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「メアリと魔女の花」から一年、スタジオポノックが新たな挑戦!
短編アニメーションレーベル「ポノック短編劇場」を始動
ポノック短編劇場「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」

2018年03月27日

ポノック短編劇場「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」製作発表会見

<左から、西村義明プロデューサー、東宝株式会社・市川南常務取締役>

昨年、「メアリと魔女の花」を大ヒットさせたスタジオポノックが、短編アニメーション映画の新レーベル「ポノック短編劇場」を設立することを発表! 米林宏昌監督の「カニーニとカニーノ」、百瀬義行監督の「サムライエッグ」、山下明彦監督の「透明人間」の三作による「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」が8月24日に公開となることが明らかになりました。3月27日、本作の製作発表記者会見が東宝本社にて行われ、スタジオポノックの西村義明プロデューサー、東宝株式会社の市川南常務取締役が出席。こちらの会見の模様をレポートいたします。


「スタジオポノック」西村義明プロデューサー

本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。僕らは今、新しい作品を作っておりまして、今日はその発表をします。2017年7月8日に公開された「メアリと魔女の花」はいい成績を残せたのではないかと思います。日本から始まり、世界へと公開が決まり、アメリカ、ロシア、フランス、韓国と世界で上映されつつあります。今回のプロジェクトは僕らにとって挑戦です。皆さまにご協力いただければと思っており、こういう場を持ちました。本日はよろしくお願いいたします。
東宝株式会社・市川南常務取締役

本日はお忙しい中、ありがとうございます。おかげさまで去年の夏、ポノックさんの第一回作品として「メアリと魔女の花」を東宝で配給し、興行収入は32.8億円で、夏休みの超大ヒット作となりました。その大ヒットを受けての打ち上げの会で西村プロデューサーから、「米林監督だけではなく百瀬義行さん、山下明彦さんという、ジブリにゆかりの深い実力派の監督が一堂に会して短編を作り、それを東宝で配給してくれないか?」と提案をいただき、二つ返事でお受けいたしました。しかし、去年長編が公開された中、「それはいつやるのか?」という話をしたら「来年の夏にやりたいんだ」という強い意思を示されたんです。「本当にできるんですか?」というところから始まったのですが、このプロジェクトには日本テレビさんと電通さんも乗ってくださり、夏は激戦区ですが8月24日公開で決めました。

劇場の館数も、東宝配給の短編アニメーションでは初めてだと思いますが、夏休みにスクリーン数も100スクリーンを超える規模で大々的に公開いたします。拡大とは言えないまでも中規模以上の公開をご用意している状況です。今までになかったポノックさんのチャレンジを東宝も全面的に応援します。先日、制作途中の一部は絵が入っていて、一部は絵コンテの「ライカリール」(ビデオコンテ)と呼ばれる状態のものを観ました。米林監督の作品は「待ってました!」という冒険ファンタジー、百瀬監督はリアルな人間ドラマ、山下監督はアクションものといいますか、一言では言い表し難い不思議な魅力を持った三者三様の作品ができつつあり、期待を膨らませております。スタジオポノックさんにとっても東宝にとっても新しいチャレンジとなりますが、どうかよろしくお願いいたします。

