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トロント国際映画祭でも絶賛の嵐!
「怒り」ジャパンプレミア・LINE LIVEプレミアに豪華キャストが集結!

2016年09月14日

「怒り」ジャパンプレミア・LINE LIVEプレミア

<左から、李相日監督、綾野剛さん、妻夫木聡さん、宮﨑あおいさん、
渡辺謙さん、松山ケンイチさん、広瀬すずさん、森山未來さん>

「悪人」の大ヒットチームが再集結し、新たに挑戦した意欲作「怒り」。そのジャパンプレミアイベントが、9月14日東京・東京国際フォーラムにて開催され、渡辺謙さん、森山未來さん、松山ケンイチさん、綾野剛さん、広瀬すずさん、宮﨑あおいさん、妻夫木聡さん、監督の李相日さんが、ドレスアップして登壇いたしました。
舞台挨拶では、先日行われたトロント国際映画祭での反応や、キャストのリアルな演技のための役作り、「演じる」という言葉では語ることができない、想像を絶する現場の様子が、この舞台挨拶で明かされました。

ジャパンプレミア終了後には東京・スペースFS汐留にてLINE LIVEプレミア上映後舞台挨拶が行われました。ジャパンプレミアから衣裳が一気にカジュアルになったキャスト陣が、観客からの質問に回答。アットホームな雰囲気の中、キャスト陣の本音が飛びだし、会場は大盛り上がりとなりました。
そのイベントの様子をご紹介します。

【ジャパンプレミア】


渡辺謙さん(槙洋平役)

こんなに大勢の方々に「怒り」という映画を最初に観てもらえることを嬉しく思っています。短い時間ですがたっぷり味わってもらえればと思います。
森山未來さん(田中信吾役)

始まる前なのであまり多くは語りませんが、楽しんでもらえればと思います。
松山ケンイチさん(田代哲也役)

今日は集まってくださってありがとうございます。どうぞ楽しんでいってください。
綾野剛さん(大西直人役)

撮影が終わり、完成した映画を観て、こんなに温もりがあってこんなに愛おしい涙を流したのは、何年振りかなと思いました。そんな作品です。皆さんとも、この思いを共有できることを嬉しく思います。
広瀬すずさん(小宮山泉役)

この映画が、こうして皆さんに届くことをすごく楽しみにしていました。今日は何か感じて持って帰ってもらえれば嬉しいです。
宮﨑あおいさん(槙愛子役)

皆さんに観てもらえること、ここに無事に参加できたことを本当に嬉しく思います。楽しんで帰ってください。
妻夫木聡さん(藤田優馬役)

映画は生きているものだと、僕は思っています。特にこの映画はどんどん育っている映画だと思います。こうやってお客様に観てもらうことで映画は始まります。皆さんに「怒り」という素晴らしい映画をもっと育ててもらえたら嬉しいです。今日は最後までじっくり観ていってください。
李相日監督

こうやってこの7人とこの場に立てて、こんなに素晴らしい俳優たちと、この映画を作り上げることができて誇りに思います。そしてこの7人の今まで見せることのなかった、素晴らしき演技、人間の性を、今日は皆さんにじっくり観てもらいたいと思います。


MC:公開目前の気持ちをお願いします。

渡辺さん:
「いよいよだな」って思いはもちろんあります。先日、トロント国際映画祭に行って、お客様と一緒に映画を観ました。(トロント国際映画祭では)最初に試写会で観たときよりも客観的に映画を観ることができたんですけれど、本当に李相日は進化したと思います。僕は前作の「許されざる者」で一緒でしたが、「こんなに優しい男になって、そういうことを包み隠さず映画に残そうとしたのか」と思いながら、最後に涙を流しました。自分の出ている映画で泣いちゃうっていうのもおかしいんですけれど、それがトロント国際映画祭での大きく収穫でした。それをこうやってお届けできることを、今、心から嬉しく思います。

