Movie Movie

Return Page

板尾創路監督「漫才未経験者に撮らせたくない!」
菅田将暉×桐谷健太、芸人役の難しさを語る
「火花」完成披露試写会

2017年11月08日

「火花」完成披露試写会

<左から、板尾創路監督、川谷修士さん、菅田将暉さん、桐谷健太さん、木村文乃さん、三浦誠己さん>

芸人として初めて芥川賞作家となった又吉直樹さんの著作を、俳優の菅田将暉さんと桐谷健太さんをダブル主演に据え、ベテラン芸人でもある板尾創路監督がメガホンを取った映画「火花」。
この度、映画の完成を記念し、11月8日に東京国際フォーラムにて完成披露試写会を実施。
舞台挨拶には菅田将暉さん、桐谷健太さんをはじめ、菅田さんの相方を演じた2丁拳銃の川谷修士さん、桐谷さんの相方を演じた三浦誠己さん、そして板尾創路監督が登壇しました。
壇上では、それぞれ作品への熱い思いを吐露。板尾監督は「漫才経験のない人に撮らせたくなかった」と、強い覚悟を明かしました。 お笑いの世界を描いた本作のイベントにふさわしい、笑いの絶えない内容となった本イベントの模様を、詳しくレポートします。


菅田将暉さん(漫才コンビ「スパークス」徳永役)

今日は来ていただきありがとうございます。今日は短い時間ですが、よろしくお願いします!
桐谷さん、無言で右左中央と三方向へ投げキスのパフォーマンス

桐谷健太さん(漫才コンビ「あほんだら」神谷役)

たまには無言もいいかなと思いまして(笑)。よろしくお願いします。
木村文乃さん(真樹役)

三階席までたくさんの方がいらしているんですね。大勢の方に観てもらえて嬉しいです! 今日が映画のお披露目の日なので、幸先いいなと思っています。
川谷修士さん(漫才コンビ「スパークス」山下役)

(映画を)ご覧いただくと分かると思いますが、僕がこの映画で一番得をしています! よろしくお願いします。

菅田さん:
面白い!

川谷さん:
面白いって何やねん。冷めてるな~。愛のないツッコミしやがって!

板尾監督:
ちゃんと突っ込んだれよ(笑)。

三浦誠己さん(漫才コンビ「あほんだら」大林役)

生涯忘れられない作品になりました。正真正銘の青春映画です! 楽しんで帰ってください。
板尾創路監督

先に言っておきたいことがあります。よく「板尾創路が『火花』のメガホンを取った」とか言われるのですが、メガホンなんて持ったこともないですから! 逆に「メガホンを取らなかった」という方が正しいと思います。コントではメガホンを持つだけで笑いになるのに! ...って、あんまりウケもせんね(苦笑)。


MC:主演のお二人は、本作で売れない芸人の10年の月日を演じました。お二人とも関西のご出身ということで、お笑い好きだそうですね。役作りは難しかったですか?

菅田さん:
芸人を演じることは難しいなんてもんじゃないです。ただ、「板尾さんがオーケーを出してくれたからええやん」という安心感と、「(相方役の)修士さんがツッコんでくれたら絶対に笑いが起きる」という信頼感がありました。ですので、修士さんとお話をして二人の信頼関係を築くことが役作りのベースでした。ずっとネタ合わせをしていましたね。

桐谷さん:
漫才師の物語で漫才師役なので、相方(三浦さん)とは代々木公園やカラオケボックスで漫才の練習をしました。それに、人前で漫才をやらないと、キャラクターに芸人としての血を通わせられないと思ったので、渋谷のヨシモト∞ホールでお客さんが帰った後、若手の芸人さんやスタッフさんを相手に漫才をやりました。神谷という役は、いろいろな人のエッセンスが入っている人物だと原作を読んだ時に感じたんです。それを僕の身体一つでどのように表現すればいいのか悩みました。そしたら代々木公園で練習をしている時に、相方が「桐谷健太の面白いと思うもの、面白いと思う言い方でやれば神谷になる!」と言ってくれたんです。それが現場を入る前のことでしたので、そのアドバイスに一番感謝しています。それで思い切りやれました!