MC: 西村プロデューサーより、作品について詳しく説明をお願いいたします。

西村プロデューサー:
「メアリと魔女の花」が昨年の7月に公開した中、今年の8月24日公開というのはそもそも無理ですね(笑)。その無理なことを「なぜやるのか?」ということと、僕らが挑戦したいことというのは関わりがありますので、僕らの気持ちも含めてお話させていただきます。
スタジオポノックという会社は、2014年にジブリの制作部門が解散した後に、子どもから大人まで楽しめるアニメーションを作っていこうよと集まって立ち上げました。そこから「メアリと魔女の花」という一本の映画を作ったわけです。僕個人で言うと、「かぐや姫の物語」が約8年、ぶっ続けで「思い出のマーニー」、その後すぐにスタジオの解散、それから会社を立ち上げて「メアリと魔女の花」を2年半で完成させました。米林監督も合流してくれたクリエイターたちも、怒涛の10年なり5年を過ごして、一本のアニメーション映画を作って精魂尽きるんです。でも根底のところに、米林宏昌監督、百瀬義行監督、山下明彦監督、そして僕も含めてですが、「作り手の笑顔」というものがあります。それは何かというと「映画が作りたい!」という気持ち、「アニメーション映画を作るんだ!」という思いでして、それを強く強く持っていました。そこで自分たちの「次」というのを考えた時、そこにはギャップがあったんです。「映画を作りたい」「価値あるアニメーション映画を作って子どもたちの笑顔が見たい」「お客さんに楽しんでもらいたい」という思いで一枚一枚描いていくのが僕らスタジオポノックの思いですが、一方で、「メアリと魔女の花」の公開を終えて、一カ月、二カ月...数カ月を過ごすうちに、客観的に今の映画業界を見てみました。今はアニメがいろいろなところで作られていて、アニメーション映画も実写映画も増え続けていて、配信サービスも始まり、配信業者、映像会社が作品をたくさん作っている。もう十分に映像作品はあるんです。うちの子どもの話をすると、うちの子は「Amazonプライム」で仮面ライダーの四世代くらい前を観て楽しんでいるんです。
そこで「今、新しい映画を作ることに対し、かつてとは違う意識を持たないと前に進めないのではないか?」という意識が生まれました。では、どうしていけばいいのか。そこで止まってしまいました...。ただ幸運なことに、その時に短編を作るという企画が持ち上がったのです。遡ること、「メアリと魔女の花」の公開の数カ月前に、知人を介して、「メアリと魔女の花」を応援してくださる方から「『メアリと魔女の花』のスピンオフを作りませんか?」というお話がありました。でも、アニメーション映画一本を作るスタジオを立ち上げて、ヒイヒイ言っている中でスピンオフを作る余裕はありませんでした。
でも、その時に思ったのは、スピンオフで30分のアニメを作るんじゃなく、30分を四分割して7分半×4つの短編アニメーションを作るのはどうかということなんです。僕らはジブリを去って、新しいところに進まなければいけない。そういう時、新しい挑戦、新しい作品に短編アニメーションを作ることで出会えるかもしれないと思いました。それにご賛同いただける方がいて、それが礎になっています。
ただ、「なぜ僕らが短編アニメーションを作るのか?」、そこが一番引っかかるんですよね。長編アニメーションはもちろん作り続けていくのですが、なぜ短編を作るのか?
その時、僕らにある二つの才能、先輩が背中を見せてくれました。一人は高畑勲、そしてもう一人は宮﨑駿という監督です。彼らがジブリで作り続けてきたもの、その志を継ぐと明言し「メアリと魔女の花」を作りました。
彼らは常に新しいものを先駆者として作ってきました。戦火をアニメで描いた「火垂るの墓」。子どもたちが戦火の中で懸命に生きている姿を描くということを、アニメーションでやってもいいということを実現したのが高畑監督でした。それがなかったら「この世界の片隅に」という作品も生まれていなかったのではないかと思います。
緻密に背景を描いた「おもひでぽろぽろ」は、今もってアニメーション映画の礎になっています。
一方で興行的には芳しくなかったですが、一気に引き算でやってみた「ホーホケキョ となりの山田くん」。そして「かぐや姫の物語」。
かたや宮﨑監督はジブリ美術館で短編で技術や表現を追求しながら、「魔女の宅急便」、「紅の豚」と漫画映画を一時期やり続け、そして「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」で情報量を増やしていき、それが最終的に「崖の上のポニョ」に行き着いたわけです。

僕らの先輩方はアニメーション映画を作り続け、追求し続けてきたのに、僕らは彼らが作ってきた土台に、どっかりとあぐらをかいて、アニメーション映画を作っていくだけでいいのか。先週、高畑監督とお会いして、その話をしました。高畑監督と宮﨑監督はいわばルネサンス。僕らにはマニエリスム(不自然なまでの誇張や非現実性に至る美術様式)とバロックが残っていると。強烈に、過度にアニメーション映画を作っていくものと、様式だけが残っていくものとが分かれていっているということです。でも、それだけじゃ次のアニメーション映画を作っていく上で、自分たちに期待ができなくなってしまうんです。自分たちが作っているものに期待をし、自信を持って子どもたち、大人たちに観てもらうために、自分たちが次なるステップを作っていかなければならないんです。
宮﨑監督、高畑監督がアニメーションの豊かさを信じてずっとやってきたように、僕らがもう一度、アニメーションの豊かさを再発見するためにそういう場を作らないといけないのではないか。短編アニメーションという場は、それができるのではないかと思いました。
しかし、短編と言えば、ピクサーやディズニーがすぐに思い浮かびます。彼らが長編アニメーションを作る際には、企画を成立させるために、ある条件があるのです。彼らはいいお話、CGだけでなく、新しい表現、新しい技術、新しい作り方を実践したアニメーション以外は作らないと明言をし、企画を成立させているんです。そのようにして、彼らがアニメーションの世界のトップで、前に前にと行こうとしている中で、僕らがマンネリズムに陥って、立ち止まっていてはいけないだろうと。2020年以降もアニメーション映画を作っていきたいと思っていますし、そのためにも前に進んで行かなければならないのです。

