僕等がいた 前篇
公開終了
- ストーリー
-
神様―どうか、彼を守ってください。
……それが、私の祈りでした。北海道・釧路――。クラスメイトの結婚式で故郷に帰った高橋七美は、廃校となる母校の屋上にひとり立っていた。目を閉じると、あの頃のまぶしい記憶が浮かび上がる――。
高2の新学期、七美は矢野元晴とこの屋上で出会った。クラスの女子のほとんどが好きになる人気者だが、時折さびしげな表情を浮かべる矢野に、七美もいつしか惹かれていく。矢野の親友・竹内から、矢野が死別した年上の恋人・奈々との過去を引きずっていると聞き、思い悩む七美だが、矢野への想いがおさえきれなくなり、生まれて初めての告白を……。一途な想いを貫く七美に対し、矢野は少しずつだが心を開いていく。しかし奈々の幻影と、矢野に想いを寄せる奈々の妹・有里の存在が、ふたりの間に立ちふさがる。互いに想いをぶつけ合い傷つきながらも、ついに未来を誓いあうふたり。しかし、幸せな日々もつかの間、矢野は東京へ転校することになり、更なる試練が襲いかかる……。
6年後、東京――。大学を卒業し出版社に勤め、忙しい日々を送る七美。七美のそばには、矢野ではなく、彼女を見守り支え続けてきた竹内の姿があった。ある日のこと、七美の出版社の同僚で、矢野の転校先の同級生だった千見寺から、矢野を目撃したと告げられる。
空白の6年の間に矢野に何が起こったのか? なぜ七美の前から姿を消したのか? 矢野への想いと竹内の愛情のあいだで揺れる七美。迷いながらも、七美はある決心をする……。