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「平場の月」完成披露試写会

2025.10.29
  • 完成披露

完成披露試写会

第32回山本周五郎賞を受賞した、朝倉かすみさんの小説「平場の月」を、恋愛映画の名手・土井裕泰監督が、堺雅人さんを主演に、井川遥さんをヒロインに迎えて映像化したラブストーリーは11月14日公開となります。15歳のみずみずしい初恋と、大人の切ない恋愛を描きます。
10月29日、本作の完成披露試写会をイイノホールにて実施し、堺雅人さん、井川遥さん、坂元愛登さん、一色香澄さん、中村ゆりさん、椿鬼奴さん、吉瀬美智子さん、大森南朋さん、土井裕泰監督が登壇しました。撮影時のお話や、それぞれのお気に入りの劇中セリフが語られました。こちらのイベントの様子を詳しくレポートします。

青砥健将役

堺雅人さん

青砥健将役

須藤葉子役

井川遥さん

須藤葉子役

中学時代・青砥健将役

坂元愛登さん

中学時代・青砥健将役

中学時代・須藤葉子役

一色香澄さん

中学時代・須藤葉子役

道子(通称・みっちゃん)役

中村ゆりさん

道子(通称・みっちゃん)役

上村みづき役

吉瀬美智子さん

上村みづき役

安西知恵役

椿鬼奴さん

安西知恵役

江口剛役

大森南朋さん

江口剛役

土井裕泰監督

【完成披露試写会】

堺さん

こんばんは。(壇上を見渡して)改めて、すごいメンバーと共演したんだなと思っています。このメンバーだったら、楽しそうな作品になっていると思いませんか?本当に素晴らしい作品です。どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。

井川さん

皆さん、こんばんは。ちょっと肌寒くなってまいりましたが、「平場の月」の撮影といえば、この寒さが懐かしいです。この世界観が、冬に向かうこの時期に公開を迎えられて、本当にうれしく思っています。お客さんに観ていただくのは、初めてなので、この日を本当に楽しみにしていました。今日は短い時間ではありますが、どうぞ楽しんでいってください。

坂元さん

ようやく皆さんに本作を観ていただけるので、すごく幸せです。良い時間になれば良いなと思っています。

一色さん

本日はお集まりいただきありがとうございます。今日こうしてこの場に立つことができて、すごくうれしいです。

中村さん

なんと! 井川さんの妹・みっちゃんという、何とも光栄な役を務めました。今日は、楽しみましょう!

鬼奴さん

普段は、パチンコ店のライトをよく浴びていることが多いですが、今日はこうして華やかな(ステージのスポット)ライトを浴びられて光栄です。(会場:笑)
(桃井かおりさんのモノマネで)「俳優業って大好きなわけ!」(会場:笑)
すみません!

吉瀬さん

皆さん、こんばんは。今日は短い時間ですが楽しんでいってください。

大森さん

堺くん演じる青砥の、ちょうどいい同級生を演じました。今日は楽しんでいってください。

土井監督

今日はありがとうございます。久しぶりに、キャストの方と会えるのはすごくうれしいんですが、女優陣の仕上がりが素敵なので、とても「平場の月」という作品の舞台挨拶とは思えないです。鬼奴さんは、パチンコ屋の格好のまま来ていただくとちょうど良いぐらいの作品だと思います。
今日は、初めて一般のお客さんにご覧いただくので、そういう意味でもちょっと緊張しています。ぜひ楽しんでいただければと思います。

MC

まずは堺さん、一足先に本作をご覧になっていると思いますが、ご感想と、これから皆さんに観ていただけることへの思いを聞かせてください。

堺さん

感想は、僕以外が良かったです。
自分の事は、冷静に観られないから、中学時代を演じた、二人は特に良いので、皆さん、楽しみにしてください。本当に「若いって良いなぁ」と思いました。(会場:笑)
作品の内容は、撮影中もそうだったんですが、原作読んだ時も、後からいろいろなことを思い出す作品でした。ジワジワくる物語で、ふとしたはずみに…例えば、お風呂に入った時や家事の合間とかに「あれって何だったんだろう?」みたいな瞬間がありました。後から押し寄せる波のように、ジワジワとくる物語なので、この後も末永く愛していただけたらと思います。本当に素敵な物語なので、楽しんでいただきたいです。

MC

井川さん、堺さんとは何度も共演されていますけれども、ここまで二人きりの撮影は今まであまりなかったとうかがいました。今回の共演でどのように感じられたのか、そして新たな発見などありましたら教えてください。

井川さん

本当に二人きりでの撮影が多くて、ロケは本当に寒くて、二人で体操することもありましたね?

