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第1作目から60年以上の時を経て、日本に復活!
庵野秀明総監督が描いた「シン・ゴジラ」完成!
「シン・ゴジラ」完成報告会見

2016年07月19日

「シン・ゴジラ」完成報告会見

<左から、庵野秀明総監督、石原さとみさん、長谷川博己さん、竹野内豊さん>

1954年に第1作目が公開されてから60年以上。庵野秀明総監督の手で蘇った「シン・ゴジラ」の完成報告会見が7月19日、品川プリンスホテルにて行われました。この日は、総勢328人の俳優キャスト陣を代表し、長谷川博己さん、竹野内豊さん、石原さとみさん、そして庵野総監督が登壇。作品に込められたメッセージや現場の秘話などを語りました。
本作は配給前にもかかわらず、すでに世界100の国と地域での供給が決定! 作品や監督への期待の高さが伺える人気ぶりをみせています。
キャストの誰もが庵野総監督の素晴らしい本作に出演できた喜びや役作りの難しさなどを語り尽くした、内容の濃い完成報告会見の様子をご紹介します。

山内章弘エグゼクティブプロデューサー

本日は、お集りくださいましてありがとうございます。 
庵野秀明総監督

最初に謝っておきたいことがあります。エヴァンゲリオンのファンの方には本当に本当にお待たせしております...。でも、ゴジラも頑張ってやってきました。ゴジラファン、特撮ファン、こういう日本映画が好きな方々にはご満足してもらえるものになったんじゃないかと思います。本日はありがとうございました。 
長谷川博己さん(矢口蘭堂役)

こんなにたくさんの取材の方が来てくれて、本当にすごい映画に出させてもらったなという気持ちです。今日は最後までよろしくお願いします。
竹野内豊さん(赤坂秀樹役)

こんなに素晴らしい監督さんが作った「シン・ゴジラ」に参加できて、一生の思い出になるという気持ちでいっぱいです。本日はよろしくお願いします。
石原さとみさん(カヨコ・アン・パタースン役)

今日はクランクアップの時ぶりに庵野監督とお会いできて、こうした会見を開けることがすごく嬉しいです。今日はいい時間を過ごせたら嬉しいです。 


MC:「シン・ゴジラ」製作の経緯をお聞かせください。

山内さん:
日本版の前作は、12年前になります。「ゴジラ」は東宝としても大切なキャラクター作品ですし、世界中の映画ファンにとっても次作を待ち望まれている作品であると認識しています。「このままゴジラを眠らせておくわけにはいかない」という気持ちはすごくあったのですが、なかなか始動できませんでした。これが2012年の末に、いよいよ始動しようということになりました。それは、ハリウッド版の「GODZILLA」の企画が発表されて、その熱が高まってきているなかで、「本家本元、日本版はどうしたんだ?」という声援に背中を押された部分もありました。そして「日本のゴジラ、日本がつくるゴジラというのは一体どういうものなんだろう?」ということを強く考えました。監督も日本を代表する監督でなくてはなりません。そのなかで、日本を代表するアニメーションクリエーターであり、実写の経験も豊富で特撮に対する愛情、造詣も非常に深い庵野監督にぜひともお願いしたいと、13年の初冬に監督に相談させてもらったのが始まります。最初からご快諾というわけじゃなかったのですが、盟友である樋口監督、尾上監督にもご参加いただいて一緒につくっていこうとなったのが、14年の春ぐらいでした。そこからがこのプロジェクトの本格始動となったわけです。

MC:完成した映画の感想についてお聞かせください。

長谷川さん:
圧倒されました。誰にも真似できない新しいゴジラです。新しい日本映画でもあるなと実感しました。とても面白かったです。多くの方々に観てもらいたいなとすごく思いました。

竹野内さん:
限られた時間で感想を話せないぐらい大作だなと思いました。私なんかが感想を言ってしまうと薄っぺらくなるぐらい、非常にメッセージ性の強い作品だなと思いました。
フルCGなのにもかかわらず、まったくと言っていいほどSF感がないところがすごいなと思いました。時代と共に映画のスタイルは変わっていくと思うんですけれど、かつての日本映画のような...うまく言えないんですけれど、「映画を観ている」っていう気持ちになりました。
台本を読んでいて、活字の量も膨大で自分では想像がつかないくらいの台本でした。撮影期間中も庵野さんの頭の中でしかわからない世界観というか、自分なんかにはどういう風に仕上がるのか想像もつかないぐらいでした。完成した映画を観たときには想像をはるかに超えているような...。まあ観てのお楽しみというか、私は感動しました。こんなに素晴らしい映画に参加できたことが本当に嬉しいです。