森山さん:
自分が出演した映画を人にはっきりとお勧めすることって、はばかられることが多いんです。けれど「この映画、楽しみにしているんです」って言われると「ああ、どうぞ、面白いですよ」って言ってしまう感じがあります。登場人物、全ての人たちに痛みや闇があり、その中で関わっていくんですが、僕が観た印象としては、そういうものよりはもっと大きく、リアルです。もう一つ上のファンタジーを観たような気がしました。人の頭を覗いていること自体ファンタジー。よくわからないことを言っていると思うんですけれど...(笑)。そんな印象を僕は受けました。

松山さん:
皆さんがどういう反応をするのか楽しみです。本当に素晴らしい作品です。できれば1億人に観てもらいたいですね(笑)。今回この試写会は5000人くらいの方々が集まっていると思います(笑)。さっき計算していたんですけれど、一人が2000人の方に紹介してもらえれば、1億人の方に観てもらえると思います。公開まで残り少ないんですけれど、僕も頑張りますので、よろしくお願いします。

綾野さん:
僕自身、この映画を観て、本当に温もりのある愛おしい涙が流れました。抑えきれない感情がたくさんあって、直人がああして存在できたのは妻夫木さんのおかげと言っても過言ではないと思っています。妻夫木さんとの生活は愛しい時間でした(笑)。普段一人で役作りするのが当たり前で、現場に行って初めての皆さんと一緒になって役を作ってくっていうベースがあるんですが、今回は初めから二人で生活するということがものすごく大きかったです。この二人でマイノリティーとして生きた時間は、素晴らしかったなと思っています。それがきちんと出ていて、また、ここに立っている全員が存在しているということを体感できた映画です。非常に豊かでした。2000人にお願いできるよう、僕も頑張ります(笑)。

広瀬さん:
映画を撮っていたんだなということを、やっと実感できています。人間の生々しい部分だったり、言葉にはできない残酷な部分もありました。ものすごく愛おしい部分もあり、映画を観ていて今までにない感覚を味わいました。なかなかできない経験をしました。

宮﨑さん:
早くこの作品がお客様へ届いて大きく広がっていくことを、一番に望んでいます。でもこうやってキャストが揃って話をしたりとか、お父ちゃん(渡辺さん)の言葉を聞いたりすることもなくなってしまうんだなと思うと寂しい気持ちもあります。この役を離れてから李監督とちゃんと話をしたのがトロント国際映画祭でした。監督がどういう家族構成で...とか、そういう話を初めてしました。(笑)監督ってこんなに優しい顔で笑ってくれる人なんだって思いました。今は監督が自分に笑いかけてくれるだけで、涙が出そうになります。こういう気持ちをもうちょっとしたら感じられなくなっちゃうんだなって思うと寂しくもあるような複雑な気持ちです。でも楽しみです。

妻夫木さん:
東京編が最初だったので、最初でつまずいちゃいけないな、という思いがありました。僕も剛がいたからこそ、優馬でいることができたし、その姿を収めてくれる現場の方たちのおかげもあって、良いスタートを切れたなと、今撮影していた時のことを思い出せます。一言で言い表すのは難しい映画です。「怒り」っていう意味もすごく難しいことだと思います。観終わった後は、立てませんでした。あおいちゃんと、お母さん役の原日出子さんと隣同士で観ていたんですけれど、三人とも立てなかったんです。この気持ちをどうしたら良いんだろうと思いましたが、そこがある意味スタートなのかなと思いました。僕たちが生きていく中で、なんとなくスルーしてしまうことっていっぱいあると思います。受け止めなくちゃいけないこともいっぱいあるんですよね。そういう大事なことを教えてくれる映画です。とにかく、自分にとって一番大切な人と観に来てもらいたいです。その人が自分にとってどれだけ大切なのか、本当の意味を知ることになるので、最後のその思い、期待していてください。