三浦さん:
(桐谷さんは)練習のやりすぎなんです! ヨシモト∞ホールでの漫才の後で、若手の構成作家の方に「自分たちのネタのダメ出しをしてもらう」と言い出したんです。(元・芸人の三浦さんにとって、その構成作家さんは後輩にあたるため)僕の後輩にけちょんけちょんに言われて、それに対して「はい、はい」と真摯に応じていました。「どんだけ真面目やねん」と思いましたね。

桐谷さん:
経験が大事だと思ったんです。「ネタを披露してスベるのもウケるのも経験しておかないと」と思っていました。その時に湧く感情を大事にしたかったんです。ここでぶっちゃけると、実は三浦さんとは十数年前に一緒に映画に出ているんです。その時は「(三浦さんの真似をして)お前なぁ、どーのこーの」と言われて、「何やコイツ」と思いました(笑)。その後、以前住んでいた家の近くのラーメン屋さんに、三浦さんが(千原兄弟 の)千原ジュニアさんと一緒に来て、偶然会ったんです。その時にも僕の顔を見て「は っ?」みたいな感じでした(笑)。だから台本を見たときに、「あいつが相方や! どうしよう...」と思いました。でも、撮影が終わったときには大好きになっていました!

三浦さん:
そんなに感じ悪くはない(笑)。自分も「(桐谷さんに)抱きしめられたい!」って思うぐらい好きになりました!

MC:三浦さんは、よく千原ジュニアさんと一緒にいたという話もありますよね? そのジュニアさんが本作を試写でご覧になったそうですが、何か聞いていますか?

三浦さん:
「すっごく良かった! 大傑作や!」と褒めていただきました。

MC:木村さんは神谷と徳永の二人を優しく見守る、神谷の同棲相手の真樹を演じました。芸人の恋人役を演じるにあたり、板尾監督から指示やアドバイスはありましたか?

木村さん:
板尾監督と初めてお会いしたときに、まず「髪の毛を金髪に染めてほしい」「隙を作ってほしい」と言われました。その後に衣装合わせで「足の出方、見え方が大事やねん」と言われ、こだわりを感じました。ところが、部屋での撮影は(足が見えるように座って撮るのではなく)立っている姿から撮り始めたので、全然足は見えていませんでした(笑)。(板尾監督は)はっきりとは見えなくても、そういう細かいピースをつないでいらして、「現場ではお任せします」という雰囲気を感じました。菅田さんと桐谷さんがとてもステキな関係を築かれていたので、私はそれに乗っかるようにただニコニコと笑顔でいれば良かったんです。

MC:板尾監督、木村さんを金髪にされた意図というのは?

板尾監督:
僕がイメージした真樹がいまして、その特徴の一つです。木村さんはこれまで金髪に染めたことはないそうでしたから、ブリーチして金髪にすることで新たな魅力の一つになると思いました。ここで言うことではありませんが、木村さんに真樹役をお願いするのは難しかったんです。というのも、企業コマーシャルの契約をたくさん持っていらっしゃると、色々な制約が出てきます。例えば"おっぱい出したらあかん"とかね(笑)。それで、(木村さんの事務所の方が)クライアントのもとに出向いて金髪になる承諾を得てくれました。その手腕は政治家みたいでしたね。それこそが真樹役に対する彼女の意気込みなのだと受け止めました。感謝しています。

木村さん:
それだけの価値のある作品と役柄だと(事務所の)全員の意見が一致したんです。それで「やらせていただきます」とお返事しました。

MC:漫才コンビのツッコミ担当を演じられたお二人、川谷さんと三浦さんにお聞きします。本作では監督のこだわりで、コンビのツッコミ担当には漫才経験者を起用することにしました。それで、現役漫才師の川谷さん、そして元芸人で今は俳優の三浦さんをキャスティングされましたが、オファーを受けての感想をお願いします。

川谷さん:
板尾さんに選んでいただいたというのがめちゃめちゃ嬉しかったです。漫才師を演じられたのは菅田さんのおかげですね。本当にすごくて、本当にコンビを組みたいです!

板尾監督:
(冗談で2丁拳銃の)相方、気に入らんのな。

川谷さん:
そうなんですよ! 顔が...(笑)。元のコンビに戻りたくない!

MC:三浦さん、漫才をやられるのは久しぶりなんですよね?

