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阿修羅のごとく
阿修羅のごとく 公開終了
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◆イントロダクション : 向田邦子の描く「愛」――今を生きるすべての女性へ贈る"4つの愛"の物語

●向田文学の最高傑作ついに映画化
 作家・向田邦子が飛行機事故で亡くなってから22年。惜しまれつつこの世を去った、昭和を代表する名シナリオライターにして直木賞作家だった彼女を、今また再評価する機運が高まっています。
 向田邦子は一貫して「愛」を描き続けた作家でした。恋人同士の愛、秘めた愛、姉妹の愛、父親への愛、家族愛。「愛」というテーマを見事に描ききった代表作がこの「阿修羅のごとく」といえます。
 「阿修羅のごとく」は4人姉妹の、4つの「愛」を描く物語です。恋愛を描きながら、その裏側には女性の「性」が横たわっています。向田邦子は、優しくも辛辣な目線で4つの「性」を描き出しました。タイトルにあるように、まるで阿修羅像のごとく心の内側で考えたことと違うことを口にし行動する、そんな女性たちのなまめかしくも愛らしい「性」を見事に活写したのが、この作品といえます。

●なぜ今、「阿修羅のごとく」なのか?

 「阿修羅」とは、言い争いの象徴とされるインドの神のこと。表面的には仁義礼智信をかかげながら、実は猜疑心が強く、互いに事実を曲げ、他人の悪口を言い合う...。
 ドラマ版は昭和54(1979)年にNHKでテレビ放映されました。相手の幸せを喜びながらも姉妹のライバル意識から、ちょっとしたことで妬んだり、言いがかりをつけたり。そんな女性に潜む「阿修羅」な部分をショッキングなセリフまわしで、四姉妹の赤裸々な愛憎劇として描き、当時の女性視聴者の圧倒的な支持を集めました。物語は、平常な家庭の日常に、「父親の浮気」という一石が投げられるところから始まります。その事件をきっかけに、姉妹それぞれが包み隠している葛藤があぶり出されてきます。この物語は、夫といるとき、姉妹でいるとき、ひとりでいるとき、みんなその表情が違う女性たちの様々な「顔」を描いた、時に深刻で時に笑える恋愛劇です。
 そして4人姉妹の恋愛譚を通じて、そこから「家族愛」が浮かび上がります。21世紀を迎えたものの停滞気味の日本人。そんな私たちに昭和の日本人の「家族」はどう映るのでしょうか。少子化、家庭崩壊、犯罪の低年齢化...、当たり前のように語られる現代の「家族」にまつわる諸問題。価値観が多様化した時代、この映画が描く昭和の「家族」の姿は、理想的でも奇麗事でもない、新鮮なモデルケースとなるのではないでしょうか。


●「笑い」と「感動」の人間ドラマ
 バブル以降の日本人が見失いがちな「家族」という人間の営みの最小の単位。今こんな時代、誰しも寄り添える場所が「家族」ではないでしょうか。嫌なことがあっても帰りたくなくても、家族だけは待っていてくれる。そんな当たり前の暖かさこそが、作家・向田邦子が「阿修羅のごとく」を通じて描いた、21世紀に生きる私たちにも伝わるメッセージなのです。
 向田邦子の描く「愛」―――この普遍的なテーマは、四半世紀を過ぎた今こそ、我々に様々な問いを投げかけ、そして勇気付けてくれます。永遠なる女性の「性」にまつわる「愛」を描きながら、「家族」についてもう一度考えてみる。この作品を現代に蘇らせる最大の意義です。脚本は、自身も向田邦子賞受賞作家で、森田監督とは「それから」(原作・夏目漱石)「失楽園」(原作・渡辺淳一)でコンビを組んだ筒井ともみ。さらに日本映画を代表する最高のスタッフと、充実の俳優陣が揃い、この秋、森田芳光監督が「笑い」と「感動」を演出の軸に、映画化しました。

●森田監督が描く ときに優しくときに辛らつな "4つの愛の形"
 あらゆる女性にとって、いちばんたいせつな問題とはなんでしょうか。
 趣味? 仕事? 結婚? それとも愛情?そう、いくつになっても、自身から発する、或いは自身に向けられる「愛」に関することかもしれません。
 今回の映画では、美しい四季おりおりの情景とともに四姉妹それぞれの世代の4つの「愛」の形があざやかに描き出されています。
 長女・綱子の、ひそやかな、偲ぶ愛。
 次女・巻子の、疑いがしのびこんだ、戸惑う愛。
 三女・滝子の、遅咲きの、純粋で誠実な愛。
 四女・咲子の、若々しく、ひたむきで激しい愛。
 姉妹として互いを思い合いながらも、また、立場の違う女同士としての激しい葛藤もおりまぜながら、ときに優しくときに辛らつな、4つの愛。
 向田作品の持つ、昭和の日本人の持っていた奥ゆかしさや「品」のあるたたずまいの中で、ちょっと深刻だけど、どこかおかしい女たちの、愛をめぐる「阿修羅」ぶり。そしてそれは、血のつながった"家族"の絆、家族への回帰というテーマへと導かれていきます。
 森田監督は絶妙なテンポで四姉妹を中心とした登場人物たちを動かし、どこか憎めない、ちょっと笑ってしまうキャラクターに仕立てあげました。
 向田作品の最高傑作が、森田演出と、演技派の俳優陣による丁々発止の競演で「美しく、恐ろしく、時に深刻で、おかしくて、ほっとする」、4つの愛の物語となってよみがえるのです。
 ―そうそう、女って、いろいろあって、うんざりしてめんどくさいけど、それでも女って、こんなに楽しいじゃない?
 スクリーンからは、そんな声が聞こえてくるかもしれません。それは同時に、今を生きているすべての女性の心の声と重なっていることでしょう。


