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「おおかみこどもの雨と雪」から3年 全世界待望の最新作発表!

2014年12月11日

「バケモノの子」発表記者会見

<左から、齋藤優一郎プロデューサー、細田守監督、門屋大輔エグゼクティブプロデューサー、奥田誠治ゼネラル・プロデューサー>

前作「おおかみこどもの雨と雪」が観客動員344万人という大ヒットを記録した細田守監督が、新たに"父と子"をテーマに、冒険を通して成長を遂げる一人の少年の姿を描くアニメーション映画「バケモノの子」が、来年2015年7月11日に公開されることになりました!

舞台は渋谷。動物の顔をしたバケモノたちの世界に迷い込んでしまった少年は、バケモノ・熊徹に弟子入りをする――。これまで田舎を描くことが多かった細田監督が都会を舞台に、アクションシーンたっぷりに子どもの成長を描く本作。細田監督自ら脚本も手がけるなど、新たな試みがいっぱいの意欲作となる予定です。

本作の発表が12月11日、東京・日比谷の東宝本社にて行われ、細田守監督ほか、奥田誠治ゼネラル・プロデューサー、門屋大輔エグゼクティブプロデューサー、齋藤優一郎プロデューサーが登壇いたしました。本作に懸ける細田監督の意気込みと、作品に込める熱い想いが存分に語られたその模様をレポートいたします。

【記者会見(挨拶順)】

奥田誠治ゼネラル・プロデューサー

平素は細田守監督作品を応援してもらい、本当にありがとうございます。「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」、作品毎に国内の興行収入はもちろんのこと、海外での広がりも本当に素晴らしいことになっています。これも皆様に応援してもらったおかげだと思っております。
今回「バケモノの子」で、今まで以上の展開を図っていきたいと考えております。特に海外ではGaumont(ゴーモン)社と提携もしまして、そちらで広く展開していこうと考えております。世界中の人々に、細田監督作品の良さが伝わるように、いろいろなことを考えてやっていきたいです。
今日はお披露目の場でもありますし、この作品は子どもから大人の方まで感動してもらえるような本当に素晴らしい作品になると思っております。夏の公開に向けて、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
門屋大輔エグゼクティブプロデューサー

先ほど予告にもありましたが、舞台は渋谷、それから新冒険活劇ということで、シナリオと絵コンテを少し拝見いたしました。素晴らしい作品になると確信しております。今回は日本テレビとスタジオ地図の共同幹事作品ということで、スタジオ地図さんとタッグを組んで盛り上げていきたいと思っております。細田さんの作品は「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」に続く3作目になり、ホップステップジャンプと思っております。来年の夏は日本テレビフルMAXでこの映画を盛り上げていきたいと思います。ぜひご支持いただければと思っております。
齋藤優一郎プロデューサー

僕らは、映画は一本一本だと思って、一生懸命作っております。今日また新作を持って皆様の前でこのような場を持たせてもらえるというのは、ここにいらっしゃる皆様と、前作「おおかみこどもの雨と雪」をたくさん観てもらったファンの方々、関係者の方のおかげだと思っております。本当にありがとうございます。
先日、監督から絵コンテの最終パートが上がってきまして、それを見たんですけれども、親子が一緒に楽しめる夏の王道アニメーションになっているな、そして爽やかな映画だなと思いました。ぜひその辺りのことも含めて、細田監督にいろいろな話を聞いてもらえればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
細田守監督(兼原作・脚本)

