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『劒岳 点の記』から5年..."新たな本物"生まれる!
日本映画界の至宝・木村大作監督第2弾作品堂々完成!

2014年03月13日

「春を背負って」記者会見・完成披露試写会

<左から、木村大作監督、檀ふみさん、蒼井優さん、松山ケンイチさん、豊川悦司さん、新井浩文さん>

観客動員数240万人を突破する大ヒットを記録した「劒岳 点の記」から5年。日本屈指の名キャメラマンでもある木村大作監督が、再び山を舞台に撮った「春を背負って」が完成し、3月13日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにて完成披露記者会見が行われました。

木村監督のほか、主演の松山ケンイチさん、蒼井優さん、豊川悦司さん、檀ふみさん、新井浩文さんが登壇した記者会見では、標高3000メートルを超える立山連峰で行われた撮影を振り返り、厳しい登山を経て経験した撮影の様子や、滞在した山小屋での思い出などが語られました。さらに、会見後には渋谷公会堂に場所を移して完成披露試写会も行われ、木村大作監督がマイクも通さずに地声で思いの丈を観客の皆さんに届けました。和気あいあいとした雰囲気の中、数々のエピソードが披露され笑いが絶えなかった記者会見、および舞台挨拶の模様をレポートいたします。

【記者会見(挨拶順)】

松山ケンイチさん(長嶺亨役)

山や自然に逆らわないように、その中で生きることができるように、ただ立っていることを意識していました。自分がどう映っているのか、どんな表現をしているのか、どんな演技をしているのかまったく分かっていませんでしたが、完成した作品を観て、自分でも見たことのない表情に驚きました。作品にも、壮大な景色と人間の美しさが描かれていて感動しました。

蒼井優さん(高澤愛役)

この作品は木村大作監督との映画人生が凝縮された作品になっていると思います。その作品の一部になれたことが嬉しくて、まだ出演できた実感が沸かないぐらい、今までの作品作りとは違う感覚が自分の中にあります。素敵な作品ができたと思いますので、ただただ多くの方に観ていただきたいです。

豊川悦司さん(多田悟郎役)

この映画を観て、自分が出ていることを忘れてしまうぐらい、「春を背負って」の世界観に引き込まれてしまいました。こんなにシンプルなのに、こんなに力強いメッセージのある、前向きな映画は久しぶりだなと思いました。一人でも多くの人の胸を打つことを願っております。

檀ふみさん(長嶺菫役)

壮大な自然の前では、本物の演技でないと吹っ飛んでしまうなということを実感しました。自然の中で感じたこと、自然の中でできることを精一杯やりました。それが見事にスクリーンに表れていると思います。この映画に出会えたことで、いろいろな経験を積ませてもらいました。

新井浩文さん(中川聡史役)

完成した作品をまだ観ていないので、早く観たいと思っています。先ほど蒼井さんから「新井くん、すごくなまっていたよ」と言われたのですが、「おかしいな。松山くんと同じ青森(出身)だけど、松山くんよりなまっているはずないのに」と思ったので、早く確認したいと思います(会場笑)。

木村大作監督

映画作りというのは、企画から始まって、封切ってお客様がどのぐらい来るのかというのが勝負です。今までは順調にきていましたが、6月14日の封切でお客さんが来なかったらみじめです。作品の完成度には自信があります! これから47都道府県、すべてに行くんですが、今日は東京の一般の方に初めて見てもらいます。今まで16県に行きましたが、そこでの試写会の反応は素晴らしい! 僕がそう言うとおかしいんだけど、素晴らしいものはしょうがないよね(会場笑)。(観終わって)出てくる人、みんな笑顔! 100%といってもいいぐらいなんですよ。それが(興行に)結びつかないとえらいことだなと思っています(笑)。


MC 「劔岳 点の記」の時と同じように、全都道府県をまた車でまわっていらっしゃるんですか?

木村監督 :
その通りです。あれから5年経っていますから、疲労度は今回の方がすごいですね。

MC : 運転は?

木村監督 :
自分でやっています。自家用車ですからね。まだ(映画の)認知度が低いようですね。

MC : 誰かに運転してもらった方がいいのでは?