●女は、まさに「阿修羅」な生き物
 豪華俳優陣が競演

 今回、24年ぶりの「阿修羅のごとく」映像化にあたっては、いま、各世代で最も華があり存在感のある、劇場版ならではの四姉妹が実現しました。
 長女、綱子には大竹しのぶ。夫に先立たれ、華道の師匠をしながら気丈にひとり暮らしをしていますが、実は出入りの料亭の主人とひそかに不倫の恋をしており、しかもその仲を料亭のおかみに勘付かれ始めています。
 次女、巻子には黒木瞳。ふたりの子どもを持つ一見平穏な家庭の主婦ですが、最近夫の動向から浮気を疑い出し、心が乱れる日々。
 三女、滝子には、深津絵里。子どものころから成績優秀で、いまは図書館の司書をしていますが、まったくの恋愛べた。反対に、昔から男の子にもてた妹に嫉妬の気持ちを抱いています。
 四女、咲子には深田恭子。うちを飛び出し、連戦連敗中のボクサーの卵と同棲中ですが、喫茶店のウエイトレスをして彼を支えるけなげな一面も持っています。
 この豪華な女優陣が、時に美しく、時に恐ろしい顔をのぞかせる「阿修羅な生き物」を個性的に演じます。
 そして物語の発端となる、浮気を疑われる父親・恒太郎には、日本映画を支えてきた大ベテラン・仲代達矢。母親・ふじには、テレビ放映時に次女・巻子を演じた八千草薫。ふたりが、昭和の父親、母親を円熟した演技で見せてくれます。次女・巻子の夫・鷹男には、「それから」「そろばんずく」「黒い家」で森田作品4回目の出演となり、テレビでは向田作品の常連・小林薫。秘書との不倫を妻に疑われる役を演じます。三女・滝子に想いを寄せる興信所の社員・勝又に中村獅童。内気な青年を軽妙に演じます。四女・咲子と同棲するボクサー・陣内にRIKIYA。モデル出身で自身もプロボクサーのC級ライセンスを持つ彼が、本格的なボクシングシーンと、内面的な演技に挑みます。長女・綱子の不倫相手の料亭の主人には坂東三津五郎が出演、3本目となる映画出演を果たし、歌舞伎界で培った存在感を醸し出しました。その妻の料亭のおかみには桃井かおりが出演、「メインテーマ」以来の森田作品となり、絶妙な演技を披露します。鷹男の秘書・赤木啓子には木村佳乃(「失楽園」「模倣犯」)、綱子の見合い相手・緒方に益岡徹、咲子を脅迫するスーパーの店員・宅間に森田組の常連・佐藤恒治、巻子の娘に長澤まさみ(「ロボコン」「黄泉がえり」)、父・恒太郎の愛人・土屋友子に紺野美沙子、と豪華な面々が競演します。

●日本映画界を支える屈指のスタッフが集結
 スタッフには森田組を支えてきた実力派の面々が揃いました。撮影は北信康(森田作品では「黒い家」「模倣犯」と今回で3作品目)、照明は渡辺孝一(森田作品は初、「化粧師」「ピンポン」)、録音を川島雄三監督、今村昌平監督作品など270本以上の作品を手がける大ベテラン・橋本文雄(森田作品は「それから」以降9作品目)、美術は山崎秀満(森田作品では「黒い家」)、編集は田中愼二(「(ハル)」以来6作品目)、音楽を大島ミチル(森田作品では「失楽園」「模倣犯」、「ゴジラ×メガギラス」TV「ショムニ」ほか)。
 音楽面に関して森田監督が選んだのは、音楽史上にも残るフレンチ・ジャズの傑作、ブリジット・フォンテーヌが歌う「ラジオのように」(演奏:アートアンサンブル・シカゴ/1970年録音)。斬新かつプリミティヴな世界を複数の才能が集結し生み出した歴史的な名曲です。監督は本楽曲の編曲を作曲家の大島ミチルに依頼し、大島の書き下ろした劇伴と共に効果的な音楽演出をしています。
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