三浦さん:
五、六年ぶりです。なので、舞台に立って漫才をやるのはちょっと怖かったです。でも、立ち位置から決めていっぱい練習しました。僕は桐谷健太の情熱に惚れました。

MC:公園で夜中に練習するなんて、本当の若手芸人のようですね。

桐谷さん:
いえいえ、夜中ではないです。 (会場:笑)

板尾監督:
三浦は自分の撮影がない日にも現場に来て、「漫才の練習するんです」と言って桐谷のことを待っていました。

三浦さん:
でも、現場で練習していたらついつい熱が入ってしまって、助監督に「うるさい! もうちょい声を小さくせい」と言われました(笑)。

板尾監督:
昔のコンビ名、何だっけ? どんなネタやっていたの?

三浦さん:
「トライアンフ」というコンビ名でずっとコントをしていました。でも、三年ぐらいしかやっていません。なのに今、東京国際フォーラムでネタをやるんですか(笑)? かいつまんで言うと、僕がフランスパンを持って、一分間ぐらい無言で相方をどつきまわして、挙句に「よし、これで君も明日からフランス人だ!」と言うネタです。おもろないでしょ? 芸人を辞めた理由が分かりますよね。

川谷さん:
ちょっと「(劇中コンビの)あほんだら」ぽさがある!

板尾監督:
実際にやったらお客さんは笑わないで引いてしまうけど、話だけ聞いていたら面白いな (笑)。

三浦さん:
そのネタをやると舞台の上がパン粉だらけになって、舞台監督に怒られました。なので 二、三回しか舞台でやっていません。

MC:板尾監督は、後輩芸人である又吉さんの原作を映画化することに、プレッシャーは 感じなかったですか?

板尾監督:
僕は又吉よりも、だいぶ世代が離れた先輩になるので、プレッシャーというよりも気を使いました。(所属事務所の吉本興業は)縦の関係がしっかりしているので、向こうは先輩に対して「いやです」とは断れないわけです。もし、そう思っていたら可哀想だと思ったので...。
原作「火花」は純文学を対象とした芥川賞を受賞していますし、映像にするのは難しくて、どうしようかと思う部分もありました。でも描かれているのは自分のいるお笑いの世界の話ですし、「これは芸人以外の方や漫才経験のない人に撮らせたくない」と思いました。もしも自分が手がけてダメな作品になった場合は僕が責任を取るし、僕が撮りたいという気持ちにつながりましたね。


MC:皆さんの思い入れのあるシーンや、注目してほしいシーンを教えてください。

菅田さん:
いっぱいあります。一つあげるならば、クライマックスにスパークスの漫才シーンがあるのですが、そこでの修士さんの表情です。一生忘れず、墓場まで持っていきたい大好きな顔です。いつもは感情があるのかないのかよく分からない顔ですが(笑)、めちゃくちゃいい顔しています。

川谷さん:
それは褒めているんですか?

菅田さん:
褒めています! 本当に漫才を20年以上やっているからこそ出せるものがあるので、その切なさや本気を感じてもらいたいです。

MC:詳しくは言えませんが、あのシーンは面白いことをしているんだけれども、哀しく思えるという、非常に感情表現の難しい場面だと思います。

川谷さん:
ほんまにすごいシーンになっていると思います。

板尾監督:
あの漫才シーンは気分を作るためにも、修士の最後の撮影になるようにしました。

桐谷さん:
僕は、神谷が荒れて、「若手の登竜門!」と言ってお尻を出すシーン。あ、(本編から)カットされたんか(笑)。それじゃ、徳永と神谷が二人で熱海に行き、花火が上がるシーンかな。個人のプロポーズ用に上がる花火を見て会場から万雷の拍手が起きた時に、神谷が「これが人間やで」と言い、徳永が「はい」と言う場面。あ、あそこもカットや(笑)。

板尾監督:
すまんな、カットして。二時間に収めなあかんから。 (会場:笑)

桐谷さん:
もうそれぐらい見所が詰まってますねん(笑)。熱海の居酒屋でのシーンが、映画の最初と最後に二度あるんですが、同じ場所なので映画によっては一日で両方のシーンを撮影したりするんです。でも、板尾監督は十年の軌跡を描くために、撮影スケジュールを前半と後半で別にしてくれました。僕が見ても(神谷と徳永の)二人の顔つきが違うのがわかります。