「バケモノの子」という映画を、今度製作することになりました。前作「おおかみこどもの雨と雪」は、皆さんに記事にしてもらったおかげでたくさんの方に観てもらうことができました。本当にありがとうございます。そこで新しい映画を作るということになった訳です。内容を簡単に説明しますと、親と離ればなれになった少年がバケモノと出会って、そこに弟子入りして修行するという「修行モノ」です。そして、修行していく間に、いろいろと大きく変化、成長していくというような少年の「成長モノ」でもあります。
前作も含めて僕は女性を主人公にすることが多かった訳ですが、少年が勉強したり修行したりしてだんだん成長していくというのは、一見王道のようで案外今の時代はなかなかそういう作品を作ることがないのかなと思うので、王道のようでありながら新鮮な形で観てもらえる内容になるのではないかと思います。少年とバケモノ、熊徹(くまてつ)というんですが、この二人が共に修行しながら共に成長していく物語を考えております。ぜひ完成まで頑張って作っていきたいなと思っていますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。


Q:今のアニメは少女キャラクターを前面に押し出したものが多く、ある種のマンネリズムも感じるのですが、そういったものへの現状に対する不満もあって、このような作品を考えられたのでしょうか?

細田監督:
現状への不満というよりは、映画を企画する時って、新しいものを思いつくことによって「この映画を作りたいな」と思う訳です。たとえば少年が修行して成長するなんていうのは、僕らが子どもの頃はいっぱいあったと思うんです。僕の世代で言えば、ブルース・リーやジャッキー・チェンの映画であったり、ある種の剣術モノもそうだと思うんです。そういった自分が子どもの時に観ていたようなものが今ないなと。そうすると、今の子は何を観て育つんだろうかと思ったりするんですね。前作の「おおかみこどもの雨と雪」の時も、「子どもを育てるお母さんというのは大変な思いをして育てている、それが素晴らしい...という映画がないな」と思って作ったところもありました。
今回は子どもがどうやってこの世の中で成長して大きくなっていくのだろうということを考えました。自分が2歳児の親であることもあるんですが、子どもというのは親が育てているようでいて、実はあんまりそうではなくて、もっとたくさんの人に育てられているのではないかなという気がするんですよ。父親のことなんか忘れて、心の師匠みたいな人が現れて、その人の存在が大きくなっていくだろう。そうしたら、父親、つまり僕なんかのことなんて忘れちゃうかもしれない(笑)。それが微笑ましいというか、それぐらい誇らしい成長を遂げてくれたら嬉しいなということを自分の子どもに対して思うんです。子どもがたくさんの人から影響を受けて成長していく様を、この映画を通して考えていきたいなと思ったというのが、一つのきっかけです。そういう映画はあるようでないと思うので、そこがすごくチャレンジではないかと思います。うまくできたらいいなと思って頑張って作ろうと思っています。


Q:今「ジャッキー・チェンの映画」というキーワードもあって、スポ根モノを思い起こしたりもしたんですが、特にベースになっているものがあるという訳ではないんですか?

細田監督:
そうですね。言ってみれば、「修行・成長・アクション映画」かな(笑)。これ、一言でまとまっているんですかね(笑)。アクションシーンがすごく多いんです。なので、最初はジャッキー・チェンの「蛇拳」など、プリミティブなものを新鮮だなと思って参考に観ていたんですけれど、作っていくうちにいろいろなことがあって、必ずしもそれがベースになっていくとは言えないです。

Q:「バケモノの子」というタイトルに込められた想いを教えてください。「子」という字が使われていますが、それは一般的な「子ども」という意味なのか、血を受け継ぐ者という意味なのかも含めて、お聞かせください。

細田監督:
ポスターのビジュアルから見ても、どう考えても(熊徹と少年は)種別が違います。熊徹はクマのような顔をした剣士です。「バケモノ」という人たちがいて、わりとみんな動物の形をしているんですが、彼らがいる世界がもう一つ別にありまして、そこにこの人間の男の子が弟子入りする。それで「バケモノの子」、タイトルはそういう意味です。「子」というのは「人間」だったり、小さい人ということもあります。血縁関係はもちろんないです。「おおかみこどもの雨と雪」では、そういう(異形のもの同士が血縁関係にある)感じがありましたが(笑)。まったく異質なものが二人組み合わさって、その中でどういう展開になるのかということが、このタイトルに込められています。あと、「バケモノ」の中には「ケモノ」という字が入りますので、だいたいは哺乳類が出てきております。そういう世界が人間の世界とはもう一つ別にある。渋谷と重なるように「渋天街(じゅうてんがい)」という街があり、そのバケモノの世界で修行するということになります。

Q:これまで「時をかける少女」では青春、「サマーウォーズ」では家族、「おおかみこどもの雨と雪」では子育てといったテーマがありましたが、今回の映画のテーマを一言で表すなら?