実写映画にはいろんな映画祭があり、自分たちの挑戦の発表の場がありますが、アニメには、いろんな才能が集まって一つの作品ができるのに、そういった場がない。背景美術を作り出す人間と、画を動かせる人間は全然違うんです。そういった挑戦する場を持てるのは、大会社か、僕らのように吹けば飛ぶような会社しかないだろうと(笑)。自分たちは吹けば飛ぶような会社だから、「何も恐れずにやっていこうじゃないか!」「短編アニメーションを作っていこうじゃないか!」と思えたんです。そこで短編だからできる表現を作った時、そこに価値あるものが生まれるのではないか。それを今後、僕らは挑戦の場として、レーベルとして立ち上げようと「ポノック短編劇場」を立ち上げたわけです。今回、僕らが挑戦する、ポノックの次の一歩として、レーベルを立ち上げ、その一つ目として三作品を提示します。


短編を作るとなった時、頭の中にクリエイターの顔は浮かんでいました。
宮﨑監督の「ハウルの動く城」以降、右腕として天才的なアニメーションの腕を発揮した米林宏昌監督、山下明彦監督です。そしてもう一人は高畑勲の「火垂るの墓」以降、中心的存在として活躍した百瀬義行監督です。
彼らに「短編映画を作りませんか?」と提案した時、面白かったのは、「だったらこういうのがやりたい」という話がすぐ出てきたんです。スタジオポノックという場所は、一人一人の才能、クリエーションを発揮できる、いい場所になりうるんじゃないかと思いました。

「カニーニとカニーノ」米林宏昌監督

第一作目「ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―」。これは若干ふざけたタイトルに聞こえるかもしれませんが、いろんな思いがあって付けました。米林監督が今回挑戦するのは、小さなカニの兄弟の物語です。
僕から「短編をやりませんか」と提案した時、米林監督から「何をやりますか?」と聞かれました。米林監督は年末に次男が生まれたばかりなので、彼が今一番描けるのは「誕生」じゃないかと思い「誕生を描いてみたらどうですか?」と提案したんです。そして彼が選んだのはカニの兄弟の物語でした。最初はカエルでしたが、たぶん、彼がカニ座だからカニに変えたんじゃないかなと思います(笑)。そしてできたのは、個人的な思いが詰まった作品でした。昨年、次男が生まれたとき、奥様は切迫早産になりかけて入院したそうなんです。子どもにとって母が入院することはすごく不安なものです。「死んじゃうんじゃないか?」とか思ってしまうし、逆に「しっかりしなきゃ」とも思うものです。自分の息子と生まれてくる子に対して、父親として「お前たちにこう生きてほしい」という思いが詰まった15分になると思います。
米林監督初のオリジナルとなるこの作品で、海外で活躍する日本のコンセプトアーティスト、日本の若手CGの注目株といった人間と組んで、新しい画面を作り上げようとしています。彼の特技は美しいアニメーションであり、動きに関してもダイナミックに動かすことが特技です。それがCGとあいまった時、どんな物語になるのか。それが今回の「カニーニとカニーノ」というカニの兄弟の物語です。米林監督にとって、自分の家族を描くというのは初めての経験です。彼の作家性、父親として子どもたちに「これを贈りたい」という思いにご期待いただきたいと思います。

