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第37回藤本賞授賞式

2018年05月31日

第37回藤本賞授賞式

<後列左から、 松橋真三さん、春名慶さん、臼井央さん
前列左から、 米倉功人さん、青山剛昌さん、近藤秀峰さん、石山桂一さん>

映画界で唯一、プロデューサーの業績を讃える藤本賞が第37回を迎え、5月31日、東京・大手町のパレスホテル東京にて授賞式が開催されました。
藤本賞に輝いた「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」の原作者・青山剛昌をはじめとする製作陣、特別賞に輝いた「銀魂」の松橋真三プロデューサー、奨励賞の「君の膵臓をたべたい」の春名慶、臼井央プロデューサーらが出席しました。こちらの授賞式の模様をレポートいたします!



【松岡功委員長より各受賞者に賞の授与】

松岡功委員長より「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」製作陣へ藤本賞授与

藤本賞 平成29年度において、1997年にスタートし21作目を迎えた「名探偵コナン」シリーズから「から紅の恋歌(ラブレター)」を、定番に甘んじず新たな試みを加え、斬新な魅力あふれる作品として製作し顕著な作品としました。娯楽性の高い作品として5年連続で興行記録を更新し、530万人を動員するという大きな成功を収めました。この功績に対し、第37回藤本賞を贈ります。


松岡功委員長より「銀魂」製作陣へ藤本賞・特別賞授与

藤本賞・特別賞 平成29年度において大人気コミック「銀魂」の映画化に際し、ナンセンスな笑いとアクションを融合させるユニークなチャレンジで比類なき新鮮な作品として製作し、顕著な活躍をされました。様々なジャンルでコメディを追求する福田雄一氏を監督に起用し、290万人を超える観客に支持される大ヒットを記録いたしました。この功績に対し、第37回藤本賞特別賞を贈り、これを讃えます。


松岡功委員長より「君の膵臓をたべたい」製作陣へ藤本賞・奨励賞授与

藤本賞・奨励賞 平成29年度において、女子高校生の青春と死をテーマに扱った小説「君の膵臓をたべたい」を美しい映像と音楽に満ちあふれた真っすぐで感動的な青春恋愛映画として製作し顕著な活躍をされました。新人俳優を主役としながら大人になった主人公たちを描くことで、作品の支持層を広げ、270万人を超える観客を動員する大ヒット作品に仕立てました。この功績に対し第37回藤本賞・奨励賞を贈り、これを讃えます。


【各受賞者挨拶】

青山剛昌さん (「名探偵コナン」シリーズ 原作者)

藤本賞というのは映画界における沢村賞と聞きまして、野球ファンで巨人ファンの僕はとても嬉しいです。巨人の連敗も止まりました。
この賞に恥じないようにこれからも頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。
近藤秀峰さん (「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」プロデューサー)

正直なところ、ずっと今まで小学校の頃から賞状をもらったことがなく、賞状童貞というのか...それが打ち破れます(笑)。今までもらわずにきてよかったのかどうか分かりませんが、ありがたいお話です。
真面目な話をしますと、第20作目の「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」でこれまでとは次元の違うヒットを飛ばしまして、その盛り上がりをどうやってこれからも続けていくのかが、「名探偵コナン」チームの課題だと思っていました。
21作目を作るにあたって、委員会としての合言葉は「これは『名探偵コナン』の原点回帰」でした。「殺人ラブコメとしての『名探偵コナン』の面白さをどうやって伝えていくか?」という点で皆さん、頑張りましょうということになりました。そこで大倉崇裕先生の脚本を青山先生が非常に丁寧に手直しをしてラブコメ要素を加え、それを静野孔文監督がすごいアクションに仕上げるという、すごくバランスの取れた作品になりました。それを評価していただき、表彰状をいただけることは我々にとって、会心の一日、とても嬉しい日になりました。
今後も続いていきますので、賞状をいっぱいいただけるように頑張っていきたいと思います。
米倉功人さん (「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」プロデューサー)