木村さん:
真面目なシーンとちょっと可愛いシーンの二つあるのですが、どちらがいいですか (笑)? 可愛いのは、真樹と徳永くんが台所で料理をするシーンがあって、本編にはちょっとしかないですが、カットされたやりとりがあったんです。板尾監督から「アドリブで楽しそうにやって」と指示されたので、私が「これをちょっと切って」と言ったら、菅田くんが「分かんない。包丁握ったことないもん」と返すんです。すっごく可愛かったです。

板尾監督:
ごめんなさいね、カットして。どうして次々にカットしたとこばかり言うの(笑)。今から映画を観てもらうんだから! 店に並んでいないパンの話をしないでください。並んでいるのから、「これが美味しいですよ」と言うてください。

木村さん:
それじゃあ並んでいるパンの話です(笑)。個人的に好きなのは、神谷と向き合って徳永がちょっとずつおかしくなっていく後半のパートが好きです。というのも、大人になればなるほど「それは間違っている」と指摘をしてくれる人っていなくなっていくじゃないですか。ましてや、自分たちが向かう道が正しいかどうかなんて、その時点では絶対に分からない。その中で、ちゃんと(徳永が)意見を言う姿には、「相手を好きだと思うのなら、その人のためにも言うべきことは言うべきだな」と思わされましたね。それは板尾さんの人柄が出ていて、背中を押す優しさが感じられました。切なさを感じますが、心が温かくなる素敵なシーンです。改めて、大好きな人がいっぱいできたらいいなと思いまし た。

菅田さん:
いいコメントだったね。

板尾監督:
もっと言ってください! (男性陣に対して、木村さんのコメントを)見習うようにね。

菅田さん、桐谷さん、川谷さん、三浦さん:
はい!

MC:三浦さん、大先輩である板尾さんの現場はいかがでしたか?

三浦さん:
めちゃめちゃアットホームです。俳優によって演出を変えてくださる、温かい現場でした。

川谷さん:
三浦さんがおっしゃる通りです。

菅田さん:
滑舌が悪いねん、自分ほんまに。

川谷さん:
ほら、素で怒るやん! 真面目にやっているのに、なんやねん。俺と年齢二十違うねんぞ。

菅田さん:
久々に会えて、嬉しいねん(笑)!

板尾監督:
二人は同級生の役ですが、ちょうど菅田将暉が生まれた年に、川谷修士は芸人デビューしています。なので「なんでこの二人を同級生としてコンビ組ませんねん」と思われるかもしれません。それぐらい歳が離れているのにコンビに見える理由は、菅田将暉が修士に対する態度を上からにしているからなんです。今もそうですが、「腹立つわ」とか、面白おかしくしているのも、それは逆に菅田くんの礼儀正しさの表れなんです。役柄の関係性に持っていけるようにするのは、やはり俳優として素晴らしい姿勢だと思います。

MC:これを受けて菅田さん、いかがですか?

菅田さん:
確かに意識しました。修士さんから「敬語をやめよう」と言ってくださって、その日に六時間ぐらい飲みました。その帰りは修士さんが僕を先にタクシーに乗せてくれて、頭を下げて見送ってくれました。あとあと聞いたら「あのあと、吐いた」って明かされました。すごく愛おしい気持ちにさせてくれて、そこから同級生のように接しています。

川谷さん:
「頭下げてたのとちゃう、吐いてたんや!」ってね(笑)。

MC:板尾監督、「現場はアットホームだった」とのお話がありましたが、ピリピリしないよう心がけていたんですか?

板尾監督:
僕が無口な方なので、皆が勝手にワイワイやってくれていたんだと思います。皆さんとは離れた場所にいることが多かったですが、見ているとキャッキャキャッキャとして楽しそうでしたよ。「キャッキャキャッキャ」言うてたよな?

川谷さん、三浦さん:
はい! キャッキャキャッキャ!

MC:最後に桐谷さんと菅田さんからご挨拶をお願いします。

桐谷さん:
本作は芸人さんの話ですけれども、一度でも何かに熱くなり夢を追いかけたことがある方には共感してもらえると思います。ぜひ楽しんでください。

菅田さん:
桐谷さんがええことを全部言ってくれたので、自分が言うことは何もないです! (桐谷さんが菅田さんの耳元に囁く)11月23日公開です! 面白いと思ってくれたらどんどん広めてください。よろしくお願いします。

東宝website