「サムライエッグ」百瀬義行監督

続いて「サムライエッグ」。これは内容面で挑戦的かつ、実話なんです。
僕と百瀬監督が出会った一人の少年の物語です。極端な卵アレルギーを持った少年で、卵を食べることはおろか、触ることさえできず、給食で卵を食べた友人のツバが飛んだだけで30分後に命が危うくなるという少年なんです。この少年と出会って、彼と母親に話を聞いていく中で、彼の生きようと、自分の手で命をつかみとろうとする姿に勇気づけられました。もちろん、この内容を扱うことに反対もありました。医療監修も付けていますが、アレルギーを描くということで、医療的問題もあります。ただ、僕らは「アレルギーを知ってほしい」「こういう現状があることを知らせたい」という思いでこの作品を作るわけじゃないんです。小さい子どもたちは、アレルギーにせよ、貧乏にせよ、親の不仲とか、いろいろな問題を抱えています。その中で、子どもたちは自分たちが信じる道を、思いを持って前に進もうとしている。その姿はとてつもなく輝いてるんです。彼らが輝く瞬間、彼らに起こった10分間を実話として描いたら、それは価値あるものになるだろうと思いこの作品を作りました。
百瀬監督は、ジブリでとてつもない映像表現を作ってきた男です。きっと彼の新たな映像表現を用いてこの作品を作ったら、長編では作れないような、短編ならではのものが作れるんじゃないかという思いで僕らは作っています。
百瀬監督の説明をしますと、「火垂るの墓」からやってきた大ベテランと思われる方も多いでしょう。三人の中でも年齢も60代で最年長ですが、実は彼はジブリにCGを持ち込んでジブリに根付かせた男です。昨今、セルルック(セル画で制作されたアニメのような表現を実現する3DCG)という表現がありまして、それをジブリはいち早く導入していますが、それを実現したのが百瀬監督です。高畑勲監督の演出として活躍し、アニメーションの表現を突き詰めてきた人間が、ある15分を描いた時どんなアニメーションができるのか。ご期待いただきたいと思います。

「透明人間」山下明彦監督

そして山下明彦監督は、宮﨑作品の作画監督、作画監督補として、中心的に作品を作り上げてきた人間です。
スタジオジブリを去って、僕は「メアリと魔女の花」に、ぜひとも参加してほしかったんです。彼をずっと誘い続けましたが、彼はジブリを出て、自分が実践してきたものをポノックではなく外で試したい、演出家としての力量があるのかどうかを試してみたいと、一年から一年半、方々のアニメーション作品を回ってやっていました。僕は、一カ月か二カ月に一度、彼の元に行って「やってくれ」と言い続けたんですが、彼の顔色がどんどん悪くなっていくんです(苦笑)。アニメーション制作の現場は過酷で、特にTVアニメーションは、映画以上に過酷な現場が多い。作品数が多くて人手が足りず、一人当たりの負担がすごく大きいのです。山下監督は、自分の実力を活かすどころか、アニメーションの現場の惨憺たる現状を目の当たりにして「もうアニメは終わりかも...」と思っていました。「メアリと魔女の花」の前に、山下監督は宮﨑駿監督の短編「毛虫のボロ」という作品に関わって「やはり僕の思っているアニメーションは正しいのではないか」と思うに至り、宮﨑監督のおかげで復帰したんです。
そんな彼に「短編を作らないか?」と言ったら、その目が輝いたんです。今まで、アニメーションの実力、演出家としての実力を発揮できると思って外に出たけれど、実現することができなかった。でも、短編アニメーションならできるかもしれない。そんな思いから企画がスタートしました。
彼に与えた企画は一番難しいものでした。毎日、企画会議をする中でやりたいことが見えてきて「だったら一番難しいことをやりませんか?」と提案したんです。山下監督が最も得意とするのはアニメーションです。アニメーションとはものを動かすこと。もし、動かすものがなかったら、感情を伝える顔がなかったら天才アニメーションはどう描くのだろう。ちょっと意地悪ですが「透明人間ってどうですか?」と言ってみました。僕は透明人間を扱った作品って面白くないと思っていたんです。大抵やることは同じで、透明を享受して、男の子だと更衣室や風呂をのぞいて、最後は原因を見つけて解決もしくは暴発する...。そんなものばかり。僕らが描く透明は現代の「存在」に置きかえて、見つめ直してみたらどうかというものです。周りから見えない透明人間――「現代の透明人間の内なる戦い、一人の戦いを15分で描いたらどうか?」。それが「透明人間」という作品の企画です。
本作は、一足先に4月中旬にでき上がりますが、今、こうして意図や企画について話してきて「実際、君らの挑戦作ってどうなっているの?」と思われるかもしれません。ですが、とても面白い透明人間ができています。透明人間映画史上、最高傑作ができる自信を持っていますので、ぜひご期待いただければと思います。