細田監督:
大きくテーマのようなものを言うならば、「おおかみこどもの雨と雪」は母親と子ども、「サマーウォーズ」は親戚だった訳ですけれども、今回は父と子になるのかな(笑)? という気もします。

Q:なぜ渋谷が舞台なのでしょうか?

細田監督:
この映画は渋谷区から一歩も出ない映画になるんですよ(笑)。それにこだわっていると難しい問題がいっぱい出てくるんですけれども、区内で済ませようということにしております(笑)。今まで「サマーウォーズ」では長野県上田市、「おおかみこどもの雨と雪」では私の地元の富山県を舞台にしまして、田舎の風景の中で物語を作ってきました。そこから一転方向性を変えまして、都市のど真ん中で冒険をしてみようと。つまり、冒険をするとなるとどこか外国へ行くとか、今住んでいるところと違うところへ出かけていくというのがあると思うんです。けれど実は僕らが慣れ親しんだ街の中にワクワクするものが潜んでいるのではないかということで...ご承知のように渋谷というのは非常にたくさんの人が集う場所であって、常に変化している魅力的な場所でもあります。そういうところを縦横無尽に使おうということになりました。渋谷というのは、ポスターにもある駅前だけではなくて、幡ヶ谷とか、代々木公園とか、それも渋谷区ですよね(笑)、そういったところでいろいろな出来事が常に発生し続けていくという、そういう都市空間としての渋谷を舞台にやっていこうというのは挑戦でもあります。非常に冒険に適した場所だなと今作りながら実感しているところです。

Q:新宿など他の都市は考えなかったのですか?

細田監督:
アニメ界は伝統的に新宿を舞台にすることが多いんですよ。なぜかというと、制作スタジオが中央線沿線に多くて、行きやすいという(笑)。そう考えると、渋谷というのは映画の舞台には案外なっていないんです。新宿は本当に多いんですけれど。渋谷を舞台にしようと決めた時に、渋谷を舞台にした映画を参考に観たいと思ったんですけれど、他の場所に比べて(渋谷が舞台の映画が)ないというのが、まだまだ映画の舞台にした時に魅力を掘り下げられるんじゃないかと思いました。有名でありながら、映画の舞台として新鮮であるというのを、作りながら改めて思っているところです。

Q:Gaumont社と提携して海外配給を行うということですが、なぜGaumont社だったのでしょうか? 海外戦略の具体的なプランがあったら教えてください。また、その先に見据えているものは何かあるのでしょうか?

奥田プロデューサー:
Gaumont社がなぜ良かったのか。もちろん、日本チームでよくよく相談して決めた訳ですけれども、大きな理由は、彼らから「『おおかみこどもの雨と雪』を観た時にみんな涙を流して感動して、『この作品を作る監督のものは自分たちが(配給を)やってみたい』という強い気持ちを持った」という話を聞いて、何回も打ち合わせを重ねた上で、一緒にやっていくのが一番よかろうということになったからです。
「サマーウォーズ」からそうですが、まずは一人でも多くの人に細田さんの作品を観てもらいたい。観てもらえた人には世界どの国でも感動してもらっています。皆さんいろいろな感想を送ってくれますけれども、もっと多くの人に観てもらいたいという気持ちがすごくあります。まだまだ監督の作品が知られていないところもたくさんあるので、それを今回Gaumont社と一緒にやることによって、世界中にくまなく広げていきたいなと思っています。スタジオ地図作品はまだまだのびしろがたくさんあります。なので少しでも力を合わせて一人でも多くの世界中の人に観てもらいたいなと思っています。そこが今回の大きな違いです。海外の賞を見据えるとかそういうことよりも、とにかく一人でも多くの人に観てもらうことが大事だなと思っています。観客一人一人の積み重ねですね。


Q:少年の肩に乗っているものは何なのでしょうか?

