「ファーストキス 1ST KISS」公開直前イベント

2025.01.28
  • イベント

公開直前イベント

日本のドラマ、映画界を牽引する脚本家・坂元裕二さんと、数々の大ヒット作を生み出してきた塚原あゆ子監督が初タッグを組んだオリジナル作品「ファーストキス 1ST KISS」が、いよいよ2月7日より公開となります。
1月28日にはTOHOシネマズ 日比谷で公開直前イベントが行われ、事故で夫を亡くし、夫と出会う直前の日にタイムトラベルをする主人公の硯カンナを演じた松たか子さん、カンナの夫・硯駈を演じる松村北斗さん、メガホンを取った塚原監督が登壇しました。
先日開催された完成披露試写会で、本作を鑑賞したお客さんから寄せられた“付箋コメント”に囲まれながら、作品についてトークを繰り広げました。全国95劇場、約16000人のお客さんに向けた生中継も行われたこの日の模様を、詳しくレポートします!

松たか子さん

硯カンナ役

松村北斗さん

硯駈役

塚原あゆ子監督

松さん

ちょっとのお時間ですが、皆さんと楽しく過ごしたいと思います。

松村さん

本作への期待が高まるような話ができるよう、頑張ります。一緒に楽しみましょう。

塚原監督

まだご覧になる前ということなので、ネタバレをしないようにお話したいと思います。

MC

今日はこの劇場だけでなく、95の劇場と生中継で繋がっており、約16000人が本イベントを観ていらっしゃいます。

■登壇者の皆さんが中継カメラに向かって「こんばんはー!」「ありがとうございます!」と手を振る。

MC

松村さん、静岡県の方々も観ていらっしゃいますよ。

松村さん

僕の地元、静岡! (手を振りながら)静岡も元気ですか? (会場のお客さん:笑)

MC

松村さんは、静岡の映画館にも行っていましたか?

松村さん

駅前の映画館によく行っていましたね。

MC

皆さん、仕事やプライベートなどで訪れて、思い出深い場所、好きな場所はありますか?

松さん

舞台の公演で行くのは、大阪や福岡が多いです。ぶらぶらと散歩したり、お城に登った思い出があります。

MC

街を楽しまれたんですね。

松さん

そうですね。散策したりしました。

MC

一人でふらっとお店に入ったりもしますか?

松さん

はい。人並みの生活をしています(笑)。

MC

松村さんは、全国ツアーなどで地方を訪れた際に、街に出かけたりしますか?

松村さん

ツアー中は、ライブが終わった後にみんなで夜ご飯を食べに行ったりしますね。

MC

松さんのように大阪城に登ったりはしませんか?

松村さん

昔、仕事で行った時に大阪城公園を歩きました。

MC

今までに行った場所で思い出に残っている所を教えてください。

松村さん

農業番組のようなものに出演した際に行った北海道です。地元の方から「アスパラは大地に生えている状態が一番新鮮なんだ。一番新鮮なものを食べてほしい。」と言われて、北海道の大地にこう…。(地面に生えたアスパラに直接かぶりつく様子を再現して、会場のお客さん:笑)
僕はTEAM NACSさん(森崎博之さん・安田顕さん・戸次重幸さん・大泉洋さん・音尾琢真さんによる演劇ユニット)が好きなんですが、その番組はTEAM NACSの森崎さんの番組でした。北海道の地で、“大地を食べた”ような気持ちがして、(しみじみと)すごく美味しかった…。(会場のお客さん:笑)
すごいんですよ、アスパラの噛んだところから水が「プシャーッ!」と出るほど新鮮なんです。(周囲から「またまたぁ」と声がかかり、会場のお客さん:笑) すごかったんですよ! 北海道では他ではできないような体験をしたので、また一つ好きな場所になりました。

MC

松さんは、いかがでしょうか。

松さん

長野県の松本市です。街がすごく気持ち良いんです。骨董品屋さんもちょこちょこあって、お店を覗いたりしながら、ぶらぶらします。過ごしやすくて、気持ち良い場所で、好きです。

塚原監督

本作の撮影では、山梨県や静岡県で場所をお借りして、撮影をしました。富士山もあって素敵な場所ですね。思い出深い場所になりました。

MC

本作のロケ地選びでは、どういったことを意識しましたか?

塚原監督

ネタバレをしないように話すのがものすごく難しいんですが…(苦笑)、主人公がタイムトラベルするために何度も何度も同じ場所に行くんです。なので、富士山など何か象徴的なものがあると、そこに戻ってきたということが分かりやすくなると思って、その場所に決めました。

MC

静岡県でもロケをされたとのことですが、松村さんの地元とはまた違う場所なんですね?