木村監督 :
映画の中で「欲かいちゃいけない」と言うのと同じです。悟郎さんが歩荷して、それを愛ちゃんが料理して出すと、みんな喜ぶ。その映画の一コマと同じことをやらないといけないんです。

MC :さて、キャストの皆さんは「劔岳 点の記」のいろいろなお噂を聞いていたと思います。その中でオファーがあった時のお気持ちはいかがでしたでしょうか?

松山さん :
「劔岳 点の記」に出演された方から話を聞きますと、ほぼ8割ぐらいは「過酷だった」という話でした(笑)。でも、最後に一言「お前もきっと来るよ、この時が」と言われていたので、「そんなに挑戦しがいのある、本気になってぶつからないといけない作品を演じることができるのは光栄なことだから、ぜひ演じたい」と思っていました。そして実際にこのお話をいただいて、嬉しかったです。でも、相手は自然で、汚しちゃいけないし、素晴らしいものを与えてくれるのも、命やたくさんのものを奪うのも自然だったりするので、そういうものをきちんと心に留めて、気を引き締めてやらないとなということは感じました。木村大作監督はすごく豪快な方ですが、実際に会ってお話すると、とても無垢な方なんだなと思いました。純粋に映画のことを考え、人のことを考え、すべてにおいて真っ直ぐ。そういう方に対して、小手先の演技でやるのではなく、全身全霊で真っ直ぐにカメラの前に立って演じたいなと思いました。

蒼井さん :
木村大作さんという存在は気になっていましたが、自分がいつかご一緒にと思うことも恐れ多いぐらいの存在でした。「劔岳 点の記」に参加された役者さんからどれだけ過酷だったかということも伺っていましたが、そんな木村さんに撮っていただけるチャンスがある時に、断る理由は一つもなかったので「ぜひよろしくお願いします」とお答えしました。

豊川さん :
僕もお話をいただいた時に、清水の舞台から底なし沼に落ちるぐらいの覚悟を持ってお引き受けしたんです(会場笑)。底なし沼どころかハワイの真っ青な海のような気持ちのいい現場で良かったです(笑)。

檀さん :
木村監督が山に登るのを一番心配してくださったのが私だったそうで、私は脚本をいただいた次の日からスクワットを始めました(笑)。二つ返事でお引き受けしました。

新井さん :
「劔岳 点の記」に続いて2回目ですが、「劔岳 点の記」の時は山に登らず過酷の「か」の字もなかったので、今回は山に登れて充実感がありました。これから先、大作さんが何本撮られるか分かりませんが、撮られる以上は呼ばれたいなと思います。

MC : 予告編を観ると、山に登られたキャストの皆さんの表情が素晴らしいのですが、監督が考えている山岳映画の演出のポイントはどこですか?

木村監督 :
ポイントはないです(会場笑)。自分はよく言うんですが、俳優さんを連れていって本物の前でやってもらえば、それが最大の演出だと思っています。3000メートルに上がると、みんな変わります。人間の素、もともと持っている人としての佇まいを隠して生活できないんです。ああいう居住性の悪いところでは。そういう意味では、それぞれの佇まいが出ている映画ではないかなと思います。それがポイントか(会場笑)。

MC : 「本物の場所に連れていって本物の前でやれば」...という監督のお話もありましたが、標高3000メートルを超える立山でのロケで大変だったこと、素晴らしかったことは何でしょうか?

松山さん :
3000メートルになると高山病になる方もいらっしゃいますし、僕はならずに無事撮影を終えることができましたが、なりかけるところまでいきました。上に登っていくまでも決して楽ではないですし、朝3時から、7、8時ぐらいまで登りっぱなしで、寒いんですけれど汗は止まらないし、大変でした。
でも、それがあったからこそ、自分自身に説得力を持って亨としていられたような気がしますし、地上で山小屋のセットを建ててそこで演技をするよりも、スタッフの皆さん、キャストの皆さんと3000メートルの山小屋で寝泊まりするということがとても大事だったような気がします。山小屋で生活するのでどんどん距離も縮まって、スタッフ・キャストの垣根もなく、みんなでご飯を食べて笑い合いながらやっていたので、現場の雰囲気はものすごく良かったです。木村大作監督がお父さんで、僕らが息子のような感じで、家族のように繋がりも強くなったので、その空気感が作品にも出ていると思います。素晴らしかったです。