李監督:
僕も一人の弱い人間ですと、キャストのみんなには言っておきたいと思います(笑)。いろんな取材でお話していますが、綾野くんと妻夫木くんが一緒に住んだり、あおいちゃんが太ったり、未來くんが無人島に一人で住んだり...。実はそれだけじゃなくて、例えば原日出子さんは10キロ以上も痩せたり、キャストの中には傷を作るのに、メイクではなく自分でちょっとした擦り傷をつけてきた方もいました。それくらいキャストがこの作品に対しての思いが非常に強くて、それが演技に現れています。この作品は千葉と東京と沖縄と、3カ所で撮影しているんですけれど、それぞれの場所で協力してくださった皆さんの、力なくしてはできませんでした。謙さんは撮影中、夜中にステーキを食べたとか言っていましたけれど、ステーキを食べないと倒れそうになるくらい、きつい撮影の日々でした。(笑)夜中の1時に明日は休みにしてくれってギブアップしたこともあるくらいです。そんなときに、一緒に戦ってくれたスタッフの熱意と献身と支えがあってできた作品だと思います。みんなのその本気が、2000人に繋がるといいなと思っています。

MC:トロント国際映画祭ではどんな反応だったのでしょうか。

渡辺さん:
ちょっと笑いが起きたり、ざわざわとするシーンがありました。観客は1400人くらいでトラディショナルな劇場だったんですけれど、どんどんお客様のフォーカスがスクリーンに絞られていって、最後には呼吸が浅くなって、お客様が一つになっていくような感じがありました。終わってから包み込まれるような温かい拍手をもらいました。

宮﨑さん:
皆さんと映画を観たということは素晴らしい経験でした。今回は帰る日の朝に時間があったので現地の友達と街を歩いたんですが、映画祭の通りを歩いたときに、声をかけてくれた海外の方がいて、「映画を楽しみにしています」って言ってくれました。いろんな人がこの映画を期待して、心待ちにしてくれるっていうことを肌で感じました。とても楽しみです。トロントの友達も観てくれました。10年以上日本に住んでいた方なんですけれど、「泣いた」って言ってくれました。日本人ではないし、いろんな背景とかわからないこともあるかもしれないですけれど、感情とか、人の思いとか、変わらず伝わるものだと思うので、届いたのかなって思いました。

李監督:
僕は、上映中は観客の後頭部しか見えませんでした。確かに、序盤は「ここでそんなに笑うのか」とか生のリアクションが見られて良かったんですけれど、映画が進むにつれて、みんなの頭が画面に対してまっすぐになっていきました。その様子を間近に見ることができましたし、環境とか背景が違うにもかかわらず、伝わる感情は一つなのかな、と、実感できました。

MC:最後に渡辺謙さんから一言、お願いします。

渡辺さん:
これから映画が始まります。観てもらえれば、確実に何かを受け取ってもらえる映画になっています。原作の吉田修一さんが、血みどろになってこの作品を生み落としました。李相日は日本映画界の宝だと思っています。そして、坂本龍一さんが素晴らしい音楽を提供してくれました。ニューヨークの舞台に駆けつけてくれた時、「渡辺さんの演技にインスパイアされました」と言ってくれました。李相日はあまりにも大変すぎて、3年に一度しか映画を撮れないんです。この7人だけでなく、出演した俳優全てが、そしてスタッフが、その3年の思いを僕らは受け止め、愛に身を削るようにして、演じるというより、のたうちまわってこの作品を作りました。ちょっと息苦しいかもしれないですが、必ず熱いものは残ります。お楽しみください。ありがとうございました。

【上映後舞台挨拶】

MC:ジャパンプレミアと違い、こちらの舞台ではラフな格好にしてくださいとお願いしました。こちらの恰好のコンセプトは?

渡辺謙さん(槙洋平役)

一応、おじさんなんで...(笑)。
妻夫木聡さん(藤田優馬役)

ラフだと聞いていたのですが謙さんがジャケットを着ているから、話が違うなと...(笑)。
宮﨑あおいさん(槙愛子役)

二人(広瀬すずさんも)ともお花になりましたね。
広瀬すずさん(小宮山泉役)

お花になりました。(笑)


MC:上映後初のトークイベントですが、どんなお気持ちですか?

