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原作者 原泰久×劇場版『キングダム』プロデューサー
映画製作秘話を語る!!
「キングダム」トークイベント

2018年12月22日

「キングダム」トークイベント

<左から、原泰久さん、松橋真三プロデューサー>


累計発行部数3600万部超の大人気漫画を豪華キャストで実写化する「キングダム」。12月22日、千葉県の幕張メッセで開催された「ジャンプフェスタ2019」にて、原作者の原泰久さんと本作の松橋真三プロデューサーによるトークセッションを開催! 映画化に至るまでのエピソードから撮影秘話、見どころまでたっぷりと語りました! こちらのトークセッションの模様をレポートいたします。


原泰久先生(「キングダム」原作者)

どうも、原です。こんにちは。よろしくお願いします。
松橋真三プロデューサー

私、映画「銀魂」のプロデューサーもやっていますので、この熱気を去年も一昨年も感じていました。すごいなと。よろしくお願いします。

MC:公の場でこうしてお二人がお話するのは初めてだそうですが、これまでいろんなお話を重ねてきたかと。

原さん:
それはもうずっと。

松橋プロデューサー:
長らくやりとりをして、やっとここまで来ました。原さんに映画の企画書をお持ちしたのは2015年くらいです。私もずっと映画プロデューサーをやってますし、「キングダム」はプロデューサーなら誰もがやりたい素晴らしい企画です。しかしやるとなったら、ものすごくお金がかかるので、おいそれと持って行けないんです。でも、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、コロンビア・ピクチャーズの代表、サンフォード・パニッチさんが「日本映画を作りたいんだ」と言ってきたんです。彼は「タイタニック」を作ったエグゼクティブプロデューサーで、「タイタニック」が予算オーバーしてもバンバン送金していた人なので、「キングダム」の話をする価値はあるなと思いました。まずサンフォードに原作の一巻から五巻まで英訳して送ったら、三日後に「ぜひやろう」と返事がきました。そんなスポンサーがあるので、先生のところに企画書をお持ちしました。

原さん:
最初、集英社から「映画化するかもしれません」と話をいただきました。もう連載10年以上経っていて「もうないんだろうな」と思っていました。なので初めて話が来て、信じられず「本当にやれるのか?」と思っていたら、脚本が上がってきて、「あぁ、本当にやるんだな」と実感がわきました。そこで松橋さんともお会いして「お願いします」「やりましょう」と始まりました。

MC:先生も脚本に参加されていますがその経緯は? 原作者が関わるのは珍しいことなのですか?

松橋プロデューサー:
他の方がどうかは分からないですけれど、私は原作が大好きで、よくこういった話をするんです。私は手塚治虫先生が大好きなのですが、手塚先生がかつてインタビューで「僕は映画を作りたいけれど、映画を作るお金がないから漫画を描いているんだ」と答えていました。同じように他の漫画家の先生も、「自分の作品が映画になったらいいな」とどこかで思っているんじゃないかと思い提案するんですよ。だから先生が「こういう映画にしたい」と思っているものがあるなら、それを頑張って実現するのが自分の仕事です。「ぜひ脚本に参加してほしいです」とお願いしようと思っていたタイミングで...。

原さん:
僕も映画は映画監督のものだって思って、その覚悟の下で「お願いします」と了承を送っていました。ただ「脚本だけは、ちょっとこちらの声を入れさせてもらえたら嬉しいです」と添えてお願いしたら、「一緒に作っていきましょう」と快く返事をいただけました。

松橋プロデューサー:
同じことを思っていたんです。

原さん:
映画は五巻の「王都奪還編」までですが、僕が連載してた時は、そこを二時間ものを想定して描いていません。なのでそれをそのままやると脚本として失敗するので、一つのタイトルとして閉じたストーリーを作らないといけないんです。それはこっちから「お願いします」と言わないと気を遣われて失敗してしまうので、「この部分は捨てていいです」と返事をしたり、やりとりを繰り返していって完成度はとても上がりました。

松橋プロデューサー:
ギリギリまでやっていました。面白さのレベルは相当高いんですけれど、最終的に120点までもって行きたいという欲求をみんな持ってました。最後、頑張りましたよね?

原さん:
コミックスのあとがきにも書きましたが、最後は12時間くらい閉じこもって脚本会議したんですが、粘り過ぎて「撮影始まっちゃうよ」っていうくらいでした。僕が東京に来て、集英社の人を集めて、「今日は完成するまで帰しません」って会議をやって、食べ物を机に並べてもらって、トイレ休憩一回くらいでずっと...。原作を知っている人が見たら「あそこが原作と違う」とか出てくるとは思いますが、面白くなっていると思います。セリフも僕が書き下ろして原作の「キングダム」テイストが入っていると思います。

松橋プロデューサー:
最後の会議で先生からいただいたセリフがいくつかあるんですが、それが「キングダム」の世界を表しいてる言葉で、二時間ちょっとの映画でちゃんと伝わってきて感動します。

原さん:
その場でセリフを考えていたんですけれど、オジサンばかりの会議室でセリフを言いながら気持ちが入ってきて、ちょっと泣きそうになりましたよ。

松橋プロデューサー:
みんなで涙目になりながら(笑)。先生が最後に絵コンテを書いてくれて、「こういう感じでこういうセリフを」と何ページも夜中にヘロヘロになりながら...。

原さん:
すごくいい脚本になりました。

松橋プロデューサー:
そのセリフをぜひ楽しみにしてほしいです。

原さん:
原作にないセリフなので。

松橋プロデューサー:
クライマックスの対決でこれぞ「キングダム」っていうセリフが出てきますので。

MC:その後撮影に入って、中国でスタートしたそうですね?