蒼井さん :
山に登るというのは体力的にもしんどいんですが、最初に登ったのが雪山だったので、そんなに急ではない雪道をただ真っ直ぐ1時間も2時間も登らないといけないというのが私にはつらかったです。何もない中に放り出されると逆にいろいろなことを考えてしまって、自分で自分を追いつめていってしまうところがあるんです。
そこから登り始めると、石があるので、自分の一歩が誰かの危険に繋がるかもしれないというのもあり、5時間ぐらいの間ずっと気を抜くことができないというのがしんどかったです。素晴らしかったことは、「劔岳 点の記」のスタッフさんばかりだったので、そんな場所に慣れていて、山の楽しさも厳しさも知っていらっしゃるスタッフさんに囲まれていたということですね。特にアドバイスがあった訳ではないんですけれども、最大限に楽しむということを教えていただいたような気がします。そんな皆さんに囲まれてお仕事できたというのは、私の人生の誇りに思います。

MC : 最大限に楽しむというのはどういうことですか?

蒼井さん :
人との距離感や、小さなことを楽しむということですね。山なので、そんなに何かが起きる訳ではないですし、外部との接触がなくなるので内部で楽しむしかなくなるんです。

MC : すごく冷静に語っていらっしゃいますが、「山の上ですごく元気だった」という評判ですよ。

木村監督 :
スタッフ、俳優さんの中で、一番山に強かったのは蒼井優さんだと思います。笑顔が絶えない。はしゃいでいた。居住性の問題にも文句の一つもなかったし、楽しんでいたという印象ですね。

MC : 豊川さんはいかがでしょうか?

豊川さん :
一番最初に登った時は、正直、きつかったです。でも今思うと、人間ってきついことはどんどん忘れちゃうところがあるので、あれから何カ月か経ってきついことは忘れて、撮影の楽しい思い出しか残っていない感じです。

MC : どんなことが楽しかったのでしょうか?

豊川さん :
24時間すべてが充実した時間だったなと、今になって思います。この映画を受けなければ見られなかった景色もたくさん見られたし、共演者の方々、スタッフの方々と、その肩書きを越えていろいろな話もできたし、なかなかできない経験をこの歳になってさせてもらったというのが、一番の財産になったなと思っています。

MC : 皆さん、何をして過ごされていたのですか?

豊川さん :
僕はUNOチームでしたね(会場笑)。あとは麻雀チーム、飲みチーム。20畳ぐらいのところに30人ぐらいいる訳ですから、1人1畳も居場所がないんですよ。どこかのチームに入らないといたたまれない感じなんです(会場笑)。好き嫌いの問題なく、麻雀、UNO、飲み、この3つから選ぶという感じでした(笑)。

MC : 皆さんは何チームでしたか?

松山さん :
まんべんなく、いろいろなところに行っていました。

蒼井さん :
私、UNOです。

新井さん :
麻雀一択です(笑)。

木村監督 :
麻雀です。

檀さん :
飲みチームです(会場笑)。

MC : 山の上で飲むとお酒の吸収が早いと聞きますが。

檀さん :
いい気持ちでした(会場笑)。監督がお優しいので、私のためにワインを上げておいてくださったんです。大変いい気持ちでした。

MC : 新井さんはいかがでしたか?

新井さん :
最初に登った時はビビッていた部分があったので、意外と普通に登れて「いけるな、これ」と思ったんですが、2回目に登った時は頭も痛いし、汗が止まらなくなって、「あ、これが噂の高山病か」と思ったんですけれど、よくよく考えたら前日飲みすぎたというだけでした(会場笑)。ただの二日酔いでしたが、それが一番きつかったです。自業自得なんですけど(笑)。楽しかったことは、自分でいうのもなんですが、ずっと映画をやってきて、木村監督と一緒に仕事できて撮ってもらえたことです。

MC : 「春を背負って」は、自分の居場所を求めて山を登ってきて、そこで何を見つけるかというのがテーマですが、皆さんにとっての居場所はどこでしょうか?

