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原作&脚本・和田竜、監督・中村義洋
"忍びの国"の魅力を語る
「忍びの国」トークショー

2017年06月08日

「忍びの国」トークショー

<左から、和田竜さん、中村義洋監督>

圧倒的なスケールと緻密な人物描写で戦国時代を描いた和田竜さんのベストセラー「忍びの国」(80万部突破)の実写化に伴い、その魅力を作り手側から語りつくすトークショー付き試写会が6月8日、東京・港区のニッショーホールにて行われました。
イベントに現れたのは、「予告犯」「殿、利息でござる!」など次々とヒットを飛ばしている中村義洋監督と、原作の他、脚本も務めた和田竜さん。中村監督が「大野くんは来ませんよ」と笑いをとったところからスタートしたトークショーは、原作を書き始めたきっかけ、映画の舞台である伊賀にて行われた取材、忍者映画に対する想い、主役の大野智さんについて、ここでしか聞けない作り手の視点が展開されました。
最後に、来場したお客様の半数が、原作を読んでいるという原作ファンであることを受け、中村監督は「原作のおもしろさ、映画のおもしろさの違いをぜひ楽しんでほしい」と力説。そんなものづくりへの熱い想いを感じられたトークショーの様子を詳しくご紹介します。


MC:原作・脚本の和田さんにお聞きします。原作を書こうと思ったきっかけは何ですか?

和田さん:
僕は元々シナリオライターになりたかったのですが、プロとしての初めての仕事が「忍者ものを書いてください」というシナリオの仕事でした。シナリオを書き、新潮社さんに、「このシナリオを小説にしたい」と言って、小説も書くことになったという経緯です。

MC:忍者へのこだわり、魅力的なところはどんなところでしょうか?

和田さん:
「忍者ものを書きなさい」という依頼があって書いたので、僕自身、忍者に大きな関心があったわけではありません。伊賀の歴史を調べてみると、「忍びの国」の題材にもなった伊賀攻めを見つけて、「忍者は集団で戦うんだ!」ということに新鮮味があったので、これを題材にしようと思って書きました。

MC:中村監督、原作を読んだ感想はいかがでしたか?

中村監督:
本当にいい小説と出会ったときは、最後までブレることなく終わってほしいという気持ちになるのですが、今回の原作も最後の10ページくらいをそんな気持ちで読みました。僕は子供の頃から忍者が好きだったので、すごくおもしろかったです。今までの忍者の描き方と違いますし、僕が思っていた理想の忍者が書いてあったので、すぐに新潮社さんに行きました。

MC:中村監督から連絡をしたのですか?

中村監督:
プロデューサーさんを介して連絡をしました。それが2008年ですね。

MC:それは「忍びの国」が出版された直後くらいですね。そこから映画化になったということですね。

中村監督:
映画化まで長かったですね。やはりお金がかかることなので(笑)。

MC:和田さん、「忍びの国」を書くまでに緻密な取材を重ねたとお聞きしました。

和田さん:
資料はたくさん読みました。

中村監督:
伊賀にも行きましたよね。

和田さん:
行きました。資料を読んで、伊賀攻めはどのような経緯で行われて、戦争はどのようなプロセスで戦われたのかを知った上で、合戦場だった場所や、丸山城のような関係のある場所に行きました。映画の中でも印象的に描かれています。

MC:準備にはどのくらいの時間をかけましたか?

和田さん:
「忍びの国」は半年くらいだと思います。その後で、取材に行ってシナリオを書きました。

MC:歴史ものであれば、事実に基づく調査、根拠など緻密な作業が必要だと思いますが、これは大変な作業ですか?

