
◆イントロダクション ―最後の1行を読み終えた時、気がついたら涙が溢れている、こんな感動初めてです。 ―人を、人生を放りださない、それが根底にあって救われるような気がしました。読み終わって優しい気持ちになりました。 ―切なくて泣けました。何度も読みました。長崎弁っていいですね。 (読者カードより) 作家としての境地を拓き、デビュー作「精霊流し」(幻冬舎 刊)でベストセラー作家となったさだまさし。そのさだまさしが、瑞々しくも熟練とさえ思える技をもって書き上げたのが「解夏」です。昨年12月に発売され、現在までに7万部という、ベストセラーとなりました。 ――東京で小学校の教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。懐かしい町を目に焼き付けようと日々歩く隆之の元に、東京に残した恋人の陽子がやってくる。陽子の将来を憂い、この先の人生を思い悩む隆之。そこに、かつての教え子たちから手紙が届く...。――― 舞台は長崎。 「元旦の午前零時になると......港の船が一斉に汽笛を鳴らす......同時に中町教会の鐘ががらーんがらーんって......すると、今度はこの寺の鉄心の鐘がごぉんって鳴るんだ」(本文より) 長い歴史が人々の生活の中に密着し、独自の美しさをもつ街。 海を見降ろす墓地、オランダ坂、中華街、古い商店街......最後の光を目に焼き付けようとする主人公隆之は巡って行きます。 そして、長崎にいる現在、半年前の東京での教師生活時代、数年前の大学時代、そして幼い頃の長崎での思い出と時間が交錯します。 時の重層性。場所のひろがり。 同時に、家族、恋人、偶然に触れる人々のありがたさ、生きることの大切さを描いた感動作です。 |
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