堺さん

すごく寒かったんですが、井川さんがいろいろな体操を教えてくれるんですよ。しかもそれが延々と続くんです。(会場:笑) 「肩甲骨を動かしましょう!」とか「足をつけてみましょう!」とか…、バリエーションが無限にあって本当に延々と続きました。

井川さん

堺さんもすごいんですよ。数日たったら「見てー、こんなに足が上がるようになった!」って見せてくれて、体操を続けてくれていたんです。

堺さん

そう、上がるようになったんですよ!
…これじゃあ「何の話?」って、感じですね(笑)。

井川さん

お互いに体をいたわりながら撮影をしていました。

堺さん

そうですね。

井川さん

「私たち世代の作品はなかなかないよね」と思っていて、特に女性だと母親役として誰かを支えることが多かったんです。でも、今回は一人の女性として恋をして、堺さんと心を通わせて良い時間を過ごさせていただきました。

堺さん

素敵でした。

井川さん

(坂元さんと一色さんの)若い二人が先に関係を築いてくれている映像を、私たちは受け取ってから撮影に入れたので、本当にこの二人がそのまま大きくなったというのをまとって演じられました。

堺さん

撮影の初日が二人のシーンでしたので、とても良かったです。

井川さん

ね!

MC

土井監督と堺さんは、早稲田大学演劇サークルの先輩と後輩ということで、お互いに「いつか仕事をしたいな」と感じていたそうですが、今回念願が叶いましたね。

土井監督

そうなんですよ。すごく縁がありまして!

堺さん

伝説の先輩の役者さんです!

土井監督

役者は全然駄目でしたけれども…ちょっと独特な空気がある世界でした。

堺さん

狂気じみた独特なサークルでしたよね!

土井監督

そのことを知っている同志みたいな感じで、一度仕事を一緒にしたい役者さんのお一人でした。だから、今回ご一緒できてうれしかったです。
堺さんは、大河ドラマとか歴史上の人物を演じることが多いですが、今回はどこにでもいる五十歳の普通の男性役です。それなのに、ここまで役に真剣で細かく誠実に向き合う姿には感銘を受けました。それに、とても楽しかったです。

MC

「何のお弁当食べるか」にすら、こだわっておられたとか? いなり寿司とか……。

堺さん

いなり寿司? …はい。ご飯を食べるシーンがありまして、ちょっとネタバレになるかもしれない…別にいいか。助六寿司を食べるシーンがあって、スタッフさんから「どれを詰めますか?」と聞かれたので、「いなり寿司にしてください」って言っただけです。

土井監督

原作に「助六寿司を食べる」と書いてあるんです。

堺さん

いなり寿司が、青砥家のイベントごとの象徴というだけなんですが…。

土井監督

でも、それを「どういう順番で」「どういうセリフの時に食べるか」というところまで、芝居としてちゃんと計算されているんです。それが、撮影初日のことでしたね。

堺さん

そうですね。

MC

先ほどお話に出てきましたが、本作は、中学生パートを先に撮ってから大人の青砥と須藤を撮影したところが特徴だと思います。坂本さんと一色さんは、先に撮影をすることに、いろいろな思いがあったと思いますが、いかがでしたか?

坂元さん

もちろんプレッシャーもありましたが、現場に入って、かすみちゃんが演じる須藤を見た時に、何も考えずに「そこに須藤が居る」と感じました。だから、集中するだけで自分の中の青砥ができあがっていく感覚がありました。演じる前は、すごくプレッシャーだったんですが、現場に入ってからは「ただ須藤を追いかけていた」だけでした。

堺さん

カッコ良いですね!

