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佐藤信介監督、原作ファンの期待を凌駕する作品を作りたい
「キングダム」日本外国特派員協会記者会見

2019年04月16日

「キングダム」日本外国特派員協会記者会見

<佐藤信介監督>


原泰久氏のベストセラー漫画を実写映画化した「キングダム」の公開が直前に控える4月16日、東京・千代田区の日本外国特派員協会にて、メガホンをとった佐藤信介監督が記者会見を行いました。春秋戦国時代の中国大陸を舞台に、大将軍になる夢を抱く戦災孤児の主人公・信(山﨑賢人さん)の数奇な運命をダイナミックに描く本作。中国ロケも敢行された超話題作を観た外国特派員の反応は? 当日の模様をレポートいたします。


Q:「アイアムアヒーロー」(2016年公開。原作・花沢健吾、主演・大泉洋)の際は、韓国での撮影についてお話しいただきましたが、今回の「キングダム」は中国ロケを行われたと伺いました。どういった理由から中国ロケを行なったのでしょうか? 実際、ロケはいかがでしたか?

佐藤信介監督:
この作品は紀元前200年の中国で実際に起きた史実を元にした作品なので、中国で撮影するということ自体は、自然な流れで決めていきました。最初にこのプロジェクトが持ち上がったときから、「中国で撮影がしたい」「中国のスタッフとコラボレーショしたい」という気持ちはありました。その裏には、「アイアムアヒーロー」を韓国でロケーションし、スタッフの人たちと汗を流した良い思い出が強くあったので、そのことも深く関わっていると思います。
コラボレーションのやり方としては「アイアムアヒーロー」と同じように、メインのスタッフは日本のスタッフでした。でも、現地の中国では、たくさんの中国のスタッフと仕事をする形になりました。撮影の習慣も違うし、言葉が通じ合うわけではないので、どうなるか分かりませんでした。中国では非常に大きなシーンの撮影もあり、ものすごく潤沢な予算で撮っているわけでもなく、限られたリソース(人員・物・時間など)で撮らなくてはなりませんので、不安もありました。でも、中国は今や映画大国であり、非常に高いスキルを持った方たちと一緒に撮影ができ、全ての工程において、いいコラボレーションができて、本当にいい経験になりました。彼らのやり方、細かい部分が非常に新鮮に映るところもありました。僕らも良い勉強になりました。


Q:中国でお仕事をされてみて、一番難しいと思われたことは? また、思ったよりも楽に進められた点はどういうところでしょうか?

佐藤監督:
準備の段階が一番大変だったかもしれません。映画の会社は北京に多いのですが、我々が撮影しようと思っていたところは、上海からさらに車で五時間くらい行ったところだったので、何をするにも距離が非常に遠いんです。意思疎通するには会って話したいけど、ある人は上海、ある人は北京にいるという感じでなかなか会えなくて、そこが大変でした。
例えば、衣装とかでいうと北京の会社と綿密にやり取りをしたんですが、いろんな人を介しながら、実際の担当者にやっていただきました。衣装を借りるだけなら資料を見ながらでいいんですが、細かく衣装を作ってもらったものが結構あって、向こうのスタイルと、こっちの「こうやりたい」というやりとりがあり、向こうから上がってきたものに対してのこっちのチェックバックも何度かしたので、そのあたりのやりとりが一番難しかったですね。距離もあるので、手間暇がかかって、細かいニュアンスが伝えにくい部分もありましたね。
ただ、「もうこれは直せないよね」という、日本では突き返されてしまうようなタイミングでも、最後の最後まで直しや変更につき合ってもらい、良いものに仕上げてもらえたのは印象的でした。