石原さん:
私もつい先日観させてもらったんですけれど怖くて震えました。
日本人として敗戦国で被害者意識じゃないですけれど、そういうものを持っていた自分がいました。今回、アメリカ人を演じたのですが、先日、オバマ大統領が広島で献花し、被災した方を抱きしめられて、初めての感情を抱きました。こんなにも原爆、原発、放射能について考えさせられたことはなかったので、本当にこの映画を観て考えさせられました。


MC:それぞれ、ご自身がやった役柄についてお聞かせください。

長谷川さん:
僕は官房副長官を演じました。ゴジラと対立することによって成長していくような、新しいリーダー像みたいなものをつくれたらいいなと思いました。頭がきれるだけではなく、人望のある政治家として、今求められているような政治家になれたらいいなという気持ちで演じました。矢口という人間は30代後半で官房副長官という、政治家としては登竜門というポストに立っています。そういうところに立っていれば、当然周りからもいろんなことを言われるだろうなというところがありました。僕の役作りとしては、なるべく存在していないようで存在している、無色のような存在感でいられたらいいなと思っていました。それが次第にいろいろな問題が起きることによって内側にある日本を愛する情熱や、国民を守りたいという気持ちが徐々に出ていき、気づいたら自分が周りのいろいろなものを受けて成長していけたらいいなと思って、役をつくっていけました。後半の方では、庵野監督も「これはある種、矢口の成長物語だったね」と言ってくださったのが印象的でした。

竹野内さん:
政治家の役は、今まで経験がありませんでした。普段、政治家の方の活動はテレビでしか拝見しないんですよね。今回、自分が演じるのはメディアに映っている裏側の姿なので、どういう気持ちで演じたらいいのか正直わかりませんでした。それで、庵野さんに現場でとにかくわからないものはわからないと正直に聞きました。そうしたら、いろいろとご指導してくださいました。庵野さんの考えの深さというか...、本当にすごいなと思いました。庵野さんと撮影現場で話していたことで、印象的だったのは、「矢口は非常に幼い」と言っていたことです。「矢口のように突っ走っていくタイプに、もっとこうすればいいじゃないかとか、ああすればいいじゃないかということを言ってはいけない。それは、あまりにも幼すぎる。僕は赤坂という人はそうじゃないと思う」と言っていたことです。これを庵野さんから聞いた時に、庵野さんの自身のなかに矢口と赤坂の二人が存在しているのかなと感じました。矢口のように突っ走っていく熱いところと、どこか冷静沈着にきちんと状況を見て的確に行動に移す、庵野さんのなかにそういう二人が存在するんじゃないかなと思いました。

庵野監督:
使い分けています。そういう職業なんで、そうなんですよ(笑)。

竹野内さん:
あの時、庵野さんが言っていたのは正確に言うと?

庵野監督:
「矢口は子ども、赤坂の方が大人で、この映画に出てくる大人は三人しかいない。そのうちの一人です」そういう話です。僕の根本は赤坂に近いんです。ときどき矢口みたいなことになります。とにかく、長谷川くんが何か言ってもなだめすかす。これは、素が出ていてすごく良かったです。現場の雰囲気を見てこのキャスティングで良かったと思いました。素晴らしかったです。ありがとうございます。

竹野内さん:
こちらこそ、ありがとうございます。

MC:監督、大人三人と言われましたが、328人ほとんどが大人のキャストなんですが...。

庵野監督:
大人と、子どもと、どっちでもない。描く必要がない人がほとんどなので...。あとは、映画をご覧になればわかると思います。

MC:石原さん、演じられていかがでしたか?

石原さん:
撮影中は、胃が痛い毎日でした。孤独でしたし、ゴジラを撮影しているって客観視するたびに、プレッシャーに押しつぶされそうでした。役柄的にも初めのシーンは「何だこいつ?」というようなイライラするような発言とか、態度があります。ちょっとでも自分自身がひるんだら弱くなりそうだったので、何度も何度も負けるなと自分で振い立たせていました。でも、私自身の感情とか立場がどんどん変わっていくシーンでは、徐々にですけれど孤独を感じることが少なくなっていくのかなと思います。

MC:庵野監督、エヴァンゲリオンの制作をお休みしてまでゴジラに取りかかったのは、なぜですか?

