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三池崇史監督×リリー・フランキー "大人のオトコたち"による今宵限りのトークショー開催! ディープすぎるトークが炸裂!?

2014年11月06日

「神さまの言うとおり」ビルボードライブ東京トークショー

<左から、三池崇史監督、リリー・フランキーさん>

11月6日、飲酒喫煙OKの自由な空間で映画を楽しむ「三池崇史監督 presents 大人だけの空間」で、突如として始まった命がけのゲームに翻弄される高校生たちの姿を描いた「神さまの言うとおり」が上映され、三池監督と本作に謎のホームレス役で出演したリリー・フランキーさんがトークショーを行いました。

三池監督恒例のイベントも今回で13回目。ざっくばらんな空間とあって、ここでしか聞けないようなさまざまな話題が飛び交い、終始笑いが巻き起こりました。三池監督とリリーさんの予測不可能な際どいトークショーの模様をレポートいたします。

【トークショー(挨拶順)】

三池崇史監督

今日はようこそお集まりいただきました。今日、上映するのは「神さまの言うとおり」という作品で、11月15日から東宝系で公開します。ちょっと仕上げるのに時間がかかったので公開に間に合わないんじゃないかと思ったんですが、なんとか間に合いました。日本でお客さんに観てもらうのは今日が2回目です。皆さんの反応次第でこの映画の興行が決まると思います。楽しんで行ってください。そして、今日はゲストにお越しいただきました。
リリー・フランキーさん(謎のホームレス役)

僕もこの後、皆さんと一緒に映画を観るんですが、台本を読んでいる限り、相当陰惨な映画なので、ご飯を食べながら観るような映画じゃないですからね(会場笑)。

三池監督:
世界中で1000万人の高校生が死んでいるという設定から始まりますからね。最初はちょっときついかなと思うかもしれないですけれど、最初だけですから(会場笑)。

リリーさん:
「殺し屋1」の時でしたっけ、お客さんにエチケット袋を用意したのは。今日はないですね(会場笑)。

三池監督:
ないです(笑)。まあ、冒頭ちょっとインパクトがあるけれど、R-15作品なので高校生から楽しんでもらえます。本当は中学生が一番楽しめると思うんだけれどね。自分が中学生だったら、絶対に観たなあ(笑)。

リリーさん:
ということは、今日は15歳以下の人はいないんですね。(目の前に座っていたお客さんに向かって)彼なんて精神年齢小学生ぐらいに見えるけれど(会場笑)。

三池監督:
では、試写会前のイベントなので、まずは映画の内容から。原作を読んだことがある人はいますか?

リリーさん:
知っている人もみんなに犯人を言わないようにしてくださいね。

三池監督:
じゃあ、知っている人はリリーさんが何の役をやっているか、だいたい察しがつくね。それしかないということで、俺もキャスティングしたから。

リリーさん:
予告編を観た友達から「あれはどういう話なのか?」とよく聞かれるんですけれど、なかなか説明しづらいんですよね。

三池監督:
特にリリーさんの役柄って、撮っている俺たちも、演じているリリーさんも、本当は何なのか分かっていないもんね。

リリーさん:
ホームレスの役でいろいろエクステンションとかつけてボロボロにしているんだけれど、スタッフの人に「自然」って言われたもんね(会場笑)。褒められているのか何なのかよく分からない(笑)。

三池監督:
でも、それは自然だったよ。登場人物の中で最も自然なキャラクターであることは確かです。

リリーさん:
俺が嬉しかったのは、三池さんは毎回、映画を撮る毎にスタッフTシャツを作っているんですけれど、俺の写真をスタッフTシャツの背中に「バーン」とプリントしてもらえたんですよ。

三池監督:
ええ、そうです。「使わせてもらっていいですか?」と聞いて。そのおかげでスタッフも妙なパワーが出て、寝なくてもいけるぞという感じでした(笑)。感謝しています。

リリーさん:
(三池監督の作品に)今回、呼んでもらったのは2回目なんです。その作品の後に「三池さんからまたご連絡がありまして、ホームレスの役らしいです」と事務所から聞いて、すぐ「やる」と言いました(会場笑)。自然に入っていけそうだったんです。

