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福山雅治×是枝監督ティーチイン
観客からの鋭い質問に嬉々として回答!
「三度目の殺人」公開記念舞台挨拶

2017年09月19日

「三度目の殺人」公開記念舞台挨拶

<左から、福山雅治さん、是枝裕和監督>

「そして父になる」から四年、二度目のタッグとなる福山雅治さん主演の是枝裕和監督最新作「三度目の殺人」。
その公開を記念し、9月19日にTOHOシネマズ スカラ座にて公開記念舞台挨拶を行い、福山雅治さんと是枝裕和監督が登壇しました。
ウェブ応募で集まった質問、そして観客の皆さんからの質問に答える形で、さまざまな話題が飛び出したこの日の舞台挨拶。「もしも"三度目"のタッグを組むなら?」と問われた是枝監督からは、早速、福山さんを主演に迎えた次回作の構想が。福山さんの反応やいかに? また、現地入りしたヴェネチア国際映画祭での思い出や、雪原でのシーンにまつわる裏話。さらに是枝監督の"階段マニア"ぶりも明らかに!
大盛り上がりだった本イベントの模様を詳しくレポートいたします。


福山雅治さん(重盛役)

皆さん、観終わった後ですよね? (客席の大歓声を受けて)こういうテンションだと思っていませんでしたが、うれしいです。今日は短い時間ですが、お付き合いください。よろしくお願いします。
是枝裕和監督

たくさんのお客さんに来ていただいているようで、ホッとしております。今日はよろしくお願いします。


MC:今日はウェブ上で一般のお客様からいただいた質問に、お答えいただこうと思います。

Q:四年ぶりの再タッグですが、お互いに変わったなと思う部分はありますか? そして「三度目の殺人」に続く"三度目"のタッグはあるのでしょうか?

福山さん:
変わったなと思う部分は...。まあ、監督も僕も確実に年をとったなと(笑)。「そして父になる」が先日テレビで放送していて、僕も観ました。僕も若かったですが、リリー(・フランキー)さんも若かったですよね。リリーさん、(老ける)スピードがちょっと速いなって思いました(笑)。あの作品からあまり時間が経っていないように思っていたのですが、やっぱり自分も年をとったなと思いましたね。

MC:"三度目"のタッグはいかがですか?

福山さん:
以前、監督のインタビューを読んだのですが、「80歳まで現役で映画を撮るとして、撮れる本数は限られているから、なるべく精力的に撮っていきたい」とおっしゃっていました。そのうちの一本、とは言わず、何本でもご一緒できればと僕は思っています。

是枝監督:
僕も思っていますよ! 今度はすごく悪い犯罪者を演じてほしいですね。この「三度目の殺人」に着地するまでにも、いろいろな企画のキャッチボールは、やっていましたもんね。それ(別の企画)が実現すればいいですね。

福山さん:
それは嬉しいですね! 犯罪者ですか。すごく悪い人とは逆に、神対応パニーニ的な役(先日、福山さんがバラエティ番組で演じたキャラクター)を見たいという方もいらっしゃるでしょうね。監督からも「あれ、超面白いね」ってメールが来ました(笑)。

是枝監督:
パニーニ、面白かったです!

Q:ヴェネチア国際映画祭でレッドカーペットを歩く姿がカッコ良かったです。現地での反応、思い出深いエピソードなど教えてください。

是枝監督:
観客の反応は、すごく熱かったですし、温かかったです。一つ驚いたのは、福山さん(が演じる重盛)が、鳥のお墓の十字架を壊すシーンで、その瞬間、客席のイタリア人が「おぉ」って声を出されたんですよね。たぶん、敬虔なクリスチャンの方だったと思うのですが、そういう生き生きとした反応をとても感じられたので、面白かったですね。

福山さん:
映画の内容のせいなんでしょうが、会場の空気がいい意味で硬質というか、硬かったですね。お客様がすごく集中して、入り込んでいる緊張感を感じました。映画が終わったか、終わりきっていないタイミングで、ワッとスタンディング・オベーションが始まったのは、いい意味で驚きでしたね。

MC:ほかに印象的だったエピソードはありますか?

