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解夏(げげ)
解夏(げげ) 公開終了
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◆ストーリー

坂道である。
この町では傾いた道を全て"坂"という。
石段ですら、勾配が急すぎるので便宜上そこに段をつけたにすぎないというのである。
桜町の電車の停留所から筑後町へ突き当たるまでの坂道を隆之はこのところよく歩く。
五月に入れば長崎はもう初夏といってもよい季候で、晴れた日に気温が二十五度を超える日があっても驚くことはない。
坂の途中、中町公園の周囲には來竹桃の植え込みがあって、まだ花には早いが、陽が高くなるとその葉影がアスファルトにくっきりと写る。
今日は風もなく、その葉影はさやとも揺れない。
目の前を母の聡子が歩いている。
「かあさん」と呼びかける。
「大丈夫ね、そげん、急がんとよ」
今年六十三歳になった母はまだまだ足は達者だ。(本文より)


亡き父の墓参りから始まる原作。
映画も同じ場面、5月の長崎から始まる。


 半年前のできごと。
 東京で小学校の教師をしていた隆之(大沢たかお)は、悪夢にうなされるようになる。10年に1度とさえ思われる教え子に恵まれながら、その子ども達に集団で乱暴をされる夢だった。そして、不調が体に出始めた隆之は、幼なじみの医者 博信(古田新太)の診察を受ける。診断結果は視力を徐々に失っていく病ということだった。

 隆之は大学の恩師朝村(林隆三)に会いに行く。隆之が小学校の教師になると決めたのは、朝村の説く教育論に共感したからであり、隆之の恋人は朝村の娘、陽子(石田ゆり子)だった。隆之は自らの病気を告白し、いつか陽子の負担になってしまう自分の身を思い、陽子とは別れると告げる。
 その時、教育学を学ぶ陽子は研究のためにモンゴルにいた。

 隆之は職を辞し母(富司純子)、姉(石野真子)の住む故郷長崎に帰った。隆之の病を知りながら何気ない気遣いで接する幼なじみ松尾(田辺誠一)らに支えられ懐かしい町を目に焼き付けようと日々歩く隆之の元に、陽子がやってくる。陽子は長崎に留まると言ってきかない。しかし、陽子の将来を憂い、この先の人生を思い悩む隆之。

 ある日、隆之は陽子と共に訪れた寺、聖福寺で林(松村達雄)という老人に出会う。林の温かい人柄に触れ、自らの病気を告白した隆之に林はひとつの話を聞かせる。
―――それは、かつての禅寺の修行僧の生活についてだった。托鉢生活をする修行僧は、夏の始まり 結夏(けつげ)になると説法して歩くのを止め、庵に集った。生命の季節に歩いて虫の卵や草の芽を踏み殺してはいけないという釈迦の教えに従った習慣だった。そして、座禅をしながら共同生活をし、その中で、仏教に対する教えの根本 "行"というものの捉え方の間違いをお互いに指摘し合った。そしてやがて夏の終り解夏(げげ)には別れて散っていった―――
 林は隆之に対し、失明するという恐怖は、"行"だと言う。そして辛い辛い行を経て、失明した瞬間にその恐怖から解放される、その日が隆之にとっての"解夏"なのだと。

 長崎で"解夏"までの日々を過ごす隆之と陽子、そこに、かつての教え子たちから手紙が届く......永遠にも感じられる焦燥の日々で、隆之は初めて涙を流す。
 陽子の幸せを思んばかって、隆之から言い出す別れ、苦悩の日々、そして再会。

 物語は、隆之にとっての"解夏" 感動のラストへと走り始める。
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