僕らは三つの作品をなぜ世に出すか? そして、なぜそれに「ちいさな英雄」というタイトルを付けたのかを最後にお話したいと思います。
「メアリと魔女の花」からこの三作品に至るまで、スタジオポノックというプロダクション、作り手たちが思い描いているものというのは、決して超能力を持ったスーパーヒーローではありません。2020年以降、先行きが見えないと言われる中で、僕らはこの世の中に、子どもたちに何を提示できるのでしょうか。自分たちに勇気を与えてもらえる存在をそのまま描いたら、多くの人々に勇気を持ってもらえるんじゃないでしょうか。身近にいて、一生懸命生きていて、周りから見たら小さな存在かもしれないけれど、そこで彼らは一生懸命生きて、何かを実現している。そんな僕らにとっての「ちいさな英雄」を描きたい。それはアニメーション映画にとって、大きなヒーローであるということを、今年の夏にお伝えしたいと思っております。そうすることは、僕らが子どもから大人まで楽しめるアニメーションを作っていこうという思いの中で、とても大事なものです。小さなものの中に、大事なものがあるという思いで、「ちいさな英雄」というタイトルをつけ、「カニーニとカニーノ」「サムライエッグ」「透明人間」という三つの作品を作りたいと思います。

MC: 現段階で決まっているキャストについて発表をお願いします。


西村プロデューサー:
諸事情で出せない部分もありますが、オダギリジョーさん、尾野真千子さん、田中泯さん、中田ヤスタカさん、村松崇継さん、そして今も続々と決まりつつあります。
いろいろとお話したかったのですが、諸事情でお話しできませんので、今回はお名前だけ発表させていただきます。


【マスコミによるQ&A】

Q: スタジオポノックさんは、事業展開として長編アニメーション映画を作り続けるということですが、長編は何年に一回、短編は何年に一回など、どのような構想をお持ちでしょうか?
また、今回はこれまでジブリでやってこられた方々を監督に迎えていますが、今後、別のところから新しい才能を引き込む可能性もあるのでしょうか? 


西村プロデューサー:
漠然と、長編は二年に一本がやっとかなと思ってます。
「メアリと魔女の花」をやりましたが、長編アニメーション映画を僕らがやるとき、とてつもないお金がかかるし、それを回収して出資してくださった皆さまにお返しして、たくさんの方に映画を観ていただくことを期待して作るのですが、そうすると、企画から完成まで4年くらいかかるんです。それがスタジオジブリでのスパンでしたが、4年に一度だと会社がつぶれてしまうので...(笑)。いろんな監督、才能がいるので、二年に一度は作っていけたらと思いますし、その間に短編を作っていけたら理想的だなと思っています。
今回、ジブリ出身の三人の方を監督にしているのは、単純に近くにいて、彼らの情熱を知っていたからです。次に三本やるとき、もしかしたら実写の監督かもしれないし、海外の監督かもしれないし、全く畑違いの方かもしれない。アニメーション映画の可能性をアニメーション業界が狭めてもしょうがないと思っています。いろんな方との協力――カタカナは好きじゃないですが、コラボレーションできたらと思っています。絵本作家の方々とか、漫画家の方がアニメーションを作りたいとなっても組めると思うんです。そういう土壌のあるプロダクションでありたいと思います。


Q: 新人発掘というよりも、いろんな業界からの才能の発掘も含めての本企画でしょうか?

西村プロデューサー:
「新たな才能」というのは新人も含めてですが、漫画家の方もアニメーション業界では新人ですからね。
今、僕が才能あるなと思っている二十歳前後の女性の学生の方もいますが、そんな方々のデビューの場としても使えるでしょうし、「こういう才能がいますよ」と世に自信を持って言えるライン、レーベルになっていったら素敵だなと思います。
門戸を閉じることはないです。挑戦の場なので、挑戦をしたいと思っている方とは組めますし、「どうせ短編だろ?」と思っている方とは組めないと思います。短編アニメーションを劇場のクオリティで作るということはリスクを背負うってことなんです。でも、それはもう「やるんだ!」とリスクと決意と覚悟を抱えてやるので、「こういうものができたら」という創造力や期待や可能性を持っている方とやっていきたいと思います。


Q: 「ポノック短編劇場」としてはどれくらいのスパンでと考えていますか?

