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妻夫木聡が未来のアーティストたちに熱いエール!
「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」
試写会付公開授業

2017年09月07日

「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」
試写会付公開授業

<中央左から、大根仁監督、妻夫木聡さん、渋谷直角さん>

「モテキ」「バクマン。」の大根仁監督が、人気コラムニスト・渋谷直角のコミックを映画化したラブコメディ「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」。その公開を前に、9月7日、日本大学芸術学部 江古田キャンパスにて"狂わせレッスン"と題した試写会付イベントを実施。 主演の妻夫木聡さん、大根仁監督、原作者の渋谷直角さんが登壇し、アーティストの卵である日本大学芸術学部の生徒たちに向けて公開授業を行いました。 イベントでは、撮影の裏話から、それぞれの仕事への想い、これからの夢などが話され、"モノづくり"のプロである三人の貴重な話に、生徒たちが一様にうなずく姿が見られました。また、進路に悩む生徒に妻夫木さんより熱いエールが送られる一幕もあり、生徒たちには忘れられないイベントになりました。
大盛況となった本イベントの様子をレポートします。


妻夫木聡さん(コーロキ・ユウジ役)

憧れの日芸(日本大学芸術学部)ということで、この場所に立てるとは夢にも思わなかったです。事務所の後輩の池松壮亮が、数年前にそちら側(客席)にいたと思いますが(笑)。今日はティーチインができることを光栄に思っています。最後まで楽しんでいってください。
大根仁監督

僕は高校時代「日芸に入りたいボーイ」でした。いろいろな問題がありましたが、主に学力不足の問題で、入れませんでした(笑)。「通いたかった学校だな」と思いながら、今ここに立っています。今日はいろいろなお話ができればと思っています。
渋谷直角さん(原作者)

僕も「日芸に入りたいボーイ」でしたが、試験で落ちました。どうぞ見下してください(笑)。


MC:本日は、日本大学芸術学部の皆さんへの公開授業ということで、後ほど学生さんたちの作品を皆さんには見ていただきたいと思っております。

大根監督:
え? アマチュアの作品を僕たちが見るの? ボコボコにしますよ? (会場笑)

MC:皆さん大学生ということで進路に悩む方も多いかと思いますが、妻夫木さんは、俳優の仕事を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

妻夫木さん:
ゲームセンターに「スタアオーディション」というタレントの適性テストができるアーケードゲーム機がありまして、そのゲームをクリアすると、本物のオーディションに参加できたんです。遊び半分で参加したらトントン拍子で残ってしまい、今の仕事をすることになりました。(ゲーム代の)500円で仕事を見つけました(笑)。

MC:仕事をする上で、ポリシーにしていることは何ですか?

妻夫木さん:
やはり"やりきる"ということが大事だと思います。多少の妥協も必要な時もありますが、それを許さない自分というものが大事です。何でも手に入る世の中なので、何となく終わらせてしまうことも多いですが、自分がこれと決めたことに関しては、絶対にやりきることを大切にしています。

MC:大根監督はどのように映画監督になられたのでしょうか?

大根監督:
若い頃から映像の仕事がしたかったのですが、日芸に入れず、映像系の専門学校に入りました。学生時代はバイトばかりしていましたが、卒業間際に作った作品を学内のコンテストに出したら、その時の審査員が後の師匠である堤幸彦さんだったんです。賞は取れなかったのですが、何か堤さんの中で引っかかったみたいで「うちに来ない?」と誘われて、この業界に入りました。当時はシンデレラボーイ的な感じで舞い上がっていたんですが、そこから20年ぐらいは大した作品が作れず、「モテキ」を作った時にはもう40歳になっていました。それまでは、世間様に認められるような作品は作れていなかったですね。

MC:大根監督は、音楽と映像を上手くリンクさせる監督として高く評価されていますが、こだわりなどはあるのですか?

大根監督:
中学生の頃からずっと音楽は好きでした。いま言っていただいたことが僕の映像の特徴なのは、好きな音楽をずっと好きでいつづけたからでしょうね。みんな30歳ぐらいを境に仕事が忙しくなり、CDを買ったりライブに行ったりしなくなるんです。周りが好きなものから離れて行ってしまう中で、僕は変わらず音楽を捨てなかったですね。

MC:渋谷さんが今の仕事を始められたきっかけを教えてください。

渋谷さん:
僕はなし崩しで今の仕事をしている感じです(笑)。親戚が出版社で働いていたので、その伝手でアルバイトとして出版社に入りました。そこで落書きのようなものを書いていたら、編集部の人から「漫画を書いてみれば」と言われ、そんなこんなで今の仕事になっています(笑)。

MC:劇中では、妻夫木さん演じるコーロキ・ユウジがオシャレ雑誌の編集者ということで、今回、実際に妻夫木さんが編集者として雑誌「MALET.」を作りました。実際に作られていかがでしたか?

