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細田守監督史上NO.1の興行成績!
宮﨑あおいがサプライズでお祝いに駆け付けた!
「竜とそばかすの姫」大ヒット御礼舞台挨拶&ティーチイン

2021年09月11日

「竜とそばかすの姫」大ヒット御礼舞台挨拶&ティーチイン

<左から、宮﨑あおいさん、細田守監督>


細田守監督最新作「竜とそばかすの姫」の大ヒットを記念して9月11日、東京・TOHOシネマズ 日比谷にて、細田監督によるティーチイン(お客様との質疑応答)と大ヒット御礼の舞台挨拶を実施しました。
映画の公開初日舞台挨拶はカンヌ国際映画祭のため、リモートでの参加となった監督でしたが、この日、今作で初めて観客の前に登壇し、大ヒットの御礼を直接伝えました。さらに、サプライズゲストとして、「おおかみこどもの雨と雪」(2012年公開/声:宮﨑あおい、大沢たかお 他)「バケモノの子」(2015年公開/声:役所広司、宮﨑あおい、染谷将太 他)で細田作品に参加した宮﨑あおいさんが大ヒットを祝い、かけつけました。こちらの舞台挨拶の様子を詳しくレポートいたします。


細田 守監督

皆さん、初めまして。実は、この映画が公開になってから、こうやって舞台の上に立って皆さんにご挨拶することが今回初めてなので、まるで本日が初日のような気持ちでおります。皆さんにこうやってお会いできて、とっても嬉しいです。ありがとうございます。(会場:拍手)

MC:監督は作品が皆さんに届いていることをずっと数字ではご覧になっていましたが、こうして皆さんに届いたことを実感されたのは今が初めてなんですね。

細田監督:
はい、そうなんです。実は初日の前日に(この映画の)ワールドプレミアのためにカンヌ国際映画祭に行っておりまして、初日のご挨拶の時(「竜とそばかすの姫」初日舞台挨拶)はリモートで参加をしました。カンヌから戻ってからは二週間の隔離期間がありまして、なかなか皆さんに直接ご挨拶する機会がなかったんです。

MC:皆さん、作品はいかがでしたか?

お客さん:
(大きな拍手が起きる)。

細田監督:
(満面の笑み)。

MC:本日は大ヒット御礼でして、本作の昨日9月10日までの観客動員数は423万人、興行収入が58.7億円ということです。まだ通過点ではありますが、細田監督にとって最大のヒット作品となりました。

細田監督:
ありがとうございます。本当に皆さんが作品を気に入って、観ていただけたのだと思います。今はいつもの日本ではなく...、世界中そうですが、コロナ禍という一種の特別な状況の中です。この映画は公開初日の7月16日も東京都では緊急事態宣言中で、時間など制限された中で公開を迎えました。そういう中でたくさんの方々に観ていただけたこと、こういうかたちでご挨拶ができることは、恵まれていると思います。

MC:まだまだ秋も上映がありますので、もっと多くの方に届くと良いですね。

細田監督:
そうなんですよね。(映画の上映期間が)ロングランになりまして、引き続き、秋も頑張って上映していくことになりました。報道によると規制もやや緩和するのではないか...ということなので、この映画はまだ上映しておりますので、(緩和された状況となりより多くの方に)観ていただけるようになると嬉しいですね。

MC:本日は細田監督と直接お話ができるティーチインという機会です。ここからは、「お客さんの中から監督へ聞きたいことを何でも聞いてしまおう」というお時間になります。結構ドキドキしますね。

細田監督:
普通の舞台挨拶ですと、僕のほかにも役者さんがいらしたりしますからね。今日はMCさんと二人きり(笑)!

MC:はい。全て監督に受け止めていただきたいと思います。
質問をお受けしたいと思いますので、質問のある方は挙手にてお願いします。


お客さん1の質問: 細田監督、大変素晴らしい作品をありがとうございます。この映画を拝見して、映像と音楽も大変素晴らしいと思いました。
細田監督が最初にこの映画を企画するのに、思い付いたきっかけを教えていただきたいです。