坂元さん

(恐縮して)いえいえいえ。ありがとうございます! うれしいです。

堺さん

僕の中学生時代を演じるということで、今までの僕の出演作品を観て、セリフの言い回しとか、ものすごく準備をした上で、現場でそれを全部やめたんだよね。すごいよね。

坂元さん

「似せないといけない」とは考えていたんですが…。

堺さん

ごめんね。

坂元さん

いえいえ。僕が堺さんっぽくやろうとすると大人っぽくなってしまうので、“意識しすぎない程度”を意識して演じました。

MC

一色さん、「追いかけていた」という、うれしい言葉がありましたね?

一色さん

愛登さんが全力で演じているのを受けて、私も須藤を演じられたと感じているので、私の方こそ感謝しています。ありがとうございます。

坂元さん

ありがとうございます。

MC

中学時代のお二人からバトンを受け取った堺さんと井川さんは、どのようなお気持ちでしたか?

堺さん

今のお二人のコメントで、心が洗われました。僕も、慢心せずにちゃんと準備して、現場の共演者に集中して、邪念なくやらなきゃと思いました。
本作の撮影は、お二人のシーンから始まって、その撮った映像を、スマートフォンに送っていただきました。お二人のクランクインの日は、「今日がクランクインだ!」と思いながら、でも自分は出番がないので、家でドキドキしていました。二人の映像を観て、「もうできたも同然だな」と思って、「これに乗っかれば良いんだな」と考えました。
家でゴロゴロしていても、映像がスマホに送られてくる…。「なんて便利な時代だろう」と、技術の進歩に感動しました。

井川さん

私は、監督と医療関係者の方々とお会いした時に映像を観ました。だから、スマートフォンよりも、もう少し大きな画面で観たので、本当に迫力がありました。瞳一つの動きで感情の揺れを感じて、その繊細さ、須藤の強さ、いろいろなものをもらったので、「(役に)入れた」という感じがしました。

MC

中村さんは、井川さん演じる須藤の妹みっちゃん役を演じられました。意外にも、堺さんと井川さんとは初めての共演なんですね。本作ではお三方でのシーンが多かったと思いますが、いかがでしたか?

中村さん

はい、共演するのは初めてです。お二人とも細いことにまで気づいてくださって、ちょっと勘違いしちゃうぐらい優しく褒めてくださるんです。そういうところは、私も見習わなければいけないなと、学ばせていただきました。
それから、私が今まで拝見した「井川遥さんコレクション」の中で、自分の“推し井川遥さん作品”を、井川さんにお伝えできました。それが結構マニアックだったらしくて、「ゆりちゃん、ちょっと変わっているね」と言っていただいたことがうれしかったです。

MC

ちなみに、そのマニアックな作品は何ですか?

中村さん

李相日監督の「鼻」(2010年NHKデジタル衛星ハイビジョンにて放送「妖(あや)しき文豪怪談『鼻』」/出演:松重豊、井川遥)です。泥だらけの井川遥さんが観られる作品です。今まで見たことのない井川遥さんが観られるので、皆さんもぜひ観てください!

井川さん

ありがとう。(動きを再現しつつ)こうして顔に泥をつけるのよね。
二人の性格は対照的なんですけれど、女性の姉妹は本当にこういう感じだよね、って思いました。三人のシーンは、みっちゃんがいてくれたおかげで、すごく良いシーンになりました。

MC

椿鬼奴さんは、青砥の同級生であり、職場の同僚という役どころでした。大事なセリフやシーンがあったかと思いますが、いかがでしたか?

鬼奴さん

あんなに重要なことを私が言うことに驚きましたね。でも、安西としてはサラッとしているんです。そこもリアルな感じがして、面白いっていうか、なるほどというか……うまく言えなくてごめんなさい。

堺さん

ネタバレになるからね!

鬼奴さん

はい。あとで観て「これか!」と気づいてほしいです。

堺さん

安西さんとは同級生なので、鬼奴さんが中学生だったことを想像しながら、今の鬼奴さんを見ると、何倍にも味わいが増します。「中学時代の文化祭であれを歌っていたんだ」と想像すると、本当に味わいが深くなります。その曲をまた歌う人たちもいるっていうね。すごく味わいを足してくれました。ジワジワくるの!