福山さん:
隣の席で公式上映を観ていた監督が、(上映後)そっと僕の膝に手を置いたんです。「監督、やっと安堵されたんだな...」と僕もホッとしました。

是枝監督:
恥ずかしいですね...。

福山さん:
僕も監督の手を握ろうと思ったんですが、「いや、ちょっと待てよ」と(笑)。本当はギュッと握るべきだったんですが、ちょっと照れちゃって...。でも、僕らの方にも「この作品がどんな風に届くんだろう」という緊張感はありました。

Q:映画を観終わった後、モヤモヤしました。これは意図的なのでしょうか? 監督の狙いを知りたいです。

是枝監督:
それは狙いですね。

福山さん:
ちなみに、今日ここにいるお客様で「モヤモヤしている」という方、どれくらいいますか?(多くのお客様の手が挙がる)

是枝監督:
これは主人公の重盛が、「はっきり真実はつかめない、でも判決は下される...」となったときに、モヤモヤしているんだと思うんですね。「果たして、自分は何に加担してしまったのか」「誰かを救えたのか」と考えながらも、彼もシステムの一部なので、次の裁判に向かわなければいけない。そういう主人公が置かれている気持ちを、観た方も一緒に共有して、モヤモヤしながら、劇場を出ていただく。これは狙いとしてあったので、成功しているのかな? そういう楽しみ方も面白いですよね。

MC:演じる側はいかがですか?

福山さん:
モヤモヤしていました! だから、監督にも何度も「本当のところはどうなんですか?」って聞きました。でも監督は最初から「これは参加型のエンターテイメントなんです」と力説はされていましたよね。現実的には、ものすごくスッキリとした気持ちで生きている人なんて、僕も含めて、少ないですもんね。テーマパークやコンサート、映画、お笑いもそうですが、エンターテイメントに求められる要素として、「スッキリする」ってありますよね。でも、一緒にモヤモヤするってことが、新しいエンターテイメントなんだと、この映画で監督が提示したんだと思います。

是枝監督:
そうです! はい、間違っていないです。

福山さん:
僕も三度観て、「あれ、二度目と解釈が違うぞ」って気付きまして、急いで監督に僕の解釈をお伝えしたんです。でも監督は「うーん、まだその向こうに解釈があるんですよね」って(笑)。「まだあるんだ」と驚きました。

Q:19歳の僕には少々難しい映画でしたが、もう一度観るとしたら、どの角度で観るといいですか?

是枝監督:
20歳になって観ると、また違うと思いますよ!

福山さん:
例えが合っているか分かりませんが、若い頃に観た映画で、すごく印象に残っているけど、ストーリーはちょっと覚えていないってことありませんか? 観た当時なりの解釈があると思うし、大人になって観直すと、また別の解釈があったり。特に70年代、若い頃に観ていた洋画には、そういう作品が多かったなと思いますね。質問くださった19歳の方が、20歳になって、25歳になって、また本作を観てもらえると新たな解釈が...。

是枝監督:
生まれるでしょうね。登場人物の視点を変えて観ても、解釈は変わってくるでしょうし。「何度も観てください」って言うのは、ちょっと申し訳ないんですが(笑)。

福山さん:
接見される(役所広司さん演じる)三隅の目線でもいいですし、広瀬すずさんが演じた咲江の目線でもいいですし、視点を変えると全然違うでしょうね。

是枝監督:
映画の最後のほうで、すず演じる咲江が「ここでは誰も本当のことを話さない」と言うじゃないですか。もう一度観るときに「誰も本当のことを言っていない」と思いながら観ると、見えてくるものがずいぶん変わるかなと思います。

福山さん:
そういえば、役所さんが試写を観終わった後、ショートメールで「すばらしい映画でした。安心してください」と短いメッセージですが、すごく熱い感想を送ってくれたんです。

MC:「安心してください」ですか?