細田監督:
どうもありがとうございます。映画をご覧になった方は感じたと思いますが、「美女と野獣」の物語がベースになっております。僕自身「美女と野獣」がすごく好きで、いつか自分の「美女と野獣」を作りたいと思っていました。かれこれ三十年ぐらい経つでしょうか。1991年のディズニー(アニメーション)版「美女と野獣」が特に好きです。それを、どのような切り口で現代に作れば良いのかと考えていた時に、「インターネットの世界で『美女と野獣』をやれば良いんだ!」ということを五年前の東京国際映画祭の時に思い付きました。ひょっとしたら、新しい「美女と野獣」のかたちができるかなと思いました。僕は野獣の二面性が好きで、暴力的な外見と中身だとか、それはインターネットに関わっている僕らの二面性に近いと思いました。だから、「その切り口でやると面白いのではないか?」と気が付いたことがきっかけだったと思います。

お客さん2の質問: 以前、監督がインタビューで、「最後に野獣が姿を変えてしまうことがもったいない」とおっしゃっていたと思うんです。今回の映画では、「最後まで野獣姿のままなのか」と思っていましたが、「やはり姿を変える意図で描かれたのか」と思いました。姿を変えるか否か、そのあたりの決め手や思いを教えていただければと思います。

細田監督:
今回は、「美女と野獣」の中でも十八世紀の「美女と野獣」(フランスなどの伝承だったものを、ヴィルヌーヴ夫人や、ボーモン夫人により出版されたもの)の話なのですが、本作は野獣だけではなく、美女も姿を変えるという変化があるほうが良いのではないかと思ったんです。それが、ベルとすずの関係になります。いつも引っ込み思案なすずが、インターネットの中ではベルとして凜々しく行動する姿が、実際のすずにも影響を与えていくようになり、すずもベルのように凜々しくたくましく、そして優しくなる。その変化を見せたいと思いました。そのため、"雨のシーン"のすずの姿に変化が見受けられて、その姿が"美しい"とか"素敵だな"と思ってもらえると良いなと思いながら作りました。そういった意味では、すずは最初のすずではなくて、変化したすずだからこそ、野獣=竜の本当の姿の人物とちゃんと気持ちを通わせることができたのです。ジャン・コクトー(1946年公開版「美女と野獣」の監督)やディズニーの「美女と野獣」へ(「美女と野獣」をベースに)作らせてもらった回答として、このようにしたいと思いました。

お客さん3の質問: 今日で「竜とそばかすの姫」を観るのが10回目です。ただ、10回観ても「なぜだろうな?」と思っていること一つがあります。竜もすずも自分の姿を<U>の中では隠していて、自分の潜在的な部分が表に現れてきます。一方で、すずたちが竜の正体を調べている時に、普通に自身の姿をさらしている人たちもいます。「これはなぜなのか?」と思っています。その部分で細田監督の、超巨大SNSみたいなものに対しての思いが現れているのかとも思いました。もしも理由があるようでしたら教えていただきたいです。

細田監督:
なるほど! そうですよね。中盤では紐づけられて実際はこうだったという姿も出てきますね。これはもちろん全部が秘密の仮面舞踏会ということではなくて、紐づけられている人もいるのは、今(のSNSで)もそうですよね。非公開の人もいれば、公開している人もいる、それは人それぞれ。でも、僕らは今、現実とインターネットの世界という二つの世界で生きていて、姿や見え方が違うのはこの世界の面白いところだと思うんです。人間を一面的に見るのではなく、実は人は"二面性""三面性"を持っていて、それを発信する場がある現代はとても面白い。それまでは、一面しか(見せる場が)なくて、せっかくある(別の)面を隠して生きるのが社会でした。でも、それは全然そうじゃない。インターネットの世界で生きることで自由になっている人とか、一種の逃げ場となってホッとしている人がいたりとか、現実とは別のところで活躍する人がいっぱい出てきている。そういった二面性を描写したくて、あそこでは多めに紐付けして見せています。そのことによって、プロレスラーの姿だけど実は素敵な女性だったとか、こういう自由な人がいるんだと、そういう二面性を楽しんでもらえればと考えていました。インターネットの世界には僕らを自由にしていく側面を持っているのではないかなと思いました。10回ご覧になって、そこに何かあると気づいてくださってありがたいです。

MC:次が最後の質問になります。

お客さん4の質問: この映画の<U>という世界は、ナレーションでは「人生を何度もやり直せる世界」というかたちで、「現実では不可能なことを可能にする」みたいな表現がありました。実際にインターネットを介して自分の人生を大きく変えている人はいると思うんですが、監督の中では、<U>の世界の中で、竜の彼などは、どのように自分の人生を変えていくというイメージをされたのでしょうか。

