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「杉原千畝 スギハラチウネ」大ヒット御礼舞台挨拶

2015年12月22日

「杉原千畝 スギハラチウネ」大ヒット御礼舞台挨拶

<左から、唐沢寿明さん、手嶋龍一さん>

激動の第二次世界大戦下でナチスの迫害から逃れたユダヤ難民に、日本通過ヴィザを発給し6000人もの命を救った実在の外交官を描いた感動大作「杉原千畝 スギハラチウネ」。正月映画シーズンの先陣を切り、12月5日に全国公開され、初日の観客アンケートでは満足度94%を記録する高い評価を得ています。

そんな本作の大ヒットを記念し12月22日、東京・新宿の新宿バルト9で舞台挨拶を実施。主演を務める俳優・唐沢寿明さんが鑑賞後の観客とティーチインを行いました。この日は外交官事情に精通する外交ジャーナリストで、杉原氏に関する著書も手がける手嶋龍一さんが駆けつけ、時代背景や当時の人々の考え方、世界情勢についてわかりやすく解説しました。当日の模様をレポートいたします。

唐沢寿明さん(杉原千畝役)

今日はこんなに多くの皆さんに来ていただきありがとうございます。(公開後)改めて舞台挨拶に立つのは僕にとっては珍しいことなので、何と言ったらいいか分からないです。まずは手嶋さんに話を振りたいと思います(笑)。
手嶋龍一さん

まずは映画の大成功、おめでとうございます。この映画はポーランドでロケをされたそうですね。現地では皆さんが大変よくしてくださったと聞いております。やはり、ポーランドの人たちの胸に「チウネ スギハラ」という偉大な人物が住み着いていると実感しました。実際に現地ではいかがでしたか?


唐沢さん:
現地のエキストラの皆さんが、僕やスタッフ、(妻役で共演した)小雪さんを見つけると、必ず「助けてくださり、ありがとうございます」とお礼をしてくださるんですよね。自分のおじいちゃんから杉原さんの話を聞いたりしているそうで、それに驚きました。

手嶋さん:
実は私も杉原さんには大変お世話になった一人です。ワシントンで仕事をしていた頃かなり重要な人物に取材をさせてもらい、ビックリするようなスクープを教えてもらったことがあったんです。どうしてなのか、と思ったら、やはりご一族の中に"スギハラサバイバー"と呼ばれる生き残った方がいらっしゃったんです。それだけで僕ら日本人を大切にしてくださるとは、どれだけ杉原千畝という人物が偉大なのかを実感しました。そういう意味では改めて、杉原さんにお礼を言いたいですね。

MC:唐沢さんから、手嶋さんに聞いてみたいことはありますか?

唐沢さん:
今ちょうど、難民問題がクローズアップされていますが、現在の外交官の皆さんに、杉原さんのような決断はできるのでしょうか?

手嶋さん:
大変難しい質問ですね。結論だけ言いますと、最終的には覚悟の問題だと思います。ですから「できるはずだ」とお答えておきます。外交官の方々に話を聞くと「自分にそれほどの決定権はない」とおっしゃいます。ですが、そんなときは必ず国連難民高等弁務官だった緒方貞子さんが1991年、国連の規則を変えさせて、イラク国内のクルド人を難民と認めて救済した出来事を反論の材料にさせてもらっています。これには頭の硬い外交官もうつむいてしまいます。緒方さんは、杉原千畝の志を受け継ぐ"覚悟の人"だと言えると思います。本人の理想や意志があれば、厚い壁は打ち破ることができると申し上げておきたいですね。

唐沢さん:
まるでテレビを見ているみたいですね。非常に勉強になります。

MC:それではここからは、会場のお客様からの質問をお受けしようと思います。

質問1:
唐沢さんに、ポーランドでの撮影の雰囲気を教えてもらえればと思います。ポーランドの皆さんにとっては過去の戦争が、目を背けたい、思い出したくない出来事だと思います。そんな中、ロシアやナチス・ドイツの旗、軍服などを持ち込んで撮影をしていたことに、現地の人々はどのような反応をされたのでしょうか?