細田監督:
ご指摘の通り、肩に不思議な生物が乗っていますが、これはマスコットですね。名前は「チコ」と言います。小さいので「チコ」という名前なんです。この子と、主人公の男の子は常に一緒におります。今回は冒険活劇ですので、そういう時には必ずパートナーが必要なんです。もちろん熊徹もいるんですが、当然ホッとするようなキャラクターも映画には必要です。常に愛らしく気持ちをほぐしてくれるようなものと一緒に冒険をする。そういう設定であります。

Q:「おおかみこどもの雨と雪」は先日亡くなった菅原文太さんの遺作となりました。一緒にお仕事されたことによって、菅原さんから学んだ精神などがありましたら、お悔み的なコメントも含めてお話いただけますでしょうか?

細田監督:
菅原文太さんですが、訃報を聞いた時にはすごくビックリいたしました。それで思い出したのが、「おおかみこどもの雨と雪」のアフレコでお話したことですね。その現場で文太さんが言うんですよ、「これからは映画を作っても意味がないじゃないか」と。これはいろいろな場所でお話されていたことですけれども、アフレコ現場でですよ(笑)。そこで僕は「いや、意味があると思います。震災とかいろいろなことがあって、そういう気持ちも分かるけれども、これからは映画を作って、映画を楽しむということに意味があるんだ」ということを、文太さんを目の前にして長くお話する機会がありました。
そう話すことによって、僕らはなぜ映画を作るのか、人はなぜ映画を観ようと思うのか、みんなが必要とする映画というのはどういう映画なんだろうか、文太さんは「映画を作る意味がないよ」と言うんだけれども、それでもこのアフレコ現場で演じてもいいと思う映画とは一体何か、ということを突きつけてくださったと思うんですね。それに対して僕がどんな風に応えるかということが、文太さんから託された永遠の課題といいますか...そんな風に思いましたね。文太さんがアフレコ現場に来てもそうおっしゃるということは、映画というものをいかに真摯に考えているかということだと思うんです。


奥田プロデューサー:
アフレコに入るまでに2時間話していましたよね(笑)。

齋藤プロデューサー:
3時間ですね(笑)。

奥田プロデューサー:
なかなか始まらなくてヒヤヒヤしましたよね(笑)。

細田監督:
でも、僕としてはすごく教えられたなあというか、突きつけられたというか、何か託されたなあと思いました。つまり、すでにその時に引退宣言をされていたんです。引退宣言をされていたのにこのアフレコに来てくださって、「映画を作る意味がない」とおっしゃる。その意味というか、重いものをすごく感じましたね。それは今もすごくありまして、それを心の中にいつも思いながら映画を作っていくことになるんじゃないかなと思います。

Q:今回は脚本家を起用せずにご自身で書かれていますが、何か意味があるのですか?

細田監督:
ちょっと自分でやってみようかなと(笑)。アクション映画ですので、物語の部分だけではなくて様々な要素でアクションを引き立てたり、全体的なバランスがありますので、これも一つのチャレンジとして取り組んでいこうかと思っています。もちろん優秀な脚本家がいた方がいいに決まっているんですけれども、今まで奥寺佐渡子さんというすごく優秀な脚本家の人におんぶにだっこで甘えてしまっていたんです。今回は修行モノということで、自分も修行するつもりで頑張っていこうかなと思っています。ちょっと奥寺さんに読んでもらったりもしているんですけれど、基本的には僕の修行です(笑)。

Q:一作毎に興行収入が増えていますが、今回の目標はありますか?