松村さん

静岡県は大きいので、地元という感じではなかったですね。

MC

本作のロケ地でのエピソードや思い出はありますか?

松さん

静岡県でロケをしている時に、松村さんが差し入れをしてくれたのを覚えています。「皆さんが静岡に来たのであれば」ということでドーンと差し入れをしてくれました。

松村さん

「ドーン」と言うと、すごいものを差し入れたみたいですが…。

松さん

すごいものでしたよ。いろいろ調べて、フルーツサンドを大量に差し入れてくれました。みんなで美味しくいただきました。

塚原監督

きれいなフルーツサンドでした。

松村さん

有名なお店らしいです。メイクさんも静岡県の方で、地元がロケ地から近かったので「この辺に美味しいフルーツサンドのお店があるよ」と教えてくれたんです。せっかくならばと思って差し入れました。ちょっとでも静岡県を良く思われたい。(会場のお客さん:笑) 静岡県を元気にしたいんです。

MC

そういうお気持ちから、フルーツサンドをドンッと差し入れたわけですね。

松村さん

そうですね。ドンッと。(会場のお客さん:笑)

MC

会場の皆さんはこれから本作をご覧になりますが、本作にはとても良い景色の場所が映し出されています。本作をご覧になった後に、行きたくなるような場所だと思います。

松さん

そうですね。私も行きたいです! すごく良かったですよね。空気も気持ち良かったです。もう一度ちゃんと行きたいお店もあるんです(笑)。

MC

それはロケ場所とは関係のないお店ですか?

松さん

ロケ場所です。(劇中に登場する場所を思い浮かべた松村さんと塚原監督は、「ああ…」と納得の表情)

MC

松村さんは、今回のロケ地はいかがでしたか?

松村さん

静岡県は富士山もあれば、海もあるんですが、僕の地元は、どちらかと言うと海側なんです。本作のロケでは、山に行くことが多かったです。改めて「静岡県ってきれいな場所だな」と思いました。静岡県の話ばかりですね! (会場のお客さん:笑)

塚原監督

ロケ地は、静岡県だけではないですが、ロケ地巡りをしやすい、またはしたくなるようなシーンもあります。

松村さん

(ロケ地を思い出しながら)山梨県はあそこですか?

塚原監督

あのホテルですね。

松村さん

あそこもすごかったですよね。屋上に温泉があるそうで、入りたかったです。高台になっていて、そこに露天風呂があるそうです。行きたいですよね。

塚原監督

屋上ではなくて、下だったかもしれない。記憶が曖昧になっています(笑)。

松村さん

我々は、必死に撮影をしていましたからね。

MC

塚原監督は、今回のロケ地で実際に撮影をしてみてどのようなことを感じましたか?

塚原監督

またネタバレをせずに言うのが難しいんですが、タイムトラベルするために主人公が何度か同じ場所に行くんです。なので、撮影のつながりを踏まえると「晴れていないとまずいな…」といった邪な気持ちがすごくあって、景色を楽しめませんでした(苦笑)。もう一回行きたいなと思っています。

MC

先日完成披露試写会が行われ、すでにたくさんのお客さんからの声が集まっています。劇中では、“付箋”が重要なキーアイテムとなるので、一足早く本作をご覧になったお客さんに付箋に感想を書いていただきました。今日はそちらの一部を集めてバックパネルに貼っております。

■登壇者の皆さんは、興味津々でバックパネルの付箋コメントに目を通していました。

松村さん

(バックパネルを見ながら)これで一部ですか?

MC

いただいた感想のごく一部です。

松村さん

(驚いて)ええー! いっぱいある!

松さん

ありがとうございます! (付箋コメントに見入りながら)字がきれい…。

松村さん

うわ! (びっしりと感想が書かれた付箋を見つけて)詰め込んだなぁ。近くで見るとメッセージが書いてあるんですが、引いて見ると「ファーストキス」と見えるよう工夫をして書いてくれている方もいますね。映えを気にしてくれている方もいるなぁ。
(気になるコメントを見つけて)あ! こういうのもカッコ良いですね。「振り返り、悔いのない判断をする」。この言葉だけをバシッと書いてあります。

MC

本作を観た後に読むと、さらに「なるほど」と思いますね。

松村さん

そうか。読むものによっては、ネタバレの可能性もあるんですね。

塚原監督

(気になるコメントを見つけて)これ、かわいいけれど、完全にネタバレです。「恋をしたら、また観てしまう映画になってしまうと思います」という感想もありますよ。

松さん

プロの人みたいな感想!

松村さん

キャッチコピーみたい。

松さん

(感想を読み上げて)「坂元裕二、ずるい」。(会場のお客さん:笑)

松村さん

ああ! 分かるなぁ…!