三池監督:
そう、実は2回目なんですよ。

リリーさん:
やっぱり三池さんの「極道」とタイトルに付いた作品にはなんとしてでも参加したい(笑)。

三池監督:
しかも暴れまくりですよ(笑)。暴れてキレまくるリリー・フランキーなんですよ。

リリーさん:
そうなんです。初めてアクションシーンをやらせてもらいましたけれど「俺、結構いけるんじゃないか?」と思いましたよ(笑)。気分はもうJAC(旧ジャパンアクションクラブ)でしたから(会場笑)。

三池監督:
そこで暴れてもらったので、「神さまの言うとおり」ではほとんど何もしていません。一番大きいアクションが、ラジオをちょっと叩くという(会場笑)。しかも、セリフもない。それでいながら脳裏から離れないような印象を残すんです。

リリーさん:
クランクインが夜中の2時入りだったんですよ。それで、朝の5時半からやるというんですけれど、ずっとエクステンションをつけたりヒゲをつけたり、支度に2時間半ぐらいかかるんですよ。それで5時半ぐらいになって、さてという時に「雨で中止になりました」って、またゆっくりエクステンションを外して、ひさしぶりに無益な徹夜をしました(会場笑)。

三池監督:
でも、毎晩徹夜していますよね? 究極の夜型ですから。

リリーさん:
そうですね。でも、映画の撮影とかしていると朝起きるじゃないですか。だいたい俺は夕方起きて、仕事して、夜中から飲みに行って朝までだから、どうしようもない人としか会わないんですよ。平日に朝まで飲んでいるようなヤツなんてねぇ。それが映画の撮影で朝起きて、昼間に銀座とかこの辺を走ると、かわいい人がいっぱいいるんですよね(会場笑)。

三池監督:
そもそもリリーさんが役者をやっている時ってどういう感覚なんですか? 楽しいんですか?

リリーさん:
三池さんが映画を撮っているのを見に行きたいという気持ちが一番強いです。

三池監督:
でも、俳優としても昨年もすごかったじゃないですか。いろいろな賞をとったり。まあ、賞はやった結果としてついてくるものですけれど。「そして父になる」なんてため息が出ましたね。リリー・フランキーの存在感に。

リリーさん:
ありがとうございます。「凶悪」も褒めてくださって。ここで白石(和彌)監督とやった時に。

三池監督:
「凶悪」も大好きで、「凶悪」のリリー・フランキーにもしびれました。僕ら映画を作っていますけれど、客として観る時は物語もそうなんだけれど、結局は人、役者を見ているんですよね。役者が映画の中で生きて物語を展開していくから。となると、リリー・フランキーって台本から生まれたキャラクターじゃない役を演じられる、稀有な役者だと思うんですよね。何なんですかね?

リリーさん:
何も考えていないです(笑)。僕、小室哲哉さんと一緒にザ・ローリング・ストーンズのコンサートを見に行ったんですよ。知り合いの人から当日にチケットあるよと言われて。その前の日に小室さんから「『アナと雪の女王』観に行かない?」というメールをもらって、「ん~、それはどうかな」と思っていて、当日に「ザ・ローリング・ストーンズ見に行かない?」と言ったら「行くー」と言うので、ザ・ローリング・ストーンズを見に行ったら、すぐ隣の席に三池さんがいらしたんですよ。初対面だったんですけれど、小室さんがすごく純粋で、物怖じしない社交的な人なので「三池さん、三池さーん、終わったらみんなで飲みに行きましょうよ」って、俺ら初対面なのに3人で飲みに行くことになったんですよね(笑)。その時に、「リリーさんが映画に出る基準は?」と聞かれたので、「やっぱり知り合いの監督とか、好きな監督に呼ばれると、ちょっとお邪魔したいなと思います」と言ったら、「今日から知り合いですか?」と言われたので「そうなりますね」と答えた1週間後に台本が送られてきたんです(会場笑)。