松橋プロデューサー:
本当に「今世紀で一番、お金がかかっているんじゃないか」という映画ですよ。日本映画としてこんなにお金がかかったことないっていうくらい、(普通より)二ケタ多く...。

原さん:
予算が増えるんですよね。みんな情熱があるから、いろんなところを頑張り過ぎました。方々から「これやりたい」って言われるんです。僕はニコニコして見ているだけでしたけれど...。

松橋プロデューサー:
私は(胸の)この辺りがギューッと...(苦笑)。私は中国にシナハン(シナリオハンティング)に行っていて、三カ所ほど地域を回って、浙江省の象山という所にある春秋戦国時代の城の作りが一番いいんじゃないかと選びました。

原さん:
シナリオを書いている最中に時々ロケハンから「この場所見つけてきました!」って写真をもらって、テンションが上がるんですよ。実際にその場に行ったら、一ファンとして見ちゃいました。「すごいな、何の映画だろう?」って感じで見ていました(笑)。そこで初めて演者さんたちともお会いしました。すごい空間で、「どーも!」って雰囲気じゃなかったので邪魔にならないように端にいました。

松橋プロデューサー:
エキストラも多いし、スタッフも大量にいますしね。

MC:すごいスケール感だと伺っています。

原さん:
空間に圧倒されますよ、「本物だ!」って。セットじゃない感じがします。河了貂(かりょうてん)役の橋本環奈さんにそこで初めて会いましたが、環奈さんも原作好きで自分でも「夢みたい」「先生、キングダムの世界ですよ、ここは」って言っていました。

松橋プロデューサー:
中国の山の撮影所はあっちでは中規模なんですが、駐車場だけで京都の太秦映画村が入るくらいの大きさでした。

原さん:
中に入るとどこまでがセットか分からないくらいでした。

松橋プロデューサー:
境界を超えるとセットが変わって、時代が変わるんですよ。

MC:そこで、キャラクターに命が吹き込まれて動いているのを見ていかがでしたか?

原さん:
もう僕はミーハーなので、現場では「大沢たかおさんだ!」とか「髙嶋政宏さんだ!」ってウキウキしていたけれど、ラッシュを見ると、本当に全キャラ素晴らしい演技をされているんですよ。嬉しいことに皆さん「原作読んでいます」って言ってくださって。端役といってはなんですけれど肆氏(しし)役に加藤雅也さんとか、「いいんですか?」と。肆氏のバックボーンも自分で考えてきてくださって、「原作にないけれどこういう生い立ちでしょ」とか...。「実際は違うんだけれどな」と思いつつもすごいと思っていました。

MC:信(しん)役の山﨑賢人さんはいかがでしたか?

松橋プロデューサー:
素晴らしいですよ。この映画をやる前に10周年記念のCMが流れていたじゃないですか? 映画の前に実際にマーケティング調査をして「信役は誰がいいか」ってアンケートをとったら、その印象が強くて山﨑さんが断トツ一位なんです。私は(山﨑さんと)何本も一緒にやっていますし、性格的にはいろんな役をやってもらっていますけれど、山﨑さんが信にぴったりなんです。

原さん:
僕も山﨑さんのことをあまり知らなくて、今風のイケメンの人気の方って思っていたら、会ってみて全然違って、ストレートに感情を伝えられる人でした。本当に信みたいで、現場でもみんなからいじられるけれど愛があるんですよね。人気があるのは分かるけれど仕事が続いているのは、この人と仕事したいって思わせる力が(山﨑さんには)あるんですよ。みんなが「信みたい」って言っていて、演技も世の中のイメージがガラッと変わるくらい熱がすごいです。ドハマリだと思います。

MC:アクションもすごいと伺っています。

松橋プロデューサー:
アクションの練習を三か月くらいしました。後は体を作るにあたって「どういう体にしたらいいか?」という相談が山﨑さんからあって、筋肉はつけなきゃいけないけれど設定上つけすぎも良くなくて、やせた細マッチョの筋張った筋肉にしてほしいと伝えました。その体作りの期間、山﨑さんはささみとブロッコリーしか食べていないんですよ。

