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モントリオール世界映画祭で審査員特別賞を受賞!
木村大作監督、岡田准一、西島秀俊が"賞状"と対面し、喜び実感
「散り椿」シニア夫婦試写会

2018年09月19日

「散り椿」シニア夫婦試写会

<左から、木村大作監督、西島秀俊さん>


直木賞作家・葉室麟の同名小説を映画化した「散り椿」の公開を記念し9月19日、都内でシニア夫婦(ご夫婦そろって、もしくはどちらかが60歳以上)試写会が開催されました。上映後には主演を務める岡田准一さん、共演する西島秀俊さん、そして、黒澤明監督の名カメラマンとして活躍し、本作が三本目の監督作品となる"映画人生60周年"の木村大作監督が登壇。映画に感動しきりの観客の皆さんとのティーチインに臨みました。
また、今月カナダで開催された第42回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門にて、見事、グランプリに次ぐ審査員特別賞を受賞した喜びも併せて語りました。深い余韻に包まれながら、シニアご夫婦とともに"歓喜と感動"を分かち合った当日の模様をレポートいたします。


岡田准一さん(瓜生新兵衛役)
こうして映画をご覧いただけただけで、僕らは幸せです。今日は皆さん、ご覧になったということで、いろいろなお話をさせていただければと思います。
西島秀俊さん(榊原采女役)

黒澤明監督とともに、日本映画・時代劇の金字塔を打ち立ててきた木村大作監督が今回、時代劇を撮るということで、スタッフ、キャスト共に全力でワンカットワンカット撮って、作り上げた作品です。「現代で美しい時代劇を作る」という強い気持ちを皆さんに受け取っていただければ、こんな幸せなことはありません。今日はたっぷりお話したいと思います。
木村大作監督

えー、(西島さん演じる榊原采女の義父)榊原平蔵を演じました木村大作です。僕は雨の中、傘をさしているときに、切られる役をやりました。俳優としても出ております。どうぞ、よろしくお願いします。

MC:本日はシニア世代のご夫婦の皆さまにお越しいただきました。普段とは違い、人生の先輩方を前にしたご挨拶となりましたが、お気持ちは違いますか?

岡田さん:
いや、皆さんキュートな笑顔で(笑)、ありがたいです。先ほど大作さんが「僕よりは年下だな」と言っていたので(笑)緊張がほぐれました。

西島さん:
僕の父は大作さんより少し年上ですが、父も母もこの映画を非常に楽しみにしてくれています。「今から体調を整えることに集中している」と電話をもらいました。なので、いつもよりリラックスした気持ちで、この場に臨んでいます。

木村監督:
僕より年上いますか(木村監督は現在79歳)? この前、新聞にも載っていましたが、日本で65歳以上が3900万人になったそうです。その年齢層の皆さんが観に来てくだされば、大ヒットです! だから、皆さんの責任は重いです。うちに帰ったら、隣近所に声をかけて、ぜひ劇場に来ていただけると、僕の未来も開けます。よろしくお願いします!

【お客様からの質問】

Q(男性からの質問):今年60歳になったばかりです。観ているだけでうっとりするほど映像が美しく、大変すばらしい映画で感動しました。今日、お目にかかって、とてもお若く見えるんですが、何か健康の秘けつはありますか?

木村監督:
映画のことを素晴らしいって言ってくれたのは非常に嬉しいんですが、質問は大したことなくて...(客席:爆笑)。で、健康の秘けつですが、「好きなように生きる」ってことじゃないですか。それしか手はないと思っています。何か運動をしているわけでもないし、タバコも吸い放題だし、答えようがないんです。自由に暮らしていけば、長生きするんじゃないかと思います。

MC:今のお話を聞いて、岡田さん、西島さん、いかがでしょうか?

岡田さん:
大作さんは現場でとてもエネルギッシュでしたよね。御年79歳ですが、現場で良いものを作るため、良い映像を撮るために、声をあげるというか...ものすごいエネルギーですよね。あこがれですよね。それ以外のことでは、怒らないですもんね。

西島さん:
大作さんは、よく遠くから「バカヤロー!」って怒鳴っているんですが、愛情のある「バカヤロー!」なので、若いスタッフも委縮することなく、「あっ、すみませーん!」って楽しそうに撮影をしていました。どこか僕があこがれていた"撮影所"の空気を、そのまま体現されているようで、僕もエネルギーをもらったような気がします。

Q(女性からの質問):雪景色がとてもきれいで、ふるさとの北海道を思い出して、涙がこぼれ落ちそうな気がしました。それで岡田さん、西島さん、よろしいですか? お二人にとって、木村監督はどんな存在でいらっしゃいますか?