庵野監督:
「エヴァンゲリオン」という作品は、僕自身、魂としかない言いようがないものなんです。自分を削りながらつくっていくのを新劇場版を3本連続でやってしまって、削りきってしまったんです。本当はもう少し残すつもりだったんですけれど、僕自身の映画のつくり方が「1試合完全燃焼」なんです。次のことを考えずに作品をつくってしまうので、その度にまた立ち上げるところから始めないとつくれないタイプなんです。それを3回もやってしまったので、本当にこのまま作品というものをつくれないかもというところまで追い込まれました。そんな時に東宝さんの方からこの話をもらいました。僕自身が救われたような気がしました。僕は今回の作品に救われています。そのおかげで、今こうしてここにいられますし、「エヴァンゲリオン」という作品をつくり続けることもできるました。言葉にならないですね。
今回の「シン・ゴジラ」については、本気でやっています。それは、作品を観てもらえれば伝わると思います。


MC:これまでのゴジラは続編が基本でしたが、「シン・ゴジラ」は初めてゴジラが出現するという設定が新しいですね?

庵野監督:
怪獣が出てくる映画のおもしろいところは、現代の社会に異物というか、全然違うものが現れるところだと思います。それは、特撮映画じゃないとできない世界観だと思います。アニメは、全部虚構の世界で、絵で描いたり、CGだったり...。特撮映画の場合は、現実世界を切り取った映像の中にそういうものを混ぜることができます。それが特撮映画のおもしろいところだと思うんです。それを最大限に活かす方法論としては、それが現実社会に最初に出てくるということなんです。僕は、怪獣映画の完成度と素晴らしさは最初の「ゴジラ」に集約していると思うんです。最初にこの話をもらった時に、お断りした理由の一つは、「最初の『ゴジラ』を超える自信がない、それに近づけるだけの自信がない」ということでした。「怪獣映画はあれがあれば、十分じゃないですか」と東宝さんにお話しました。でも、引き受けておもしろい映画をつくろうと思う以上は、最初の「ゴジラ」に少しでも近づけたい。あのおもしろさ、あの衝撃にわずかでもいいから近づけたいと思いました。それには最初の「ゴジラ」と同じようなことをやるしかないんですよ。それ以外、あれに近づく方法は僕のなかになかったです。だから、最初の「ゴジラ」と同じ設定で、今までゴジラというものはいなかった、怪獣というものがいない世界に初めて現れた、そういう世界を描こうという感じでした。

MC:今回の「シン・ゴジラ」、すでに100の国と地域で配給が決まっています。このような早い段階で決まっていることは異例なことです。日本で制作された「ゴジラ」シリーズの中でも最大の配給の数ということになります。

長谷川さん:
すごいですね。ゴジラというものが世界的に一つの怪獣のシンボルであり、世界中に愛されているということと、やはり、庵野監督への期待だと僕は思います。それに出られたということは、すごく嬉しいです。違う仕事で海外に行った時に、外国人のコーディネーターさんに「君はゴジラアクターなんだろ?」と言われました。世界で「ゴジラ」の映画に出ていることだけで、かなり価値が上がるということでした(笑)。僕はすごく嬉しいです。

竹野内さん:
本当に嬉しい限りです。今、庵野さんのお話を聞いていても感じたんですけれど、庵野さんが最初にゴジラのオファーがあったんだけれどお断りをしたという話は聞いていました。完成した作品を観て、そのぐらいの方だからこそ、こんなに素晴らしい作品になったんだなと感じました。メッセージ性の強いところもそこだなと思ったんですよ。エンターテインメントというのは、人それぞれだと思います。ゴジラに関していえば、大きさも、今回、前代未聞の118.5m。このゴジラの大きさは日本だけに留まっていてはいけない、このゴジラの存在を世界中の人に観てもらって、このゴジラを観終った時に、みんなに議論してもらいたいです。そこに一番の意味があるのかなって感じます。

石原さん:
東宝さんがつくりだした「ゴジラ」が、60年の時を経て、一つの題材をつくり続けてきて、誰もが「ゴジラ」って何なんだろうって思うタイミングで、世界100カ国で観たいって思われることがすごいことだなって思います。今まで60年間紡いできたものが本当に世界に発信されるというのはすごいことだと思います。

<質疑応答>

Q:庵野さんにお聞きします。今回、最初の「ゴジラ」に近づけたというお話でしたが、着ぐるみではなくフルCGにすることで非人間性がクローズアップされ、より1作目に近い印象を受けました。今回フルCGにしたのは、そういう意図もあったのでしょうか?