鬼奴さん

先日、芸人のバービーのラジオ番組に出た時に、「平場の月」の話をしたんです。バービーは、試写を観てくれていたようで、私が働いている時に着ている服が、「(鬼奴さんの)私服のようになじんいでる」と褒められました。監督と衣装さんが選んでくれたお衣装ですが、めちゃくちゃ私服っぽいです。そこもちょっと観てほしいです。

MC

吉瀬さんは、堺さん演じる青砥の元妻という役どころです。井川さんは青砥の今の恋人ですので、お三方のシーンには微妙な関係性にあります。井川さんとはプライベートでも仲良しだそうですね?

吉瀬さん

はい。(井川さんと)共演は初めてで、こうやって壇上で話をするのがちょっと変な感じです。
監督からは、「セリフで言うのではなく、視線で伝えることに全集中してください」という感じでした。だから、あの視線にいろいろな思いがありましたね。(堺さんを指して)その横にいる青砥さんって感じで、いたたまれなかったですね。

堺さん

はい、突っ立っていました。

MC

そういう時の男性は?

堺さん

でも、奥さんが吉瀬さんで、恋人が井川さんってねぇ。すごい世界だなと思いました。ありがたいなと思いました。

MC

大森さんは、堺さんとは久しぶりの共演ですね?

大森さん

(笑顔で)やっとしゃべれる!
僕らのシーンは非常に楽しかったですね。こちらでは(吉瀬さん辺りを指しながら)本当に大事な大人の…身につまされるような世界がうごめいていますが、それはヒシヒシと感じながら…。(ステージ裏の方から大きな音がすると会場が静まり返り…)あれ? 変なこと言ったかな…。
僕らは同級生の(森役の)宇野祥平くんと(後藤役の)吉岡睦雄くんと僕と堺くんで楽しくグズグズしているシーンがあるので、楽しんでいただからと思います。

堺さん

あの会話は、永遠に話せそうでしたね?

大森さん

アレだけで二時間は観たいね!

堺さん

(声を弾ませて)いける! やりたい!

大森さん

そういうほっこりした雰囲気をちょうど良く出せたらと思いました。
(音響トラブルのような大きな音がする)裏で、誰か僕がしゃべるのを邪魔している? 僕がしゃべると場が乱れるって?

堺さん

宇野さんじゃない(笑)?

堺さん&大森さん

(笑)。

MC

四人の会話は、土井監督も楽しかったそうですね?

土井監督

「僕も同級生だったら良かったのに!」と思いました。本当にカットをかけるのを忘れちゃう感じでした。僕はちょっと年齢が上ですが、同世代のようで楽しかったです。「五十歳の男が集まるとだいたいこんな感じだろうな」っていう空気感が四人の会話の中にありました。そういうところも観ていただきたいです。

MC

監督、本作はラブストーリーが主軸ですけれども、美しい景色もありましたね。

土井監督

そうですね。原作の舞台が埼玉県の朝霞市と新座市なので、なるべくリアルな場所で撮りました。どうしても見つからないものも、埼玉県内で撮るという気持ちでした。
夜明けのシーンが本作の中に二回あるんです。一つは中学三年生の二人のシーン、もう一つは大人になった二人のシーン。どちらもとても良いシーンで、冬の澄んだ空気で本当にきれいな夜明けの映像です。いろいろな情感がそこにこもっている作品になりましたので、楽しんでいただければと思います。

堺さん

朝霞の皆さんにはご協力いただきました。年末の混雑した時期なのに、駅前を快く貸してくださいました。あの素晴らしい印刷場もそのまま貸してくださいました。またそこで出会った方々が本当に良い方ばかりでした。本当に朝霞が大好きになりましたし、東武東上線にもちょくちょく乗りたいと思います。

MC

本日、皆さんにお聞きしたいことがあります。
これから本作をご覧になる皆さんに、「イチオシのセリフ」を教えてください。本作を観る時に、「どこに出てくるのかな?」「誰が話すのかな?」と探してもらえたらと思います。

【堺さんのイチオシのセリフ】

「おまえ」

堺さん

何回も出てくるんですが、大好きな人を「おまえ」って言うんですよ。最初は、女性を「おまえ」って呼ぶのは、なんか偉そうな感じがするし、ちょっと違和感があったんです。台本を読んだ時も、原作を読んだ時も、終わってみると、後からそれが「いいな」と思うようになりました。