渡辺さん:
トロントで観てもらったときは、非常に温かい拍手はもらったんですけれど、預けられた重みみたいなものをお客さんがどう受け止めるのか、という思いが僕らにはすごくありました。僕らも言葉がでない舞台挨拶になりました。今日は妻夫木とか、綾野が出た時に「ワーッ!」て歓声が上がったんで、ホッとしています。

MC:観客の皆さんには、映画の感想をボードに一言で書いてもらいました。キャストの皆さんは、気になるものはありますか?

渡辺さん:
「苦しかった」っていうのは、本当に苦しかったんだろうなって思います。僕らも観て、苦しかったですし...。「色」ってなんなんだろう?

森山未來さん(田中信吾役)

「色」ってどういうことですか?


観客:
画面にいっぱい色が出ていたので「色」って書きました。

広瀬さん:
迫力とか画力がすごい作品でしたね。それを私たちだけでなく、皆さんにも感じてもらえたんだなと思いました。

MC:「驚愕」とかもありますね。

宮﨑さん:
「震えが止まらない」と書いてくださっている方もいますね。私も最初に観終った後には、動悸が止まらなくて、すぐに動けなかったんですよね。妻夫木くんや広瀬さんと観ていて、みんな力が抜けてしまう感じがしたので、「震えが止まらない」というのはわかる気がします。

渡辺さん:
「痛いほどの純愛」これもいいよね。コピーでもらいたいぐらい。撮影の時から監督に「これ、純愛映画だよね」って僕は言い続けていました。

MC:綾野さんはどうですか? 「剛くん好き」ってコメントもたくさん届いています。

綾野剛さん(大西直人役)

もの好きですね(笑)。僕も妻夫木さんとの時間が非常に愛おしく残っているので「痛いほどの純愛」「大切な人」っていうのは、響きますね。


妻夫木さん:
「信じる」って言葉が多いなって思いました。そこが本当に肝になっていると思います。もともとの小説の中でもそこが重要な部分だと思うんですけれど、だからこそ大切なものが伝わったのかなと思いました。

森山さん:
「独特な演技力」というのが気になりますね。

観客:
普段とは違う出演者の方の演技がとても素晴らしかったです。

森山さん:
それは、今まで観た印象と何か違ったということですか?

観客:
はい。違いました。

MC:それぞれの演技を観て、皆さんどうでしたか?

松山ケンイチさん(田代哲也役)

全員、今までのイメージが崩れる演技をしているなと思いました。謙さんが漁港の職員っていうのは、最初どう考えても結びつかないなって思っていました。でも、謙さんがフォークリフトに乗っていると、漁港に本当に買い付けに来た人が謙さんに「今日、何時から?」って聞いていましたからね(笑)。


渡辺さん:
町の人も、初日にリサーチで行った時には、「松山くんだ!」とか「あおいちゃん可愛い!」とかって言っていたんだけれど、僕が衣裳を着てフラフラしていたら、誰にも何も言われませんでした。買い付けの人が「今日、何時から?」って言ってきて、「もう、そろそろ始まる」って言っていましたからね(笑)。

松山さん:
謙さんってものすごくオーラがあるんですが、フォークリフトってそれを全部吸収するんだなって...(会場笑)。

宮﨑さん:
お父ちゃん(渡辺さん)が現場で長靴を履いていたのがあまりにも似合っていて、私はその姿にキュンキュンしていましたね。私は最初は愛子としてお父ちゃんの気持ちがわからなかったんだけれど、2回目に観た時は「お父ちゃんはこんなに私のことを思ってくれていたんだ。なのに愛子はそれに気づいていなかったんじゃないか。何をしていたんだ」と申し訳ない気持ちがすごく生まれました。お父ちゃんを観るたびに切なくなりました。

渡辺さん:
世の中の娘たち、聞け(笑)!