三池監督:
「あ、チャンスだ」と(会場笑)。巡りあわせと言うか。あの場に小室さんがいなければね。

リリーさん:
TK(小室哲哉さん)プロデュースなんですよね、この関係は(会場笑)。

三池監督:
お店にピアノがあって、弾き語りしてね。

リリーさん:
そうそう(笑)。(小室さんが)「『(悲しみの)アンジー』やるかな?」ってずっと俺に言っていたんだけれど、やらなかったんですよね。だから、「小室さん、『アンジー』弾いちゃえばいいじゃないですか」って(笑)。

三池監督:
そうなんですよ。そういう縁で暴れる極道をやってもらって、この「神さまの言うとおり」の原作を読んだ時に「あ、これはリリーさんしかいないな」と思って、出演してもらったんです。で、一度、ローマで上映したんですよ。

リリーさん:
反応は?

三池監督:
ローマはおかしいお客さんが多いんですよ(笑)。

リリーさん:
マエストロ的な賞をもらったんですよね?

三池監督:
「マーべリック賞」という、普通じゃない人にくれる賞をもらって(笑)。

リリーさん:
それはおめでたいですね。

三池監督:
それで上映したら、「やっぱり普通じゃないな」と言われて、その賞をもらった身としてはふさわしい作品を持っていけて良かったなと。ただ、悲惨な出来事は起こるけれど、陰惨な映画ではないので。どちらかというと爆笑ですよ。だから、皆さんも爆笑したいと思ったら遠慮なく爆笑してください。人がどんどん死んでいく中で笑っていいのだろうかと思うかもしれないけれど。

リリーさん:
まあ、人格は疑われますよね(会場笑)。

三池監督:
人が一生懸命やっている時って、客観的に見ると笑えちゃうじゃないですか。でも、荒唐無稽なんですけれど、撮っていて思ったのはすごくリアルなんですよね。人って自意識を持った時にはポジションが決まっていて、親がいて、その関係の中から抜け出そうかどうしようかとか、いろいろな人と出会って、いろいろな壁にぶつかって、それを乗り越えて、またそこから滑り落ちて...ということの繰り返しですよね。それをギュッと凝縮するとこの映画になるんですよ。そこを一緒に旅してもらって、誰が生き残るかという話なんです。で、生き残った先に誰が待っているかというと、リリー・フランキーが待っているという、すごく怖い映画なので(笑)。

リリーさん:
俺、他の共演者の方に1人も会っていないんですよ(会場笑)。しかも、台本も読んだし、撮影にも参加したんだけれど、どういう映画なのか、まださっぱり映像が浮かんでいない(笑)。台本の中には、ダルマとかマトリョーシカのところにシークレットと書いてあったんですけれど、声をやっているのがすごい人たちですよね。

三池監督:
そうですね。ダルマさんは、関西ではいろいろな番組に出演しているトミーズ雅さん。その次に出てくる無駄にでかい巨大まねき猫に前田敦子さん。その次に出てくる巨大なシロクマは山﨑努さん。妙にノリノリでやっているので、声が若いんですよ。言われないと分からないかも。そのほかダチョウ倶楽部の皆さんとか。で、最後は声優陣が締めるんですよ。

リリーさん:
すごいですよね。ドラえもんの人と、ジバニャンですよ(会場笑)。

三池監督:
そう、ドラえもんVSジバニャン(笑)。

リリーさん:
「フレディVSジェイソン」みたいな(会場笑)。

三池監督:
そこで生き残りゲームを展開していく、贅沢な、遊びに満ちている作品なんです。それを福士蒼汰が主演で。すごいですね、NHKに出ると。先日まで地方に行って次の作品のロケをやっていたんだけれど、どんなお年寄りでも福士蒼汰のことは知っている。「(「あまちゃん」の)先輩だろ?」って(会場笑)。

リリーさん:
やっぱり朝ドラはね。ピエール瀧のことを日本中が知っていますからね(会場笑)。朝ドラ、すごい破壊力ですよ。でも、こんなに多産というか、これだけの数の面白いものを撮り続けている監督って三池さんぐらいしかいないですけれど、「よくその量を撮れますね」と言ったら、「暇なのがイヤなの」っておっしゃっていましたよね。

三池監督:
でも、俺は映画の仕事しかしていないですよ。監督の仕事をしていなければ、たぶん助監督をやっていたと思うし、映画の現場に関わる仕事を何かやっていると思います。リリーさんは僕よりやっている作業がはるかに多いと思うんですよね。しかもジャンルがバラバラでしょ?

