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世界最高峰で撮影を敢行した、感動のスペクタクル超大作
「エヴェレスト 神々の山嶺(かみがみのいただき)」製作報告会見

2015年12月14日

「エヴェレスト 神々の山嶺(かみがみのいただき)」製作報告会見

<左から、阿部寛さん、尾野真千子さん、>

映像化不可能と言われ続けた夢枕獏の原作を、実際にエヴェレストで撮影を敢行し実写映画化した「エヴェレスト 神々の山嶺(かみがみのいただき)」。ついに完成した本作の製作報告会見が、12月14日、東京・元赤坂の明治記念館で行われ、主演の岡田准一さん、阿部寛さん、尾野真千子さん、平山秀幸監督が過酷な撮影を振り返りました。

3月にクランクインし、1カ月にわたるエヴェレスト、カトマンズでのロケの後、6月にクランクアップした本作。実際に自らの足で標高5200メートルへ登った岡田さんたちから、山で感じたこと、そこで得たものなどが語られました。つらい思いをしながら「また登りたい」という岡田さんたち。作品に懸けた思い、エヴェレストの魅力が存分に伝わる会見の模様をレポートいたします。

岡田准一さん(深町誠役)
(カメラマン役ということで)自分はもともと登山やカメラをやっていたので、この作品に出会うために普段からやっていたのかなと運命を感じました。カメラマンとしてファインダーを覗きながら、実際に山に登って役作りをしている阿部さんを撮影できたことがとても幸せでした。とても力の出る気高い作品に仕上がっていると思いますので、ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
阿部寛さん(羽生丈二役)

羽生という役は自分にとってすごくハードルが高かったです。実際にエヴェレストの5200メートルに登りました。そこへ行くまでにもすごく時間がかかりましたが、そこで実際に周りの環境に身を浸しながら撮影できたことが良かったと思っています。かなりハードな撮影でしたが、本当の山の苦しみというか、生きていること、苦しむことを味わい戦いながら撮影できて楽しかったです。役作りにも活かされたんじゃないかと思っています。
尾野真千子さん(岸涼子役)

この作品に出会い、貴重な体験ができたことを本当に嬉しく思っています。完成した作品を改めて観て、この作品に関われたという感動が強くなりました。
平山秀幸監督

日本人のスタッフ、キャスト合わせて30人ぐらいで、5200メートルまで行って撮影してきました。どんなことが起こるかまったく想像ができない中での撮影だったので、文字通り命懸けで、今ここに3人と並んでいられることが奇跡のような気がします。出来上がった映画はまだ客観的に観られませんが、どんなふうに皆さんに観てもらえるか楽しみです。


MC:岡田さんが演じたのは山岳カメラマンでした。ご自身も写真や登山をされるそうですが、その経験が実際の撮影で活かされたことはありましたか?

岡田さん:
自分が写真を撮ることを好きになって山に登るようになったのは、この作品に出会うためだったのかなと思うぐらいの出会いでした。カメラマンの役なので、ずっと首にカメラをつけながらエヴェレストを登って、阿部さんの役作りを見ていました。自分の目で見るのと、ファインダー越しに見るのとでは、ちょっと違うんですよね。阿部さんが羽生丈二になっていく、火の塊のような男になっていく...、先輩がそうやって役作りをしながら山を登っていく姿を見るのというのは、とてもいい経験で勉強になりました。撮影が始まる前に監督が「いろいろ考えるより、生身の岡田が出るぞ」と言ってくださっていたんですが、厳しい環境の中で出る生身のお二人の真面目さを感じました。

MC:阿部さんが演じたのは孤高の天才クライマーでしたが、阿部さんご自身に登山の経験はあったのでしょうか?

阿部さん:
僕は登山の経験はないですね。なので、(撮影前に)日本の山にスタッフと一緒に2、3回行きました。酸素が薄いということで、低酸素室にも何回か行きました。スタッフに迷惑をかけてはいけないので、本当にビビりながら、トレーニングをして撮影に行きました。でも、最初の15日ぐらいは、(岡田さんと尾野さんの)お二人の撮影で、僕は撮影がなかったのでついていくだけだったんです。そして山を登っていくんですが、岡田くんは格闘技をやっているからすごく屈強じゃないですか。それを超える伝説のクライマーをやらなきゃいけないので、弱音を吐けない...(笑)。結構つらかったですが「大丈夫、大丈夫」と、涼しい顔をして頑張らなきゃいけないんですよ(会場笑)。

岡田さん:
(阿部さんは)すごく涼しい顔をされていたんですが...(笑)。

阿部さん:
いや、結構つらかった...(笑)。

MC:ということは、阿部さんがそういう思いをされていたというのはご存知なかったということですか?