松さん

(感想を読み上げて)「北斗くんの演技、最高でした」。

松村さん

かなり僕に肩入れしていますね。それは僕だけが読めば良い感想ですから、そっとしておいてください。(会場のお客さん:笑)

MC

「キャストの方の表情、セリフで大号泣してしまいました」「松たか子さん、松村北斗さん、最高です!」「笑いあり、涙あり、あっという間の二時間でした」という感想もあります。

松村さん

これ、うれしいですね。(感想を読み上げて)「タイムスリップ系の物語、実は苦手だったのですが『ファーストキス 1ST KISS』は感動しました 絶対にまた映画を観に行きます。友人にも勧めます」という感想です。

塚原監督

ありがとうございます。

MC

確かに友だちと一緒に観に行って、鑑賞後に話し合いたくなるような作品でもありますよね。

松村さん

確かに。

MC

「これを観たことによって、確実に私の未来は変わりました」という感想もあります。過去や未来について考えた人も多いようですね。

登壇者の皆さん

ありがとうございます。

MC

本作は時空を超えたラブストーリーということで、松さん、松村さんは、現代と過去の両方を演じられています。演じる上で苦労されたことはありますか?

松さん

私は監督やスタッフの方にイメージを作ってもらって、現在、過去、それぞれのカンナにハメただけなので、私自身はそんなに苦労はなかったです。やりたい放題というか、思ったまま演じただけなので、本当にすみません(笑)。

松村さん

“やりたい放題”と言うと雑な言葉に聞こえますが、すごく躍動的にそれぞれのシーンを演じられていました。松さんが言いたいこともすごく分かりますが、僕はそれが魅力だと思います。

松さん

やりたい放題ぐらいのパワーがないと、なかなか受け止めづらいお話だと思うんです。現実にもあるような、“あるある”なことも出てきますが、あり得ないことも出てきます。それを混ぜて皆さんにポイッて投げるには、ある種のエネルギーがないとダメかなと思っていました。あまり寄り添いすぎても「何か違うなぁ…」と思ったので、やりたい放題で暴れさせてもらいました(笑)。

塚原監督

さすがです。ご覧になると、まさにそういうことだなと分かると思います。

MC

松村さんも、松さんに引っ張ってもらった部分は大きかったですか?

松村さん

全てですね。年齢とキャリアどちらにおいても、松さんと夫婦役を演じるのは、すごく難しいことで、僕だけの力では乗り越えることができなかったと思います。塚原さんもそうですが、松さんが普段僕にどう接してくれていたかというのが、すごく大きかったと思います。そこからシーンに入るまでのシームレスさのおかげで、「そのまま作品の世界に連れて行ってもらえたな」というシーンが本当にたくさんありました。

MC

本番のスタート前から、シーンが始まっているような感覚でしょうか。

松村さん

空気感と言いますか…だから、ちょいちょい松さんに失礼な物言いをしてしまうんです。(松さん&会場のお客さん:笑)

MC

ちょいちょい失礼な物言いがあったのですか?

松さん

いえいえ! 全然ないです。

松村さん

(ホッとしたように)良かったですぅ。(会場のお客さん:笑) 何だか松さんと話していると楽しくなっちゃうんですよね。

松さん

良かったです。

松村さん

松さんがそういうことに気づいてくれたから、夫婦役をやれたんだと思います。

MC

松さんも、松村さんのお芝居に影響されたことはありますか?

松さん

先輩よりも、年下の人の方がきっといっぱい気を遣うと思います。松村さんがいろいろ気を遣ってくださっていたのを感じて、助かっていました。あとは、松村さんがこんなにおしゃべりをする方だとは思わなかったです(笑)。(会場のお客さん:笑)私はおしゃべりが得意ではないので、すごく気を遣ってしゃべってくれていたんだなと思いました。(松村さんの方を見て)ありがとうございました。(松村さん&会場のお客さん:笑)

MC

監督からご覧になって、お二人の空気感はいかがでしたか?

塚原監督

掛け合いのシーンでは、年齢を重ねた時の駈を演じる時は、松村さんの声が少し太くなっていて、松さんも、若い時のカンナを演じる時には、声を高くされていました。手紙の部分だけは、声を別録りをしたんですが…あぁ、ネタバレ…? (ネタバレを気にしてマイクを下ろす)

MC

舞台挨拶のトークの途中で、マイクを下す方を初めて見ました。(会場のお客さん:笑)

塚原監督

撮影後に、松村さんだけ一人で声を録ったんですが、声の感覚が戻らなくて、掛け合いのシーンの時の声に近づける作業をしました。

松村さん

撮影から数ヶ月空いていましたからね。

塚原監督

二人の空気感で自然に出来上がっていった二世代の世界観があったので、すごいなと思いました。距離感を縮めるには、こういう良いことがあるんだと思いました。

MC

本日1月28日は、「逸話(い・つ・わ)の日」です。そこで本作のストーリーから派生して、「あの頃に戻ってやり直したいな」「あの一瞬をもう一度味わってみたいな」と思うエピソードを教えてください。