リリーさん:
でも、全部中途半端ですから。田舎の日用品屋みたいな、ぼんやりしたものが揃えてある感じ。

三池監督:
本業というと何ですか?

リリーさん:
確定申告では「イラストレーター」と書いているんですけれど、イラストの収入が減っているということを税理士も見抜いてますよね(会場笑)。

三池監督:
「おでんくん」をピークに(笑)。でも、作詞も作曲もし、小説だって本屋大賞でしょう? 唯一、似ているところがあるとしたら、あんまり断らないことかなと。

リリーさん:
そうですね。

三池監督:
僕なんかもよく「何でもやりますね」と言われるんだけれど、何でもやれる喜び以上のものがあるのかなと思うのに、映画の人は何でもやる奴は邪道みたいに言われるんですよね。先輩からもよく「お前、仕事を選んでやりたいものをやっていけよ」って。でも、やりたいものってないし、いろいろな話がくるのって幸せだし、断る理由がないじゃないですか。

リリーさん:
やったことがないことをやれと言われるのってすごく幸せですけれどね。

三池監督:
今までやっていないんだけれど、近々やってみようかなと思うことは何かありますか?

リリーさん:
10年ぐらい前から思っていて、なかなか進んでないんですけれど、おじいさんになったらフランスで下着デザイナーになるって決めてます。で、フランスの下着デザイナーになって、フランスのメゾンに入るためにはゲイの方がいいなと思って、50歳になってからゲイの勉強をしているんですよ(会場笑)。女性の下着を作りたいですね。男性下着を作った時は三池さん、モデルで出てください(会場笑)。その時にはゴリゴリのゲイになっていますから(会場笑)。

三池監督:
楽しそうな人生だな(笑)。楽しいですか? 現場では、OKでもNGでもどっちでもいいという感じですけれど。

リリーさん:
現場に行ったら言いなりですから。僕、初めて映画に出させてもらった時に、お芝居したこともなかったのに石井輝男監督に「君はいいね~」と言われて、「あ、何かいいですか?」と言ったら「君はセリフが言えなくても僕がOKと言ったらスッと楽屋に帰っていく。それがいいんだ。マズイ奴は言うんだよ、もう1回やらせてくれって」と。なので、言いなりになることを守っています。

三池監督:
石井さんでしょ? それで次は?

リリーさん:
橋口亮輔さん。

三池監督:
あと、是枝裕和さんだ。「そして父になる」のキャスティングの経緯は、純粋に是枝さんがリリーさんしかいないと思ったから?

リリーさん:
どうなんでしょうね。

三池監督:
でも、オーディションではないですもんね。

リリーさん:
そうですね。俺がオーディションに行っていたら、相当前のめりですよね(笑)。

三池監督:
でも、オーディション的に前のめりに突っ込んだことって今まで何かありますか?

リリーさん:
ないかもしれないですね。

三池監督:
前のめりにならずに、どうしてそんな世の中でグッと絞り出された先っぽにいることができるんですか?

リリーさん:
でも、子どもの時からずっと映画を観るのは好きなので、「あ、この監督でこの脚本は絶対に面白いことになるぞ」って、鼻が利くんですよね。そういう映画には参加して現場を見てみたいと思いますね。

三池監督:
自分にとって面白いものをね。でも、リリーさんが面白いものと、俺たちが面白いもの、見えているものは同じだとしても少し違うかもしれないですよね。たとえば俺が「リリーさんを楽しませる映画って何だ?」と言われたら、やっぱり答えに迷いますよね。

リリーさん:
映画だと難しいかもしれないですね。三池さんは毎回ここでトークをやって、上映しているんですか?