新井さん :
本気で答えるなら、映画の現場が一番好きです。

MC : 本気じゃないなら?

新井さん :
ギャンブルですね(笑)。

檀さん :
私の居場所は、監督のお隣です(会場笑)。

豊川さん :
監督の4番目です(笑)。僕なんて居場所のない人間でずっときたので、こういう場所にこういうチームの一員として座れて、居場所を与えてもらったんだなと思います。

蒼井さん :
私も居場所を探している人間なので、だからこういう作品に出会えたのかなと思います。(居場所は)まだ分かりません。

松山さん :
僕も映画の現場が自分の居場所のような気はしているんですけれども、家だったり地元だったり、自分が楽しいな、安心できるなと感じているところは自分の居場所のような感じがします。海外はさすがに慣れていないのでソワソワしてしまいますけれど、それでも海外の知り合いとか、地方の知り合いのところにいると、快く楽しく迎え入れてくれるので、この居場所もすごく心地いいなと思ったりします。いろいろなところにありますね。すごく幸せなことだと思います。

木村監督 :
映画しかないですね。前の時は「この映画が撮れるなら映画界からおさらばする」と言ったんですが、終わってみたらギャラも使い果たして、これからどうやって生きていこうかなと(笑)。居場所を探したんですが、自分の居場所はやっぱり映画の世界にしかないと思いました。それぐらい映画って面白いんですよね。自分は監督をしたいんじゃなくて、映画を作りたくてやっているんです。ですから、あんまり「監督」と呼ばれるとこそばゆいので、俳優さんには「大作さんと呼んでいただきたい」とお願いするんですが...何を喋っているんですかね(笑)。僕の今の居場所は映画しかないなと思います。

【マスコミによる質疑応答】


Q:前作の「劔岳 点の記」の時は自然の厳しさが全面に出ていましたが、今作は厳しさと同時に優しさも伝わってきました。監督はその辺をどのように表現したいと考えたのでしょうか?

木村監督 :
山は厳しいです、基本的にはね。その反対で、楽しいこと、優しいこと、温かいこと、爽やかなこと、そちらもあるんだということですね。それと、女優さんを3000メートルに上げて家族の話をやりたいなというところからこの原作を選んで、この映画を始めました。

MC : 家族の物語を作るにあたって、意識されたことはありましたか?

木村監督 :
自分の家族関係はうまくいってないので、いい家族とはこうあるべきじゃないかなと、自分の夢を追っているところはありますね(会場笑)。

Q:「春を背負って」というタイトルにちなんで、撮影中、そして今、背負われているものを教えてください。

松山さん :
主役を演じているので、この作品を無事に撮り終えることでした。そして、たくさんの方に観ていただくことが今の自分の課題です。

蒼井さん :
無事に撮り終えることだけを背負っていた気がします。終わってからは、この作品を皆さんにお届けするということです。

豊川さん :
二人がそう言うのだから、それしかないですね(会場笑)。

Q:現場で監督から受けた演出の中で、新たな気づきが得られたことはありますか?

木村監督 :
僕が答えるけど、なんにも演出していません(会場笑)!

新井さん :
大作さんがおっしゃったとおり、演出ゼロでした。言われるとしたら、かぶりだけ。「そこかぶってるからちょっとどいて」と。

MC : それで気づいたことは?

新井さん :
あ、かぶっちゃいけないんだなと(会場笑)。

檀さん :
演出はありました。演技をしないように、と。大根なんかに文句をつけるんです。あれは檀ふみに対するメタファーだったのかもしれないんですけれど、大根を持つシーンがあって、その大根に対して「そんな映画みたいな大根持ってくるな」と言うんです。それは要するに、映画みたいな演技をするなということなのかなと。それを暗におっしゃっていたのだと思います。

MC : 演技をしないように演技するということなんですね。

檀さん :
演技をする間もなく終わってしまいました。している暇がありませんでした(笑)。

豊川さん :
監督もおっしゃっていましたが、僕ら俳優陣を見たこともないところに連れていってくれたというのが最大の演出だったと思います。

MC : 何か気づかれたことはありましたか?