唐沢さん:
映画の撮影に関しては、ポーランドの皆さんはとても慣れていました。日本だとロケ中に「ここ通れないの?」などと聞かれることもありますが、ポーランドではそういうことはなかったですね。ただ、現地で通訳をしてくれた20歳くらいの女子学生さんが「いつかまた、ロシアやドイツから侵攻されるんじゃないか」と怖がっていたのは印象的でしたね。

質問2:
杉原さんの生き方に共感できる部分を教えてください。

唐沢さん:
僕には杉原さんみたいな決断はできないでしょうね...。映画の中心は杉原さんですが、彼の姿に感化され、周りが変わっていくんですよね。僕自身はその部分が好きだなと思っています。家族との物語もありますが、決断の前に「どんなことが起こっても、ついてきてくれるか?」と奥さんに聞くシーンは、非常に印象的ですよね。そこまでの気持ちを共有できる人が隣にいないと、なかなか決断もできないですから...。

質問3:
今回、英語のセリフに挑戦していますが、これを機に海外の作品に出演したいお気持ちはありますか?

唐沢さん:
今のところ、どこからもオファーがありません(会場笑)。最初は英語とフランス語、ドイツ語とロシア語で演じるはずだったんですけれど、監督(チェリン・グラック)もアメリカ人ですし、最終的には英語だけにした方がいいだろうという結論になりました。

質問4:
もし海外からオファーがあったら、受けますか?

唐沢さん:
それはギャラによるでしょうね(会場笑)。今回、ポーランドの俳優と共演して、向こうも「日本の俳優ってどんなやつか」っていう目で見ていますからね。そういう緊張感があるのはいいことだし、アジアも含めて海外で仕事をする機会があればいいなと思います。まずはアジアの人と仕事をしてみたいですね。

質問5:
外交ジャーナリストである手嶋さんから見て、唐沢さんが演じた外交官・杉原千畝はいかがでしたか?

手嶋さん:
唐沢さんが演じた杉原千畝が6000人のユダヤ人の命を救い、そのユダヤ人が戦後のあり方を変える原動力になったことを考えると、言うまでもなく偉大なヒューマニストですよね。それに加えて、国家の命運にかかわる極秘情報を集め、命を尽くす偉大なインテリジェンス・オフィサーとしての側面も今回の作品では初めて演じられている。スパイよりももっと大きな存在ですし、そこが素晴らしいですね。それだけ偉大な外交官がどれほどいるか、といえば普通は"お役人"として働く人もたくさんいますから、戦前の日本が杉原さんのような人物を輩出したことは、大きな誇りと言っていいでしょう。

質問6:
作品の舞台となったリトアニアでは、映画のプロモーションもされたと聞きましたが、何か楽しかった思い出、大変だった思い出はありましたか?

唐沢さん:
日本テレビのバラエティ番組でいろいろロケをしたのですが、朝7時から夜7時まで美女探しをしたんですよ(笑)。本当にきつかったですね(笑)。キレイな人はたくさんいるんですけれど、時間が...、朝から晩までなんですよ。見学したいものもいっぱいあったし、本当はいろんな場所に行きたかったんです。けれど(ワールドプレミアを行った)劇場にはたくさんのリトアニアの方々が来てくださって、それには驚きました。200人くらいは劇場に入れない状態でした。それにあちこちに杉原さんのパネルが飾ってあって、本当に愛されているんだなと思いましたね。旧日本領事館に行けたのも良かったです。建物の真裏にリンゴの木がありました。まるで平和の象徴みたいなんです。

MC:それでは最後に、唐沢さんから一言いただきます。

唐沢さん:
無名の頃からいろいろな縁を通して、たくさんの出会いを経験し、助けてもらい、引っぱってもらって、こうして俳優をやっております。誰かのために何かをしたいなと思って、自分なりに努力するんですけれど、この映画を観て、「やっぱり自分のやっていることは小さいな」と感じました。それでも自分にできることはこれからも続けていくつもりです。こうして舞台に立たせてもらうと、たくさんの人に観てもらっているなと思えて、また「助けられた」という気持ちになります。感謝しております。お返しできる作品に自分自身が出会えるか分かりませんが精一杯努力していきたいと思います。まだまだ上映は続きますので、ぜひ応援よろしくお願いします。本日はありがとうございました。

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