このたびはプロデューサーを讃える賞ということで、嬉しい気持ちと共に、「名探偵コナン」シリーズはまだまだ続きますのでさらなる高みを目指して頑張っていかないといけない、そして、映画界、エンタメ業界に対して少しでも貢献できるように仕事を進めていかなくてはいけないという、身の引き締まる思いでいっぱいです。
「から紅の恋歌(ラブレター)」は21作目の映画ということで、21年前、当時のプロデューサーが(製作を)スタートするとき大変な思いをして、育ててきました。チームワークや作品に対する情熱を我々が守りさらに広げていく――そうやって「名探偵コナン」の伝統や情熱を大事に守り進めてまいりました。そのおかげで2017年の邦画No.1という成績を収めることができました。喜ばしく思っております。
これまでのよいところを踏まえつつ、これからも高みを目指して頑張りたいと思います。
最後に、読売テレビに所属し、TVシリーズと劇場版第1弾から「名探偵コナン」を世に送り出している諏訪大先輩がいらっしゃいます。諏訪さんがいなければ、私はこの場に立つことできなかったのでこの場を借りてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。
石山桂一さん (「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」プロデューサー)

以前もこちらの賞をいただきましたが、以前と違って今回は一つの作品「から紅の恋歌(ラブレター)」で選ばれたものです。20年やってきた中で、第20作目で大きな花火を打ち上げて、「次はどうしよう?」という思いがあり、皆さんが言う通り、新しい挑戦の前に一度、原点回帰をしようという思いもありました。
ラブコメとアクションを絶対に外さないようにということで、青山さん、皆さんと共に このような形の作品を作ってまいりました。こうした結果になったことが喜ばしく、皆さまの努力の賜物だと思っています。
「名探偵コナン」はさらにこれからも続きます。今新たな作品「ゼロの執行人(しっこうにん)」も公開されていますが、こちらも新しい試み、挑戦で作りました。これに甘んじず、よりよいものにしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
松橋真三さん (「銀魂」プロデューサー)

私自身はごくごく平凡な、さしたる才能もない人間だと思っています。ただ、平凡ゆえにできることがあって、それは最初に観客の目線で「こんな作品あったらいいな」という妄想を抱くことです。それが自分にとっての才能だと思っています。
「銀魂」は福田雄一さんが監督、脚本を務めましたが、福田さんと打ち合わせをしている時、福田さんが「ツイッターに、"福田が『銀魂』の監督やったらいいな"という声がいっぱい来るんですよね」とおっしゃり、「じゃあ、やりましょうよ」というところから始まりました。福田さんがポロっと漏らした言葉をスルーしていたら映画「銀魂」は生まれていなかったかも知れないと思うと、自分がやっている意味があるのかなと感慨深いです。
今、若い子たちが映画業界になかなか入ってこない気がします。将来の映画業界をもっと盛り上げてほしいと思っています。私みたいに「平凡な人間で、自分にできるのか?」と不安に思っている人でも自分でできることは必ずどこかにあって、それを目指してもらえれば、いつかすごく面白い映画が必ず撮れるのではないかと思います。
若い人にそういうことを伝えつつ、私もこれからも自分が「観たいな」と思う映画をまだまだ作り続けていきたいと思います。
春名慶さん (「君の膵臓をたべたい」プロデューサー)

ちょうどひと月くらい前に東宝の市川南さんから受賞の連絡をもらい「もう正賞をもらった人に奨励賞ってのもね...」と言われました(笑)。銅メダルってことでしょ?という話をしたら「特に差はないんですよ」と言われ、奨励賞の意味を調べたら「学業や業績を評価し、今後への激励や期待を込めて授与する」とありました。ということは、まだまだ伸びしろがあるのだろう、と解釈しました。
邦画の実写が最近、アニメや洋画に押されてシェアが落ちてきているので、藤本さんに「まだまだ伸びしろがあるから、もう一回盛り返しなさい」と言っていただいたのではないかと勝手に解釈しました。
先ほどの「名探偵コナン」の皆さんがうらやましいなと思ったのは、僕が作る映画は割とヒロインが死ぬので続編を作れないのです。
また新たに何かを見つけてまたこの壇に立てればと思います。臼井さんとは十年来のタッグでの付き合いで、今日何が嬉しいかというと、臼井さんとこの壇に立って受賞できたのが嬉しいです。お礼を言いたいと思います。ありがとうございます。
臼井央さん (「君の膵臓をたべたい」プロデューサー)