庵野監督:
そうです。着ぐるみもいいんですけれど、今回は世界観も合わせてCGの方が映画の中身に合わせればいいんじゃないかと思いました。今は映像の選択肢も広くなっているので、そのあたりも含め、CGにしました。CGの持っている人間的ではない部分も今回は活かそうかなと思いました。なるべく人間的な意図とか意思とかは削り取るようにして描いています。目だけは下を見ていますね。これが今回のゴジラの唯一のコミュニケーションかなと思います。下を見ているゴジラは、初代ゴジラと今回のゴジラだけです。

竹野内さん:
庵野監督がゴジラの目にすごくこだわっているというお話を聞きました。

庵野監督:
そうですね。見ているところは、それが感情になるので視線にはこだわりました。ものすごく小さいレベルの修正をしました。

Q:フルCGで描くなかで一番苦労したことはなんですか? また、キャストの皆さんが撮影中一番大変だったことを教えてください。

庵野監督:
CGは、最後の仕上げがすごく大変なんです。光の加減とか、どういう風に皮膚の感じが見えるか、動きや、それに合わせた煙、エフェクト、本当に大変でした。けれど、白組さんが本当に最後の最後まで頑張ってくれました。日本映画のCGに対する見方が変わるのではないかと思うぐらい素晴らしい出来になっているかと思います。それで日本映画の何かが変わればいいなと切に願っています。

長谷川さん:
僕は政治家の役でしたが、政治家については僕らが普段テレビで見ていたり、報道されている、表面的なことしかわからないわけです。緊急事態が起きた時に、実際にカメラが回っていないところでみんながしゃべっていることとか、そういうことのリアルを追求するのがすごく大変でした。知り合いの政治関係の人に聞いても、やはり最後まで腹の中は見せてくれない部分もあるなという印象でしたし、そこは庵野監督と話してすごく考えながら演じました。

庵野監督:
基本的には感情を表に出さない。秘密結社ですから。

長谷川さん:
そうですね。そういうところでリアルな政治の役作りは少し苦労したなと思いました。

庵野監督:
大丈夫。僕も知らないから(笑)。

竹野内さん:
今回フルCGで、グリーンバックで撮影しました。モニターを見ている時とかも、自分の想像でしかできないわけです。本当に手さぐりでしたけれど、自分の中で想像を膨らませて、リアクション一つにしてもゴジラが出現したら「オー」って言うわけですよ。「オー」っていう一言も、嘘っぽくしたくない気持ちもありました。どんな表情をしたらいいのか、そういうのは難しかったですね。「シン・ゴジラ」という生まれ変わったゴジラが魅力なんですけれど、人間ドラマもすごく構築された映画だと思っています。自分が観ていて感じたんですけど、長谷川さん演じる矢口に自分を投影して見ているところがあって、映画の中でいろいろと惨事が起こるんですけれど、長谷川さんの表情が切迫していく感じがものすごく印象的でした。ドラマをしっかり構築しているからこそ、ものすごく引き込まれていくものがあるんですよね。自分も初めての政治家役でしたができる限りちゃんとやりたいなと思って、庵野さんにたくさん相談させてもらいました。

石原さん:
現場に入る前の方が大変でした。台本をもらって、文字がものすごく多くて分厚くて...。ニュースとかで聞くワードも漠然と意味はわかるけれど、本当の意味は何なんだろうとか、わからないことが多すぎました。それを一つずつ調べながら、メモをとり、書きこみながら読みました。1回読んだだけではわからなかったのが、読めば読むほどどんどんワクワクしていきました。そのワクワクがどこかで他人事のように見ていたかったなって思うぐらい、自分がこの作品に参加するっていうことが怖くなりました。脚本が本当に素晴らしくて壊したくないってずっと思って震えていました。

MC:庵野監督は、撮影中ご苦労はありましたか?

庵野監督:
苦労しかないです(笑)。あらゆることで苦労しました。

MC:最後にご挨拶をお願いします。

石原さん:
今回、本作に参加してアメリカの大統領特使という役を演じなければ、これほどまでにこれから生きる未来のために学んでいこうという決意はできなかったと思います。こうして作品に参加できたことに心から感謝しています。自分が生きる上で大きなきっかけになったなとまた何十年後かにそれに気づくと思います。それがはっきりとわかる作品だったなと思います。そして、観てくださる方の経験とか知識とか、どこに興味を持っているのかで捉え方や感想がすごく変わる作品だと思いました。観終った後、ぜひ議論してもらえたらと思います。

竹野内さん:
庵野監督が身を削る想いでつくられた、この「シン・ゴジラ」。もうゴジラの存在が日本を超えて、日本だけのゴジラじゃない気がしました。世界中の方々に観てもらって、そしてぜひとも、どうだったか、皆さんで議論してもらいたいです。ただ、それだけです。

長谷川さん:
先ほど庵野監督がおっしゃったように、現場では苦労しかないという状況を僕は見ていました。命をすり減らしながら、ものづくりに挑む姿を見て、他のスタッフ、キャスト328名もそうですが、この映画の中のセリフにもあるんですが、「日本はまだまだやれる」、それを証明できたんじゃないかなと思います。日本のチームワークの良さが、大事なメッセージになっているような気がしています。幅広く観てもらえる作品になっています。ぜひ皆さん、劇場で観てもらえたらなと思います。

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