細田監督:
インターネットで便利になっている分だけ、現実世界での抑圧が強くなり、いろいろな側面で自由でいられない人も一方で増えている気がしています。特にお子さんや若い人は、「本当に自分が思うままに生きていけるのだろうか」という不安があると思います。その中でもアニメーションを作る者としては、若い人を勇気づけたいというか、何か背中を押して、可能性に向けて進んでいけるような役割を担うことが必要だと思うんです。どういう状況にある人でも、決してそれだけではなくて、きっと「良い風になっていくよ」という気持ちを込めて作ったところがあります。
ややネタバレにはなりますが、"竜はどうして竜であったのか"みたいな彼の状況もあると思うんです。でも、すずが救い出すことができたのも、ある種インターネットがあったからこそできたことというか...。それがなかったら発見できなかったでしょうし、見過ごされていたことですから。そういうことを含めて何か未来に対して希望を持つことが、できれば良いなと思って表現したところです。そんな感じでいかがでしょうか。


お客さん4:
ありがとうございます。今後も作品を通しながら自分なりに想像を広げて、いろいろと感じたいと思います。

MC:監督、こうして直接声の感想を聞けるのは良いですね。

細田監督:
嬉しいですよね。取材もリモートとか、そういうことが多くて、改めてこういう場は貴重だなと思います。本当に今はコミュニケーションのツールが増えていますが、やはり、こうして直接同じ空間でお会いして、皆さんの存在を感じながらお話しするのが、一番のコミュニケーションだと改めて思いました。なんと言っても公開して初めて! 緊張していますが、皆さんの温かな気持ちを感じられて、すごく嬉しいです。

MC:すべての皆さんの質問をお受けできなくて本当にすみませんでした。お時間がきてしまったということで、以上をもちまして本日の舞台挨拶を終了といたしま...せん!

細田監督:
え?

MC:本日の舞台挨拶、これで終了はいたしません!

細田監督:
あれ、そうなの?

MC:申し訳ございません。監督にもご説明していなかったのですが、大ヒットの記念の日ですし、監督にとって過去最高のヒットを記録した作品でもあることから、どうしても監督に直接お祝いをしたいという方がいらっしゃっています。

細田監督:
ああ、そうなの? これ、サプライズですね。

MC:はい、監督にもサプライズですし、お客様にもサプライズです! 皆さん、もしかしたら声を出したくなってしまうかもしれませんが、どうかそのお気持ちを拍手に変えて、大きな拍手で迎えていただきたいと思います。
「おおかみこどもの雨と雪」では主人公の花を、「バケモノの子」では九太の声を演じました、宮﨑あおいさんです!


細田監督:
久々ですね~。あおいさん、今回の作品でもスペシャルPVに、声を当てていただけたりして、すごく嬉しいなと思ったんです。

宮﨑さん:
会いに来ちゃいました! お久しぶりです。

細田監督:
お元気そうで!

宮﨑あおいさん

すみません。私は「竜とそばかすの姫」には全然関係ないんですが、スタッフの方に声をかけていただいて、「嬉しい!」と思って、飛んで来てしまいました。よろしくお願いします。(会場:拍手)

MC:宮﨑さんにとって細田作品はどのような作品ですか。

宮﨑さん:
ちょうど、昨日会った6歳か7歳の女の子が、「『おおかみこどもの雨と雪』が好きなんです」って話をしてくれて、私のことは分からなくても、映画で私の声を知ってくれていて、目をつぶって私の声を聞いてくれました。

細田監督:
可愛いですね。

宮﨑さん:
時間が経っても観てくれているし、今この映画が公開されていることで、細田監督の過去の作品も観ている方が多いんだなと感じて嬉しくなっていました。

MC:「おおかみこどもの雨と雪」は9年前になりますね。その時の細田監督との思い出はありますか。

宮﨑さん:
私たちがいるアフレコブースに毎回入ってきてくださって、丁寧に演出してくださいました。本当に優しくて...。でも、優しい瞳の奥に「ん?それで良いのかな?」と問いかけられているような感じで(笑)。それによって、毎回良い緊張感を持ちながら関わっていたお仕事でした。楽しかったです!