和田さん:
「忍びの国」では、「戦国時代の伊賀者という人たちはどのような日常を送っていたのか」ということを調べました。そのために、その時代に書かれた資料を読まないといけません。けれど現代ものを調べる方が簡単なわけでもありません。調べるということにおいては、歴史もの、現代ものでも大変な作業に変わりはないと思います。

MC:中村監督がその脚本を読んで、映画にしたいと思った決め手をお聞かせください。

中村監督:
僕が元々、忍者、歴史が好きなこともありますが、和田さんの、伝わらない心の埋め方や筆さばきがものすごく好きでしたね。

MC:和田さんの作品は、教科書などに載りにくいできごとにスポットを当てて、逆転劇や、おもしろい歴史があるということを私たちに教えてくれるように感じますが、いかがですか?

和田さん:
歴史に関して、僕は映画のような題材を選んでいるような節があります。「忍びの国」では、"侍と忍者が集団戦をする"これは、正規軍とゲリラ軍が山中で戦うイメージです。これをクライマックスにしたら、おもしろい映画になるなという発想から、資料を通じて調べていきます。魅力のある事件にスポットを当てるという題材の選び方をしています。

MC:今回は1500年に実際に起きた、天正伊賀の乱にポイントを絞ろうと思った理由は何ですか?

和田さん:
皆さんの中での忍者は、"一人で孤独に戦う"、"潜入する"というようなイメージが強いと思います。そのイメージとは違い、みんなで暮らす自分たちの国を攻められて、それを集団で戦って守るというところに惹かれました。

MC:そこで活躍するのが個性的なキャラクターなのですが、特にこのキャラクターはいいなと思った登場人物はいますか?

中村監督:
大膳です。

MC:大膳のどこに魅力を感じますか?

中村監督:
強い者としか戦わないところがいいですね。男子の憧れです。「弱い者とは戦いたくないが強い者となら戦う」という、このような男になりたい気持ちは誰にでもあると思います。

和田さん:
僕は、無門ですね。僕の書いた小説の中でも、気に入っているランクの高い人物です。

MC:その無門を演じているのは大野智さんなのですが、中村監督、大野さんに「無門に似ているから、そのままでいいじゃん」というメッセージを投げかけていたようですね。

中村監督:
原作に猫背と書いてあるのですが、大野くんは猫背なので...(会場笑)。「こんなにも猫背な人が、なんてキレのある動きをするんだろう」と感じる瞬間が無門ですよ。

MC:和田さんも先日、映画をご覧になったとお聞きしました。いかがでしたか?

和田さん:
この映画は、大野さんが相手と一騎打ちするシーンがあるのですが、その一騎打ちが壮絶でした。バトルシーンはこの映画の魅力の一つだと思います。

MC:主演の大野さんは、いかがでしたか?

和田さん:
以前から、運動神経がすごくいいという話は聞いていました。最後の一騎打ちのシーンでは、するどい動きをするんだなと驚きました。見事な無門を演じてもらったと思います。

MC:時代小説へのこだわりを教えてもらえますか?

和田さん:
僕が、常々気をつけていることは、その時代の人物が考えることをしっかり考えることですね。言い換えると、戦国時代の人間を現代風に解釈しないということです。我々は現代に生きているので、現代風に描きがちです。当時の人は、そのときの空気の中で生きているので、我々のような考え方はしません。

中村監督:
僕は、逆にこだわらないようになってしまいました(笑)。和田さんがしっかりとやってくれているので、それをおもしろく撮るだけです。僕は時代劇に関してはハードルが低いですね。

MC:原作は80万部を達成しています。この映画を通じて、さらにまた多くの方が原作を読む機会があるのではないでしょうか。

和田さん:
読んでもらえたら、嬉しいです!

MC:それでは、皆さんにメッセージをお願いします。

和田さん:
戦国、合戦ものというのは、監督が話したようにお金がかかるので、あまり映画化されません。この映画は、世にも珍しい戦国合戦ものだということを認識の上、観てもらえたらと思います。

中村監督:
僕の映画の作り方としては、映画を先に観て、そこから小説に戻ってくる方をターゲットにしています。小説のおもしろさと映画のおもしろさの違いを読み直して感じてもらえれば、すごく嬉しいです。

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