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阿修羅のごとく
阿修羅のごとく 公開終了
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◆プロダクション・ノート

●昭和の再現
 「阿修羅のごとく」の舞台となるのは、今から約25年前、昭和54年の東京である。この“現代”でも“過去”でもない、“一昔前”をいかに再現するのかがこの作品のテーマの1つだった。このためロケーションは極力抑えられ、近年では類を見ない8割近くの撮影がセットで行われた。東京・成城の東宝スタジオでは2月に新しくオープンした日本最大級の第7スタジオを含む4つのスタジオがフル稼働。昭和の香りを残す竹沢家をはじめとして、その隣家を含めめ10軒以上ものセットが建てられた。
 その竹沢家の森田芳光監督からの注文は「ごく普通のどこにでもあった家」。この一見簡単そうではあるが、特徴のないものを作るという難題に挑戦したのは「黒い家」で監督とコンビを組んだ美術の山崎秀満。階段には幼い頃に4姉妹が描いたとされる絵が飾られている。これは親からの愛情と4姉妹が実際に生活をしてきた空気を創りだしたいという細部に至るまでの彼のこだわりである。どの角度からも撮影ができるように造ったという妥協のないこの家は、実際に人が住める造りで、今では珍しい縁側のある、まさに昭和の家となった。

●向田邦子ワールドと季節感
 家の中にもスタッフの強いこだわりを見ることができる。
 向田邦子色を強く映し出すために、壁には中川一政の書をはじめ、お気に入りだった藤田嗣治の「猫」などが飾られている。他にも玄関の置物や一眼レフカメラなど部屋の中にはゆかりの品が登場している。また、生前愛用されていたとされる萬古焼の急須は4種類用意され、4姉妹それぞれの家で活用されている。
 また、季節に関係なく一年中色々な食べ物を食べられる今と違って、冬には冬の、夏には夏の食べ物を揃えたい、というこだわりから「消えもの」には特に腐心した。撮影は初夏であったが、冬のシーンの撮影に備えるために伊豆の濱静園に半年前から保存しておいてもらった冬みかんや、4姉妹と母が白菜を漬けるシーンでは寒い時期に特有の大きめの白菜を50個も用意した。こうした美しい四季を描くための細部へのこだわりも、観る者を楽しませてくれるだろう。
 向田邦子原作ということによって、全国からの惜しみない協力が寄せられ、実現したものもある。愛飲していたとされる最高級のウィスキー「ネ・プラス・ウルトラ」の当時のボトルは九州にあるバーからの協力を受け、長女・網子の家の机にさりげなく置いてある。先述の白菜は、茨城白菜栽培組合が提供してくれた。50年の年季が入っているという漬物の樽は京都の老舗の漬物屋から、そして漬物石は伊豆から取り寄せた。
 他にも、当時のたばこの自動販売機や、浅草・船和の昭和50年代当時のデザインの手提げ袋など現代では入手困難なものまで全国から探し求めた。中でも困難を極めたものは、当時大流行していたコカコーラやスプライトなどの炭酸飲料の1リットルの瓶やポット、そして当時の電話帳で、装飾のスタッフが十数か所の骨董市をくまなく捜し歩いてようやく見つけだした。
 そんなこだわりを持ったスタッフが結集した森田組の撮影は、天気の安定しない時期にもかかわらず終始順調。雨による延期等は一度もなく進んだ。そんな中で最大の山場となったのは、撮影終盤に差し掛かったところでの、遊園地ロケであった。日帰りで行った奈良「スカイランドいこま」で撮影した飛行塔は、戦後にリニューアルはされているものの基盤は昭和4年からのもので、昭和の匂いを求める森田監督のこだわりがここにも感じられる。「阿修羅のごとく」は、こうしたまさにスタッフの阿修羅のごとき執念によって支えられている。

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