岡田さん:
そうですね...。親みたいな感じではありますね。親? うーん...でも、(監督の)一番の理解者ではありたいと思っています。言葉は難しいですが、伝説的な方ですし、大先輩ですし...。でも、大作さんが僕のことを気にかけて、「一緒に撮ろう」と言ってくれたので、僕も"パートナー"になろうと思いました。なので、師であり、先生であり、親という存在ではないでしょうか。それに、戦えたらいいなと思えるような人でもありますね。今回、大作さんのエネルギーにのまれるのではなく、「コミュニケーションをしっかりとれるように」と思いながら、現場に臨んでいました。

女性のお客様:
もし木村監督がお父さんだったら、いかがですか?

岡田さん:
えっ!? お父さんだったら...すごく難しい人だなと(笑)。いつも怒られちゃうんじゃないかなと思います。でも、本当はとてもチャーミングな方なんですよ。ロマンチックだし、映画をご覧になれば分かると思いますが、情景がすごく詩的で...。先ほど、大作さんが出演されていることをお話していましたが、そのシーンは僕がカメラで撮っているんです。(客席から驚きの声)言って良いのか分からないですが、「僕(木村さん)が死ぬところを撮れ!」って言うんですよ。でも、その日僕は休みだったんですよ(笑)! でも、大作さんに呼び出されて、わざわざ(ロケ地の)彦根のほうまで行って、撮っていますからね。そういうロマンチックなことを言ってくれる大作さんですから、僕はすごく年下なので失礼な言い方かもしれませんが、「心の友」になれればいいなと思います。

木村監督:
補足しますと、(同じシーンの)西島さんのアップも、岡田さんが撮っています。あの大雨ですから、西島さんのアップはほとんど表情は見えないし、血のりもほとんど映っていませんでしたね...。ああいう大雨だとルーペ(撮影カメラのファインダー)が曇って、何も見えないんですよ。テストのときに、岡田さんが「何も見えません!」って叫んだんで、「心の目で見ろ!!」と言いました。(客席:大きな拍手)

岡田さん:
付け加えると、あの大雨は、大作さんが「降らせ、降らせ」って降らせた雨なんです。大作さんが切られて倒れた時、そこで大作さんが溺れました(笑)。自分が降らせた雨で溺れて、フレームの外側から自分で「カット!」って(笑)...。そんなこと、僕らがやったら、すっごく怒られると思いますけれど。

木村監督:
失敗してね、真上向いちゃったんですよ。そうしたら、あれだけの大雨だから、口の中に水が入ってきちゃって、「アワワワワワワ」って(笑)。それで、こりゃダメだって、少し横向きになって、死を迎えました。

MC:西島さんにとっては、木村監督はどんな存在ですか?

西島さん:
そうですね、僕はとにかく撮影所にあこがれて、この世界に入りました。でも、入った時には撮影所のシステムは崩壊していて、「あっ、映画は撮影所では撮られていないんだな」とショックを受けた世代です。大作さんと会って「きっと、撮影所の空気はこんな風で、こんな人たちがたくさんいたんだろうな」と思いました。大作さんはまるで、「映画が人の形をしたような方だな」と思いましたね。とにかく映画に対する純粋な思いだったり、エネルギーだったりを毎日大作さんから受け取って、少しでもそれを「継承していきたい」と思い、現場にいましたね。

MC:もしも木村監督がお父さんだったら、いかがですか?

西島さん:
難しいな(笑)。そうですね、うちは父が年齢的にかなり近いので、ちょっと雰囲気が似ているんですよね。たぶん、(昔は)もっと怖かったと思うんですが、最近はかなり優しくなって、昔のこととか話してくれるようになりました。職業はまったく違いますが、「あのとき、実は大変なことがあって、苦労したんだ」とか、男としての話ができるようになったんだなと思っています。なので、大作さんも毎晩食事に行って、いろんな話をしてくれましたし、そういう意味では、実際の父とイメージが重なる部分が多いですね。

Q(女性からの質問):この作品は第42回モントリオール世界映画祭で、審査員特別賞を受賞なさったと聞きました。時代劇が海外の映画祭で、賞に輝いたことについて、第一報を聞いてどのように思いますか?