原さん:
素直なんでね。すごいです、本当に。運動神経がいいので殺陣もカッコいいんですよね。

MC:先ほどお話しに出ましたが、ラッシュを観て感動されたと。

原さん:
ラッシュはCGも入っていなくて音もその場のセリフを拾っているので聴こえづらいんですけれど、その状況の二時間ちょっとの映像を観て、みんな泣きました...泣かせるんですよ、山﨑さんたちが。もう10回くらい泣いたんじゃないかと思います。漂(ひょう)が死ぬところに関して、撮影前に山﨑さんと直接話す機会があって、そこで(原作の)一話目が一番成功していて、死んで漂が信に託すから、信はいつまで経ってもそこに立ち返れば立ち直れるし、立ち向かえるのでそのシーンは大事だよってプレッシャーを与えていたんです。そしてラッシュを観て、僕は見事に号泣しました。山﨑さんも吉沢亮さんも素晴らしいです。

松橋プロデューサー:
撮影が終わったらもう何もすることがないので、夜は一緒に過ごすしかないんですよ。

原さん:
お店自体が少ないので必然的に...。

松橋プロデューサー:
「今日はどこ」って感じでみんな仲良く過ごしていました。ただ大沢さんも山﨑さんも(役作りで)肉しか食べられないので我々も付き合って肉しか食べていませんでした。

原さん:
プロレスラーみたいになっていましたよね。

松橋プロデューサー:
(大沢さんは)もともと身長が180cmくらいで、「キングダム」のために体重を83キロまで増やして...。

原さん:
撮影中も肉ばかり食べられていました。

松橋プロデューサー:
17キロ増量して挑んでくださって...。

MC:そのほかの方々のキャスティングはいかがでしたか?

松橋プロデューサー:
ぴったりですよね。全員について10分くらいは話せます

原さん:
(成蟜(せいきょう)役の)本郷奏多さんも素晴らしいです。難しい悪役を引き受けてくれたのは嬉しかったですね。

松橋プロデューサー:
キャスティングは二年前くらいで、その頃「吉沢亮で行きたい」って言ってもみんな「知らない」って。「公開する頃に絶対に大スターになっているから」って無理やりいきましたが吉沢さんの代表作です。こんなイケメンの王子がいたらイチコロですよ。(漂と政(せい)の)二役もばっちりです!

MC:今だからこそ話せるエピソードやここを見てほしいというポイントは?

松橋プロデューサー:
今まで作った映画で一番大変でした、いろんな面において...。アメリカの「タイタニック」のプロデューサーと話すところから始まって、中国の大ロケーションで撮影して帰ってきて、一昨日、一昨昨日と、劇伴のオーケストラ録りをウィーンでしてきました。素晴らしい音楽家がウィーンにいて、ハリウッドの音楽はそこで録っているんです。まさに世界規模です!

原さん:
プロデューサーさんがそこは一手に引き受けていて、僕も知らなかったです。監督が一番えらいと思っていたけれど、監督を選ぶのがプロデューサーさんで、そこから全部束ねているんです。こんな形でやっているのかと。監督が鬼軍曹みたいじゃないとできないんじゃないかと思っていたら、佐藤信介監督はすごく穏やかで「こんな穏やかな方で作れるのか」と思っていたらプロデューサーさんがガッチリやって、いろんなところで喧嘩しないといけないんですよね。お疲れ様です。

松橋プロデューサー:
普段は表に出ることがないので裏方です。

原さん:
重要ですよ。

松橋プロデューサー:
自信を持って言えるのは、「日本映画でこんなのできるんだ」って思える作品になっているとということです。自らハードルを上げる発言をしていますが...(苦笑)。

原さん:
映画「銀魂」をヒットさせた方なんですよ。公開の半年前に「これ、本当に当たりますよ、原さん」って言って本当に大ヒットしたんですよね。言うと当たります!

MC:最初に話が来てからこんな風になると想像は...。

原さん:
想像していなかったです。最初ピンときていなくて、「どこまで撮るんだろう?」と思っていたら、「五巻までで大丈夫です。五巻までで十分面白いから次のパートは『1』をヒットさせてから作りましょう」って言うんです。そこは英断だったと思います。みんな、集英社の人も最初は「え?」と思ったんですけれど、それでも二時間ちょっとオーバーできっちり作っていますから。

MC:続編の話は気が早いですが...。

松橋プロデューサー:
やりたいですね。最初でお金使っちゃったので、よほどヒットして「次行くぞ」となってほしいです。生半可じゃダメなんで、大大大ヒットで来年一番当たるくらいになったらいいですね。

原さん:
当たりますよ。名シーンだらけで何回も観に行きたくなりますよ。

MC:劇場版「キングダム」は2019年4月19日公開です。原作の最新53巻は2019年1月18日発売です。

原さん:
54巻も映画の公開日に出る予定です。

MC:最後に一言ずつお願いいたします。

松橋プロデューサー:
心血注いだ作品です。来年のGWを楽しみに。ちょうど平成から新年号に変わるタイミングなので、新しい年号が「キングダム」と共にうまく行くようにと思っています!

原さん:
今日はありがとうございました。原作が好きな方は「好きすぎて観ない」って声もあるみたいですけれど絶対に観た方がいい作品になっています。面白かったら本も買ってください!

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