宮﨑さん:
本当にお父ちゃんは、愛してくれていると感じました。

妻夫木さん:
みんなとも言っていたんですけれど、一番不思議だったのは、打上げで皆さんに会った時に、千葉、東京、沖縄と、それぞれがよそよそしかったんですよ。同じ映画に出ているけれど、一緒に出るシーンがなかったので。出来上がった作品を観た時にみんなが心を一つにしてやっていたんだなと思いました。そういう気持ちが皆さんにもあったのか、記者会見の時にはみんな同志という感じでした。勝ち負けの気持ちもどこかにはあったかもしれないけれど、そんなのはどうでもいい、それぐらいこの作品の一体感というものを感じました。誰が一番良かったかなんて比べものにならないぐらい、皆さんの演技がすごすぎて、観終った後は本当に立てなかったですね。びっくりしましたね。

綾野さん:
僕は試写会で一人で観ました。久々に本当に泣きましたね。ここ最近、自分が流していた涙がいかに温もりがなく、愛おしいものでなかったかって思うぐらい愛おしい涙が流れました。(妻夫木さんとは)関係性上、作品の中でお互いにマイノリティということがあります。ですから、芝居をしながら、彼の前には立たないということをすごく意識していました。マイノリティであるということで、優馬にはジレンマみたいなものがありました。僕と向き合ってしまうと、それが鏡になって、自分と向き合わなければいけないという状況が生まれてしまう。それを現場ですごく感じていて、食事をするシーンだとか、何か遠く海を眺めるにしても、二人で同じものを見るということをすごく心がけていました。なので、直人を通して、正面を見るということをしていなかったんです。とうとう真正面になってしまうところがありますけれど、その時にはもう涙が止まらなかったですね。ようやくしっかり顔が見られたなって感じがしましたね。

MC:沖縄チームはどうでしたか?

森山さん:
疑われる三人のうちの一人でしたが、誰しもが欠落している部分があったり、痛みを感じていました。その時にたまたま出会った泉ちゃんという存在に、その穴を埋めてもらっていた感覚が僕の中にはありました。その気持ちはすごく大事にしていました。

広瀬さん:
田中さんは存在が近いんだけれど近くないような、不思議な距離感でした。でも安心できるというか、自分にない空間を持っていて、憧れのような思いが撮影を重ねるごとに増えていきました。それがすごく不思議な感覚でした。

MC:現場を振りかえって、監督はいかがでしたか?

李相日監督

このメンバーもちろんそうなんですけど、宝くんが良かったですね。沖縄のすずと...。どうだったの(笑)?


広瀬さん:
監督にいろんな言葉をもらったり、結構戦っていました。(宝くんとは)同じところからのスタートで、それを一緒に乗り越えるという感じだったので、本当に心強かったです。辰哉くんが指先まで汗をかいていたり、そういうすごく生々しい部分がありました。辰哉くんを演じた宝くんがいたから、人と人が繋がってこういった感情が生まれるということ感じられました。

MC:宮﨑さんも、広瀬さんの演技を素晴らしかったと言っていましたね?

宮﨑さん:
もう胸がいっぱいですね...。同じ女性としては、すずちゃん自体がかわいいから、どうにかしてあげたいというか、守ってあげたい気持ちになりました。たぶん観た人はみんな同じ気持ちになるんじゃないかなと思います。

MC:ここからは、観客の方から質問をお願いします。

観客:
犯人の顔は映らず、いろんなシーンが映るんですけれど、どういう風に撮影しているのか知りたいです。

李監督:
犯人役を誰がやっているかにもよりますよね。誰かと誰かと誰かがやっています。観る角度によって、この三人のうちの誰かに見えるような角度とか、サイズとか、手配写真とかも...。

渡辺さん:
背中でわかったりするからね。

森山さん:
手配写真は、すごいですよね。

宮﨑さん:
あれは、すごいですよね。

李監督:
疑っている人の気持ちで観てほしいなって思っています。疑い始める人の気持ちがどういう風になるのかを考えてつくっていました。

観客:
キャストの方、全員に質問なんですけど、監督が怖かったという話を聞いたんですけれど、どうでしたか?