妻夫木さん:
雑誌作りは本当に大変だったので、今まで雑誌を読む側としてアレコレ言っていたことが申し訳ないという気持ちです。表紙の撮影も僕が行ったのですが、ただ撮るだけでは上手く撮れず、猫の気持ちになって撮影したりしました。編集の段階でも、妥協したものを作りたくなかったので、最後まで頑張りました。事務所のスタッフにも手伝ってもらったりしましたね。

MC:特にこだわったところはどこですか?

妻夫木さん:
妥協したものを作りたくなかったので、こだわったところを挙げたらキリがないですね。映画の宣伝の一環として作る、自己満足なものにはしたくなかったんです。読んでくれた方が雑誌をきっかけに何か変わったり、編集をやろうというきっかけになってくれたら嬉しいです。"おしゃれ"って特に定義がないんです。それは見ている側が決めることで、ちょっとした"おしゃれ"のポイントに引っかかってくれたら嬉しいなと思います。

MC:まさに映画の中で語られていることですね。

妻夫木さん:
映画の中の「MALET.」がおしゃれすぎたので、実際に作るのはハードルが高く、作るのは難しかったですね。

大根監督:
よく「○○責任編集」と著名人の名前が載った雑誌が売られていますが、大して編集に関わっていないことが多いんです。でもこの雑誌に関しては、本当にブッキーが頑張っていました。

妻夫木さん:
でなければ「妻夫木聡・編集デビュー」なんて言葉、雑誌の表紙に載せられないですよ!

大根監督:
先月、本作の完成披露イベントがあったのですが、会場の控室でもブッキーが一生懸命作業をしていましたね。

妻夫木さん:
(同じマガジンハウスの)「an・an」の表紙の撮影をしながら、「MALET.」の打ち合わせをしていましたね(笑)。

MC:今回の雑誌では、カメラマンから、インタビュアー、編集者と、様々なお仕事をされていますが、今後、映画作りなどの裏方の仕事をやってみたいと思いますか?

妻夫木さん:
そう上手くはいかないですよ。先ほど"やりきる"ことが大事と話しましたが、僕が役者の仕事でご飯を食べられているのは、役者の仕事をやりきっているからなんだと思うんです。なんでも手を出して、なんでも上手くいくことはないと思います。なので、簡単にはやりたいとは言えないですね。でも雑誌作りは楽しかったので、直角さんと一緒に作ってみたいですね。今回の仕事を通して「サブカル」って何だろうなと思ったんです。「サブカル」を特集した雑誌を作ってみたいですね。

渋谷さん:
でかいところ行くな~。

妻夫木さん:
確かに大変だけど、そこに手を突っ込むのは楽しいかもしれないですよね。

MC:妻夫木さんが雑誌を作るとなったら、大根監督は参加しますか?

大根監督:
ネットで叩かれそうなところには、手を出さないです(笑)。ただでさえ、「サブカル」的なものを作っていると思われているので、「サブカルとは?」というセンシティブな討論には参加したくないです(笑)

MC:先ほど「簡単には監督をやりたいと言えない」と妻夫木さんはおっしゃっていましたが、妻夫木さんが撮られた映画を観てみたくないですか?

大根監督:
「やってごらんよ」と、冷たい目で見ると思います。(会場笑) でも、俳優がいい監督になることもありますからね。やってみてもいいんじゃない?

妻夫木さん:
いや、大丈夫です(笑)。

【学生による作品発表】

学生1:
この写真はオーストラリアで撮ったものです。

妻夫木さん:
テーマなどはあるんですか?

学生1:
今回は「子ども」をテーマにしました。子どものイノセントな部分を切り取れたらいいなという作品です。サーフィンの大会の会場で撮っています。

渋谷さん:
何で子どもにしようと思ったんですか?

学生1:
大人になるにつれて失っていくものを撮りたかったんです。写真を通して子どもの目線に戻ってみようという試みです。実は「監督コースに入りたいボーイ」だったのですが入れず、写真学科に入って、サークル活動などで映像を撮っています。

大根監督:
なるほど、確かに映像に近い物語性を感じますね。

勇気を出して作品をプレゼンしてくれた学生に、サイン入りの雑誌を記念にプレゼント!

MC:続いて映像作品の紹介です。タイトルが「クズ、粗びき胡椒で炒める」です。

学生2:
あの、実は「クズが世界を回す」というタイトルだったのですが、パソコンで動画にファイル名を付ける時に、間違えて「クズ、粗びき胡椒で炒める」と付けてしまって...。

大根監督:
そっちのほうがいいよ(笑)!

大根監督:
面白そうな感じですね。最近は、機材が手に入りやすくなったので、若い人のクオリティがどんどん上がっていますよね。その分、個性を出すのが難しくなってはいますが...。僕が堤さんに拾われた20歳の頃の作品と比べて、レベルが高いですよ。

学生2:
長回しのカットの効果的な使い方を教えてください。

大根監督:
長回しの一カットの中で、芝居だけでなく背景も含めて、どれだけ"事件"を起こせるかが大事だと思います。あと、若い映像作家さんにいつも言っているのが、「『音』を大切にしてください」ということです。音の大きさがカットごとにずれているのは、観ている側として思った以上にストレスになるんです。映像や芝居に目が行きがちだと思いますが、意外と「音」を重要視して撮るといいかもしれないですね。

サイン入りの雑誌を記念にプレゼント!