豊川さん :
木村監督は本当に役者が好きなんだな、俳優が大好きなんだなと思いました。

蒼井さん :
やはり演出はなかったんですけれども、例えば私のクランクインの一番最初のテイクをリハーサルもなしにぶっつけ本番で回したり、そういう現場の演出をされていたと思います。それだけで十分、演出をされた気になっていました。

松山さん :
コミュニケーションを取っていて、木村大作監督の人間性が僕に「嘘をつかないでくれ」と言っているようにずっと感じていました。「佇まいだ」ということをキーワードとしておっしゃっていたんですが、佇まいを表すのは演技じゃなくてその人自身の生き方なんだなということを教えていただきました。あと、蒼井さんも言っていたように、現場の空気作りはすごく助かりました。監督が怒鳴っていても、スタッフの皆さんも何度も監督とやられているので怒られ方というのも分かっているんですよね(会場笑)。まったく後腐れがない(笑)。結局最後には笑っているということがほとんどでした。そういう安心させてくれる現場でしたので、思う存分、僕自身も裸になることができました。

木村監督 :
カメラマン時代からルーペを覗いている人間ですから、ルーペを覗きながら「よーい、スタート」もかけている訳で、僕が見ているのは俳優さんの表情です。セリフとか何とかより、表情が良ければセリフも絶対うまくいっているし、その人の日常を感じさせてくれたら全部OKです。芝居をつけて、つけて、つける監督をずいぶん見てきたけれど、その通りにできた俳優を見たことがない(会場笑)! だから、余計なことを言うより、その人が持っているものを全部出してもらったものを形にした方がいいというのが僕の考え方なので、雰囲気作りの方が大切だと思っています。

【舞台挨拶(挨拶順)】

松山ケンイチさん(長嶺亨役)

やっと皆さんに観ていただけることになって、嬉しいです。

蒼井優さん(高澤愛役)

こんなにたくさんの方にいきなり観ていただけるということで、急にドキドキしてきました。

豊川悦司さん(多田悟郎役)

今日はこういう悪天候の中、この場所にお集まりいただきありがとうございます。

檀ふみさん(長嶺菫役)

この映画で、松山ケンイチくんのような立派な息子を持つことができて幸せでした。

新井浩文さん(中川聡史役)

雨の中、ありがとうございます。

木村大作監督

(マイクを通さず)皆さん、私はただいま47都道府県、自家用車にポスターを貼って宣伝しています。今日は16県をまわって、初めての都会です。
16県まわって、(映画を観終わって)出てくる人のお顔を拝見すると、非常に喜んでいただいています。これは嘘ではありません(会場笑)! そういう中において、今日はなにせ東京の試写会です。あなたたちの責任は重いです(会場笑)! 6月14日までまだ3カ月あります! 一人、一日、十人に、この映画を熱く語ってください(会場笑)。ご覧になると、僕の言っていることが分かっていただけると思います。


MC : 監督、なぜマイクを使わないのでしょうか?

木村監督 :
マイクを使うと声のトーンを抑えなきゃいけないじゃないですか。そうすると、冷静になっちゃうから脳の中で「嘘を言え」と言うんですよ。僕の口は腹についているんですよ。だから、マイクを使わないとストレートにものを言える訳。そういう訳で、マイクを使わないことに決めています。

MC : 「劔岳 点の記」から5年経って、さらにまた山岳映画を撮ろうと。山のどこがそんなにいいのでしょうか?

木村監督 :
この映画は、日本の四季を撮るために一年かかっています。日本映画界にはそういうことを考える監督も、プロデューサーもいないんです。だから、それをやると企画がすぐ通るんです(会場笑)。

MC : 木村監督のもとで撮影するというのはどういうことなのでしょうか?