【井川さんのイチオシのセリフ】

「ちょうど良く幸せなんだ」

井川さん

私たちの年齢なると、「ちょうどいい」がやっと分かるような感じがしています。本当に「平場の月」ならではの言葉だと思うし、私たちが噛みしめるような言葉だなと思って、すごく好きですね。

【坂元さんのイチオシのセリフ】

「一緒にいてくれる人がいるって当たり前のことじゃないぞ」

坂元さん

このセリフは、めっちゃ沁みます。本当に良いので観てください。

堺さん

老成していますね! でも、本当に良いセリフだよね。

【一色さんのイチオシのセリフ】

「わたし一人で生きていくって決めてるの」

一色さん

須藤が発する言葉ですが、人となりが分かるというか、生きていく上での覚悟を感じて、それがすごくカッコ良いなと思ったので選びました。

【中村さんのイチオシのセリフ】

青砥がお姉ちゃんにプレゼントをするシーンのやり取り

中村さん

私はセリフではなくて、青砥がお姉ちゃんにプレゼントをするシーンのやり取りが、本当に可愛くて好きです。大人だからこそ、ちょっとファニーなやり取りがあるので、そこに注目して観ていただきたいです。私はニヤニヤしながら観ていました。

【鬼奴さんのイチオシのセリフ】

「思い出ってなかなか捨てられないのよね」

鬼奴さん

せっかくセリフをいただいたので、安西のセリフから選びました。サラッと流れていきそうですが、結構深くて良いことを言っています。

堺さん

大事な役です!

【吉瀬さんのイチオシのセリフ】

「愛ってよくわからないけど、傷つく感じが」

吉瀬さん

私もセリフではなく、(劇中曲の)歌詞の一部です。映画を観た後からずっと頭から離れませんでした。感じ方も気持ち一つで幸せに感じたり、感じなかったりします。だから、そこにはすごくいろいろな思いが詰まっているなと思って、グッときました。

堺さん

これ、人それぞれ違うので、面白い質問ですね。

【大森さんのイチオシのセリフ】

「それはあまりにも青春だし」

大森さん

この答えは、ちゃんと見直して考えてきた。でも、考えてきた答えがすでに出てしまって…、被っても良いかなとは思ったんですが、せっかくだから別の答えにします。
(スマートフォンを取り出して、メモを確認する)「それはあまりにも青春だし」という井川さんのセリフ!

堺さん

メモしてきたの? すごい!

大森さん

大事かなと思って…。そんな大森です!

堺さん

ちなみに、被った二つは何だったの?

大森さん

(スマホのメモを確認)
鬼奴さんの「思い出ってなかなか捨てられないのよね」と、坂元さんの「一緒にいてくれる人がいるって当たり前のことじゃないぞ」です

鬼奴さん

うれしい!

坂元さん

すみませんでした。

大森さん

いいの、いいの!

【土井監督のイチオシのセリフ】

「痛恨だな」

土井監督

どこのシーンかは言いません。これがどういう場面で、どういう風に発せられるのか、楽しみに観ていただければと思います。

堺さん

深いですね。あれは愛らしくもあり、悲しくもあり……。
なるほど、このトーク良いですね。観終わった後にちょっと一杯飲みながら盛り上がりそうですね。

■ハート型の紙吹雪が舞う中でのフォトセッション。カメラマンからの「ハートポーズをお願いします」のリクエストに応える登壇者の皆さん。

MC

最後に、堺さんからご挨拶をいただきます。

堺さん

ようやく、これから始まります。冒頭でも申しましたが、ジワジワとくるので、楽しんでいただければと思います。
星野源さんの主題歌「いきどまり」も本当に素敵な曲で、作ってくださった星野さんに心から感謝申し上げます。原作の朝倉かすみ先生にも、ロケ地の朝霞の皆さんにも、いろいろな方に「ありがとうございました」とご報告したい気持ちでいっぱいです。
どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。本日はどうもありがとうございました。

【上映終了後 舞台挨拶】

■堺さんと井川さんが上映後に、お客さんにはサプライズでの登壇。星野源さんによる主題歌「いきどまり」が流れる中、堺さんと井川さんのシルエットがステージに…。そして、再びお二人がステージに登場されました。