【質疑応答】

学生3:
今後の夢はありますか?

渋谷さん:
夢っていい言葉だよね(笑)。次は動物の漫画を書いてみたいと思っています。

大根監督:
これまでは、突貫工事的に作ってきた作品が多いので、じっくり腰を据えて、一年ぐらい長いドラマなどを作ってみたいですね。

妻夫木さん:
夢って叶えるものだと思っていて、叶わない夢は見る必要がないと思っています。最近、海外の映画祭に行く機会が多いのですが、日本は国内にしっかりした映画の市場があるので、日本の中だけで上映する作品が多いんです。同じアジアの俳優と話したりすると、世界に向けた作品を作ってみたいなと思います。また、漠然とした大きな夢ですが、自分がきっかけになってアジアの人が一緒に作品を作ることができればいいなと思います。

学生4:
映画では水原希子さんがすごく魅力的でキュンキュンしました。どうやったら魅力的に女性を撮ることができますか?

大根監督:
よく「女性をエロく撮るのが上手いですね」と褒めていただくことがあるのですが、本当に特別なテクニックはないんです。とにかくその女優さんを好きになることだと思います。「モテキ」の長澤まさみちゃんの時もそうでしたが、キャスティングが決まった時点で、全力でヒロインを好きになる。その分、ブッキーのことがおざなりになったりしたのですが...(笑)。僕の映画はヒロインが輝いていないとどうにもならないので、一番力を注ぐところです。

妻夫木さん:
撮影現場ではAカメ、Bカメと二つのカメラを回していたのですが、大根監督が興奮してくると、通称Eカメというエロカメラが出てくるんです(笑)。それで希子ちゃんを撮るんですが、一緒に演技している僕にガンガン当たってくるんですよね。鼻息荒く「ちょっと邪魔!」って(笑)。勘弁してほしかったですね。

大根監督:
撮っているときは全然気付かないんですが、後でメイキングの映像を観ると、「自分何しているんだろう」と恥ずかしくなりますね。

学生5:
渋谷先生に質問です。劇中の恋愛のやり取りがリアルすぎてとても引き込まれましたが、実体験に基づいて書かれているのでしょうか?

渋谷さん:
よく聞かれるのですが、決して誰かをモデルにして書いているわけではないんです。でも恋愛の過程で、良かれと思ってやったことが裏目に出たりすることがあるじゃないですか。あの時の気まずさを、ネチネチ書きたいと思ったんです。一応、キャラクターを創作する力があるのでね(笑)。

大根監督:
見たことも聞いたことも無いようなことを作品にするって難しいですよね。意外と身近で起きたことって面白かったりするので、それを題材に作品を作るのもいいですよね。

学生6:
今、大学四年生で、来年の四月から就職して働き始めるのですが、演劇がとても好きなので、仕事との両立をどうしようか迷っています。妻夫木さんに、勇気が出るような言葉をいただきたいです。

妻夫木さん:
土日だけやっている劇団なんてないですから難しいですね。でも、僕は後悔が大嫌いなんです。今やらないと後悔すると思うので、やれるだけやるべきだと思います。自分が一生懸命に頑張っていれば、家族や友人にもどれだけ本気なのか分かってもらえると思いますし、応援もしてくれると思います。本気なら覚悟を決めてやることですね。中途半端にブラブラやっていると、仕事も演劇も両方ダメになると思います。

MC:一度会社に入って働いてから、自分のやりたいことに気付き、会社を辞めて俳優や映画監督を目指す方も多いですよね。

妻夫木さん:
俳優仲間でも、30歳まで働いていた会社を辞めて、一から演劇をやっている人もいます。人生は人それぞれですが、一度きりしかないんです。若さも戻るものではないですし、今しかできないことがあることを覚えておいてください。

記念にサイン入りの半被をプレゼント!

MC:最後にメッセージをお願いいたします。

妻夫木さん:
僕は大学生活に憧れがあって、いつか自分の時間ができたら、大学に行ってみたいと思っているんです。今、皆さんがいる日芸は本当に狭き門だったと思います。そこに通っていることを誇りを持ち、自分に自信を持って進んでいってほしいです。そして何事もやり切れば、自分にしかない何かがきっと見つかると思います。僕たちも、この作品でできることを全部出したつもりです。大根監督と、この作品を作れたことが本当に嬉しいです。こういったサブカルの匂いのするラブコメ映画は、日本で残っていくジャンルだと思います。もしよかったら、残りの大学生活をちょっとだけ使って、この作品の宣伝をしてもらえたら嬉しいです!

大根監督:
タダで観ているわけだからね! (会場笑)

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