岡田さん:
孤高に役作りをされていました。どんどん髭も蓄えていきながら山男に変わっていく姿を見て、「ああ、やっぱりすごいな」と思っていました(笑)。

阿部さん:
彼(岡田さん)は実際に写真もやるし、すごく上手なんですよね。役作りでもあるんですが、山にいる2週間ぐらいの間、僕をストーカーのように撮影しているんですよ(笑)。トイレに行くときもずっと追いかけてきて、羽生の生活を逐一追い続ける深町をずっとやり続けていたので、すごいことだなと思いましたね。尊敬します。

岡田さん:
阿部さんはうまく撮れるんですが...尾野さんはうまく撮れないという...(笑)。なぜかわからないんですが。すみません(会場笑)!

阿部さん:
僕は撮ってもらった写真がすごくかっこいいんですよ、自分でも「これ僕か!?」と思うぐらいでした。だから「そういえばお前、尾野さん撮っていないけど、尾野さんは撮ったか?」と言って次の日(岡田さんが)尾野さんを撮ったら、普通のスナップみたいでした...(会場笑)。

岡田さん:
あんまりうまく撮れなかったんです。あれ、なんなんでしょうね(笑)。深町だからでしょうかね...。(撮影前に阿部さんに)「撮っておいてよ」と言われたので撮っていたものを見せたら評判が良かったので、「尾野さんも撮るといいよ」と言われて撮り始めたんですけれど、まあうまく撮れないんですよね...。(尾野さんに)...すみません(会場笑)。

MC:尾野さんは二人の男性の間で揺れ動く、数少ない女性の登場人物を演じましたが、涼子を演じるにあたって意識したことはありますか?

尾野さん:
監督から「"LOVE"じゃないよな、"LIKE"だよな」というのを、登り始めるところからずっと言われ続けていたので、「"LOVE"になってもいいように、このまま"LIKE"でいってもいいように」というのは考えていました。でも、登っている姿を見ていると、誰でも"LOVE"になっちゃいますけれどね(笑)。それを抑えるように「とりあえず"LIKE"、"LIKE"...」と気を付けていました。

MC:お三方ともとても難しい役どころだったと思いますが、監督として求めたものがありましたら教えてください。

平山監督:
岡田さんが「生身」ということをおっしゃっていましたが、とにかくヒマラヤは大きいんです。映画を撮るという行為としては、5200~5500メートルというのが限界だと思います。朝起きたときが氷点下10℃、表に出たらマイナス15℃、20℃という中で、ここで泣けとか笑えとかというような小手先の芝居はまったく通用しないんです。そのことはきっと俳優さんもわかっていらっしゃると思います。そういう意味では、それぞれ与えられた役はあっても、僕たちはドキュメンタリーとして、この3人の生の様子をまるごと撮っている気がしました。

MC:実際にエヴェレストに登っての撮影はいかがでしたか?

岡田さん:
「いろいろ考えていったことが通用しない場所だから」と聞いていましたが、高い山といえば富士山にしか登ったことがなくて、5200メートルという高さや、空気が平地の半分というのは経験したことがありませんでした。本当に苦しい中でみんなで共同生活を送って支え合いながら登った感じがありました。

阿部さん:
本当に5000メートル超という世界は、そこにたどり着くまでにお風呂もないし、トイレもない。毎日、寝るのが怖いぐらい、登るごとに低酸素になっていくんです。5000メートルにたどり着いた日には、昼間は無理して呼吸をするようにしていたんですが、夜は呼吸が薄くなるじゃないですか。そうなると、やっぱり寒いのと頭が痛いのとで過酷なんですよ。そんな中でスタッフも全員登り切ったんです。最後の60メートルだけ登れなかったという方もいるし、登ったら今度はそこに長時間いることのつらさ、時間との戦いになるので、一週間で危なくなって降りた人もいました。そういう過酷な中でみんなが気を引き締めながらやったんです。酸素が半分しかないということは呼吸も苦しいし、撮影にも影響が出ます。そういうのをリアルに表現しようと、山屋さんという山の専門家の方がそばにいて、「今は動いちゃダメだ」と言ってくれるのを伺いながら撮影しました。本当に手の届きそうなところに、大きな山があるんですよ、すでに富士山を超えているような山が。もう距離感がわからないよね。すぐそこにあるようだけど、2時間かかるとか...尋常じゃない。そういう異常な世界で撮り切ってきました。僕ら俳優はその背中に乗って表現できればと、それを信じながら、苦しさをこらえながらやっていました。

MC:そういうお話を伺うと、女性はたじろぐ方も多いと思うんですが...。

尾野さん:
上の方まで登ると、気圧の影響とかで3キロぐらい痩せるらしいんですよ。皆さんが痩せていく中で、私は3キロ太りまして...(会場笑)。なぜでしょうね(笑)。腹八分目にしておけばいいものを食べちゃったからでしょうかね...。

岡田さん:
(尾野さんは)誰よりもタフだったと思います(笑)。

阿部さん:
そうですね(笑)。

MC:尾野さんはエヴェレストに実際に登れるということが出演の大きな要因になったそうですね。

尾野さん:
そうです。台本をもらって、「映画と一緒にエヴェレストに登る話です。(エヴェレストに)登ります」と言われたんですよね。そのときに「あ、じゃあやります」と決めていましたね。

MC:実際にエヴェレストに登ったからこそ感じたことも多かったと思いますが、いかがですか?

