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イノセンス 公開終了
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◆イントロダクション

退廃の美学か、現代を生き抜く新たな哲学の誕生か!?

●人は、何を"寄る辺"に、生きていこうとしているのか。
 私たちの心の中は今、不安に満たされている。戦争やテロの続く世界情勢、出口の見えない不景気・リストラの嵐、想像を絶する犯罪の数々、暴走する子供たち。世の中を覆っている混迷と人の心は無縁ではありえない。仕事への不安、将来に対する不安、そしてなにより生きることへの不安。「不安と共に生きよう」と言われても、人として、強く生きようとするには、現実はあまりに過酷だ。21世紀は夢と希望に満ち足りた平和と繁栄の象徴のはずだった。それがこんな時代を迎えようとは。人はどこに向かって歩もうとしているのだろうか。何を寄る辺に、生きていこうとしているのか。孤独に歩むには、世界は哀しすぎる。

●主人公は、生きた人形。
 映画「イノセンス」の舞台は、人々が電脳化され、声を出さずとも、コンピューター端末を打たなくとも、ネットワークを通じたデジタルコミュニケーションが可能になる一方、肉体の機械化も進み、人とサイボーグ(機械化人間)、ロボット(人形)が共存する、2032年の日本。魂が希薄になった時代。決してそう遠くない近未来を舞台に物語の幕が開く。
 主人公は、続発するテロ犯罪を取り締まる政府直属の機関・公安九課の刑事バトー。
 バトーは、生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、"素子"(もとこ)の記憶だけ。
 ある日、少女型の愛玩用ロボットが暴走を起こし、所有者を惨殺する事件が発生。「人間のために作られたはずのロボットがなぜ、人間を襲ったのか」。さっそくバトーは、相棒のトグサと共に捜査に向かう。電脳ネットワークを駆使して、自分の「脳」を攻撃する"謎のハッカー"の妨害に苦しみながら、バトーは事件の真相に近づいていく。

●イノセンス。それは、いのち。
 破壊されて何も語らないアンドロイド、人間の姿をしたロボットの女性、禍々しき祭礼の中で人間に焼かれる人形たち、自ら死体となって、人間であることを超越したと自惚れる男。バトーは、捜査の過程で様々な、人形(サイボーグ、ロボット)たちと出会い、<人形>に托された<人類>の想いを繰り返し自問自答することになる。「人間はなぜ、自分の似姿(=人形)を造ろうとするのか」。古来より人は、人の形を模した<人形>を造り続けてきた。アシモに象徴される人型ロボットへの夢もそのひとつである。
 「人はなぜ、人形を必要としているのか」。身体のほとんどが機械と化したバトーは、いわば、人間と人形の狭間を生きる存在。そんな彼にとってその謎を解く手がかりは、自らが飼っているバセット犬と、素子への一途な想いだけだった。それはバトーが人間として生きている証でもある。そしてその想いこそが、事件の驚愕の真実を明らかにする。
 映画「イノセンス」が描くのは、人間の生きる意味、である。命の有り様といってもいい。そして、クライマックスでのバトーと素子との再会。その瞬間、観る者はある選択を求められる。「あなたは、何を抱いて生きていこうとするのか?」

●鬼才・押井守が描くのは、現代の日本。
 監督・脚本の押井守、制作スタジオ・プロダクション・アイジーが大きな注目を浴びることになったのが、1995年に公開されたアニメーション映画「攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL」である。体を機械化・電脳化した主人公たちが、ネットを操る情報テロリストと戦うサイバーパンク・アクション。主人公・草薙素子が、肉体性のすべてを捨て去り精神(ゴースト)だけの存在として電脳ネットワークの海の中へ消えていってしまう、という哲学的とも言える衝撃のラストを描き出した。
 その先鋭的な映像表現も含めて、日本よりもむしろ海外で「MAMORU OSHII」の名前が大きくクローズアップされることとなった。米・英での劇場公開、翌96年には米ビルボード誌でセルビデオチャートNo.1を獲得するなど世界的話題作となり、「タイタニック」のジェームズ・キャメロンや「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟といった海外の著名な映画監督たちにも大きな影響を与えたという事実は、押井監督の非凡さを端的に表している。
 その押井監督が、満を持して送り出す最新作が本作「イノセンス」である。日本のアニメーション界を代表する選りすぐりのスタッフ、そして実制作期間だけでも3年、準備を含めれば5年というかつてない制作体制。それをもって、押井監督が今回取り組もうとしていることは、自分の住む日本の観客に向けて広く問いかける作品なのである。だからこそ、一見SFファンタジーの形式を借りながら、現代の日本そのものを正面から描き出すという究極的なテーマに挑んだのである。押井守の、映画監督人生のひとつの総決算でもあるに違いない。
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