルが映し出される。

MC

直筆メッセージが入っていますが、皆さん、どんなお気持ちで書かれたんでしょうか?

森さん

観てくださった皆さんと一緒に余韻を楽しめたら良いなというメッセージを書きました。

長澤さん

私は、作品が公開するとたくさんの人の手に渡っていくので、皆さんの力で作品が育っていくと良いなという気持ちを込めて書かせていただきました。

佐藤さん

(「いつもありがとう」というメッセージに)分かるでしょ(笑)?

MC

何か裏が…?

佐藤さん

ないよ、もう。

長澤さん

良い写真ですよね? 佐藤さんの写真は…。

森さん

私が撮りました。

佐藤さん

これ、いつ撮ったの?

森さん

劇中ですね。

佐藤さん

「僕、こんな顔していたんだ?」って思ったよ。藤代くらい思ったよ。

森さん

本当ですか? うれしい!

長澤さん

ウインクがバッチリ写っているもんね。あのカメラ、ちゃんとピントを合わせないといけないのに。

森さん

でも、これは健さんが与えてくれた「隙」なんじゃないかって思っています。たまにありません? 健さんが、気づいていない隙を与えてくれるみたいな?

長澤さん

サービス精神ね。

森さん

だって、カメラから離れているのに、まだ目をつぶっているなんて、奇跡の瞬間じゃないですか?

佐藤さん

あぁ、レンズをのぞいていたから片目なのね。そういうことか!

長澤さん

優しい。

森さん

これは優しさなんです!

佐藤さん

優しい(笑)。そういうことか。

森さん

奇跡の優しさのウインクなんですよ。

佐藤さん

こんな顔した記憶が全くないんですよ(笑)。

MC

長澤さんも良い顔です。

長澤さん

これも、いつ撮られたのか、ちょっと分からないんですが…。

佐藤さん

この顔、よくするよね。長澤まさみの中でもとても好きな顔です。

森さん

分かります。

長澤さん

ありがとう。七菜ちゃんは写真集みたいで素敵だよね。

佐藤さん

ズルいよな(笑)。

長澤さん

全然違うね。これはロケに行っている時に撮ったんだよね?

森さん

カメラマンさんが撮ってくださいました。最高のロケーションですみません(笑)。

長澤さん

写真集も一緒に撮っていたんだよね?

佐藤さん

あの写真集、素晴らしかったですね。

森さん

ありがとうございます。監督が撮ってくださいました。

山田監督

そうなんです。過酷な海外ロケの合間に撮りました。作品のアナザーストーリーじゃないですが、本作を観終わった後に、ぜひ森さんを見ていただければ。

長澤さん

一緒に行った気分になれますよね。

森さん

すみません、ここで写真集のことを話して、宣伝みたいになっちゃいましたね(笑)。お二人の優しさにありがとうございます。

MC

最後に佐藤さんからメッセージをお願いします。

佐藤さん

本日は本当にありがとうございました。本作の中で、弥生が「愛を終わらせない唯一の方法は、手に入れないことだ」と言います。でも、たぶん藤代は、考えて、「愛を終わらせない唯一の方法は、どんなにカッコ悪くてもあきらめないで、もがき続ける」しかないという答えを出して、弥生の元に走って行ったんだと思います。でも、それが、正しいのか? 正解なのかは誰にも分からなくて、その後、うまくいかないかもしれないです。やはり、皆さんなりの、皆さんだけの答えを探すきっかけに本作がなれたらうれしいなと思います。そして、たくさんの人に観ていただけたらと思います。皆さんで多くの人に広めていただけたらうれしいです。本日はありがとうございました。