松山さん :
僕から見ると、監督が映画に携わっているということは、映画を作っていることイコール生きていることに感じるんです。もうお分かりだと思いますが、大作さんの人間性はものすごく真っ直ぐです。その真っ直ぐさが信頼関係にも繋がりますし、スタッフの皆さんもどんなに大変な撮影でも喰らいついていっています。僕もそういう人間性に惹かれて、自分自身、この役をどれだけ真っ直ぐに表現できるかということを考えながらやっていました。撮影はスムーズにいくこともあれば大変な時もあるんですが、中打ち上げというものがありまして、スタッフ・キャストみんなでご飯を食べて2次会でカラオケに行ったところ、スタッフの皆さんが替え歌で監督のことをヤジるんですよ。これは愛情があるなと思うんですが、「最低監督だ!」とスタッフ全員で声を合わせて言ったりするんですよ。すると監督も負けずに「なんだ、このやろう!」と言ったりして、そこには笑いが絶えなくて、この中にいて本当にこの映画という場所はなんて心地いいのだろうと思いましたし、こんなにも居心地がいいのは初めてでした。ただ演技をするということだけではなくて、もっと人と触れ合って繋がりを大事にする温かいものだったんだなということを、改めて感じさせられました。僕にとってはすごく勉強になったのと同時に、大事なものを与えられたような気がします。

MC : 監督というと、吠える、爆発するというイメージがありますが、山の上で怒られた、怒鳴られた方はいらっしゃいますか? (檀さんだけ挙手し)え、檀さん?

檀さん :
私のせいかどうかは分からないんですが、朝の3時に登っていくんですよ。それで9時ぐらいにヘアメイクをしていましたら、その間に皆さん準備できていて、私が皆さんをお待たせしたらしいんです。それで、(マイクを通さずに大声で)「檀さん! 檀さんが来ないから、曇ってきちゃったよ!」と。私、雪崩が起きるんじゃないかと思いました(会場笑)。

MC : 蒼井さんは怒鳴られたことはないんですか?

蒼井さん :
私は記憶にはないですけれど...。

MC : では、どんなことが記憶に残っていますか?

蒼井さん :
愛おしい方で、みんなが大作さんのことが大好きなんですよ。撮影中に大作さんの誕生日が来たんです。大作さんは「頼むから僕の誕生日は無視してくれ」と言っていたんですけれども、スタッフ・キャスト全員で、外から見たら台本なんですけれども中は真っ白のノートを美術さんが作ってくださって、それに大作さんの似顔絵やコメントをそれぞれ書いて、それはすごく愛情のこもったプレゼントでしたね。

MC : 監督は泣きましたか?

蒼井さん :
泣きませんでした(会場笑)。

木村監督 :
大事に部屋にあります。

MC : 蒼井さんにはニックネームがついたと聞きましたが。

蒼井さん :
私、蒼井優(ゆう)なんですけど、優(まさる)と呼ばれていました(笑)。

檀さん :
なんで「まさる」なんですか?

蒼井さん :
豊川さんが...。

豊川さん :
優しいという字なので「まさる」とね。

檀さん :
猿みたいだったからですか?

豊川さん :
それは「おさる」じゃないですか。「まさる」ですから(会場笑)。檀さんもそうですけど、優ちゃんも、今回の現場は女優さんには男優には分からないような大変なことがたくさんあったと思うんですけれど、そういうことを周りが気にしないようにものすごく気を遣って振る舞ってくれて、スタッフ、キャスト、木村監督もたぶんそうだと思いますけれども、それにどれだけ救われたかということがたくさんあったと思います。

MC : それで、どうして「まさる」とつけたんですか?

豊川さん :
「よしひこ」とかじゃないでしょう(会場笑)?

MC : 新井さんは、山での生活はどうでしたか?

新井さん :
すごく楽しかったです。きついところもあるんですけど、みんな仲良くやっていたので楽しかったです。

MC : 新井さんも「まさる」と呼んでいたんですか?

新井さん :
いえ、「優(ゆう)さん」です。

MC : では、「まさる」と呼んでいたのはどなたですか? (松山さんと豊川さんが挙手し)松山さん、なぜ「まさる」と(会場笑)?