塚原監督

私は母親を亡くしているんですが、もうちょっと会話をしたかったなという思いが残ってしまっています。もし戻れるならば、「今なんて言うのかな」とか思います。だから、本作はラブストーリーですが、観終わった時に、私は母親のことを思いました。皆さんにも、きっとそれぞれ思い浮かべる方がいらっしゃると思います。ご夫婦だけに限らず、お友だちなどいろいろなパターンがあると思います。ご覧になった後に、「これを思い出しました」と教えていただきたいです。

MC

松村さん、塚原監督の良いお話の後に「どうしよう」と思っている表情ですね。ちょっとしたエピソードでも良いんですよ! (会場のお客さん:笑)

松村さん

ふざけた人間でごめんなさい。(会場のお客さん:笑)
後悔というか、「あの一言だけなければな」と思っていることがあります。(第46回日本アカデミー賞、「すずめの戸締まり」「ホリック xxxHOLiC」で)日本アカデミー賞で新人賞と話題賞をいただいたことがあるんですが…。(松村さんの当時の発言を知っているお客さんがたくさんいて:笑)

塚原監督

(お客さんの反応を受けつつ) ファンの皆さんの間では有名な話なんだね。

松村さん

有名なんですか? その年に新人賞と話題賞のどちらもいただいて、すごく光栄でした。でも、僕は本業が俳優ではないから、申し訳ないというかすごく場違いな気持ちでした。賞をもらうのはうれしかったんですが、問題はスピーチです。まずは新人賞の時は粛々とお礼やよろこびを伝えて、何とか終えられました。でも、もう一回話題賞でスピーチがあるんです。十分後くらいにまた同じ男が出てくるんですよ。(会場のお客さん:笑) 俳優陣からしたら「誰だよ」みたいな、ちょっと知っている人からしたら「うわ、アイドルが上がってきたよ」と、思われていると思っていたんです。(周囲から「いやいや、そんなことない」という声が上がる)
だから、二回目の登壇の時に本当にいたたまれなくて、スピーチで「僕なんかが何度も出てきてしまって、場違いだなと思っています」みたいな内容を話してしまいました。それでも何とか軌道修正をして、「うれしいは、うれしいです」とはなしたんです。でも、「こんな僕を話題にしてくれて、ありがとうございました」で締めておけば良かったんですが、なぜか「すみませんでした」と付け足して帰ったんです。(会場のお客さん:笑)
会場がざわざわざわってなっちゃって…あの最後の「すみませんでした」さえなければ、もうちょっと収まりが良かったはずだと思っています。やり直したいですね。もっと感謝をいっぱい伝えられたら良かったと反省しています。

松さん

「あの時に戻りたい」という話でも良いですか? 小学校の五年生くらいの頃に、体育の授業でハードルをやったんです。その授業で「50メートルハードル走のお手本をやれ」と言われたことがあったんです。あの時の私が一番輝いていたと思います。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)当時、普通に50メートル走を走るより、ハードル走の50mの方がタイムが速かったんです! (登壇者の皆さん&会場のお客さん:「ええ!」という驚き&笑) 飛べるよろこびみたいなものがあったんです(笑)。

MC

これまでの作品に出ているご自身などではなくてですか?

松さん

私にとってはあの時です。もう二度と戻らないですが、輝いていたんです(笑)。

松村さん

見てみたいですね。当時の松さんにとっては、その50mが世界の全てということですもんね。

塚原監督

世界征服。

松村さん

世界征服? 今、響きだけでしゃべっていましたよね。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)

MC

(笑いに満ちたステージを見て)お話をうかがっていても、撮影現場もこういった空気だったのかなと思いました。

塚原監督

こんな感じで、仲が良かったです。

MC

最後にこれから本作をご覧になる方へメッセージをお願いいたします。

塚原監督

優しい作品になっていると思います。皆さんに受け取っていただいてから、また育っていくものだと思いますので、ぜひ一緒に楽しんでいただけたらと思います。

松村さん

本作は、夫婦の物語ではありますが、皆さんにとってそれは親友であったり、家族であったり、仕事の仲間だったり、いろいろなものに転換できると思います。ぜひ、観終わった後に「自分にとっては何かな」と、思い出してもらって、楽しんでいただけたらと思います。

松さん

切ないお話に感じるかもしれませんが、私はどこか幸せな話だと思います。それをひとかけらでも皆さんに感じていただければ幸いです。今日は本当にありがとうございました。