是枝監督:
心配していたんですね(笑)。

福山さん:
僕は役所さんにしつこく聞いているんですよ。「ところで三隅は(殺人を)やったんですか?」って。ヴェネチアでも海外の記者に同じ質問をされていたんですが、役所さんは「I'm not guilty.」(僕は無罪だ)って笑いながら言っていました。記者も大笑いでしたね(笑)。

是枝監督:
もう、映画が公開された以上、映画の半分以上はお客様のものだと思いますし、(解釈は)お任せします。ヴェネチア国際映画祭の後でトロント国際映画祭があり、そこでも取材を受けたんですが、ある記者から「三度目に殺されたのは何なんだ?」と聞かれたんです。逆に「何だと思う?」と聞いたら、その記者は「truth(真実)なんじゃないか」って言うんですよ。「あっ、これはいい答えだな。どこかで使おうかな」と思っていたので、早速、今日使わせてもらいます(笑)。

福山さん:
いやいや、「いい答えもらった」みたいになっていますけれど(笑)。

ここからは客席のお客様との質疑応答

Q:福山さん、役所さん、広瀬さんが雪の上で寝転がるシーンで、二つの足跡がそれぞれ別のところに歩いていくように見えましたが、意味はあるんですか?

是枝監督:
あれ、動物(の足跡)なんですよね。意図に見えるでしょ? たぶん、あそこにいたウサギか何かで...。地上から見ると、全然わからなくて、カメラが上にあがって初めて気付いたんです。でも「これは意図に見えるな」と思い、(CGで)消さずにそのまま残しました。

福山さん:
でも、ある解釈として受け取ってもらえるのは良かったわけですよね。何かプラスアルファとして考えてもらうために、(足跡を)残した訳ですもんね。

Q:建築の仕事をしているので、監督の作品はいつも階段に注目しています。今回は弁護士事務所の階段と、裁判所の階段がすごく印象的だったのですが、やはり意識されているんですか?

福山さん:
確かに「そして父になる」のときも階段にこだわっていて、わざわざ横浜に階段を撮りに行きましたよね。

是枝監督:
あの法律事務所は、階段で選んでいますね。法廷もあの正面玄関からまっすぐ伸びる階段で決めたんです。階段、好きなんですよね。大事なんです。

福山さん:
それに石の階段、好きですよね(笑)。

是枝監督:
それと螺旋階段ね(笑)。あまりアクションを撮るタイプじゃないんですが、階段で人(俳優)を動かすとワクワクするんですよ。

福山さん:
でも、本当に意図というものは届くんですね。

是枝監督:
こだわったところがね。(雪のシーンの)足跡は偶然だけど(笑)。

福山さん:
でも、そこに偶然あったものを上手く使ったわけですもんね。

Q:本作では、三隅の娘、重盛の娘、被害者の娘、ラストシーンの親子の娘と、四人の女の子が出てきますが、意図はありましたか?

是枝監督:
「重盛が三隅に対してどうやって距離を詰めて、階段を登っていくのか」と考えたときに、一つが雪景色で、二人とも同じ原風景を持っていることでした。もう一つが二人とも子ども関係で失敗していることだったんです。「(容疑者への)理解や共感はいらない」と言っていた重盛が、その共通点を突破口にして、ガラスを隔てた距離から三隅に近づけるように設定を作りました。

MC:最後にお二人からメッセージをいただきます。

是枝監督:
こういう(質疑応答)、またやりたいですね。少しでも持ち帰ってもらえるお土産が増えればいいなと思います。映画について思い返す機会になれば嬉しいです。

福山さん:
足跡や階段、微に入り細に入りこだわったものの積み重ねで映画ができているわけですが、今回皆さんから質問をお受けして、届けたいことがちゃんと届くんだなとすごく感じました。良かったなと思いますし、救われる瞬間ですね。また、こういう機会があれば、いろいろな感想を教えていただければと思います。今日はありがとうございました!

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