三池監督:
そうです。今回で13回目なんですけれど、タバコを吸ってもいいよという人たちが集まって、お酒を飲みながら楽しめる空間で映画を観るのはどうだろうと。今はシネコンに行っても、どこも同じですよね。ポップコーンの味も変わらないし、似たような音響で均一化されてる。何故だか分からないけれどそういう環境を自ら狭めていく傾向が怖くて、ここは映画館じゃないからと思って始めたのが1回目だったんです。上映が始まってからはタバコはNGで。ただその代わり、喫煙所にもモニターがあるので、タバコが吸いたくなっても続きは観れるようにしたんですけれど。

リリーさん:
こういう映画館じゃない場所で、タバコを吸いながら映画を観ると、秘密めいた感じで印象深くなりますよね。僕、子どもの頃に田舎の公民館とかで「四谷怪談」を観ると、映画館よりも怖かったりとか、覚えてることがありますね。

三池監督:
そう、おじいちゃん、おばあちゃんの家の古びたテレビで観た怪談って残りますよね。今は均一の環境で、みんなが楽しいものをという傾向ですからね。もちろんヒットはしてほしいんですけれど、ヒットするために「福士くんだよね」というのは違うと思うんです。彼みたいな人はこの映画に必要だし、最高の魅力を出してくれているけれど、福士蒼汰がいいからじゃなく、福士蒼汰が出るとヒットするよというキャスティングの風潮は、ヤバいなと思うんですよね。だから、こういう濃いメンバーをぶつけていって、今まで知っている福士蒼汰を超える瞬間をどんどん出してほしい。売れている人たちが、今まで以上に輝く瞬間を作れるかどうかというのが、今、僕らの仕事になっていますね。

リリーさん:
そういえば殺戮のシーンとか、血が出るシーンって、どんどん規制が厳しくなっているんですよね。でも、ゾンビだったらいいけれど、人間はダメというのがあるって話がありましたけれど。

三池監督:
そうです。ゲームなんかは特にそうですよね。ヤクザ同士のゲームって作りにくいんですよ。殴って頭バーンとやって死んだらダメなんです、人間なので。でも、相手がゾンビだと首飛ばそうが何しようがOK。それは人間じゃないから。

リリーさん:
ゾンビもちょっと前まで人間だったのに(会場笑)。

三池監督:
そう(笑)。映画も同じような現象です。この映画は冒頭でほとんどの人が血だらけになるんです。でも、血だらけというのは...と、おじさんたちは考えるんです。楽しく死んでいくシーンはどうだろうとか。何がダメという規制に疑問はあるんですけれど、政治家じゃないので、働きかける余裕はないんですよね。制約があることで初めてこういうシーンが作れるというのもあるし、楽しまないと。そこでぶつかっちゃうと、「何でこの表現はダメなんだ!」と戦わなきゃいけなくなるし、その時間はもったいない。それに、勝ったところで出来上がったものを観たら「これは陰惨ですよね...」ということになっちゃうので、そういう意味では、俺は映倫に育てられた監督だと思いますね。

リリーさん:
でも、そうですよね。監督は「中学生に観てほしい」と言っていましたけれど、僕らが子どもの頃って、三番館とかに何か1つ映画を観に行きたいと思うんだけれど、3本立てになっているから知らないうちにいろいろ見せられて、雑味を摂取したからいろいろなものを理解できるようになったところがありますよね。あんまり子どもを無菌状態にするのは余計良くないと思いますよ。

三池監督:
そうそう。それに、中学生の時は突破していきましたよね。高校生のフリして映画館に入って「エマニエル夫人」を観たんだけれど、併映作が出産シーンを延々撮っているドキュメンタリーで、そちらは医学映画だから映していいの。「すげえ!」と思いながら、「エマニエル夫人」はぼかしが入っているという矛盾、ギャップに、中学生の自分は「何だこれは!」と思うとかね。大人がタバコ吸いながら観ていたり、ゲイの人が横に寄ってきたり、それを含めて映画、映画館の体験だったんだけれど、今はそういう面白さが全然なくなっちゃった。安全ということなんですけれど、ちょっとつまらないなと思いますね。