綾野さん:
誤解を恐れずに言いますと、怖いのとはちょっと違います。怖いのではなく、監督は本当を見たいんですね。僕、聞いたことがあるんですけれど、実は監督自身の中で、できあがっているものがあるらしいんです。それを単純に超えてほしいというのがあるみたいです。そして、映画なので瞬間の連続が切り取られます。そこに本当がほしいんですよね。その本当をどう出していくか、ノンフィクションをどう切り取っていくか、という作業を何回も何回もやっていくと、頭もぼーっとしてくるでしょ(笑)? いろんなことはありますが、怖いというのは違うと思います。それを一緒になって全スタッフとつくっているって感じがします。

妻夫木さん:
僕は、李さんとご一緒するのは3回目になります。李さんが描く世界の中では、僕たちは真実じゃなければなりません。でも本当に人を殺すわけにはいかないし、本当にゲイ同士になるわけにはいかないし、ある意味ではやっていることは嘘なんだけれど、映画の中では真実じゃなきゃいけないんです。その時に、"スタート"で演じるのではなくて、その前からその人になっていなきゃいけないんです。それを李さんは自然と求めてくるので、すごく難しいことだと思います。自分自身が役の人物になるために、用意しなきゃいけない、それに対する要求がすごく厳しいというのはあるかもしれません。実際にはそれほど怖くないですがたまに怖い瞬間はあります。僕が最後の方に歩いているシーンがあったでしょ? あれは山手通りに出るんだけれど、李さんは、最後までバックショットで撮りたいという風に言っていました。スタッフはバックショットを撮っているから、僕は山手通りを歩き続けて、知らない人に「わっ、妻夫木だ!」「あっ、泣いている!」って言われながら延々歩いているんです。李さんはなかなかカットをかけない人だから、泣きながら50mぐらい歩いたんですよね。

李監督:
かけなきゃ、やってくれるんですよ(会場笑)。

妻夫木さん:
そういう怖さはありますね(笑)。

渡辺さん:
綾野にも通じるんだけれど、正直なんだよね。僕はやっぱそれなりに何年もやってきたわけで、いろんなアプローチをします。例えば、最初に台本を読んだ時に、「どうも自分とは違うな、これか?」と思ったんだけれど、やっていくうちに、「あれ? こういう感じ、自分の中にあるかもしれない」っていうのを監督は見ているんだよね。そう見ているものを自分でも気がつかないんだけれど、どんどん変わっていくっていうか、離されていくっていうか...。自分でも知らなかった自分ってものに触れちゃうんです。ある意味、それが怖いんです。監督が怖いのではなくて、それを見つめさせられることを怖く感じましたね。でも、それはその役を生きるってことに、直接的に繋がっていくから、常に信じられる。そのプロセスでは、痛い瞬間とかがあるんですよね。それが、なかなか稀有な監督さんだと思って、僕は続けて作品に出演させてもらいました。

宮﨑さん:
私も皆さんと同じで怖いとか、怒鳴られたり、怒られたりとか、そういうことは一切ないです。それよりも無言の時間が長くて...。

渡辺さん:
笑っていないっていうのが怖かったね。

宮﨑さん:
笑っていても怖かったです(笑)。でも監督が怖いというよりも、監督が追いこんで愛子に寄り添ってくれているのに、それに自分が応えられていないというもどかしさだったり、悔しさみたいなものがたまっていくような感じでした。監督は、全力で役者に寄り添ってくれるような方で、全てを見てくれる方なので、皆さんが絶大な信頼を置く理由は、ご一緒させてもらって実感した部分ですね。

松山さん:
現場で頭がグルグルになるんです。そういう感じにさせてくれるっていうのは、僕はすごく貴重な経験をしたと思いますし、とても大事なことだなと思っています。

渡辺さん:
すず、何でも言っていいよ。好きなだけ言っていいよ。

広瀬さん:
思う存分、苦しみました。監督の些細な行動を見て、気持ちをリセットしていました。(笑)

森山さん:
「バカヤロー」って叫んでいたもんね。

広瀬さん:
「監督、バカヤロー」って叫んでいいって言われて...。

森山さん:
監督に「バカヤロー」って叫んでいいんだぞって言われて、本当に叫ぶって怖いよね。(笑)

広瀬さん:
本当に叫んでいいのかなって思いました。でも泉という女の子の味方でいてくれて、初日はカメラを回さず、次の日にカメラを回してもらえたんです。その時に監督がこっちを見て頷いてくれました。それが本当に心強かったです。「あっ、始まるんだな」と思いました。怖いとは違うんですけれど、会うと話せなくなる感じです。

渡辺さん:
今なら逃げられるかもしれないって、思ったんでしょ?