西村プロデューサー:
短編は長編の合間にできたらと思います。あまり多いと...プロデューサーが一人でやっているスタジオです(笑)。三本いっぺんにやるとキツかったです(苦笑)。毎年はちょっと大変なので、隔年でできたらいいなと思っています。
今後、プロデューサーも育つと思っているので、そういう方が出てきたら違うことにもなると思います。僕らもどうなるか分からないラインとして作っていきたいと思います。「こうやりたい」と計画を持ってやっていくと、その計画に合うか合わないかってだけになってしまうんですね。「監督はアニメーション業界の人間だけ」と決めてしまうと、そこだけにしかアンテナが働かないわけです。
もちろん、今、僕も大人ですから、いろんな計画を立ててやっていかないといけないのは分かっていますが、計画を立てたとき、実現の可能性の絞り方も考えなくてはいけないと思います。つまり、計画を立てるからこそできないことがあるんだと。レーベルを立ち上げ、二年に一本、三年に一本、三本、四本、五本かもしれないですし、尺も今回は15分×三本で考えていますが、尺が15分である必要はあるのかという考えもある。お客さんにも「ポノックの短編って次は何が起こるんだろう?」とワクワクするような、「長編アニメはいつも観ているけれど、あそこの短編、何か起こしてくれるんだよね」と思ってもらえるようなレーベルになったら嬉しいです。


Q: 先ほどから名前が出ている宮﨑駿監督も短編「毛虫のボロ」を作っています。そのことについて思うところや、今回のプロジェクトについてお話などは?

西村プロデューサー:
短編を作っていることは、宮﨑監督も知っているんですが、それについて何か言われたことはないです。
「毛虫のボロ」は実は僕は観ていないのですが、傑作に決まっているんです(笑)。でも僕らが短編アニメーションを作っていくとき、一番影響を与えてくれているのは高畑監督ですね。彼がスタジオジブリを初期に宮﨑さんと立ち上げて、アニメーションの豊かさを追求してきたってことは、僕らに勇気をくれるんです。ただ一方で、僕らが短編アニメーションでこういうことをやって、「果たして自分たちの挑戦を実現できるのか?」と悩んだ時、偶然見つけたのが宮﨑さんの言葉なんです。「アニメーションってのは、そもそももっと豊かなものなんだ。それを作り手のくだらない意見を表明するためだけの道具にしちゃいけないんだ」と。これを宮﨑さんが言うんですよ! 「作り手のくだらない意見を表明する道具にしちゃいけないんだ」と。これは嬉しかったですね。短編アニメーションについて、「もう普通でいいじゃん?」と思われる方もいるかもしれない。
アニメーション映画を作っていると「こういうものもできるんじゃないか?」「ああいうのもできるんじゃないか?」と思うんです。それを収束していく作業ではなく広げていく作業――短編と長編の違いがそこにあります。長編アニメーション映画って、関わっている人が多いんです。短編は長編と比べると、時間も人も少ないので、一人一人のエゴが出まくるんですね。その時、何か違うものが生まれてくるんです。先駆者の姿勢、先駆けてやってきた彼らは、決して新しいことをやろうと思ってやっていると思えないんです。高畑監督に関して言うと、たぶん、飽きるんですよね。「もうこれやったじゃない?」って。飽きに対して違うこと、新しいことをやっていける、実はマニアックな姿勢が必要だと思います。僕らもある時点で飽きることがあると思うんです。CGがどんどん進化して、二次元でやっていけることが減っていく。そのとき、自分たちが作り手だったら、新しいこと、違うことをやっていかないといけないんじゃないかと思いますし、それをずっとやってきた宮﨑監督、高畑監督は自分たちにいつも刺激を与えてくれる存在だなと思います。


Q: 公開時期をなぜ夏休みという激戦区に? 短編なので料金は通常とは異なるのでしょうか?

市川氏:
夏というのは西村さんの要望です。やはりファミリーに観てもらう作品だということで、そうなりました。
料金は検討中ですが通常より安くなるのは確実です。


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