齋藤プロデューサー:
興行収入というのは、監督とプロデューサーに責任があると思います。けれど、一番良い形で映画を作って、一番良い形で世に出していくことに、毎回全力でやってきました。前作がこれぐらいいったから、今回はこれぐらいいくのではないかということは、作品も違いますし間違いだと思います。そこは背筋を正して引き続き頑張っていくつもりです。ただ、先ほど監督も「王道と言いながらも新しいもの」という話をしていましたけれども、プロデュースチームとしても監督のそのチャレンジと同じぐらいののびしろで新しいチャレンジに取り組みます。先ほどのGaumont社と組んで海外でやっていくという話もそうです。ありとあらゆること、細田監督とやってきた10年の中で生まれた3作品も含めてたくさんの方々に観てもらうということを、考えております。持っている弾を全部撃ち尽くして来年の夏は頑張りたいと思っております。

奥田プロデューサー:
門屋部長も司令塔として秘策があるんだけれど、まだ言えないんだよね(笑)。

門屋プロデューサー:
たくさん秘策を用意しておりますので(笑)。具体的な興行収入などお金の話は言うべきものではないと思いますが、先ほども言いましたように、とにかくホップステップジャンプで、監督と良いものを作り上げて、一人でも多くの人に観てもらえるよう、施策をいろいろとしていきたいと思っています。

Q:監督にとってアニメで表現するということはどういうことなのでしょうか? アニメにこだわる理由をお聞かせいただければと思います。

細田監督:
先ほど、なぜ動物なのかと聞かれたりもしたのですが、自分の子どもに絵本を読むのが僕の役割なんです。子どもの絵本って動物がものすごくたくさん出てくるんですよ。子どもと動物が触れ合って、子どもがいろいろなことを学ぶというのが、絵本の中にものすごくたくさん描かれている。子どもは、人間よりも先に動物と出会うんじゃないかと思うぐらいに、動物モノが多いと思うんです。人間同士の触れ合いを描いたものもありますけれども、動物モノの方が多い。そういうものを読んでいると、人間の成長の中に動物というのはすごく重要なんじゃないかということを考えました。
今回、修行先を一種の動物世界といいますか、動物の顔をしたバケモノ世界としたのは、動物にはやっぱり何か人間の成長と関連のあるものが隠されているんじゃないかと思ったからです。そして、それを表現するのにアニメーションというのは最も適していると思うんです。世界の大きなヒミツみたいなものを大きくワッと掴むというのに、アニメーションというのはコンセプチュアルに適しているんじゃないかなと思います。それが僕がアニメーションを好きなことの一つでもあります。よく海外に行きますと、「なぜ手描きのアニメーションをずっと続けているんだ」という質問が必ず来るんです。それでも「それでしか表現しえないものがある」としか言いようがないと思うんですね。この場合でも、動物の顔をした人をCGでやったり特殊メイクでやったりする方向もあるでしょうけれども、もっと描きたいのは心の中でどうつながるかということで、それを表現したいと考えた時に、やはりアニメーションの絵柄同士でそこを描いていきたいというのがあるんじゃないかなと思います。


Q:前作も今作も、主人公はマイノリティに分類されると思いますが、監督はマイノリティ経験がおありなのでしょうか?