MC:そのあとで「バケモノの子」の九太役にも起用されました。

細田監督:
あおいさんのおかげで、リアリティをもって映画を作れる喜びを噛みしめながら、「おおかみこどもの雨と雪」を作らせてもらいました。あれはお母さんの話ですが、あおいさんもリアルにお母さんになられて、映画の中の花により近づいたような、すごく素敵なお母さんにおなりになったなと...。

宮﨑さん:
ありがとうございます。

MC:宮﨑さんは「竜とそばかすの姫」はご覧になりましたか?

宮﨑さん:
はい、拝見しました。今、ティーチインも聞かせてもらい、10回ご覧になった方がいると知り、それほどまで人を夢中にさせ、観終わった後に「ここはどうだったんだろう?」と考えさせられるというの聞いて、私も(本作を観た後に)そういうことを話したなと思いました。そうできる作品はすごいと思います。
個人的に好きなシーンは、すずちゃんが、バスに乗って助けに向かうシーンですね。「バケモノの子」で役所広司さんとご一緒していて、他の仕事でも十代、二十代と役所さんとご一緒していたので、役所さんの声を聞くと「お父さんの声」を聞いているようで自然と心がホッとする部分があるんです。だから、このシーンですずがお父さんと携帯でやりとりをしていますが、お父さんの顔が映っていないのに、役所さんの声だから、父親の優しさや思いやる気持ちと、心配しているけれども信じているんだよという感じがすごく伝わってきました。とても好きなシーンでした。


細田監督:
本当に、あそこはお父さんの顔が出ていないのに存在感がすごく出ていましたね。アフレコの時に、絵で作った間合いで一度アフレコをやったんです。それ以外に、絵を止めて役所さんと中村さんの自然な間合いでのアフレコもやってもらいました。そしたら、間合いを含めて、ものすごく現実感が出たんです。「間」が違うだけで、こんなに豊かに存在感が湧き上がってくるんだと思い、素晴らしかったです。なので、あのシーンは、想定より20秒ぐらい伸びてしまいましたが、本当に素晴らしいシーンになりました。本当に「役所さんお見事!」と思いましたね。

MC:宮﨑さんも、そこに感じるものがあったんですね。

細田監督:
きっとそうやって感じてくださったんだと思います。

宮﨑さん:
そうなんですね。そのお話を聞けて良かったです。

MC:宮﨑さん、作品をご覧になって、監督に直接聞いてみたいことがあれば今どうぞ。

宮﨑さん:
映画のことはもう先ほど話されていたので、ちょっと違うことを良いですか?

細田監督:
はい、何でしょう?

宮﨑さん:
来週、お誕生日で、また年を一つ重ねられると思いますが、次の一年の抱負やテーマを伺いたいです。

細田監督:
そうですね...。映画を作るのは結構大変で、一本作るのに最低でも三年かかってしまいます。今回はコロナ禍で作って、「感染したらどうしよう!」と、健康管理だけで、現場がすごくピリピリしていたんです。幸いにして、感染者が出ることなく作品は作れました。
改めて、しっかりした映画を作るためにも、みんな元気に健康に引き続きやっていきたいなと思います。あおいさんもぜひ、小さいお子さんと一緒に過ごしていらっしゃる時間を大事に。それは貴重な時間だと思いますので...。


宮﨑さん:
はい、ありがとうございます。

MC:一足早いですが、監督、お誕生日おめでとうございます!(会場:拍手)

宮﨑さん:
おめでとうございます!

細田監督:
ありがとうございます。

宮﨑さんから細田監督にベルのイメージで作られた花束が贈られました。

MC:最後に細田監督からご挨拶をお願いします。

細田監督:
本当にサプライズで、事前に知らせてもらえなかったのですが...。でも、あおいさんと久々に会えてすごく嬉しかったです。ありがとうございます。それと同じように、皆さんとも、映画の初日にお会いできなかったですが、今日お会いして、お話ができて良かったです。コロナ禍で、抑圧された生活をされている方が多いと思います。そういう世の中で、映画というものが、少しでも皆さんの気持ちを解きほぐして、皆さんの心に寄り添い、癒やすものになれば良いなと思います。「コロナ禍でなければ、もっとお客さんが入るのに」「レイトショーができるのに」と言う方もいらっしゃいますが、コロナ禍だからこそ、「自由の大事さ」や「抑圧から解放されることがいかに大事か」ということを改めて感じられると思います。そのために映画があると思うと、こういう状況下でも皆さんたくさん観に来てくださる作品であって、作り手としては本当に光栄に思います。皆さんありがとうございます。そして、今日はありがとうございました。

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