松山さん :
男みたいだからです。山を登るのって大変なんです。なんですけど、(蒼井さんは)速いんですよ。「ハアハア」も言わないですし、同じ部活の仲間みたいになっちゃったんですよね、途中から(笑)。こんなに足が強いとは思っていませんでしたし、上に行っても、高山病になるスタッフもいる中でケロッとしていて、ずっとニコニコしていたんですよ。それは檀さんも変わらないですけどね(笑)。すごく元気にお酒を飲まれていて...。

檀さん :
それは監督が「檀さんが赤ワイン好きだから」とわざわざ入れてくださっていたので、いただかない訳にいかないじゃないですか(笑)。

松山さん :
そうなんですけど、どんどんみんなに酒を注いでまわる姿を見て、「ああ、すごいお母さんが来たな」と思いました(会場笑)。

MC : 3000メートルの高さで飲むお酒は、地上で飲むお酒とは違うんですか?

檀さん :
おいしいです(会場笑)。

MC : 酔いが回るのが早いと聞いたりもしますが。

檀さん :
いい感じで回るんですよ(笑)。

松山さん :
ガイドの方々も眠くなってつぶれかけているのに、檀さんの声だけはすごくよく聞こえていました(笑)。

MC : ということは、女性陣がすごく元気だったと。

松山さん :
すごいですよ。そのおかげで、豊川さんもおっしゃったように救われた部分はあったと思います。

MC : 菫小屋から見る景色はどう感じましたか?

新井さん :
正直、山に興味がなくて、仕事じゃないと絶対に行かないタイプの人間なので、正直、「ああ、二度と来ることないんだろうな」と思いましたよね(会場笑)。だから、びっくりしました。「ああ、綺麗なんだな」と思った時に、「ちょっと年取ったのかな?」と思ったし、いろいろなことを思いましたね(会場笑)。死と直面するような危険なところもあったので、死についても感じましたね。

豊川さん :
僕もどちらかというと山より海の方が好きなので、それまでは自分で趣味で登ったことなどはなかったんですけれど、ああいう大きな自然があって、その中で人間という存在の本当にちっぽけな存在を感じることができました。でもその中でシナリオを読むとそのちっぽけな人間にもこんなに豊かな人生があって、こんなに豊かな感情があると書かれていて、それを松っちゃんや優ちゃんなんかと語り合える環境というのは、俳優という職業を超えてとても稀有な経験になったなと感じますね。ああいうのって、たぶん木村監督が第3弾を作らない限りはもう二度とないと思いますけれども。

松山さん :
僕もほとんど(山登りの)経験がなかったんですが、どんどん登っていくうちに頭の中から言葉が消えて無心になっていく感覚がすごく好きで、そういう感覚で亨を演じられたらいいなと思っていました。そのためにはあの3000メートルの山々の景色が必要でしたし、山の表情を借りてやれたような気がします。すごくいい体験でした。

蒼井さん :
この作品を一足先に見せてもらったんですが、山は見るものだなと思いました。こうやって映画館で見られるならいいなと(会場笑)。

MC : やっぱり相当大変なんですね(笑)。

蒼井さん :
つらかったり苦しかったりしたエピソードはたくさんあるんですが、それは忘れてしまっていました。でも山を見た時に脳の奥にそのつらさがじわっと染み出てくる感じがあるんです(笑)。

MC : それでも監督は登りますよね?

木村監督 :
僕もあんまり行きたくはないんですよ(会場笑)。ですが、しんどい思いをして上に行った時には、都会の垢を全部落として清々しい気持ちになりますね。それは上がってみないと分からないことです。それと、撮りたい場所がそういうところなので、なんとしても行くということになりますね。

MC : 檀さんも不安があったんじゃないですか?

檀さん :
私は小学校の時に登山をするとビリになる子で、ご覧になっても分かる通り、私はスタッフを通しても監督の次の年ぐらいだったものですから、監督も一番心配されていましたし、台本をいただいた日からスクワットをしました。最終的にはリュックをしてスクワットするところまで、半年間鍛えていったので登れました。

MC : 一日何回ぐらいスクワットを?

檀さん :
150回ぐらいできるようになりました。

MC : 他のキャストの方で事前にトレーニングを積んだ方は?

新井さん :
山は時間があって麻雀ができると事前に聞いていたので、もともと好きだったというのもあってさらに練習していきました(会場笑)。

MC : 松山さんはトレーニングは?