細田監督:
マイノリティ観ということですが、いじめられっこの経験はあるということで、マイノリティの経験はあると言っていいのかな...(笑)。僕は絵を描くのが昔からすごく好きでした。絵を描く楽しさって、小さい時にみんなと共有できるかというとそうじゃないような気がするんです。絵を描くって、内省的に、自分の世界に閉じこもって描くものですから、そういう意味では一人ということが多いかな。でも、その一人の中で自分の世界を育ててきたなあということもありますし、そういう部分が何か作品に反映しているのかなとも思います。
でも、これは個人的な考えですけれど、もともとマイノリティ、マジョリティと言ったって、二人と同じ人はいない訳です。そういってみれば全員がそれぞれ違う訳で、人間が一人一人違うということが多様性とダイナミズムを生んでいて、マイノリティ、マジョリティということにあまり意味はないと思います。それよりも、ある誰かの特別な事情と、それを通して描かれるべきみんなに共通して起こる出来事、みんなが共通して思うことをどう描くかというのが大事なんじゃないかなと思います。


Q:今回はアクション成長モノということですが、アクションで成長するということは、何かと戦うのでしょうか? どのようにして成長を見せるのか、お聞かせいただければと思います。

細田監督:
それは大ネタバレになるので(笑)。もちろん戦います。見えない敵と戦う訳ではなくて、ちゃんと魅力的な敵がいます。敵というより、かたき役かな。たっぷりとアクションを見せて、その中で主人公が変化して成長していく。ただ、やっぱりいくつもアクションシーンがあると、シーン毎に趣向を凝らして見せなきゃいけないので、いろいろな種類のアクションを考えるのが大変ですね(笑)。でも、非常にバラエティに富んだ戦い方があって面白くなっているんじゃないかなと思います。

Q:チラシやポスターなどに「新しい」という言葉が頻繁に出てきます。これまでのお話で、細田監督の新しいチャレンジについてはよく分かりましたが、「新冒険活劇」の「新」がどういうことなのかをお聞かせください。

細田監督:
時代の変化というか、価値観の変化って、僕らが思っている以上に激しいと思うんです。親戚をモチーフにしたり、母と子をモチーフにしたりしてきましたけれども、それだって昔と同じではない。当たり前にあるようなことだって常に変化していく。それを映画というのはすごく反映してしまうと思うんですよね。それぞれの時代をね
その中で今回アニメーションを描くとなった時も、これは企画書に書いたことでもあるんですが、常に世の中が変化している、そんな中で今、一番思うことは「少子化」ということ。少子化で、子どもが減って、大人が多い社会の中で、子どもがどういう風に育っていくのか、どう成長していくのか。子どもを見つめる眼差しを大人はどう持っていくのか。これは昔と変わらざるを得ないと思うんです。これからもどんどん変わっていくと思います。その変化の中で、子どもの成長を大人がどう祝福して、どう見守って、どういう態度でいるべきなのか、それは昔と変わらざるを得ないと思うんです。そういう点で「新」ということになるんです。


Q:ということは、時代を反映した「新」なんですね。大人と子ども、親と子どもの新しい関係性が描かれるという...。

細田監督:
そうですね。その想いがすごく強いんです。なぜバケモノなのかというと、人間同士ではなくて何か違うところに、僕らが変化する時代の中でどういう眼差しで子どもを見つめるのかというヒントを、この映画を通していろいろ考えていけたらいいなと思っています。それが「新」ということであり、それを、活劇を通してやるということで「新冒険活劇」ということになりました。

Q:声優のキャスティングについて考えていることがあれば教えてください。

細田監督:
キャスティングはこれからなんです。どうなるか分からないです。ただ、今回の登場人物にはわりと大人が多いんです。それもおじさんが(笑)。今まで僕はオーディション主義だったのですが、それがどうしてできたかというと、登場人物が若いからだったんですね。若い人はオーディションに来てくれますから。それが今回は年配のキャラクターが多いので、どうしようかなと考え中なんですよ。

齋藤プロデューサー:
そうですね(笑)。まだ考え中です。いい人にお願いできるといいなあと思います。いい人というだけじゃなくて、このキャラクターに合っている人を探していければと思っています。

細田監督:
そうですね。途方もないことですね(笑)。

Q:今回のキャラクターデザインはどなたですか?

細田監督:
今回、キャラクターデザインという項目はありません。山下高明、西田達三という作画監督が担当していますが、項目はないです。

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