岡田さん:
山に登る方が「実際に何に惹かれているのか、どうしてそこまで登るのか」と疑問に思うのが、尾野さんが演じる役柄でした。けれど僕らも登ったことがないので、どうして本気で登りたいのか、命を燃やしてまでそこに懸ける情熱とは、生きるとは何なのかということを感じるためにゆっくり歩きながら、その場所で苦しさ、厳しさを感じて登りました。それはセットで撮ったらわからなかったことだったと思います。なので実際にその場に行って撮れたというのは大事なものだったなと思いますね。

阿部さん:
本当にスタッフ一丸となれたことですね。そこにたどり着くまでに、毎日、毎日登っていくわけですよね。助け合いながら登っていって、たどり着いたところでいよいよ撮影が始まるわけです。口では説明しづらいですが、大きな家一個分の岩がほんの一点に乗っかっているような...、そんな見たこともない景色の中で一歩間違えたら何があるかわからないという中で撮影ができた、その緊張感、スケール、空気の大きさやあの体力は他の現場ではわからなかったと思います。それはあそこに行ったからこそできたことなので、僕にとってすごく大きなことだったんじゃないかなと思います。

MC:本作のテーマの一つは"限界を超える挑戦"ですので、来年の抱負として自分の限界を超えて新たにチャレンジしてみたいことをお聞かせいただければと思います。

岡田さん:
この作品は日本映画史の中でもトップ10に入る過酷な現場で、それを超えながらみんなで撮影してきました。けれど...もう一回行きたいです(笑)。限界を超えるあの場所で、あの景色というのが忘れられないので、もう一回、自分が立ったあの場所、そのもうちょっと上へ行きたいなとひそかに願っています(笑)。

阿部さん:
そうですね、もう一回行きたいですね。そういう感じになるんですね、山というのは...。神に近いというか...。僕は岡田くんの3日前に5200メートルでの撮影が終わったんですね。岡田くんもスタッフも頑張っているから僕も頑張ろうと思って、残ろうかなと思ったんですが、それまでそこに10日いたのでくじけて...すみません、先にヘリコプターで「さようなら~!」って帰りました(会場笑)。

岡田さん:
帰っちゃったんですよね(笑)。

阿部さん:
すみません、見送ってもらって...(笑)。心が折れて、先に下山しちゃいました...。そういうことがないように、来年は頑張りたいと思います(笑)。

尾野さん:
私もエヴェレストにもう一回登りたいです。5200メートルにいると、てっぺんが見えているのでそこに行けないのがストレスなんですよね。来年とは言いませんがいつかあの山に登ってみたいですね。来年は、お芝居の上で常に限界を超えたいと思っております。

【マスコミによる質疑応答】

Q:エヴェレストに行く前と行った後でご自身の中に何か変化があったらお聞かせください。

岡田さん:
やっぱり経験していない時と、山を経験して皆さんの役作りを感じた後では、お芝居よりも、限界を超えた感情を生み出せるものを目指すようになったと思います。自分自身の人生においても、芝居をするうえでも、価値観が変わったのかなと思います。ずっと「芝居がうまくなりたい」「うまいってなんだろう」と自問自答して、それは今でもしていますが、「"うまい"の先にある人の心を打つものはなんなんだろう」と、あの山に行き、あの景色を見た後ではちょっと変わったのかなと思います。もちろん、今もどうしたらうまくなれるだろうと考えながら生きていますが、うまいの先にある人の心を打つもの、そこへ自分が行くにはどうしたらいいだろうということを考えるようになったのは、山の影響なのかなと思います。

阿部さん:
「なんで山に登るんだろう」...一緒に行った山岳の人に、毎日のようにその質問をしていたんですね。今も答えは見つからないんですが...。危険もあるんですが、でもまた彼らは挑んでいく。その答えは恥ずかしいですが今も見つかっていないです。ですが、やっぱりあれだけの自然、人が太刀打ちできない、予測できないことが起こる場所に行った時にどうするのかということを、今もずっと考え続けているんです。そうやって考え続けていられるということ、そういう考えが今現在も自分の中にあるということが、今回撮影をした一つの宝になっているのかなと思います。(山登りは)僕の専門じゃないですが、その答えをこれからも考え続けていくんだろうなと思います。それが自分の人生においていい方に変わってくれたらいいなと思います。

尾野さん:
生きていることが、こんなにすごいんだなと思うようになりました。普段当たり前のように生きていますが、「あ、生きていることがこんなに素晴らしいことなんだな。私たちがやっている撮影というものが、これが命を懸けて作るということなんだな」と思いました。今まで簡単に言っていたような気がするんですよね。でも、そうではない。本当に命を懸けて、命を大切にして、みんなで共にやっていくということの素晴らしさを教えてもらったような気がします。

■最後に、岡田さんからメッセージが送られました!

岡田さん:
実際に山の上に登って、力強い原作を基にスタッフ・キャスト一丸となって限界を超えながら撮影した映画になっています。ぜひこの熱い話を皆さんに感じてもらえたら嬉しく思います。よろしくお願いします。

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