松山さん :
僕はしなかったですね、麻雀は(会場笑)。山小屋は何軒か回ってみたいなと思って、行きました。泊まってもみました。

木村監督 :
(撮影の)前の年に松山さんは行ったんです。僕も一回、「雪の中で豊川さんをおぶらなきゃならないので訓練に付き合ってくれ」ということで、一緒に行きました。

MC : この人のこういうところを新たに知ったということはありませんでしたか?

檀さん :
松山さんはお父さんみたいな方でした(会場笑)。私が山の上のお手洗いの様子が分からないので、ずっと行っていなかったんですよ。朝3時から登って、昼2時ぐらいまで。そうしたら、「檀さん、それはやばいですよ。早く行った方がいい」と言われて、お父さんに「早く行きなさい」と言われているような気がしました(笑)。でも、監督がお手洗いを綺麗にしてくださっていたので、山小屋のお手洗いは綺麗でした。

蒼井さん :
檀さんの飲みっぷりがよかったです(笑)ペースが変わらなくて、テンションも変わることなくずっと飲まれていて、「私、弱いんです」とおっしゃっていたのに誰よりも強かったんです(笑)。

松山さん :
僕は僕自身の麻雀の弱さですね(笑)。

豊川さん :
僕も檀さんの飲みっぷりが(笑)。もしあの山小屋が店だったら、相当たちの悪い客だったと思います(会場笑)。

新井さん :
改めて再確認したのは、大作さんが機嫌がいい時はいい画が撮れた時で、いい画が撮れていない時はめちゃくちゃ機嫌が悪いんですよ。その時はなるべく近寄らないようにしていました(笑)。ものすごく分かりやすい人です。

MC : 監督も、「この人こんなところがあるんだ」と気づいたところはありましたか?

木村監督 :
この映画を観た一般の方が、「俳優さんがピッタリだ」と褒めるんです。どこの県に行っても「ピッタリだった」と。僕のことは誰も褒めてくれないんだよね(笑)。だから、「そういう風に仕向けたのは僕だ!」と言っているんですけどね(会場笑)。今日観たら、確実にいい印象を持つと思うので、そういう風に仕向けたのは木村大作だという認識を新たにしてもらいたいなと思います(笑)。

■最後に、松山さん、蒼井さん、木村監督からメッセージが送られました!

蒼井さん :
豊川さんがこの映画のクランクアップの時に、「映画屋の心を、姿勢を、この現場で見た気がします」とおっしゃっていたのですが、私もできあがった作品を観て、それをさらに強く思いました。まだまだ日本にもこういう映画があるんだということを、たくさんの人に観ていただいて、伝えていただきたいなと思います。今日は今から2時間弱、楽しんでいってください。

松山さん :
これから観るので、「ここを観てくれ」とは言いたくないんですけど、自分の居場所がテーマになっています。とてもいいセリフもたくさんありますし、自分が一歩一歩歩いた分だけ宝になって、その行きつく先が居場所なんだということ...いや、違うな。その歩いている時点で自分の居場所になっているんだということを、僕は実感させられました。
言いたくないんですけど、一つだけ僕がすごく悔しい思いをしたシーンがあります。分かる人には分かるんですけれども、山小屋のシーンでお客さんがいっぱいいる中に、一人だけとんでもなく満面の笑みをしている方がいるですよ。その満面の笑みを見た時に、「僕は役者なのにあんなに満面の笑みを作れるだろうか? 自分は絶対に作れないな」と思ったんですね。それだけいい笑顔をしている方が一人います。楽しみにしていてください(会場笑)。

MC : 監督は先ほど「言いません」とおっしゃいましたが、皆さんの秘密を知ったんですか?

木村監督 :
山の上では、日常を隠せません。いつもの行動だったり、言葉遣いだったり、人間の素が出てくるところなんです。自分もそうだったけれど、皆さんもそうだったと思います。その感じが全部映画に出ていると思うんですよね。それが非常に良かったんじゃないかと思います。

MC : では、最後に監督から皆様に熱いメッセージを。

木村監督 :
皆さん、3カ月ありますので(会場笑)! 宣伝してもらわないと...もしこの映画がこけたら僕の未来はありません(会場笑)! よろしくお願いします!

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