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星守る犬

公開終了

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ストーリー

夏―。
北海道のとある田舎町。キャンプ場に通じる林道わきの草むらで、ナンバープレートも車体番号も外されて放置されたワゴン車が見つかった。車内には、死後半年も経った中年男性と思われる遺体と死後間もない犬の遺体があった。

公務員の奥津京介(玉山鉄二)は、読書を日課にする一人暮らしの青年である。「どんな人生も報告書にまとめてしまえば図書館に並ぶ本と同じ」と、京介は思う。幼くして両親を失い、また自分を引き取ってくれた祖父母も去ったいま、彼の関心は人とのふれあいよりも、書物の「ものがたり」の世界に没頭することにあった。
京介が勤務する市役所の福祉課に、地元警察から身元不明の遺体が発見されたとの連絡が入る。京介は同僚と共に遺体発見現場へと赴いた。こうした遺体を引き取って弔うのも福祉課の仕事のひとつなのだ。遺体は50代の中年男性であり、放置されたワゴンのなかで発見されたという。だが、男の身元を示すものは何ひとつなかった。ワゴンのそばの盛り土に気づいた京介は、警官からそれが死んだ男性に寄り添っていた秋田犬を弔った墓だと聞かされる。その時、吹き抜けた風が、京介の足下に数枚の紙片を運んできた。それはレシートやリサイクルショップの買取り証であった。おそらく、死んだ男の所持品なのだろう。偶然なのか、運命なのか、わずかな手掛かりが、京介に男と犬の「ものがたり」に興味を持たせるきっかけとなった。京介は有給休暇を使って、亡き祖父から譲り受けた愛車・ビートルに乗りこむと、男と犬の足取りを辿る旅に出る。

リサイクルショップの買取り証に書かれた住所を頼りに、東京へとやってきた京介だが、住所も名前も別人のものであった。残るレシートの住所を訊ねて、北海道までの道程を戻ることにした矢先、京介のビートルに有希(川島海荷)という少女が乗りこんできた。有希は北海道から東京まで、新人アーティストのオーディションを受けにきたのだという。親にも内緒で旅費も底をついた有希は、京介に北海道までいっしょに連れて帰ってほしいと頼む。京介は渋々ながらも、有希を旅の道連れに、北海道までの旅をつづける。
京介は有希と共に、男――おとうさん(西田敏行)とハッピーと呼ばれる秋田犬と交流した人びとから、話を聞いていく。
夫を失ってから女手ひとつで旅館を切り盛りする女将(余貴美子)、知人の借金の保証人になったばかりにコンビニをたたむことになったシングル・ファーザー(中村獅童)、がめつい女房(濱田マリ)の尻に敷かれているが根は優しいリサイクルショップの主人(温水洋一)、物静かだが心の奥に哀しみを湛えた海辺のレストランのオーナー(三浦友和)。おとうさんとハッピーは、行く先々で出会った人びとの心にしっかりとその姿を焼き付けていた。
迷惑そうにしている団体客のグループに割りこんで盃を交わしたり、コンビニで万引きしようとしている家出少年の面倒を見たのにお金を持ち逃げされたり、急病になったハッピーを救うためにリサイクルショップで持ち物を全て売り払ったり…。時に可笑しく、時に切なく、おとうさんとハッピーの思い出は、京介と有希の心をつかんで離さなかった。

京介は、おとうさんとハッピーの旅に、これまでの自身の人生を重ねあわせていた。両親を事故で亡くした京介は、祖父母の住む北海道に引き取られた。それからまもなく、祖母もこの世を去って、祖父(藤 竜也)とふたり暮らしになった。寂しげな孫に、祖父が与えてくれた子犬のクロ。可愛がったのは最初だけで、無邪気にまとわりついてくるクロに苛立ちさえ覚えた日々。祖父はなぜ、望んでもいない犬を自分に与えたのか?時は過ぎ―― 祖父も死に、京介のもとにはクロだけが残った。そのクロも、京介が役所に就職したのを見届けると急速に衰えはじめ、役目を終えたように息を引き取った。京介の心には、クロに十分な愛情を注いでやれなかった後悔が残った。
「多分、僕は恐れていたんだと思う。クロを失うことを。クロを愛してしまうと、いつかまた深い傷を負う。それが怖かった…」
それが、愛するものを失ってきた京介の心の声であった。
有希もまた、孤独をかかえる少女であった。再婚した母は義父にべったりで、酒癖の悪い義父が有希を殴ってもかばってさえくれない。家庭の中に居場所を失った有希は、好きなダンスで夢を叶えて家を出るつもりでいたのだ。

京介は祖父が亡くなる間際のことを思い出していた。満点の星空を眺めるクロを見て、祖父は「星守る犬」だと呟いた。そして、京介にその言葉の意味を語りはじめた…。

東京から始まったおとうさんとハッピーの軌跡を辿る旅は、遂に北海道の最後の場所に辿り着く。
ワゴン車が見つかったあの場所に、ふたたびやってきた京介と有希。そこにはまだ、京介も有希も知らないおとうさんとハッピーの「ものがたり」が眠っていた。
おとうさん(西田敏行)の病気、リストラを機に、おかあさん(岸本加世子)と娘との心の溝が深まっていく、そして訪れる離婚と別れ、最後におとうさんのもとに残ったのは、娘が拾ってきた捨て犬の秋田犬・ハッピーだけであった。すべてを失ったおとうさんは、ハッピーを相棒に車上生活の旅に出た。それはやがて終わりを迎える旅であったが、おとうさんもハッピーも最後の瞬間まで、その人生をまっとうしようと生き抜いた。

そして、京介と有希は、旅の終着点で「星守る犬」に込められた願いの意味を知る。

 
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