MC

涙を流されている方もたくさんいらっしゃると思います。皆さん、作品はいかがでしたか?(会場:大きな拍手)

堺さん

舞台の袖で、作品が終わった後の皆さんの拍手を聞く機会なんて、なかなかないことです。春の優しい雨のような、静かで温かい拍手をいただけて、「あぁ、良かった!」と思いました。スタッフの皆さんも、本当にドキドキしていました。作品の上映が終わった後に、「皆さんの前に登場をするのはどうだろう?」というドキドキがありましたが、とても温かく迎えていただきまして、まずはそのことに感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。(会場:拍手)

井川さん

今日、皆さんと同じような感覚で完成した作品を観て、命のきらめきを感じました。(涙ぐみながら)須藤という役がとても複雑で難しかった分、役への思い入れがあります。だから、今日、この日を迎えられたことがうれしいような、原作ファンの方も多いので、「きちんと届けられたのか」という心配もありました。でも、皆さんが本当に温かく迎えてくださって、ありがとうございます。(会場:拍手)

堺さん

あまり言葉にならなくて…。
「ああしておけば良かったのかな?」「あの時はああだったなー」と、自分の人生振り返るように、後からいろいろと思うような物語があるんだと思いました。そんな不思議な時間を過ごしていたことに、撮影が終わってから気づきました。

井川さん

役と自分が一つになっている感覚があって、人生を生きてきた中の、きらめきを切り取っていただいた感じがしました。

MC

堺さんが、「この映画はジワジワくるんです」とおっしゃっていたことを、皆さんも感じていらっしゃると思います。お二人にとって、この「平場の月」は、どのような作品で、どのような存在なのか、改めてうかがいたいと思います。

堺さん

登壇前は内容には触れられませんでした。
「病を得る」ことは、悪いイメージがありますよね。でも、医療関係の方々と話したのが、人生の時間が限られることによって、「今までにないきらめき」がそこにあったり、「踏み出せなかった一歩」があったりするそうです。そこは、この物語の素敵なところだなと思いました。
青砥と須藤もたぶんそうじゃなかったら、踏み出さない一歩を踏み出したはずです。濃密な時間を過ごせたので、人間の良し悪しは、本当にいろんな尺度で測ることができるんだなっていうことを感じました。それは、新聞とかコメントとかではなく、物語という形でしか、お伝えできない素晴らしさのような気がしています。
本作は、僕が思う以上にいろいろな方に不思議な響き方をする物語だと思います。僕も、今52歳ですが、六十代、七十代になった時に、何度も思い出す気がします。

井川さん

この作品のテーマは、演じていても、こうして完成してみても、気づきの多い作品だと思っています。人の人生の時間を、この歳になると意識するようになって、日常のありふれた、本当に大事なものにグッとフォーカスして生きていきたいと感じました。自分の年齢と作品がリンクして、自分の中が深くなりました。これは本当にそれぞれの世代の方が自分のこととして、それぞれの思いで、きっと受け止めてくださる作品だと思います。
私と堺さんが、青砥と須藤として一緒に過ごした時間は役の中ですが、そこを生きたという感覚があります。皆さんが、それぞれ立ち止まって、今あるものをすごく大切にしていただける機会になれば良いなと思いました。
今回の役には病気がありましたので、(役づくりの過程で)医療従事者の方から、いろいろな思いを託されました。これからは、そういった思いも、いろいろなことをお伝えできたらと思っています。

MC

本作を観終えた今、お二人のお話を聞けた事は、「また日々がんばろう」と思える時間になったと思います。
堺さん、最後にメッセージをお願いします。

堺さん

会場の皆さんのこの温かな空気を、「本当に良かった」と関係者の皆さんが裏でホッと胸を撫で下ろしていると思います。土井監督も、会場のどちらかにいらっしゃるそうですから、ホッとされていると思います。
なかなか言葉にしづらいですが、言葉にできる方は言葉にしてください。皆さんの感想をぜひ拝見したいです。まっすぐ届けたというより、ふわーとした玉だったと思うので、皆さんにどう響くのか、撮っている時も不安でした。なので、言葉にできるタイミングで良いですから、感想をお聞かせいただければ、我々スタッフ・キャストもうれしく思います。
映画「平場の月」をどうぞよろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。