岡田さん:
嬉しいです。「大作さんが評価されることに、力を貸す」というのが、僕らがこの作品に参加した目的ですから。こうして新たな伝説の力になれたのは、嬉しいと思っています。先ほど(賞状に)「DAISAKU KIMURA」って書いてあるのを見ましたけれど、すごく嬉しいですね。

西島さん:
本当に嬉しいですね。こういう本格的な時代劇が世界で評価されるというのは、日本人として誇りに思うことです。大作さんにも現地に行ってほしくて、「モントリオール、行った方がいいですよ。何か賞をとるかもしれませんよ」って言ったんですが、大作さんは「僕はいいよ。面倒くさいし、タバコが吸えないから」って断ったんです(笑)。

木村監督:
僕も嬉しいんですが、受賞が決まって、宣伝部から「何かコメントを出したい」と言われたんですよ。僕が最初に言ったのは「金じゃなくて銀かあ」って(笑)。それだけじゃまずいということで、通り一遍な言い方ですが、「みんなでとった賞なので、みんなの賞です」なんて言っていましたが、腹の中では「どうせとるなら、金にしたかったな」と(笑)。でも、オリンピックを見ていると、皆さん「銀」でも喜んでいるので、僕も喜ばないといけないなと思いました。でも、機会があれば、次は「金」を狙いたいと思います。(客席:大きな拍手)

MC:昨日、現地モントリオールから、審査員特別賞の賞状が日本に届きましたので、皆さんにお披露目します。

木村監督:
(賞状に書かれた映画タイトルについて)「SAMURAI'S PROMISE」なんですが、僕は「SAMURAI'S SOUL」にしないかって言ったんですよ。でも、まあ、東宝が「PROMISEでいきます」って言うので...。もしも、僕がモントリオールに行っていたら、金がとれていたかもしれませんねえ!

岡田さん:
大人の皆さんに喜んでいただける本格的な時代劇というものを作るのは、今は難しい時代になりました。その中で、大作さんが追い求めていた映画人生と、極めてきた美しさを海外で「日本の文化」として、一早く注目していただきました。それを日本の皆さんがどう観てくださるのか楽しみですね。とても幸せなことだと思います。

MC:現地では「黒澤明監督の作品を思わせる」という評価もあったそうです。

西島さん:
僕も黒澤明監督の作品はたくさん、何度も観ていますし、いろいろな資料も読んだりしてきました。でも、木村監督のようにその作品が生まれる現場に立ち会っているというのは、もう全然次元が違います。黒澤監督の現場を血肉化した大作さんが撮ったからこそ、海外の皆さんにも、「黒澤監督のイズム」のようなものが伝わったのだと思いますね。今回は、オールロケで撮影しました。今は時代劇はだいたいセットで撮っているんですが...、これ言っちゃいけないかもしれないですが、今回は、ときには撮影のために電柱をよけさせていただいたり...、あっ、ちゃんと戻していますから。

木村監督:
いや、戻していない!

西島さん:
えっ? 戻していないんですか(苦笑)? 地元の方も電柱を移動させたほうが景色が良いということで...そういった実際の景色の中で撮影しているので、それも映像の力強さの一因になっていると思います。そのあたりも改めて注目していただければと思います。

MC:それでは最後に、岡田さんからご挨拶をいただきたいと思います。

岡田さん:
今日は皆さん、ありがとうございました。皆さんとこうして、ご一緒でき、とても幸せです。この作品は先ほど、大作さんが「SAMURAI'S SOUL」に変えられないかとおっしゃっていましたが、本当に木村大作監督の映画人生60年...。

木村監督:
61年目!

岡田さん:
61年も映画の世界で生きてこられた大作さんの「魂の映画」になっていると思います。ぜひ、多くの皆さんにそれを感じていただければと思っております。日本の時代劇を愛する、映画を愛する方々に響くよう、ご協力いただければと思います。

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