ここで何を話そうかと考えますと、やはり、皆さまへの感謝だろうと思いつつ、本当に数限りない人に感謝を言わないといけないくらいです。今まで27本の映画のプロデュースに関われたことは本当に幸運でしたし、それぞれ、一人で作ったと言える作品はなく、必ず誰かの助けを借りて、誰かと作ってきたので本当にみなさんに感謝をしています。
「君の膵臓をたべたい」でこの賞をいただいたのは、運命だなと思います、春名さんとは9本の作品を共にしており、お礼言いたいのは僕の方です。この賞をいただいたとき、真っ先に報告したのは、脚本家の吉田智子さんで、吉田さんとも9本の作品を作ってきました。毎回いろいろな大変なことを乗り越えるのですが、振り返れば楽しいことばかりで本当に幸せな仕事をさせてもらっているなと感謝しています。
振り返って、心に残っていることが二つあります。最初に携わったのが「クローズド・ノート」という作品で、僕にとっては初めての海外映画祭で釜山へ行って、オープンスペースで2,000人の観客の前で上映しました。行定勲監督とそれを見ていて、最後に2,000人が拍手をしてくれて、そこで初めてゾワっとしました。
その次が「マリと子犬の物語」という実話をもとにした作品で、山古志村で完成披露試写会をして、被災者の方がどう捉えるか心配でしたが、終わった後に拍手と涙をいただき、その時もゾワっとしました。それが原点かなと思っています。
最近、ある人から「臼井、お前、客とずれてへんか?」とよく言われるのですが、これからもお客さんのことを考えて、向き合っていきたいと思います。


【講評】

品田英雄委員

2017年は、興行収入およそ2,286億円、観客数が1,745万人と、史上第2位の数字を記録するよい年となりました。前年の「君の名は。」のような突出したヒットはありませんでしたが、子どもから大人まで、女性も男性も洋画も邦画も様々な作品がバランスよくヒットし、お客さまに評価していただけました。
一方、審査の過程で話題になったのが、映像業界を取り巻く、見せ方や作り方の変化についてです。カンヌ国際映画祭でもNetflix作品がコンペから排除されることがニュースになりましたが、映像業界がどんどん変わっていく中で、私たちはどういうものをどう評価していくか?という話になりました。ただ、関係者のみなさんの面白い作品を作りたいという情熱、私たち観客の「観たい」という気持ちは変わらないと思います。引き続き頑張っていただきたいと思います。
その中で藤本賞受賞は「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」でしたが、「名探偵コナン」シリーズは漫画連載の開始が1994年で、TVアニメは翌々年の1996年に、その翌年に劇場版がスタートしました。審査の過程では、5年連続で興行収入が伸びていて、毎回、大人が納得するストーリー、女性が惹きつけられるキャラクターやラブコメ要素が入ってきて、毎年「今度はどうなるのか?」という期待、しかもそれを満足させる力があるというのはすごいことだということで、その努力を評価し、藤本賞を授与することになりました。
特別賞は「銀魂」です。こちらは邦画実写第1位となりました。人気コミックの映画化ですが、笑い、アクションがあり、しかも知っている人ならひとこと言いたくなる、細かなネタやきわどいパロディ、俳優も福田監督も楽しんでいる様子がよく伝わってきました。センスと大胆な決断力を評価し、特別賞としました。
そして、奨励賞の「君の膵臓をたべたい」ですが、こちらは女子高校生の青春、そして病気、死という、昔もよくあったなという話ですが、そこに大人になった視点を入れて、大人たちの共感を呼び、270万人を動員したというのはすごいことだと思います。新人俳優を見る楽しさも味わわせてもらいました。努力、工夫、情熱を評価し奨励賞としました。次も期待しています。
映画を取り巻く環境は変わっていますが、新しい感動を生み出す力は、皆さま監督、クリエイター、プロデューサーたちが知恵をしぼって、生み出してくれるものと思います。私たちもそれに応え、新しいものをどんどん見つけていきたいと思います。本日は誠におめでとうございました。