Q:漫画原作の実写化作品は往々にしてガッカリすることが多いのですが、佐藤監督の作品はどれも素晴らしいですが、その秘訣を知りたいです。

佐藤監督:
秘訣も何もないんですが、原作のあるシナリオを作って映画化する時、それが「映画として良くならないといけない」ということしか頭になくて、「漫画にフィットさせよう」とか、「漫画の通りに描こう」というプレッシャーは意外とあまりありません。それが例えオリジナルストーリーだったとしても、「映画として良くするには?」「映画として醍醐味を持たせるにはこうした方がいいな」ということを常に考えながらやっています。原作のファンがたくさんいるからといって、「こういう期待をしているから、こうしよう」と考えるのではなく、僕が理想としている"映画の良さ""素晴らしかった映画体験"みたいなものを頭の中に置きながら製作しています。今回の作品はもちろん、原作があるのでオリジナルとは言わないですが、オリジナル映画を作るのと同じくらいのところはあります。公開する時、あらためて原作と向き合うこともありますが、作っている時はわりと無心になっていて、そうですね、ゼロベースで作っているような気持ちです。
これがオリジナルであっても同じようなことをするでしょうし、原作があっても自分のスタイルを変えるということはなく、自分のスタイルでぶつかっていくという感じで作っています。一番理想としているのは、原作漫画のファンが観た時に「こんなものだろう」と思っているものを凌駕して「えっ! こんな風になっちゃうの?」とびっくりしてもらうことですね。原作のファンというのは、ストーリーは知っているし、そこで感動も得ている人なんですが、映画ならではのプッシュで新たな感動を得られるということが、「なぜこの作品を映画化する必要があるのか」ということの答えだと思っています。漫画は漫画で素晴らしいですから、映画ならではの良さをそこで叩き出したいというのが理想としてあります。加えて原作を知らない人が観た時も「こんな面白い映画があるんだ!」「あ、原作があるんだ」「原作もすごく面白い」という流れになるといい。いつもこの二つの流れを考えています。「原作ファンがびっくりするようなもの」「全く知らない人が、何も勉強をしてこなくても面白いと思えるもの」その二つを大事に、原作を読み解き、「面白さの根源は何か」をずっと考えています。


Q:特に主演の山﨑賢人さんは漫画原作の映画作品にたくさん出ているイメージがあるんですが、どのようにキャスティングをなさったのでしょうか?

佐藤監督:
事実を言うと、山﨑賢人さんが出るのは僕のチョイスではなく、プロデューサーが希望して決定したことでした。でも実際に山﨑さんは本当にいろんな役をやられていて、非常にスマートで熱量の高い人だったので、結構話し合って作っていった部分もありました。まるで「昔からこういう役をやっていたんじゃないか?」と思うくらい馴染んでいらしたと思いました。
他のキャストについては、プロデューサーとも話し合ったり、スムーズに決まった人もいれば、「あの人じゃない、この人じゃない」という感じで決まった人もいました。基本的には、ストーリーの中ですでに各キャラクターが立っているので、「それを打ち出せるような世界観を持っている人にお願いしたい」というのがありました。それから、パブリックイメージ(一般的に認知されているイメージ)と言いますか、それまでのイメージとは全然違うんだけれど、その風貌に惚れて選んだ人もいます。


Q:この作品で注目すべきは、王騎役の大沢たかおさんですが、役として立っていて、ひげもなかなかすごいですね。

佐藤監督:
原作をよくご存じの方にとって、「王騎は誰が演じるのか?」「どういう風になっているのか?」というのはトピック(話題)になるので、すごく力が入っていました。キャスティングもそうですし、風貌やひげやメイク、そして鎧にもすごく細心の注意を払ってデザインしました。原作の王騎がものすごい感じで描かれているので、これを現実の雰囲気に落とし込むためにものすごい時間がかかっています。たぶん、上手くいっていると思います。何も知らなくても、自然にキャラクターに入れるし、原作の王騎を知っていても、受け入れて自然にこのキャラクターに入れるような、いい塩梅の王騎になっていると思います。

Q:アクション、戦闘シーンが素晴らしかったのですが、こちらについて教えてください。

佐藤監督:
アクションについては、長い間、同じスタッフでやっています。「アイアムアヒーロー」やもっと前の30代の頃に撮ったアクション映画「修羅雪姫」(2001年公開。原作・上村一夫、小池一夫)の頃から一緒にやっていたスタッフと、いろんな作品で経験を積みながらやってきています。なので、いろんな意見を出し合って、作っています。特別なスタイルではないかもしれませんが、撮影の前に事前にビデオで全く同じ撮影を会議室などを使って、インディペンデントフィルム(自主製作映画)のように撮って、それを何度も検証します。アクションシークエンス(アクションの一連の流れ)、とくにアクションとドラマが一体になっているシークエンスが多いので、あらかじめ撮影してみて、実際の撮影に取り組むというやり方で作っています。

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