リリーさん:
映画は15日公開でもうすぐですよね。

三池監督:
そうなんですよ。完成が遅れて、やっとできたんですよ。普通だったら3カ月前ぐらいにできて、試写会やって観てもらって、宣伝もして...ということなんですけれど、その期間が短いので大丈夫かなと。誰も知らないんじゃないかなと思ったりしています。でも、知らないでたまたまこれを観たら面白いよなとかね(笑)。いっぱい若い人に観てもらいたいんですよね。

リリーさん:
でも、監督が「面白くなった」とおっしゃっていたので、楽しみですよ。

三池監督:
面白いんですけれど、それは俺らが決めることじゃないので。だから、試写会でも「一生懸命作りました! 面白いです」とか、あんまり言えないんですよね。面白いものが作れなかった上に、上映する前に嘘をつく監督になりたくないので(会場笑)。

リリーさん:
でも、今日のこういうイベントにわざわざ応募して雨の中来てくださる方たちですから、面白いと思ってもらえる方たちなんじゃないですかね。

三池監督:
そうですね。結構、たくさんの方が応募してくれるんですよ。

リリーさん:
まさか「好き」と言えないのにここに応募している方はいないですよね(笑)?

三池監督:
まあ、最後までじっくりと映画を楽しんでもらえれば。「あのシーンがどうだった、こうだった」と批評する目も必要なんですけれど、子どもの頃になにやっても楽しかったのは、良いところを楽しむことができたからなんですよね。そう才能があった。大人になると悪いところが目についちゃって、「自分はこうだ」と批判する。それは目が肥えたからでもあるんだけれど、映画を観る、楽しむという視点が退化しているからでもあると思うんですよ。その退化しつつある感性を、呼び覚ましてもらえる映画になっていると思うんだけれど...途中でみんな帰っちゃったりしてな(笑)。

リリーさん:
帰る時は自分のビール代ぐらいは払ってもらわないと(会場笑)。でも、監督もおっしゃっていたように、殺戮のシーンでもゲラゲラ笑って観るということがあってもいいと思いますね。

三池監督:
そうなんですよ。ローマの観客なんかは、「え、ここでも笑うの?」というぐらいでしたね。それぐらい、ギリギリのところを楽しんでもらえる最強の映画だと思います。映倫の人は黙っていました(笑)。「R-15でいいですよ。仕方ないですね」と。褒められましたもん、「うまいですね」って(笑)。では、上映時間もありますのでこの辺りで。

リリーさん:
上映時間は何分なんですか?

三池監督:
1時間57分ですね。もともとは2時間20分ぐらいあったんですけれど。だいたい自分の場合、最初に編集したものは3時間ぐらいあるんですよ。それをテンポをあげて切っていくんです。

リリーさん:
それぐらいのペースで切っていったら、俺、出てますかね(会場笑)。

三池監督:
がっつり出ています(笑)。そういう意味では、今日、リリーさんに楽しんでもらえるか、面白いと思ってもらえるかは、自分にとって結構デカいですね。次にオファーした時に「あいつの映画には二度と出ねえ」とならないように。スタッフも、出演者も、原作者も大事ですから。原作の先生はOKでした。

リリーさん:
でも、原作の先生もこの原作が実写になるというのは、あまり想像していなかったでしょうね。

三池監督:
そうでしょうね。映画にできないようなものを描いているというか、面白くないなと思っているものを表現している漫画だと思うので。ただ、僕らはそういう勇気を持てなくなっているので、そういう人たちの勇気を借りて、「だってこれ、原作にあるんだから仕方ないですよね」というフリをして作っているというのが現実なんですけれど(会場笑)。今度は我々が作ったものを漫画にフィードバックしてもらうことができればなと思います。ただ、漫画で描けないのはリリー・フランキーの存在感だと思いますけれど。やっぱりこれは絵では描けないですよね。似顔絵は描けるかもしれないですけれど。では、今日は最後まで楽しんでください。本日のゲストはリリー・フランキーさんでした。

リリーさん:
ありがとうございました。


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