広瀬さん:
はい、常に考えていました(会場笑)。人生で一番悩んだ気がします。監督、私がここで逃げたらどうなるんだろうって...。

李監督:
でも、こっちの船の方が早いからね。

森山さん:
こわっ! 怖いわ、やっぱり(会場笑)。

妻夫木さん:
それ、怖いですよ。そういう映画を撮ればいいじゃないですか。(笑)

森山さん:
そんな彼女を横に撮影をしていたので、僕から監督が怖いなんて言えないです。怖いかどうかはわからないですけれど素直で正直だなと思います。正解を出さないというか、脚本があって、セットもあって、全部のシーンでやることは決まっていて、言葉を吐いてしまえば情報は伝わります。けれどそこに対して、どういう言い方をするかとか正解をつくらないし、決めない。でも監督の中にはあるんです。その先を待つという行為をみんなでずっとやっているんです。ただやるのではなくて、スタッフの人たち全員にもそこから先のクリエイティブの部分が求められている感覚がありました。だから、こんなに過酷な現場だったんです。時間が遅くなったりだとか、何度も繰り返すだとかしました。でも、監督が見たいものがその先にあるんです。それを求めていることもわかっています。もちろん求められればやりたいし、そこをうまく転がされていたんですよね(笑)。でも、だから、みんなすごく疲弊していくんだけれど、文句を言わない。頭がぐわんぐわんしてくるんだけれど、自分自身がやっていることから意識がはがれていった時にOKが出ていました。怖さと言ってしまえば怖さかもしれない、でも丁寧なクリエイティブな作業だと僕は思ったので、苦しくもあり、楽しくもありましたね。

李監督:
何も言わない方がいいですね(笑)。このメンバーが演技が上手いとか、誰もが知っていることなので、その先に行こうって思いました。「全員で見たこともない場所へ行こう」っていうのをどう共有するかっていうのが一番大事かなって思っていました。

MC:LINE LIVEからの質問です。自分の役以外で演じてみたい役は? 一斉に指を指してください。せーの!


綾野さん:
僕ですか?

渡辺さん:
直人。

妻夫木さん:
僕、謙さんと...結構大変です。

渡辺さん:
違うよ(会場笑)! 感覚的に、この青春世界ってすごく素敵だなってことですよ。そんな拒絶はないだろ! 妻夫木!

妻夫木さん:
拒絶ではないですけれど(笑)。

綾野さん:
年齢差は関係ないですから。

渡辺さん:
他は?

綾野さん:
僕は、ごめんなさい。直人以外、どうにも考えられない。

松山さん:
僕は、愛子かピエール瀧さんですね。

渡辺さん:
愛子に失礼じゃないか?

松山さん:
どっちも素敵な役だと思います。

宮﨑さん:
私も選べなかったです。

広瀬さん:
自分以外だったら、と思うと、綾野さんの役がすごく...。

渡辺さん:
一番キレイな純愛な気がするもんね。

綾野さん:
いろいろありますけれどね。

森山さん:
僕は愛子さんです。どういうことになっているんだろうって、僕にはわからないので覗いてみたい気持ちにはなりました。

MC:最後にメッセージをお願いします。

渡辺さん:
映画を観てもらった後なので、きっと何かを受け止めてもらえているんだろうと思っています。僕もあおいちゃんもそうなんですが、2回目を観ると、また違うところにより温かいものや違うものを感じてもらえる、そういう映画だと思います。もちろん、自分のジェネレーションや心境みたいなものが変わると受け止め方が違うと思います。全ての方に答えが見つかるんじゃないかなと思います。本当に大勢のキャスト、スタッフが身を削るような想いで撮影をしました。僕は、李相日という監督は本当に日本の宝だと思っています。その宝が撮った素晴らしい映画です。また、お友達にもぜひ勧めてください。本当にありがとうございました。

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